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音楽学校のおかしなルール廃止という報道について [ヅカってなんだ?的記事]

宝塚音楽学校が、おかしなルールを廃止する、
という報道がありました。

ほほう、いいことだな
と思う一方で、
え、10年前にあんな事件があったのに、
まだ改善してなかったんかい!

とも思いました。

津田大介のネット番組に東小雪さんが出ていたのも聞きました。
(あいちトリエンナーレ以来、津田大介のことは全面的に信頼しています。
金髪の変なオジサンじゃないのよ)

とても良かったです。

96期のことは、本科からのこともあるから、すべてはつまびらかになっていないのではないか、
なぜ今なのかはわからない(何か事件が起きたのではないか、と津田大介。私もそう思いました)
誰が何をしたかとかではなく、暴力的な構造に巻き込まれた一人として向き合う必要がある、
といったことが印象的でした。

気になったのは、広報のコメント(私は読んでいない)では、
舞台を一体として務めるために必要なことは続ける、と言っているそうで、
それでは変わらないのではないか。という指摘。

そしたらなんと!

音楽学校側は、別にそんなこと決めてはいないという報道が。

なんと、最初の記事は、完全な「飛ばし」だったんですねええ。


いやはや、これはいい飛ばし記事だったんじゃないですか。
だって、もう今後、これにまつわる事件があったら、
「おいおいおい、パワハラやめたって言ってたじゃん、どうなってるの?」
って目が注がれます。

「いや、やめたつもりないです」と言い張っても、
「にしてもパワハラでしょ」となる。

10年前の裁判、あと数年後だったら、
スポーツ界でのパワハラも問題になったから、
もっともっと叩かれただろうな、
その前で、ほんと運が良かったね(棒読み)、と思ってました。

でもさすがに今、その目が注がれるようになった。
東さんのブログ等は「全く炎上していない」そうです。全く!
世の中が変わってきたことを、素晴らしく思います。


ただ、ファンやOGのSNSでの発言を見ていると、
変わっていない人も多いみたい。

「愛ある指導もあるはず」「部外者に何も言われたくない」
「伝統は大事」「それがなくなったら宝塚じゃない」

これって、児童虐待や家庭内暴力、スポーツパワハラの加害者と
まったく同じ。笑っちゃうぐらい同じ。

「家庭の中に入り込むな」「これは愛だ」
「伝統的な家庭の在り方はこれしかない」


「愛」とか「伝統」は一番警戒しなきゃいけない言葉。
虐待を見かけたら、誰だって通報義務があります。

本当に「愛」のある指導なら、
それは下級生に対して「敬意」があるかどうか、で判断してみてはどうですかね。
下級生が「やめてください」「これはできません」と言ったときに、
話を聞けるかどうか。相手に敬意があれば、話を聞いて、相談し合えますよね。
そもそも下級生が「やめてください」と言えないような状況なら、
それは、「愛」ではない。


私は、宝塚の特色は、「少女ならではの閉鎖的な空間」だと思っています。
だからこそ、あの面白い仕組みや芸があり、
だからこそ、暴力の温床になる。

関わる誰もが不幸にならないように、
つまり、暴力の温床にならないように、最大限気を付けながら、
面白い仕組みや芸の良いところを残すことは、
意識を変えれば、絶対にできるはず。


今回の「飛ばし」記事がそれを少し推進してくれたのなら良いな、と、
もはや完全な部外者だけど、思います。




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信長の犬(帝国劇場 9/11 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

リカちゃんが藤沢朗読劇に出るというので、急いでチケットゲット。

藤沢朗読劇で帝劇ってはじめてなのでは。
大きな劇場で8人出演。
結果的にソーシャルディスタンスが確保できてて良かったし、
全然広すぎるとは思わなかった。

藤沢朗読劇だからもう安心して観てたんだけど、
犬ですよ、犬。
動物物に弱いの。
特に、ご承知かと思いますが(誰も承知してないか)、
私、昨年の5月に猫を亡くしまして。
犬同士しゃべったり、飼い主としゃべったりするのよ。
犬だから忠義に厚いのよ。
涙涙で、ろくに感想も書けないレベル(笑)。

犬が登場人物としてめいっぱいしゃべるのは、朗読ならではだよねー。
諏訪部さん、井上和彦さん、有名な声優さんは、ほんとすごい!
犬ってわかるしゃべり方なんだよ(って意味不明 笑)

語り手的な立場は、犬好きで有名な大名で、
そこに、秀吉が「信長が飼ってた犬がいるだろう、見せてほしい」とやってくる。
で、どういう経緯でその犬を飼いはじめて、
どういう経緯で今そこにいるのか、が時制を行ったり来たりしながらわかってくる。

真の主人公は秀吉なんだろうな。
アリとキリギリスのアリが、素晴らしかった。
卑屈になったり、尊大になったり、やたら陽気になったり、自在なの。
この人、写真も撮るし、もはや「ボキャ天」に出てた人、のイメージは遠い彼方だ。

犬好きの大名の水田くんが、まっすぐで、癒される。
この人の家臣ってのがまた忠義を象徴していて、
藤沢朗読劇はいつも、情のようなものが大事だけど、
今回は特に飼い主と飼い犬、だけでなく人間同士も含めて忠義がテーマだということだ。
もちろん明智光秀も出てくるよ。

