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PHOTOGRAPH 51(東京芸術劇場シアターウエスト 4/21 18:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

DNAが二重らせんであることを発見したのは、
ワトソンとクリックという人だということになっていて、
彼らはノーベル賞をとったのだが、
じつは女性研究者ロザリンド・フランクリンの発見だった、、
その女性の話。

このいきさつはいろいろ議論になっているらしく、
芝居の中でも、のちの視点から、
糾弾したり弁解したりするセリフがちょいちょい入るのが面白い。

1950年代のイギリスの大学。
ロザリンドは、女性で、かつユダヤ人。

彼女を受け入れるウィルキンス氏は、
自分の研究の補佐だと思い込んでいた、
そこがまず齟齬。
ていうか、女性は補佐っていう思いこみ。

ロザリンドの研究の仕方って、
ひたすら実証するやり方なの。

X線でひたすら細胞を撮影して(?)、
DNAの形を見るっていう…

随所に、子供の頃、山登りをしたり、落ち葉を見たりした話がはさまる。
自然の美しさに特別な敬意を持っていて、
その視線が、DNAにもそそがれているわけよ。

その感性に共鳴する、若い研究者(彼もユダヤ人)と、
ちょっとラブになる。これが橋本くん。

ほかに、お茶目な院生として、矢崎広。
彼が笑いを提供してくれてほっとする。

かように、若い男性からはリスペクトされているんだけどね。

たいていの男性は彼女をリスペクトしない。

特に、共同研究者のはずのウィルキンスは、
彼女を補佐役と決めつけ、
学内のクラブにも入らせず(もともと女性立ち入り禁止!)、
それでいながら、愛の贈り物をしようとする。
離婚経験を問われると激昂する。

この人、すごく難しいのに共感されない、気の毒な役だ。
男性なら共感する部分があるんだろうか?

ワトソンやクリックももちろん登場。
彼らも、女性を遊び相手か家政婦だとしか見ていない
主人公をまだ見ていない段階では、
女性の研究者なんて、デブか大女でしょ、とか言ってて、
実物見て美人だから驚いたりして。
あー、現代でもあるあるだよ!

ワトソンやクリックは、彼女の撮影したDNAの写真(それが51番)をもとにして、
ノーベル賞をとった。
彼らには、大胆な仮説を立てて挑戦するっていうやり方があった。
成功するのは、そういう人なのかもねー。

でも、その裏に地道な努力がある。
ロザリンドは、地道すぎるし、かたくなだし、
損して当たり前って気もするけど…

成果をかっさらわれても、
彼女がたいして気にせず、研究を続けるのが、泣けた。
X線浴びすぎで癌で早死にしそうなのに。
健気というか、
自然にたいする敬意が研究の動機だから、
賞をとるかどうかは関係ないんだな、多分。

シェイクスピアの「冬物語」が比喩として出てくるんだけど、
イギリス人ならピンと来るのかな、よくわからなかった。
でも、「冬物語」を観劇して、ハーマイオニーが良かったけど、役者の名前を覚えていない、
と言っていて、
ああ、ロザリンドも、名前が歴史に残らなかったこととかけているんだな、と
そこだけはわかった。

衣装の色が、茶色⇒赤⇒青と変わっていくのは
何か意味があるのかな。
どれも素敵だった。

照明がとっても綺麗。

主役の板谷由夏は、男役っぽい見た目。
かたくなな感じも役にぴったり。
初舞台とは思えない上手さでした。


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zwrotopia(赤坂ACTシアター 5/6 14:00)

地球ゴージャス、はじめて見ましたが、
よくもわるくも学芸会ぽい印象。
ざっくり言うと、新感線に似てる。

ストーリーは、
ディストピアで、人間性に気付かされる、
よくある感じのもの。
テーマ自体は全然良い。
でも、深いことは何もないのよね。
元気に歌って踊って、前向きだ、すっきり!

むしろ、メイン二人のコミカルなやりとりと、
客演の方々の個性を楽しむのが主眼らしい。

原田薫がしゃべってるところをはじめてみたけど、すごくいい。
謎のおばちゃんの役。

そいでもって、西川貴教が大スターさんだった。
コマ劇で座長公演やってそう。
小柄で河童みたいな恰好なのに、
出てきただけでスターオーラばりばり。
歌えばもちろんすごい。
この人主役のミュージカルってないの? 

