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お気に召すまま(シアタートラム 9/8 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

シェイクスピア劇を、翻案ではなく、
そのまま翻訳して上演して、
それで面白いなんてことがあろうか。
いや、あった。
あったのだ。

河合祥一朗という人の新訳を上演する、
やや学術的なプロジェクト?

なんと、オーランドー役で玉置玲央が出るという。
しかも、ア・ラ・カルトでギャルソン役をしていた釆澤靖起も出るとな!?
(感想書いてないですが、このシリーズを、横浜のモーションブルーでも観まして、
そのときにギャルソンやってた釆澤が、
単純に好みの顔だったので、気になっていたの~)
それにロザリンド役が太田緑ロランスなら間違いはなかろう、と。

近くの席に、河合先生のお弟子さんたちなのか、
洋行帰りの若者たちがおったのですが、
ロンドンのナショナルシアターで観たのよりも面白かったとか、
やっぱりギャグは日本語で笑いたいとか言っていて、
そうそう、そうだよね、と、
ロンドンにも行ったことなければ、
英語のギャグも理解できない私でもそう思いました。

だって、韻を踏んだりしてるのが、わかる! そのうえ笑える!
すげえ。

そうかあ、400年前のイギリスの人は、こういう感じで笑ってたんだねえ。

わりとドタバタとしていて、
恋に落ちる場面は(それこそ宝塚と同じで)、ただ一目ぼれするだけだったり、
説得力を持たせる設定とかは、基本皆無。
でも楽しい。
どこかコントのようでもある。
芝居って、なんなんだろうなあ…と、うっすら、楽しい疑問が湧いてくる。
これを突き詰めたらすごいことがわかりそう。

玉置は冒頭で長い長い文語調の台詞を一気に言うんだけど、
様式美の中で、ほとばしるような狂気を見せる、
素敵だわああ、うっとり。
柿喰う客も台詞はすごくクラシックだもんね。
あと、レスリングの場面とか、恋文を貼って回る場面とかで、
例のすごい身体能力を見せると、客席が「おおおお」と言うんだけど、
この人にとってこんなのお茶の子さいさいですから、となぜか誇らしい私。
玉置とシェイクスピアって、想像したことなかったけど、
すげえ合ってるじゃん! いいよいいよ!
後半、オーランドーは振り回されることが多くて
見せ場少ないのは残念だが仕方ない。

釆澤は、単に顔が好みとだけ思ってたけど、
むちゃくちゃ上手かった……
道化役(もちろん一番難しい役だ)と、
ジェイクイーズという憂鬱で格言ぽいことを言う貴族の二役。
道化の恰好をして、背中を向けてジェイクイーズの台詞もする
(ジェイクイーズの恰好をした人は帽子を目深にかぶって、口だけ動かす)
という芸当も。
この二人が似た役割で裏表である、という解釈なんだろう。
もっと活躍してほしいわ~。
インテリ青年ぽいブログも面白いです。

https://twitter.com/reo_tamaoki/status/1037357414201212930
全然別のところでいいと思ってた俳優さん同士が、
稽古後にご飯食べてたりするのは、
なんだ、あれか? 
違う組のジェンヌ同士の仲良しぶりを知ってワクワクするみたいな?
(ヅカファンにはいまいち通じないだろうし、
ヅカファンでない人にはもっと通じない比喩)

太田緑ロランスさんのテンションの高さが成功のキモだったな。
あと、『海の夫人』でロランスさんの妹役だった山崎薫が、従妹のシーリア役。
こまっしゃくれていてかわいい。

みなさんすごく上手だった。

それにしても、
兄弟でいがみあって追放する、ってのがよくあることだったのねー。
あと、
男同士の友情、女同士の友情がすごく強調されてた。

ああ、そうか…
本当はロザリンド役は少年がやるのか。
だから、同性同士の「愛情」を強調してるのか。
そっち方面のニュアンスで。

そういう意味では、当時と同じ上演は無理なのかー。
ロザリンドを元男役がやったら、
ますます、当時の趣旨からは遠ざかっちゃうよなあ。



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ジャージーボーイズ(シアタークリエ 9/7 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