そしてリカちゃんは信長…!
かっこよかった……!!!
プガチョフでしたよー、往年のファンのみなさんーー!!
プガチョフよりももっと高貴かな。
カテコまで役になりきっていて、あああう、ほれぼれしました。

事務所辞めたそうだし、もっと舞台に出てくださいよー。
舞台に出ないから会やめちゃったけど、舞台に出るなら入り直すぞ。

映像もあるらしい。
キャストはかなりの日替わりで、
単に行きやすい日を選んだだけなんだけど、
女性だけの日もあった(元ジェンヌ多数出演)ので、そっちも観たいな。


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FLYING SAPA -フライング サパ-(日生劇場 9/13 16:00) [観劇メモ]

4月に中止になった公演、観れて良かった。

昼と夜の時間が惑星の軌道で極端に違う…って、萩尾望都っぽい。
管理された社会と原始的な土地…って、イキウメの『太陽』っぽい。
宝塚でSFって珍しい?  そもそもあったっけか?

ただ、様式は聞いてたよりもずっと宝塚ぽく感じた。
番手とか、役付きが宝塚ルール。
画面が暗くて、主人公が(記憶がないので)自分探ししてるのが、
正塚芝居に似てると思う人もいるだろう。

でも、テーマは全然宝塚らしくなかった! これはすごい画期的!
冒頭、ヘイト発言をする人を罰して、でも記憶を書き換えちゃう、というエピソードがあり、
あ、そういう、今の社会で起きてることに対して、何か言いたいんだな、とわかる。
ビッグデータを収集してるとか、すごく現代を意識してる。

平和で穏やかでみんな一見幸せだけど、
そうやって管理されてて、記憶まで消されて、見せかけの幸せ。
強いて言うなら、ソ連とかの共産主義革命で全体主義になってしまった国。
独裁者は誰かな、ソ連ならスターリン、と思ったら
ゆうちゃんさんの声で、笑った(『ロシアン・ブルー』を見てね)。

そうなった原因がだんだんわかってくるわけだけど、
過程で「暴力」が真のテーマだとわかる。
暴力を起こさないためにすごい装置を発明して「みんなが幸せに暮らせる国」を作ったけど、
でもそれは暴力なしでは実現しなかった。
というか、そういう国家体制そのものが暴力だってことなのよ。
それは、今の日本が進もうとしてる姿なんだよ、とあからさまに言っている。
(読んでないけど、ネット情報によるとプログラムで、
今の日本は静かなディストピアが法制化されている、と書いてあるそうだ。私も同感)
ををを、うえくみ、攻めてる~。

宝塚で「暴力」をテーマにしたことってあったか?
ないよ、絶対ないよ。そういうの避けるでしょ、夢の世界だよ。
二番手娘役が投降してきた敵を撃ったのが、衝撃だった。
そんなん、宝塚で見たことない。

表現も新しかった。
二番手娘役(主人公の元カノだが主人公は記憶がない)とほにゃららして、
「お前は俺の体を知りすぎてる」って…、そんな台詞宝塚ではじめて聞いた(笑)。
ヒロインが、娼婦のように振る舞い、
やがて明るみになる過去では、少女時代にレイプされていたことがわかる。
暴力をテーマにするなら、それは避けて通れないことだ。
でも宝塚ではトップ娘役にそれはやったことないのでは。

全体主義は暴力である、
カビくさくても民主主義しかない。
その結論に至るのは当然だよね。

でもそれをどうやって実現するのか、
そこは  ほとんど描かれないのだ(笑)。
だって難しすぎるもんね…。

ただ、ラブシーンで「気持ちがびびっと伝わればいいのに」
「全然伝わらない(笑)」ってやりとりがあって、
ああ、それが大事なんだろうな、と。
独裁者は、好きだからわかってほしい、と言っていた。
好きだからこそ、相手とはわかりあえないって前提が、大事なんだよね。

って、スターさんにうっとりしてひれ伏して、劇場の一体感を楽しむ宝塚で、
連帯責任という暴力が美徳で伝統とされてきた宝塚で。
これ、理解されてるのかなあ?? されているといいな。


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眩耀の谷 ~舞い降りた新星~/Ray -星の光線-(東京宝塚劇場 9/1 15:30) [観劇メモ]

8ヶ月ぶりの宝塚です…!

芝居は謝珠栄。
ご本人が少数民族客家の末裔だから、こういうテーマは多い。

侵略すべく少数民族の調査にやってきた中央の役人が、
肩入れして、少数民族の王になる、というお話。

戦うより逃げるという選択。
民はいつも権力者にだまされる。真実は何なのか。
すごくぐっとくる。

中間管理職な主人公と、その上司の銀橋での言い争いが緊迫感。

でもまあ最終的には、じつは王の末裔でしたってやつでした。

花園宝塚で、こういうヘビーな題材が見れる面白さと、
最終的に花園的理屈に回収される不可思議さ。

トップお披露目の礼真琴さんがもううまくてうまくて。
好みってわけじゃないけど、歌に感情がすごく乗る。
おいおい泣いてしまったよ。
しかも踊りもうまいしねえ、背丈以外オールマイティなんだよね。
背丈ももはや気にならないトップさんオーラ。

ショーは中村B。
銀橋のトップ二人が大人っぽかったり、
ターバンでのタンゴの振り付けが面白かったり、
黒人霊歌でスーツで帽子のシーンがかっこよかったり。

ただ、オリンピックのところは、
令和がどうのとか、開催されます、とかいうナレーションは
やめればいいのになあ。もう開催なんて無理なのだから。
単なるオリンピックの場面にできるでしょ。

トップ娘役は花組にいたそうだが全然認識していなかった。
小顔でスタイルいい上に、なんでもできるという感じかな。
顔は美鳳あやみたい。

みつるさん、愛月さんより下なの??
いかにもなさよなら場面ないのはご本人の希望???