れおんがすっかり綺麗なお姉さんになってた。
高い声は出しにくそうだったなあ。
もっと自然児っぽい役が来るといいのだが。


…というわけで、
自分の好きなタイプの出し物ではなかったーごめんー
でもこういう出し物、いっぱいあるよね。
すごい人気あるし。うーん。

と家で言っていたら、
「それって宝塚じゃん」と言われた。

そうか、そうだよなあ。
コミカルな場面もあり、最後ヒューマン。
親しみのある出演者のやりとりを楽しみ、
スターさんにうっとりする。

うん、宝塚だね(笑)

宝塚にははまったけど、これらにははまらないのはなんでかなあ。

まず違うのは音楽かなあ。
宝塚をはじめてみたとき、素直に好きだと思ったのは音楽だったから。
(それ以外は、ぎょっとするばかりだった)

そして何より、
宝塚は少女趣味なところかな。
あとは、若い女性という均質さ、一見心地よく閉鎖的なシステム。

同じようなジャンルでも、
システムとテイストで、だいぶ違うな。

なんで観に行ったかというと
咲良さんがアンサンブルで出てたから。
こんな大きな商業演劇の舞台に立って、頑張ってるんだなあ、と。
動きにくい衣装でもキレキレで踊ってました。


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Romale(東京芸術劇場 3/23 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

謝珠栄が、お花様主演でカルメンをやる。
ていうことで、
柴田先生の『激情』との比較になっちゃうわけだけど。

カルメンの真実を探しに来た学者と、
昔話を教えてあげる老人、
という外の枠があって、
それがややテンポを悪くしている。

でも必要なんだよね、それが。
なぜなら、老人がドンホセだから。

この老人=団時郎さんが実質の主役というわけ。
最後の亡くなる場面、良かったわ~。

若いときのドンホセももちろん主役で、
彼がどんどんおちて行く様子が、物語らしい部分。
松下優也や、歌謡曲ぽい歌い方でどうかと思ったが、
本当に純粋で、でもバカで、というのにピッタリだった。

なんつーか、
宝塚では当然やれないことが描かれているのがよい
それは差別。
カルメンは、女性として差別されているし、
ロマとしても差別されている。
二重に差別されているんだな、ということを冒頭から感じた。

つまり、
男たちにチヤホヤされつつも、
あっというまに使い捨てられることも暗示されている。
モテる女性ってそういうのがあるじゃないですか。

真実のカルメンは、一途な女だったはずだ、
ということを最初っから前提にしている学者さんは、やや不思議。
なんの根拠があって?

カルメンが一途っていうよりも、
男たちがバカなだけって気がする。
社会がね。
だって、あの時代の女性が、差別される人種で、
ある程度自力で稼ごうと思ったら、
ああするしかないでしょう。
それを、不実だとか勝手に責めて、お前らバカなのかと。

ドンホセが若いうちは全くそのことに気付いていないのが、
本当に、あーあーダメだ、こりゃ、という感じで、
このすれ違いを感じられたのは収穫だった。
(もっと強調してほしかった)

老人ドンホセが最後にそのことに気付いてくれたのだと思いたい。

お花様のカルメンは、
エリザベートみたいに年とっていく話ならいいけど、
さすがに20代はきついかなという気もしてきた。
おばあちゃんみが出てきたというか。
相変わらずスタイルいいし、顔も老けてないんだけど、
なんだろうなあ、発声かなあ。
でもスターオーラは変わりませんよ。

TSの強みなんだろうけど、
アンサンブルの身体能力はもちろんのこと、
難しそうな和音のコーラスを簡単そうにやってて、さすが。

岡田真澄ポジションのハーフ系おじさんがいるな、
と思ったら、伊礼彼方だった。
いい感じでおじさんになってきたね。


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A Class Act(東京芸術劇場シアターウエスト 3/23 14:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

昔からちょっといいと思っている石井一彰主演ということで
観に行きました。

コーラスラインの作詞家の生涯…
って誰それ?

40代で癌で亡くなったそうだ。
才能あるんだけど、世渡り下手で損してしまうタイプ。

あの甘い歌声に、あの顔に、
なんと、メガネなのよーーー!!
しかも、ややダサ服、
そしてそして、完璧主義すぎて変な人、
やばい、やばい、好みすぎる。
現実にいたら100%好きになる。

ずっと体調不良だったんだけど、
全身の細胞が活性化するのを感じた。
私、生きて、この人とつきあいたいわ!!
舞台写真がほしい。どうすれば入手できるの??

