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翼ある人々(日本青年館 2/27 18:30)

上田くーみんはやっぱりいいね。ちょっとしたセリフが、自然かつ胸にしみる。だから特殊な三角関係もリアリティーがある。あの三人て、もっとベタな三角関係かと思ってました。向田邦子ドラマみたいな、相手のカップルの関係性込みで好きとか、弟子として大事だけどちょっと嫉妬とか、気になるけど子供扱いしとくとか、きめ細やかな心理が伝わってきました。

そもそも、若者の成長物語という枠組みが手堅いし、師が死の間際に答えを提示するのも手堅い。枠がしっかりしてる中に、ちゃんと人間が描かれてるから、安心して見られる。ていうか、そんなの当たり前のことなんだけど、最近の宝塚はそれすらできてないことが多いから。

あてがきも良かった。今までなんで、まーくんにこういう役をやらせなかったんだ? すねたり、悩んだりりする、才能ある若者。か〜わいい〜。

うららちゃんの、美しく品のあること。大人っぽい娘役、万歳! 台詞の声がとても素敵で、最後だけ強い声になるのも効果的。

キタロウくんの愛あふれる演技。お茶会の楽しさはまさに、キタロウくんの翼の下で憩っていたんだなあ。と思うと、感謝の気持ちでさらに涙が。病気になってからの演技も上手かったし、歌が上手になってた(笑) ベルワトリングの成果!?

この三人、ヤンとユリアンとキルヒアイスなのね〜。また見たい組み合わせです。

あっきーがプチゆうひさん! かっこいい! でも老けてからが下手(笑) リストの愛月さんも変声があのキャラにあってた。ワーグナーは春瀬さん? 涼風さんとかしちゃんを足して2で割ったよう? そして凜きら! 迫力あったなあ〜、あともう一皮剥けてブレイクしてほしいなあ。

衣装、特にクララの服の色合いがシックでいい。装置も低予算ながら、品があった。1幕最後のカーニバルはオギーを思わせるまがまがしさで、ゾクゾクした。

唯一ケチつけるなら、幕前芝居が多いことかな。あと、ブラームスの悩み場面がやや唐突な気も。ベートーベン?でつないだ感じ。

ベートーベン?といえば、投身自殺をはかったシューマンをベートーベン?が吊り上げてたけど、シューマンが運ばれるときどんな表情してたんだろう、見そびれてしまった。最後、ブラームスが旅立つときは客席で見送ってるのね。こういう仕掛けも、大野作品ぽくて、食いつくポイントですわ。

(追記)
この作品で描かれる人物たちは、当然、実在の彼らたちとは違っていますよね。
あんなに高潔ではないでしょう。音楽家はもっといかれてる人たちだろ うし。
特に、夫が(自分と結婚する前とはいえ)、梅毒で頭おかしくなってるなんて聞
いたら、クララは半狂乱でしょう。自分に感染しているかもしれ ないって不安
になるだろうし。

だけど、宝塚らしく清らかに脚色されていても、リアリティをもって描けてい
る。それがすごいと思います。宝塚らしくないことを描けば、簡単にリア ルっ
ぽくなるかもしれないけど、そうしなくてもリアリティがあるって、ものすごく
脚本のレベルが高いってことですよね。

あと、歌劇を久々に立ち読みして、くーみんがブラームスのことを「何かを過去
においてきてしまった人。明るいあきらめを描きたい」というようなこ とを
言っていたのを読んで、それがずっと胸に響いています。

私はやっと、40過ぎたぐらいで、人生、やり直せないことってあるんだなあ、思
うようにいかないことってあるよなあ、と感じるようになりました。 『若き日
の唄は忘れじ』の「思い残すことばかりです!」に泣いたりね。でも、くーみん
は私よりずっと若いはず。それなのに、「明るいあきらめ」を こんなふうに描
くことができるなんて。ラストの、うろ覚えですが、「孤独に飛び立った空は、
広く、さみしく、悲しく、美しかった」というセリフ。 なんでこんな言葉が書
けるのかなあ。