はるこちゃんがゆずみさん風味になっていて良い。
天華えまちゃんが番手あがってて驚き。良い良い。

ちなみに私の、再開初のオペラグラスロックオンは、
ひろ香祐でした(笑)。だって目立つんだもん。


じつに8か月振りぐらいの宝塚。
美麗な男役さんがずらっと揃うと、ぐおおおおと思う。

客席は一席ずつあけている。
トイレに並ぶのもシールに沿って。
席で飲食禁止(水分補給はOK)。なので売店も売ってるものが少ない。

出待ちも当然ない。お茶会もない。
差し入れも禁止だそうだ。

これで合理化、近代化するのか?
と思いきや、会でのチケットは当然あって、
だから逆に、ルールが複雑になっている様子。
より硬直化するのかもしれない。(良くない)

この機会に、いいところ(お茶会とか)だけ残して、
悪いところ(チケットのノルマとか)は止めればいいのにな。


震災のときは、再開できるのかハラハラし、
東北が大変なのに、そこで作られていた電気を東京で消費することに対する、
ヒリヒリしたものがあって、募金とかして、
でも再開して嬉しかったりした。
(当時自分はバリバリのファンだったし)
(結局、原発は何も解決していないが)

あのときと似ているようでいて、似ていない部分も大きい。
なんといっても、いつまた休演するかわからないということ。
あんなに近くで歌って踊って、誰か罹患してたら絶対蔓延する。
下級生の出番を減らしても、それほど意味があるとは思えない。

上演できるときには上演する。
できないときはしない。

一瞬一瞬が大事というよりも、
一瞬一瞬、隙をぬってサバイバルしていく、
どんな形でも続けていく、何か、動物的な感じ。

宝塚はそもそも、いつか卒業するから一瞬一瞬が大事、と
その役、その作品、その状況に一生懸命で、
それにファンも酔う。それが課金のモチベーションだ。

でもそれって、普通に上演できる、という前提あってのものだったんだな。
(もちろん、怪我とか妨げるものはいろいろあるけど)

舞台そのものが上演できない、
できたとしても、いつ上演できなくなるかわからない、
その基準すら全く決まっていないし、
科学的なことも明らかになっていない、
そんな中では、うっとりしてる暇なんかない。

状況を見極めて、走れるときに走る、食べれるときに食べる、
そんな野生動物のような感じ。

まさに、舞台芸術のサバイバルだ。
(国が、自粛させておいて、補償しないから。
補償があったとしてもサバイバルであることには変わりないというのに、
補償すらしないから)

宝塚だけじゃなくどこもそうだけど、
夢の花園(中は競争が激しいとはいえ、外からしたら花園)だからこそ、
突如、外からふってきたこのサバイバル状況が、際立って見える。


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配信で見たもの [観劇メモ(ヅカ以外)]

●7/12 シアターコクーン プレイタイム

こ、これは興味深い!
まったく新しい「配信」だ!

上演前の劇場のいろいろな場所を、延々と撮ってるの。
役者のウォーミングアップとか、着替えとかも撮るの。

そしておもむろに上演が始まる。

男女(森山未来、黒木華)の恋の駆け引きのようなセリフ。
それを、正面からじゃなく、いろんな角度から撮る。
高いところのハシゴみたいな場所に役者がいるので、
下から、上から斜めから撮る。

誰の脚本だろう、太宰ぽいな、と思ったら岸田國士だった。

最後は客席に降りて来て、椅子と踊ったりもする。

なんなんだ…。
不思議な世界だった。

同じことはそうそうできないだろうけど、
通常の公演の代替である「配信」ではなく、
新しいジャンルが誕生していた。


●7/18 パルコ劇場 大地

WOWOWで観た。

素晴らしかったー!!

この状況を予知していたとしか思えない内容。
生で観たかった(もうチケットなかった)。

三谷幸喜作品はじつは舞台は生で観たことはなくて、
テレビや映画では90年代までで、
最近のは『マジック・アワー』がいいけどほかは…と思っていたけど。

大泉洋とか山本耕史とか有名な人がいっぱい出るので、
そんなに期待してなかったんだけど、中身も出演者も本当に良かった。

東欧かどこかの独裁国家で、
反政府主義だということで捕まって、強制労働させられている人たち。

なぜか演劇関係者だけが集まったグループがある。
独裁者の真似をしたというだけで捕まった大道芸人とか、
インテリの演出家とか、女形とか、いろんな人たち。

あることを実現するために、嘘の芝居をすることになるんだけど、
芝居をしたくてたまらない、
そのために才能をもって生まれてきたような人たちが、
普段そんなに仲良くないのに、
盛り上がって団結して、そのことに一生懸命になっていく様子が、
そして、それがばれたときの結末が、
切なすぎる…!

