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劇団イキウメ 関数ドミノ(5/29昼 シアターイースト) [観劇メモ(ヅカ以外)]

2005年の初演は見たことがなくて、2008年版はDVDで何度も見ました。
今回の観劇後、2014年版と2017年の寺十吾版のDVDを入手しました。

今回の特徴はまず、
最初と最後に、真壁本人の談として、
「スーパーヒーローがすごいこと(壁をよじのぼったり)をしている」
というナレーションがあること。
すごい力がある人がそんなことしかしないんかい、ってことかなあ。

これ自体、真壁本人のことなのか、真壁がドミノでなくなったあとのことなのか、
解釈がいろいろありうる。

んだけど、形として「わかりやすくしますよー」って枠組みに見えてしまい、
勢いを削いで、説教臭くなってる、気が、する。

あと、安井順平が真壁役であること(2014年版もそうだけど)。
前回の「外の道」もそうだけど、安井順平を主人公にするのは
実力があるから、わかる。わかるけどーーー
ファンとしては(ファンなのか、ファンなのだ)、
安井順平が本当に輝くのは、茶々を入れるところなんだよー、と思う。

2008年版では保険調査員 横道役。
信じているのか信じていないのかスタンスを明らかにせずに、
ちょっとずつ茶々を入れていく、
そのおかげで観客はこの不思議な設定との距離感が取れたわけです。

オカルトに笑いはつきもの(ホラー漫画家はギャグ漫画も画く、みたいな)
「聖地X」の兄にしても、「地下室の手記」の主人公にしても、
イキウメにとって、安井の「茶々」や「笑い」がどんなに重要なことか!!

真壁という役の設定はどんどん年を取っていって、
最初は親に心配されるフリーターだったのが、今や、元官僚。
2014年版からは、看護婦さんの役ができて、
マザーテレサのようなことを言うのも象徴的。
「本当に幸せを願っているのか?」という問いが、
個人的なものから社会全体へ、
「世の中を良くしたいと本当に願っているのか?」に移ってきている。
前川さんの変化だろうし、それは世の中全体の変化とリンクしているのかも?

それはさておき、ちょっとした比較など、つらつらと。

2014年版だと左門森魚役(浜田信也)が奇異な動きをしていたけど、
それは今回は無し。
前川さんのツイッターによると、マチズムやパターナリズムを「笑えるよね?」と
わざと表現していたけど、今回はわざとやるのはやめたと。
それは正解だったと思うけど、そうすると最初と最後のまとめはどうなのか、という…。

土呂役が盛隆二に戻ったのは良かった。
2014年版で土呂役が森下創だったのは、
森魚と年齢が違い過ぎて、友達になる説得力が薄い気が。

新田役が森下創なのはちょっと切迫感が無い気が。
新田役は、ヤンキーっぽいほうが勢いがあっていいと思うなあ。
(森下さんに合う役って…)

陽一(大窪人衛)の役が2014年版だとイキってて面白い。
人衛さんだからめちゃ上手いけど。でも似合ってない、笑。
その彼女の役が今回、総合職で働く女性っていうのはすごくいいね。
陽一が兄である森魚から自立しようとする背景として生きている。

温水洋一が横道役っていうのは、悪くないけど、もったいなさすぎやろ、という気が。

ついでに寺十吾版の感想も。
これは2017年の公演だけど、ベースは2014年版ではなく2008年版。
真壁役の瀬戸康史が華がありすぎ!
柄本時生の森魚役はぴったり。
ふられちゃう田宮役(池岡亮介)がイケメンすぎて驚き。
でも、こんなイケメンなのになぜ…やっぱ森魚はドミノなんだという説得力はある。
彼がふられた腹いせに、泉ちゃん(八幡みゆき)を悪く言うのはとても良い。
泉ちゃんが不思議ちゃんキャラのほうに振れすぎていて、
田宮君がそんなに好きになるだろうか? と思った。
横道役の勝俣さんが全然生きてなかった。

全体的に似たようなハンサムさんが多く(同じ事務所の人たちなのね)、
最初は見分けがつきにくい。
また、特に当初は、会話のテンポに余裕がなく、
ほぼ全員が怒鳴り続けているように見えてしまう。
土呂さん(山田悠介)の口説きの場面あたりから良くなった。

前川さんの演出は、(安井順平の魅力と同様)
茶々を入れるとか笑いとかをすごく意識しているんだろうな。
すごく理知的な「間」。(「わかりやすさ」では無い)
そういうところも、自分がイキウメを好きだと思うところなのかも。


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