…みなさんが、場面について、セリフについて、人物について、あれこれ話題に
してるのもよくわかります。いい作品は、細部を語りたくなるもので す。あ
あ、DVDが待ち遠しいです。
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世迷言(本多劇場 1/31 19:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

噂に名高い劇団柿喰う客の公演をやっと観れました。いやー、すごかった。

台詞は七五調、物語はかぐや姫や昔話の新解釈、猿や鬼が人間と交わったりするファンタジー、だけど衣装は宝塚の現代ものみたいなサテンの派手色スーツ。湖月わたるみたいな女優さんが紫の短パンで帝の役、でもちゃんと帝に見える、篠井さんはピンクのチェスターコートで「鬼」、でありながらもとは奥方さま、見える見える、なんという架空度の高さ。徹底したフィクション。

音楽は中目黒のカフェでかかってそうな音楽、装置はごくごく単純、でも役者さんはもっすごい通る声でがんがんに台詞をぶっとばして、猿になったり股から血が出たりの擬態で動く動く、運動量半端ない。

そんなわけのわからない世界が、勢いよく進んでいって、話には飽きないし、情みたいなものに涙し、くだらないギャグにちょっと笑って、あっというまの1時間半でした。

サウンドシアターは能の人が音楽監督だけど、そうした伝統的な「語り」の形式が、ここでもリスペクトされてるのかなと思ったり。「語り」がまずあって、リアルな台詞劇とは真逆なんだけど、でも語りには語りの説得力があって、リアルではないところから真実に迫ることができる。。。てきとーなこと言ってます、てへ。

立ち見も出てました。主宰で脚本演出の中屋敷さんはまだ30歳ですってよ。すえおそろしいです。
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BASE METAL (AiiA シアター 2/2 13:00)

リカちゃんがまたまた参加のサウンドシアター、今回はフランス革命前夜、ヴェルサイユ宮殿にばっこする錬金術師=詐欺師たちの物語。

錬金術は科学であり、詐欺であり。嘘は思いやりで最後まで突き通せば本当になるし、催眠術でも本当だと思えば本当だよね。鉄くずを金にできたり、その逆もできたり。チェス盤をひっくり返せばルールはすべて変わるでしょ、そうしたら貴族と平民の価値はひっくり返る。だとしたら、「市民」こそが錬金術の要!?

ものの価値に意味がないこと、嘘と本当の境目に意味がないこと、がテーマでした。

すごく盛りだくさんで、いろいろ入り込む入り口がいっぱいあって、胸いっぱい。だし、ちょっと消化不良でもある。パンフによると、今回はストーリーではなく登場人物を優先して作ったと。なるほどー。

サンジェルマン伯爵と、カリオストロ伯爵と、カサノヴァって同時代人なんですね〜。そいでもって、カサノヴァが首飾り事件のジャンヌ・ヴァロアと同一人物なんて設定、それがリカちゃんなんだからも〜。男装の麗人って設定なんでね。二度おいしい〜。

サンジェルマン伯爵に花組芝居の加納さん。マダムのようでもあり、老紳士のようでもあり、圧倒的な存在感。女形と男役が師弟関係っていう設定でけっこうからみがあるんですが、全然違和感なかったです。架空度が高いのが朗読劇のいいところですよねえ。

かリオストロ伯爵の諏訪部順一さんて、すげーいい声。カテコからも愛すべきお人柄がしのばれて、どうやら客席に若い女性が多いのは、この方のファンなのかしら? 唯一ふつーの人を演じた沢城みゆきさん、ふつーのおぼっちゃんとして、我々観客の目線で話を進めてくれるんだけど、一方で、ほかの役としてアントワネットと、ジョセフ皇太子もやってて、演じ分けに感服しました。しかも、ふつーのおぼっちゃんも皇太子も、泣かせどころはこの人だったなあ。いや、このシリーズに登場される声優さんにはいつも驚いちゃうんだけど。

今回、錬金術ってことでスモークがたくさんたかれて、効果的ではあるんだけど、それを払うためなのか風が寒かったのがちょっと残念。

うーん、また観たいなあ。何度か観て消化しないと気持ち悪い(笑)。けどたったの4回しかやらないという。いつも思うけど、ほんともったいない。ラジオ局で中継したらええんちゃう?
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