それぞれベッドの場所が分けられていて、それがコロナ対策なのかな?
唯一あるラブシーンも、全然ラブシーンぽくなくて、
落ち着きのない二人、って感じになってたのが、仕方がない。

配信でも、まばたきもせず観た。

コロナ下における上演の伝説になるのではないかな。


●8/10 DDDクロスシアター ディファイルド

朗読劇。

図書館にたてこもり、目録カードの撤去に反対する図書館員と、
それを阻止しようとする刑事のやりとり。
図書館員として観ないわけにはいかない。

チケットが取れなかったので、配信で。
水田航生と羽場裕一の組み合わせにしました。

しかし、配信だと何かしながら観れてしまうのよね…。
料理しながら聞いていた、という感じ。

気になっていたのは、
2020年の今、目録カードとコンピューター検索なら、
後者のほうが便利に決まってる、という結論が出ていること。

2000年が初演だったそうで、納得ではある。
(ちなみに私の勤務先でカードボックスを撤去したのは2004年。)
そのときはまだその二つが対比されてしかるべきだったんだろう。

コンピューターに支配されてしまう! という恐れ。
紙の本のすばらしさ。

わかる、わかるけど。
もちろん、コンピューター検索には偶然の出会いが無い、というデメリットもあるけど。

でも今、目録カードに戻ろうとは誰も思っていない。
そんな20年後に上演するのだから、筋書きは変えないまでも、
多少のアップデートが必要なのでは?

コンピューターに支配されてしまうという恐れは、
今、確実に現実になっているわけだし。

工夫してほしかった。
終始、感情移入できなかった。


● 8/10 座・高円寺 片づけたい女たち

6月の公演が中止になってしまった3軒茶屋婦人会が、
永井愛の脚本を朗読という形で上演。

脚本がいい。
それを男性がやるものもいい。

夕飯食べながら、楽しく観ました。

アラフィフの女性たち3人。
定食屋さんのおかみで、嫁の扱いに困っていたり、
会社で管理職になりつつあったり。

片付けられない一人の部屋を、
三人で片付けながら夜通しおしゃべりしてるだけなんだけど、
いろんな心情が語られてて、すごく共感できる。

時代設定は90年代半ばみたいだから、
その当時にしては少ないほうだよね、女性管理職。
(こういう芝居を見る人たちの層がよくわかるな。)
当時はアラフィフなんて相当、「年配」扱いだったかなあ。

でも今でも全然通じるんだよ。
ていうか、自分がもうアラフィフなんじゃん、わーお(怖)。


今、様子見で、公演やること自体直前に発表されて、
チケットも直前に発売だから、
応援したくても観られない場合が多い。
だから配信があるのはありがたい。
席数を減らしている分を、配信で料金取って埋めてくれてかまわない。

ただ、今まで演劇を観ていた人たちが、みんなそう行動するかわからないし、
(やっぱり配信はつまらない、と言う友人は多い)
今まで観なかった人を呼び込むことには至らないだろう。
まだまだつらい時期が続きそうだ。


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BLUE RAIN(博品館劇場 7/3 19:00) [観劇メモ]

コロナ後、ミュージカルとしては最初の公演らしい。
再発売で運良く買えたので、ドキドキしながら劇場へ。
じつに4か月半ぶりの観劇!
チケットやオペラグラスを忘れずに鞄に入れて、
時間を気にしながら劇場に行くのも、久々すぎてムズムズする。

席番によって、できれば●分前に来てください、とHPにあったけど、間に合わず。
でも、席数を半分に減らしたせいか、
あの、いつも超混雑のエレベーターも、全く混んでおらず。
チケットは、提示したあと自分でもぎって箱に入れる。
手にアルコールスプレーをぷしゅっとされる。
休憩無し。トイレ使えない。
物販無し(本来パンフだけは売る予定だったが間に合わなかったらしい)。

席は1つずつあけて座るんだけど、お隣との間に、ビニールシートが!
即席でよく作ったなあ。
舞台を観るのには邪魔にならない程度。

舞台にもビニールシートがたくさん。きれいではある。

はじまった!
…あ、あれ? 私、冒頭の台詞聞き逃してる。
何年何月何日って言った…?

なんと、久々すぎて、舞台を観る集中力が戻ってこない!
そうだった、舞台を観るって、
台詞を聞き逃さないように、はじっこにいる人が何してるか、小芝居を見逃さないように、
舞台装置の意味や、照明の変化、
とにかく、全感覚をフルで使って集中しなくちゃいけないんだった!