初演から2年。
前回の感想はこちら

今回もなぜか初日を観劇。
今回はホワイトチームでした。

やっぱりよくできたミュージカルだなあ。

特に、最後がいい。
いろんな視点があって、ごたごたがずっと続いて、
最後の最後に…。

前回は、こういう内紛て、どんな人にでも起こり得るよね、
と普遍性を強く感じたけど、
今回はなぜか、「自分にはわからないな」という
彼ら特有の切なさを強く感じた。

田舎で、人と人とのつながりが大事で、、、
いくら恩義があるからって、今嫌いな人の借金背負わなくてもいいじゃん。
でも、そうしたいんだよね、彼らは。
そうした考え方の一環で、
あいつより俺のメンツを立てろ、ってプライド合戦があるから、喧嘩の元にもなる。
うーん、面倒で、わけわからなくて、切ない。

フランキーとボブが最後まで喧嘩せずにいられたのは、
二人が突出した才能があったからというのもあるけど、
前述のような意味での人種が違うから喧嘩しようがない、
というのもあったのかも?

冒頭、少しちゃっちゃか進みすぎだった気がした。
演出変わった? お兄さんが抜けるくだりとか、わかりにくかったような…。

トニーは中河内雅貴。
藤岡正明は粗野な悪い奴だったけど、
こっちはもっと都会っぽい悪い奴。ずる賢そう。
身体の動きがキレっキレで、ガン見してしまった。
売店で写真集売ってたけど、なんなの? 
写真なんかじゃなくてダンスのDVD売ればいいのに。
まりもちゃんとのダンス満載だったら買うよ(笑)。

ボブは海宝直人。
天然のお坊ちゃまっぽいねー。
矢崎広は野心があってやってるように感じたけど、
こっちは著作権がどうのとか、するするっと当然のようにしゃべってる感じ。

ニックは福井晶一。
ほのぼのしたキャラで、
でも、神経質なことを話し出すときに、急にキレて怖い。
吉原光夫は、普段は寡黙で怖い人っぽいのに、
急に神経質なことを話し出して、意外で笑ってしまったから、ちょうど逆だ。

初演のときも、6割ぐらいの人が、カーテンコールでノリノリで
振りつきで踊ってたけど(あれはプレビューで練習したのかな?)、
今回は初日から、ほぼ全員がノリノリだった。
これだけ人気なら、もっとデカい箱でやればいいのになあ。
地方公演もあるにはあるけど。
もっといろんな人に観てほしい。


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シスター(博品館劇場 9/2 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

完全ネタバレ。

すずかつさんのオリジナル朗読劇でもう何度も上演されているそうです。
友人が応援している篠井さんと橋本くんが、ペアで出るというので、
これは見なくちゃ、と。

弟が主人公で、姉(篠井さん)と会話するんだけど、
姉は、弟が生まれる前に3歳で死んで、幽霊として成長しながら、
弟を見守っているという、不思議設定がだんだん明らかになる。

朗読だからこそ、できることだよね~。

ぽんぽんとかわされる会話が軽妙で楽しい。

これ、姉は本当はいなくて、生命力がなくて常に「死」を身近に感じている弟が
造り出した幻影(つまり、トートのような)っていう解釈もありうるよね。

最初から、死とは何か、死んだあとでも恐怖はあるのか、
ひいては、生きるとはどういうことか、に関連した会話をしているのが興味深い。

じつは弟は自殺未遂で生死の境にいて、
姉がそれを現実世界に戻してあげる(多分そこでもう姉とは会えなくなってしまう)
という終わり方。
ちょっとそこのバラし方はスマートでなかったかな。

なんと、姉はトートであるだけではなく、
そもそも弟にとっても、死の境ではじめてあらわれた
(でも弟はずっと昔から見ていたと思い込んでいる)
という設定もありうるそうだ。うーん、面白い。

体調が悪いときとか、人の生死について聞いたときとかに、
ついつい思い出す。じんわりくるお芝居でした。


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My Dear(近鉄アート館 8/31 16:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