ワークショップで知り合った友達たちが彼を紹介するスタイル。
テンポよく進むので、なかなかよくできている。飽きない。
テンポよすぎて逆に、もう少しタメがほしいと思うところもあるぐらい。

音楽はすべて本人の作。
しかも、それぞれのナンバーが、
死ぬときに友達たちに贈った曲だってことが明らかになるのが泣ける。

作詞と作曲の作業の仕方がけっこう面白い。
コーラスラインを知っていると、
ああ、あのメロディーがね、というふうになる。

彼が、ずっとあたためてきた作品が、
「ギャラリー」というタイトルで、
美術館にかざられた名画をモチーフにしているんだけど、
最後の最後、その作品の最後のナンバーを病床で書けたっていうのが、
すごくいい。

自画像だけがたくさんある展示室で、
ああ、勝ち組になるために書くんじゃなくて、ただ書きたいから書くんだ、って
気付けたんだって。

秋夢乃さん、気付かなかった。
美しいなとは思ったが、声の印象が違う。
彼を支える最後の彼女の役の人と、
コーラスラインの振付家の役の人が特にうまかった。

たった4日の上演とはもったいない。
再演してほしい。


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ポーの一族(東京宝塚劇場 2/20 18:30) [観劇メモ]

すごく昔の話ですんません。
具合悪かったり年度末で忙しかったりで、今更ですが、アップします。

---

ホテルの階段を四人が下りてくるところ、
漫画から出てきたみたいに見えた!
そんなことってあるんだ、
ベルばら初演で、漫画から出てきたみたいだと思ったって逸話、
ほんとかよって思ってたけど、ほんとだった(笑)

みりたん、当たり役だ!
歴史に残る!

とにかく、登場人物が二次元を三次元にしてることがすごい。

ただ、ポーの一族が大劇場ミュージカル、
しかも群舞とか、ちょっと笑える。
ポーの民はあんな豪華な衣装着てないっしょ。
文芸作品が俗っぽくなっちゃった感じ。
宝塚あるあるだよなあ。
もっと小さい劇場で、うすぐらーくやってほしい。

でも、生身ゆえに、よりいとおしく、より切なく感じる。
エドガーを抱き締めてあげたい。
実在しないと言われるつらさは、
常に異邦人を描き続けた萩尾作品の真髄。
親に愛されなかったモー様の辛さがひしひしと、
漫画を通してよりもっと生々しく伝わってくる。

エドガーは、原作より少しわがままに感じる。
でも、メリーベルにはと~っても優しいのね。
その差も、生身ゆえに強調されて感じるのかも。

エドガーの年齢は少し上に設定したみたい。
シーラの扱いが大きくなって、エドガーが好きっていう設定も強調。トップだからね。
メリーベルも問題なく美少女。
事前に心配だった点は全部クリア。

一巻をやるのが最適だろう、でも配役は?
と思っていたけど、やはり一巻を中心にして、
後世、ただし70年代の最終話ではなく、
50年代の探してる人たちに、語らせる手法をとった。
三巻の出だしだけを最後に使って、余韻を持たせる。
上手い! さすが小池だ。

降霊術の人たちは、オリジナルの役だけど、実在らしい。
ちょっと面白い仕掛け。

マイティの役、何かと思ったら、
クリフォード先生の友人なのね。
その子孫てのはオリジナルだよね?

原作のちょっとした材料をふくらませているってわけだ。
いいねいいね。

しかし、オズワルドとユーシスが一瞬てのはさみしいなあ。
エドガーの出自の話なのになあ。

消える仕掛けが難しかったね。
老ハンナではやれたけど、大半、ピストルで撃たれる設定に変更。
ポーツネル男爵が馬車にひかれる場面好きなんだけどなあ。

あと、アランのロケットを原作と違って捨ててなかった。

男爵は、威厳より暴力的に感じた。
クリフォード先生はより遊び人に感じた。

柚カレーのアランも、そのものだよね、
ほんと奇跡だ。
ただ、アランのほうがガタイいい。仕方ない。

そうだ、タソがリアル階段落ちしてた



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