…幸い、数分で集中力が戻って来た。よかったよかった。

舞台のまわりに椅子があって、出番のない役者さんがコーラスをする形式。
この椅子の前にビニールシート。
そして中央に、可動式の大きなビニールシート。
激しく怒鳴り合うようなシーンや、探り合うようなラブシーンは、
このシート越しに行われる。
下のほうはきれいに絵がかいてある。

拘置所の面会のアクリル壁になったりして、かなり自然。
さすがオギー演出。

とはいえ、ほんとはここでもっと近付くんだろうなあ、
コロナがなかったらこんなのつけないよなあ、
こういう、サスペンスっぽい話だから、「秘匿」の暗喩にもなるけど、
ハッピーで一体感を求めるような話だったら、使えないよなあ、
と考えたりもする。

でも、途中からビニールシートが全く、一切、気にならなくなった。
作品が、役者が、とにかく中身が濃かった。

カラマゾフの兄弟が元ネタで、韓国作品だそうだ。
カラマゾフと言えば、水さん主演のあれ。
だから犯人はわかってるんだけど、ぐいぐいひきこまれる。

「ブルーレイン」とは、親に虐待された子どもに降る雨なんだと思った。

時制が少し行ったり来たりするのもいい。
だんだん過去のことがわかってくるのもいい。

死んだ父親は、家族を虐待していたから、
兄弟はものすごく父親を憎んでいる。
その憎しみをどう扱ったらいいのか。

みんな衣装は青なのに、父親だけが赤。
でも、兄弟たちは、一か所だけ、ポケットチーフとか、
赤いものを身に着けてるの。
つまり、暴力を彼ら自身も受け継いでしまっている。
「あなた、父親にそっくりじゃない」と言われ、愕然。
父親の幻影に悩まされるのは、自分の中にある暴力性におびえているってことなんじゃないか。

歌に乗せて感情がガンガン迫って来る。
これだよこれ、ミュージカルの醍醐味だよ。

フョードルに相当する、暴力の権化のような父親、今井清隆。
一本調子な感じでちょっと苦手なんだけど、
それが、内面をおもんぱかってあげようという気も全く起こさせない、
暴力そのものに見えて、効果的。

ドミトリーに相当するテオ、不良青年だけど、
むちゃくちゃ優しいお兄ちゃんが、吉野圭吾さん。
情があるよねえ、この方。
子どものころのエピソードに泣く。

イワンに相当する頭のいい弟ルークは、東山光明…Daiamond Dogsの人なのね。
はじめて見るけど、押しが強くてすごく良い!! 
真麻里都にちょっと似てる。

スメルジャコフに相当する意味深な青年サイラスは、木内健人
これまたはじめて見るけど、意味深な笑顔といい、
高い声といい、ぴったりな配役なんじゃない? 

アリョーシャに相当するのかな? 天然ぽくて愛情にあふれた家政婦さん、
池田有希子。小柄なのに力強い。。。えっ、モーリー・ロバートソンの妻なんだ、驚き。

グルーシェニカに相当するヘイドンが、水さん。
まじめに生きようとしているのに、うまくいかない葛藤。
湿った憂いがあって、この作品にぴったり。
(ドミトリーやってるしね)

多くの人が死んでしまうけど(このあたりの台詞はコロナをふまえてなのかな?)、
舞台のはじにある水槽の二匹の魚
(舞台装置の一番奥と、水さんのストッキングにも描かれている)のように、
テオとヘイドンのように、幼いときのテオとルークのように、 
誰かがいれば、アダルトチルドレン同士、支え合って生きていけるかな。

私の心も、一緒になって親を憎み、誰かを疑い、
そして、誰かを助けようと思って、100分の物語を生きた。

役者さんが、全力で力を発揮してる。
これがこの人たちの幸せなんだと強く思う。
その、幸せに客席も共鳴する。共鳴して、同じ物語を生きる。

配信はいろいろ観たけど、
やっぱり、同じ時間にやっている、巻き戻せない配信が良かった。
同じ時間に同じ物語を生きる。共時制。

そして、同じ空間で!
それが、劇場に行くってことなんだ。

役者さんたちと、物語を生ききったあとの、爽快感。
なんて幸せなんだろう。
私達はこれを絶対に、守らねば。

今までは大勢の同士と共に降りていた階段を、
(退場も列ごとに少しずつだったので)
たった一人で泣きながら降りた。
嬉し泣きだ。

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コロナと舞台と私に関するメモ [近況]

観るつもりで観れなかった舞台。

・泣くロミオと怒るジュリエット 2月末 シアターコクーン
  途中で中止。映像撮ってないのかなあ。戯曲が出版された。
・お勢、断行 3月上旬 世田谷パブリックシアター
  ゲネプロまでやって中止だったそうだ。もったいなさすぎる。
・宝塚宙組 フライングサパー 4月上旬 赤坂ACTシアター
  延期して上演することが決定。
・宝塚星組 眩耀(げんよう)の谷/Ray 4月下旬 東京宝塚劇場
  延期して上演することが決定。
  宝塚は客演とか無いから、延期しやすいのは不幸中の幸いとは言える。
・チェーザレ GW 明治座
  まるまる無し。やってくれないかなあ。
・OSKの東京公演 GW 新橋演舞場
  同じく…
・イキウメ 外の道 5月末 東京芸術劇場
  1年後に延期だそうだ。やるはずだった期間、劇場でお稽古したそうで、
  簡易なセットっぽいものがある舞台の画像をSNSで観て、胸熱。
・三軒茶屋婦人会 6月中旬
  まるまる無し…
・ビリーエリオット 7月末 赤坂ACTシアター
  延期して上演が決定!

