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f f f-フォルティッシッシモ-/シルクロード~盗賊と宝石~(東京宝塚劇場 4/6 18:30) [観劇メモ]

今日が千秋楽ですね。
だいきほの雪組、人気すぎてほとんど観られなかったけど、
イープラスの貸切があたったので、退団公演、観れました。


上田久美子作の、史実とはちょっと違うベートーベンのお話。
第九がどうやってできたか、謎の女は何の象徴か
ってので引っ張る構造なので、飽きずに観ました。

謎の女は、情熱とか才能かと思ったらそうではなくて、
なんと、不幸という「運命」。
それを、愛したとき「歓喜」(=第九)が訪れる、
というのは、とても好みなストーリー。

外形的には、
フランス革命後、自由主義者が魂の自由を音楽で実現する、
みたいな話です。
(宝塚的にはベルばらとエリザベートをつないでいる)

つまり、貴族のためでもなく、民衆が楽になれるものでもない、音楽とは? 
ということも問うているわけ。
それが芸術ですよってことなんだろうけど。
でも、宝塚のスタンスって思いっきり、民衆が楽になるものだよね…。
そこの自省がないから、ちょっと白々しくは感じる。

二番手がナポレオンで、三番手がゲーテ。
ベートーベンが影響を受けた二人。
実際にベートーベンがすごく密に関係したわけじゃない二人が、
大きく扱われているので、ちょっと精神世界の場面が多い。

なんたって、死にそうになって見てる幻とはいえ、
ナポレオンとロシアの雪原で「隊列と音符って似てるよね」って盛り上がるんだよ。
すごいシュール。笑

ナポレオンってEUみたいなこと考えてたの?
それを武力で実現しようとしていたっていうのは、
同じく上田久美子作品の、『フライングサパー』の独裁者と似てる。
『フライングサパー』の最後で、面倒だけど民主主義しかないよね、
と言ってた部分は、今回ゲーテが説明していて、
その面倒をいきなり一人で引き起こしてるのがベートーヴェンと。

EUとか、ゲーテがナポレオンに
「遠くの情報が瞬時に手に入ればあなたは勝てるけど、
今そうじゃないから、あなたが率いてない舞台は負けてるでしょ」
って言うとか(これも幻なのかしら?)
現代の情報通信技術の発展や、グローバル化の問題、
イギリスのEU離脱までを踏まえてなのかなあ。
それにしては、この話は結論が出ていなくて消化不良。

歴史上の人物が上手いこと出てきて、
生徒さんそれぞれ見せ場あるのはとてもいいね。

天上界はファンシーで少女歌劇っぽすぎるかなあ。
あとラストは蛇足だと思うが、退団公演だからアリ、
というか必須なんだよね。

主人公は、絶望したー、いや、でも生きたいー
ってむちゃくちゃ起伏の激しい人なんだけど、
それを、あ、今生きる気力が湧いてきたのね、
と納得できるのは、だいもんの歌唱力あってこそ。
頑固で変人だけど、じつは真面目で憎めないキャラ、
『オーシャンズ11』を思い出すなあ。

彩凪翔(予測変換したよ!)さん、すごく良かった。
今まで、力んだ感じがしていたけど、
ゲーテのセリフがむちゃくちゃ説得力あった。
最後の最後でいいもの見せてもらいました。

にわにわのひどいお父さん、
朝月希和の声(96期なので引いて見ていたが声はいい)
愛すみれさんのやさしさ、
笙乃茅桜ちゃんのキレのいい踊り(退団なんだね)…

ところで、最後に紹介されるナポレオンの、
セントヘレナ島で農夫からすきを借りて畝を作った、ってエピソード、
実在? どういう意味なんだろう。
地道に「耕す」ことの尊さ???


ショーは生田くんの初ショー。
シルクロードと言いつつ、チャイナ場面が、一番素敵だったな 笑。
バンドネオン! ふみか様の杜月笙が見えるーー。きゃー。
この場面、音楽もかっこ良かったな。

中詰めの衣装は南米っぽい気も。

アーサーのハレムの王様、素敵だった~。
煌羽レオのスーツ、超絶かっこいいな(この人も退団かあ)。

ブラックフェイスが問題視されるようになり、
数年前の月組のタイを舞台にしたやつも相当やばくて、
宝塚はこれからこの手の題材をどうするんだろう、と思っていたところで、
盗賊とか、王様とか…
歴史的な題材と言えばそうだけど…
3%ぐらい、気になった。
「奪う」ということを何度も繰り返していたのも、わざとなんだろうか。

最後のほうでちょっと現代的な戦いの場面があったのが印象的だった。
今までだったら、かっこいい戦い、英雄が登場する場面、
として描いていたと思うんだけど、
そうではないように見えた。
911以降のことを踏まえているのかな。

こういう場面のあと、今までなら、全員真っ白になって、
平和が訪れましたー、もしくは天国で幸せですー、みたいになるけど、
それは次期トップコンビだけがやって、
ほかの戦士は戦士の恰好のままだったのも、意味があるのかなと思った。

大階段でだいもんが取るポーズ、リカちゃんがやってたやつじゃん~
と思ってたら、そうか、だいもんの初舞台か!
初舞台観た生徒さんが卒業するってのは、感慨深いですねえ。

トップ娘役が芝居でもショーでも「象徴」の役だったのは興味深い。
これって、『宝塚ロマンチカ』の檀れいやん。
持ち味全然違うので、ちょっとショーでは物足りなかったけど、
芝居のほうでは、勝気ですねたりして、
ハキハキと不幸を名乗って、持ち味にとてもあってたな。


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