行ってきました、天王寺。

ミーマイの翻案だというので、さぞ寒かろうと思ってたんですが、
案外、良かったです。

現代の、ホテルを経営している一族という設定で、
主人公は品がないけど、ダンスをやっていて、夢がある、
だから、夢をかなえるために、ホテル経営一族の一員となる。
この動機付けは、元のミーマイに比べて全然理解しやすいよね。

あと、ソフィアおばさま(に当たる人)は、兄(主人公のお父さん)が
ダンスとか芸術にお金を使い過ぎたので、そういうものを排除しようとしている。
そこで主人公と対立する。
が、大口顧客のためにダンスを見せる、
という一大プロジェクトをきっかけに和解する。
というのも、理解しやすいし、芸術へのオマージュになる。
そのダンスシーンが見せ場になるし。

元よりこっちのほうが納得いくぞ?
麻咲梨乃先生、振付だけじゃなくて脚本もいいんだ! 驚き!

と思ったんだけど、
最後の最後、サリー(に当たる人)が行方不明になって、
でも実はレディになる訓練してた、ってところが、
意味不明になっちゃった。

一緒にダンスをしている仲間だから、一大プロジェクトの前なのに
練習さぼっちゃダメじゃん! と思っちゃう。
あと、原作ほど身分差、口の悪さが強調されてないから、
訓練前後の差があまり感じられない。

曲はもちろん、全然別物。玉麻尚一。
これはこれでよい。
振付には鈴懸三由岐がはいっちょる。
歌唱指導にあもたまも。

一大プロジェクトの場面で、
サリーが来ないなあ…と踊る場面が、多分伝説になるぐらい、素晴らしかった。
フィナーレのテイクファイブも超絶かっこよかった。

主人公がタップが上手で、タップでお話しする、っていうのも面白かったな。

真麻さんをとことん堪能しました。
これ、やりたかったんだね。
またダンスどこかで見せてくださいね。


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凱旋門(東京宝塚劇場 8/9 15:30) [観劇メモ]

名作! ていうか傑作!
宝塚ってこういうのがあるから、ほんと侮れない。
ありとあらゆる人に観てほしい。

初演は生では観てなくて、各種バージョンを
2002~3年頃、スカステで見ました。

特に思ったのが、
生きづらくなっているパリ、ナチスに占領される…
という設定が、
その頃より今のほうが、実感を持って感じられること。
今、自分たちがこういう状況になりつつある、とひしひしと感じる。

そんな中で、
外科医は手に職あるからいいなー、とか、
ちゃらちゃらした生活に流れてしまう気持ちもわかるなー、とか、
誰も彼もの生き方に共感する。

主人公だけじゃなくて、
あの宿にいる誰も彼も。
ひょっとしたら、敵役のナチスにすら!
全員に少しずつドラマがあって、それぞれがちゃんとかみ合っている、
これだよこれ、これが宝塚の良さなんだよーー。

今回、だいもんときぃちゃんがいる雪組でやったのは、
ぴったりだったかも。
だいもんの持ち味が、すごいタータンぽい! 
きぃちゃんは、月影さんの退廃とは全然違うけど、
生命力があって浅はかで危なっかしいというのが、
今の轟さんと、案外バランス良かった!

ショーは、コンガに似てるけど、それほどはじけてないっつーか、
なんだろうな、それこそパリのクラブで演じられているような、
借りてきたラテン趣味。

アーサーのスターオーラがすごい。
サンジュスト役も良かったけど、
この人、じつはすごく計算して、努力しているのかも。
ここで目見開く、ここで歯見せる、とか、ちゃんと考えてやってるぽい。
それがすごく効果あって、ビシバシ射抜かれる。

ほかにも、雪組さんはスターさんが多くて、安定して観ていられるなあ。

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宝塚BOYS 初演DVDで予習してからの(東京芸術劇場 8/9 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