3月下旬ぐらいは、まだまだ大丈夫なんじゃないかって感じで、
日生劇場とか、東京芸術劇場とか上演してたし、
けっこうチケット売ってて、それでチェーザレとかビリーエリオットを買ったんだけど。
4~6月は軒並み中止でしたね。

緊急事態宣言が解除されてからお稽古して間に合うかってところで、
今いろいろ復活しはじめている。

でも、8月末のアンナカレーニナとか、早々に中止にしてたよね、
いつだったかなあ、中止決定は。
今思うと、中止にしなくても良かったのか…??
キャンセル料の期限とかが関係あるんだろうなあ。

ジャージーボーイズはコンサート形式でやることになったり、
いろいろ模索中という感じ。

そうそう、6月1日からの本多劇場の配信を見ました。
しょっぱな、柿喰う客の永島敬三。入江雅人のも良かった。
とにかく、ああ、今、この瞬間、本多劇場の舞台の上に役者さんがいる!
それを見知らぬ多くの人と一緒に見ている! というだけで涙が出た。
同じ時間ってことが大事なんだと気付いた。
前後に、劇場やお稽古の様子の映像が流れて、
いつもはいっぱい貼られているポスターが、一枚も貼られていないところで、泣いた。

つくづく思うんだけど、
劇場のように前向いて座ってるだけの状態は、
役者さんはともかく、観客はほぼ感染リスクないんじゃないかと思う。

一体なんなんだろう、これ。

素晴らしい文化を担っている人たちに対して、
あまりにもリスペクトがない、政府や自治体に、怒りしか感じないんだけど。

平田オリザが、荻上チキのラジオ番組で、
応用科学が発展するためには、基礎科学と先端科学が必要、
五線譜とか楽器とかそもそもなかったら、カラオケの楽曲も存在しない、
って言ってて、ほんとにそうだよなあ、と思う。

お金にならない伝統芸能を、「わからない」という理由で潰すような人を、
知事に選んでしまったことがある、この社会に疑問と怒りしか感じない。

…という話を、SNSなどで、ヅカファンがほとんど全くしていないので、
ああ、やっぱり自分はヅカファンには
全く向いていなかったんだな、と思いました(苦笑)。


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市民よ怒れ [ヅカってなんだ?的記事]

タイトルはもちろん、エリザベートの一節。

新型コロナウィルスの影響で、
2月29日に観るはずだった、シアターコクーンの「泣くロミオ、怒るジュリエット」、
3月7日に観るはずだった、世田谷パブリックシアターの「お勢、断行」が
観られなくなりました。

オリンピック中止か!? との報道があったとたん、
2月27日に政府が、1~2週間、イベントを自粛するように、
小中高も休校するように、と「要請」し、
それにどこか(記憶する限り、サッカー、パフューム、四季でしょうか)が応えたら、
ばたばたっとみんなならったからです。
訴えられたらやばいっていう判断なんでしょう。

宝塚は、3月9日から再開して、
星組のムラの千秋楽(みつるさん退団)は実施できたけど、
結局、また政府から10日ぐらいの自粛の要請が来たので、
12日から休止。

そして今日、雪組の東京千秋楽は実施する、
映画館での中継は無し、かわりにスカステで生中継、
ムラの花組は27日からと発表がありました。

ほかの劇場も、だんだん公演を再開しています。


何もかも、科学的根拠がありません。
検査の数は諸外国に比べて少なすぎ、
実際の感染者数はおそらく、誰も把握できていないと思われます。
休校や自粛の要請も、当初は専門家に相談してもいません。
休校は文科省の役人たちもニュースで聞いて驚いたというほどです。

3月9日の専門家会議の資料には、
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html
密閉された空間で、手が届く範囲に人がいて、会話する、の
3つがそろった状況が良くないという。

じゃあ、劇場内は会話しないのに、なんで休止してたの??
出演者のためか。それならわかる。

でも、じゃあ、展覧会はなんで自粛してたの?

学校はダメで学童はいいのはなんでなの
街中では若者が暇だからってうじゃうじゃ遊んでるよ?

あげくに、3月14日の首相の会見だと、「緊急事態ではない」。
はあああ!??
何もかもが、行き当たりばったり。

そもそも、希望する人が検査を受けれていない状況が
どうして発生していたのか、これからどうする方針なのか、
ダイヤモンドプリンセス号の対処はどう総括するのか、
1月から、ずっと疑問だったことの答えが、
いまだに、まったく示されていないんですけど??



