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最近観たお芝居のメモ [観劇メモ(ヅカ以外)]

宝塚全然観てませんね(苦笑)。


●劇団イキウメ『外の道』シアタートラム 6/6 13:00

昨年コロナで延期になった公演。
楽しみにしすぎていたせいか、ちょっと??な気が。

「無」が広がっていくことを、主人公二人だけが認識していて、
ほかの人は認識していない、という、
むちゃくちゃ怖い、イキウメ史上もっとも怖い話。

それってコロナでおかしくなっている(おかしいことに気付きはじめた)
今の世の中の象徴のようでもあるんだけど。

イキウメを見て面白いと思っていたのは、
そういうSFやオカルトっぽい事象が、
全員に共有されている前提があってこそ、だったのだなあ、と。
主人公たちだけ、というのは、求心力が無く感じた。

前川さんは良くも悪くも別のフェーズに移行したのだろうか。


あ、2月の公演のDVDを買えたので、『金輪町コレクション』の「丙」も見れました。
「高速ジジババ」面白かったー! 
これは芝居だと速度を表現しにくいから、落語がぴったりですね。
エンデの『モモ』と似た「時間」を効率化する話だけど、
老夫婦が幸せそうなのが、意外。


●『森フォレ』世田谷パブリックシアター 7/11 13:00

『炎アンサンディ』がすごかったので、同じ作者の作品、
難解そうだけどチケット取りました。
『炎アンサンディ』が1世代分の話だけに強烈だったのと比較すると、
6世代さかのぼる話なので、むしろ複雑で壮大でそこに迷い込む楽しさがありました。

人物相関図が置いてあって、1回しか観ないのでネタバレ上等で幕間に予習。
でも、相関図を見て想像したことの斜め上をいく展開!

男性的な支配、暴力、に虐げられ、産む性として必死に生きていく女性たちの物語。
最後に救いとなるのは、それらを融合するような存在。
冒頭が1989年のモントリオール工科大学の女性だけ殺された事件なのが象徴的。
個人的な家族の話でありつつ、背景としては社会の出来事とリンクしている。

産むことが強調されすぎるのは、フェミ的に気になるけど、
神話的でもあるので(ギリシャ神話やシェイクスピアを想起させる要素が多い)、
そこはまあいいかな、とも。

ほとんどファンタジーな部分もあるんだけど、
緻密な構成と詩のようなセリフで、リアリティを感じる。不思議。
3時間50分の上演時間、まったく退屈でなかった。

家に帰ってからも相関図を見ながら、いろんな要素をメモしていって…
もう1回観て確認したいぐらい。映像ないのかなあ。



●劇団チョコレートケーキ『一九一一』シアタートラム 7/18 14:00

(見事に三軒茶屋ばかり!)

念願の初 劇チョコです!

大逆事件を、裁く側から描いた作品。
幸徳秋水とか一切出てこず、被告人としては菅野スガ子だけ、
あとは全部、裁く側の男性がわんさか。

主人公は、予審判事といって、最初の裁判を行う判事。
じゃあ今の地裁? かというと全然違って、非公開で、取り調べのようなもので、
この結果が「証拠」扱いになるという、ひどい仕組み。

劇チョコは『記憶の記録』『熱狂』『帰還不能点』『国境の向こう』を映像で見てきただけだけど、
末端の公務員に何か思い入れでもあるんですかね?(笑)
私もそうなので、むちゃくちゃ感情移入しやすいです(笑)。

中間管理職的なポジションとか、
上からの命令に逆らえなくてひどいことしちゃうとか、
そういう題材が多い気がします。
社会で誰しも少なからず何かに加担してしまっている、
ということに、自覚的であろうということなんだと思います。

クライマックスがけっこう後のほうにあるのも特徴な気がします。
今回は、「官にいる君だからこそできることがあるんじゃないか」と弁護士に言われ、
ミラクルな案を思いついた! みんなをいいくるめられるぞ!
と思ったら、その手はすでに上に取られてたー、ってところかな。
ううう、つらい。

上の言うことをきくしかない、その上もさらに上の言うことをきくしかない、
これが、延々と続く、
っていう構造を表現するために、あれだけの男性の人数が必要なんだろうなあ。

舞台に壁として登場する机といすを積んだ状態のものは、
そういう構造を表しているのかな。

菅野スガ子の堀奈津美さん、色白で鼻がすっと高くて、
肝の据わった女性をすがすがしく演じていて、
この人がポスターにどどーんと使われていることに納得。
この人の存在が、救いなんだよね。

判決と処刑の場面は、演出もかっこよかった。

千秋楽ということで、最後に、劇団員三人がそれぞれ、
登場人物のスピンオフをちょっとずつ演じる、という美味しいおまけがありました。
「上」の象徴みたいだった平沼騏一郎(浅井さん)は、
第二次大戦後にA級戦犯になった場面。
そうだそうだ、そういえばそうだった、と身振るい。
主人公(西尾さん)は、一転してコミカルに、判事を辞めたあとの妻の怒りと職探し。
(「国際的運動会の警備員の募集があるよ!」ってセリフで客席爆笑)
重い内容のあとで、ちょっとほっとする。
「上」の一味の末広判事(岡本さん)は、はじめて中間管理職っぽい迷いを吐露。
これらがみんな役者さんのセルフプロデュースというからすごい!

次も楽しみだ~。

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