初演と再演を観ています。

またやるということで、
しかも、最近よかった石井一彰と藤岡正明が出るというので
(過去出てるんですね、二人とも)
チケットを取りました。

で、予習復習のために、初演時に買ったDVDをはじめて封をあけたわけです。

その後も上演されてたのに、全然観なかったのは、
自分が、宝塚に疑問を抱くようになったからです。

この話は、宝塚が大好きな青年たちの話。
宝塚を称揚しまくる内容に、絶対についていけないな、と、
直観的に避けてました。

DVDを見始めると、まさにそこがつらくて、
モンパリとかを楽しそうに歌う彼らに、胸がくるしい!
私もそんなふうに宝塚を好きだったんだよおお、
でも今そんな素直に好きじゃないの、ううう。

でももちろん、脚本の良さ、青年たちのそれぞれの個性、
戦後を生き延びた若者の切なさ、希望と挫折のドラマに
引き込まれて、あっというまに見終わり。

最後まで見て、
あ、自分、
宝塚に疑問を抱く前よりもずっと、
この作品を理解できてるな、と思った!

彼らは最終的には宝塚にふられちゃうから。
片思いだったから。

…自分もそうだなあ、って。
いや、自分は男子部でもジェンヌでもなんでもないんですけどね。

今の言葉で言うならブラック企業。
夢を売るとかいってブラック企業はおかしいやろ。
(ディズニーランドも労働争議が起きているし)

基本的人権という概念の存在しない場所に、
たとえただのファンであっても、自分は、いられない。
生理的なレベルで、無理。

コンテンツは好きなのに。
だから、片思い。



で、今回の公演です。

「自分も辞表を出してきた」
という池田役に一番感情移入したかもしれないです。

特に、山路さんはめちゃくちゃダンディで、芸術家肌だった。
山路さんをいいなと思ったきっかけでもある。
でも山西さんはいかにも経理だよね。実務家って感じ。
レビューの脚本書くなんて、そもそも無理そう。
だからこそ、彼の前に大階段が迫ってきたとき、
無理すぎる夢が叶ったように思えて、一番泣いた!

あと、初演のときからうっすら思ってた、
でも意識しないようにしてた、
やっぱ、小林一三の力が大きすぎて歪んじゃう、系の
問題が、現実と同じく、あるんだろうな、と。
くしくもそこをついてるな、と。

だから、彼らが「清く正しく美しく」の評語に頭を下げるのは、
一三に頭下げるてんじゃなくて、
宝塚という文化、コンテンツに頭下げてるんだよ。

全体として、
初演と比べちゃうといけないんだろうけど、
俳優さんを見る部分が多くなっていて、
アドリブが多いし(最初のドアのくだりは不要だった)
男子仲良し場面が多い(最後のドロップのくだりはいいね)。

それはそれで楽しいけど、
ドタバタしていて、
結果、本来のドラマが伝わりにくいようにも思った。

特に、上原役はずいぶんイメージが変わっていた。
今回の良知くんもかわいいけど、
もっと実直な感じの人のほうが全体がしまったと思う。

花緑の存在感は大事だったのだなあ。
あんな地味そうな顔やスタイルや声なのに、
実直な役として、主役をはることができる。稀有だ。


タモさんのおばちゃん役、ふっくらして、田舎っぽいのに品があって、
たしかに井上ひさしの芝居によく出るのがわかる。
なんといっても、声がきれい。初風諄に似てる!
みんなが癒される。
でも、例のお芝居のところと、フィナーレの歌は、
やはり元娘役にやってほしかった、と思ってしまった。
あそこは、おばちゃんが突然「姫」になるところじゃないですかー。
ぱっと「姫」に大変身してほしいのよー。

おめあての藤岡さんは、歌ウマなのに下手なふりしてた(笑)
甘えん坊で田舎っぽくて、なかなかぴったり。
石井さんは、竹田役かと思い込んでいたので、山田役で驚いた。
持ち味違いすぎるやろうーーー。
でも頑張ってたよ。
甘くていい声なので、どなるとちょっと聴き取りにくい。

あと、なんといっても、みんなフィナーレでのダンスがうますぎよ!
初演は吉野さんがダントツで、 意外に花緑が上手くて驚いて、
あとみんな全然ダメで、すごく笑えて、それが滑稽で、
そして哀しかった。
(お稽古してるって設定だから
上手いほうが論理的には合ってるんだけど)

今回みんなうますぎて、ふつーにかっこよくて、
それが残念でした(笑)。


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