長ければ2年ぐらいかけて準備して、
衣装も大道具も作って、役者さんの予定もあけて、
稽古して、努力して作り上げたものが、こうして根拠なくつぶれる。
「お勢」なんて、ゲネプロ当日に中止決定。一度も上演されない。

舞台関係、経済的に大打撃で、今後どうなるか。心配しかない。

野田秀樹や平田オリザが声をあげて、
松尾貴史やラサール石井、ケラリーノ・サンドロビッチはもちろん、
ノンポリに見えていた役者さん、舞台関係者もけっこう発言したけど、
それにつくコメント類は惨憺たる有様だった。

試算では、チケットの払い戻しだけで57億だという。
https://twitter.com/pichixxx/status/1237577715718303744
それ、トランプに言われて買ってる兵器よりも、全然安いよ??
加計学園にあげたお金よりも、全然安いよ??
(その後、払い戻しは5000億円という試算も出ました)

音楽家や演劇関係者への補償について、共産党の小池晃が言及したけど、
政府が出した結論は、
「フリーランスで休校のため仕事ができなかった人だけに一日4000円」
ってなんですか、それ。
その後の一律で12000円ってのも、その雑でチープな施策はなんですか。
何もかもが、「やってるふり」です。



なぜ宝塚ファンの間では、
休演の是非や、政府の補償について、議論されないのだろう。

ハッシュタグで、ジェンヌさんへの愛を伝えることはあったけど。
https://twitter.com/hashtag/%E6%84%9B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%82%8B%E3%82%88%E5%AE%9D%E5%A1%9A%E6%AD%8C%E5%8A%87%E5%9B%A3

新型インフルのときは、入り出待ちはしなかったけど(たしか)、
お茶会はマスク着用(ジェンヌも)、握手なし、でやった。水さんのに参加した記憶がある。
新型コロナは、潜伏期間が長いとか、重症にならない人が多いという違いがあって、
種類の違う怖さだけど。
(あと、ヅカファンは高齢者が多いという特徴もあるけど)

震災のときは、伝染するってわけじゃないから話違うけど、
余震があること、電気が少ない、しかも「不謹慎」ムード(これも最悪)で、
上演するかどうかの決断だった。
結局、それなりに上演したんだよね。
(そのころの時系列は『宝塚イズム』16号にまとめました。
https://books.google.co.jp/books?id=SIpxDgAAQBAJ&pg=PT105&lpg=PT105&dq=%E5%AE%9D%E5%A1%9A%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%80%80%E9%9C%87%E7%81%BD&source=bl&ots=hYDkMKEnkm&sig=ACfU3U0iQFeqghbGq61VeVJsH0na3LJmpw&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjPosLe_YToAhWJwZQKHQZJCNcQ6AEwAnoECAYQAQ#v=onepage&q=%E5%AE%9D%E5%A1%9A%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%80%80%E9%9C%87%E7%81%BD&f=false
今回のことも誰かどこかにまとめてー)

もちろん、何がなんでも上演すべきだとは言わない。

でも、どうして自粛を要請したのか、正しかったのか、どうして今再開してもいい雰囲気になってるのか。
科学的根拠や検討過程の公開がなされていないことは、どう考えてもおかしい。
(そもそもちゃんと検討してないということなのだろう…)

少なくとも、文化的活動の維持のために国が補償すべきでは?

台湾では50億が準備され、
ドイツでは首相の声明で、文化の大切さに言及したという。
なのに日本は。

なぜみんな怒らないの???
生命や権利や文化を守るために怒ることは、悪いことじゃない。
怒るべきときに怒らなかったら、ないがしろにされ続けて、
私たちの大好きな「文化」が無くなってしまうよ?

(…まあ、ヅカファンがいろいろ声をあげない最大の理由は、
ジェンヌという人質を取られているから、なんだけどね。)



この記事なんか、最低だと思う。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202003110000558.html
御用記者だろうに、なぜこんな書き方を? 何か裏があるのか?
あ、そうか。中止せよって声が多かったってことを、
ほかのファンに伝えたいのか。

しかし、「時期を読み間違えた」って、
感染者が出たならともかく、
自粛の要請に科学的根拠がないんだから、
間違いかどうかなんて、わからない。
単に、「ほかと足並みを揃えなかった」だけでしょう。

日本では、「ほかと合わせない」ことが最大の悪であって、
客観的にどうか、科学的にどうか、なんてことは、
どうでもいいってことだ。

いじめ裁判のときだって、倫理的には、
どう考えてもいじめが悪なのに、
「裁判起こすなんて、上に逆らうのは悪」って声が大きかった。
この記事で言ってることが近いです)

間違っていることに抗議しても、
「和を乱す」とか言われる世界。



つらい状況にけなげでに耐える。
宝塚ワールドで、私はいつも「けなげさ」に感動していた。

もちろん、今も、やるかわからない5月以降の公演のチケットも積極的に買った。

けど、けなげに耐えるだけ、けなげにチケット買って応援するだけでいいんだろうか。
こんなに経済が衰退した国で、
文化も人権も生命すらも大事にしない国で、
科学的な根拠を示すこともできず、行き当たりばったりの施策しかできない国で、
「これからも私たちが支えよう」という「けなげさ」だけで、
エンタメを続けていけるだろうか?






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少女仮面(テアトルBONBON 2/22 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

7年前に観たときは、
途中から、その上ほとんど見えないという状態だったので、
やっと、いろんな意味で、全部を観ることができました。

しかも、はじめて、春日野八千代役を元 ジェンヌがやる!
しかも 月船さらら!
ぴったりじゃん!

いやーほんと良かったです。 
ていうか、元ジェンヌ以外が今までやってたことが、不思議。
まあ、そう思うのは私が元ヅカファンだからであって、
そうでない人からしたら、別に気にならないんたろうけど。

男役芸ができていて、それを客観視して、戯画化しなければいけない。
それができるのは元ジェンヌで、でも今そういう世界から遠い人。

カッコいいんだけど滑稽。
滑稽だけど美しい。

前に観たときは、役者の肉体と心の話だと思った。
役者に勝手に思い入れてその肉体を奪うファンたち。
この残酷さは、男役だからこそきわだつ。
だからこそ元男役がやるのが切ないのよー。

じつは私、2003年の『シニョールドンファン』だったかな、
前のほうの席に座ったとき、隣がさららんファン数人で、
「お手紙にここ座るって書いたから見てくれるかな~」ってきゃっきゃしてて、
そしたらほんとにさららんがいっぱい目線くれたんですよ。
ファンに優しいんだな、と好感度アップしたことを覚えてます。

だからこそ、ファンに肉体を奪われると嘆いたり、
ファンを愛おしく思ったりする、春日野八千代の悲しみが深く感じられちゃう。

で、今回は、これは女性全体の話なんだ、とも気付いた。
自分が年とったからわかるんだろうなあ。
男の視線で奪われ続けた自分の肉体。それが衰えたら、私、何も無い! 
だからこそ、老婆役がいるのね。手に「少女フレンド」を持ってるのが象徴的。

さららんは、前に舞台を観たとき
アングラ世界の男が望む女になっちゃってる面もある? と思ったけど、
この作品はそれらを認識したうえで超えて存在してる。のかも!?

俺、わし、私、あたし、たくさんの一人称。
男役だったり、いかにも大袈裟な女優しゃべりだったり、少女、恋する女、
次々いろんな面を見せる春日野八千代。
さららんは全てを一人の人物画として統べて演じていた。素晴らしい。

ほんと、この話って、腹話術、水道、戦争、満州、
いろんな象徴が全部意味があって連動してて、名作だー。

ボーイ役の人のテンションの高さも良かった。


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El Japón―イスパニアのサムライ/アクアヴィーテ!!(東京宝塚劇場 1/4 15:30) [観劇メモ]

前言撤回。

大野作品良かった。まだ私はヅカファンかもしれない(笑)。

大切な人を失ったまま生きていく人たち。
『花のいそぎ』『睡れる月』、大野たっくんの作品は本当にそういう優しさに満ちている。
和賀城の戦いが前提にあるってことは、
『アテルイ』を生き延びた人、なのか。

みんなに役がある。これ最高。

家来が「自分は混血だから」って言うじゃん(あれ、希峰かなたくん?)
そういうちょっとしたところにまで、愛があるんだよねーー。

奴隷として連れてこられた日本人女性、
こういう働き方もあったんだ。
(女主人になった人もいたらしい)

イスラム教徒を働かせないことにして労働力が足りなかったとか、
知らないことばかりだー。

一人一人に役の人生があって、
歴史の小ネタがいっぱいあって。

自分は、『いだてん』や『この世界の片隅に』がすごく好きで、
一人一人にドラマがあることと、
歴史のコネタがちりばめられていること、
それを調べながら、そうかそうか~って二度三度味わうことが好きなんですが、
大野作品はまさにそれだったんだな。

リカちゃんがやめるとき、
柴田、正塚、荻田、大野作品がある限り、宝塚を観るだろう、
と思ってたけど、
その通りになっているなあ。

スポットライトがあたる人以外の人
(舞台で言えば主役、歴史で言えば市井の人々、宝塚で言えば脇役)
にまで思いが至って、しっかり調べて描いているってことは、
オタクとして小ネタ調べが楽しだけじゃなくて、
一人ひとりの権利を大切にして、尊重し合うっていう、
すごく大事なことにつながっていると思うから。

宝塚は、そういう場所だと思っていたんですよね、私。

違ったけどね。
でもそういう面が全くないわけではないんだろうな。

一方で、主役にばばーんとスポットライトがあたる、
大衆芸能らしさもあって、
その両立が面白いって思っていたんだな、自分。

遠のいてはじめて、わかった気がする。

真風さん、この役、すごく似合ってる。
別にトップになりたくてなったわけじゃないし…っていう「憂い」ね(笑)。

ききちゃん、出番少なさすぎと思ったら、最後めちゃくちゃおいしかった。

ずんちゃん、似た役が続くがまあいい。

雰囲気をがらっと変えてしまうすごい演技で、
でも若い人がいるけど誰かと思ったら、
英真なおき様だった(笑)

りんきら、もんち、このあたりが豪華でうれしい。
もんち最後なのか。
脇役万歳。

大介ショーも、安心感あって楽しかった。
ディスコっぽいのよね。2003年の『タカラヅカ舞夢』の男役祭りぽい。
(ただ、月組のタイのやつで似た場面あったような)
フィナーレのアンチェイントメロディーの昭和っぽさもすごく好み。
真風さんにも合ってる。

しかし、このテイストもそのうち、
我々が「岡田敬二のロマンティックレビュー、退屈だなあ」
って思っちゃうみたいに、
若い世代にはウケなくなるのかなあ。ていうかもはやウケてないのかなあ。

秋音光がタンゴで女役。
前から思ってたけど、ダンスも芝居もうまいよね。
もう少し踊りに毒があってもいいと思う。
…しかし、96期には、いろんな意味で思い入れ(笑)がある。
本名全部覚えてるなんて、96期しかいない(苦笑)。


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