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生き残った子孫たちへ 戦争六(8/17-9/4 東京劇術劇場) [観劇メモ(ヅカ以外)]

劇団チョコレートケーキが3週間ぐらいで6作品を一挙上演。
役者さんもかわるがわる出てて超ハードスケジュール。
ほぼ全部観たので、週2で池袋に通ってました…

特に印象深いのは「追憶のアリラン」。
戦前の朝鮮で裁判官をしていた日本人が主人公。罪に問われるんだけど、
罪の程度やそれを周りがどう思うかに、
いろんなグラデーションがあって、丁寧に描かれていた。
彼の部下だった朝鮮の人が、ちょっと夢物語みたいな誠実さなんだけど、
浅井伸治がリアルに演じているので、
夢物語が本当の希望に感じられたのが特に良かった。

あと、初期の短めの作品。初期だけに、また若者がやっているので、
テーマがダイレクトに、鮮烈に伝わってくる。

一つ目は特攻を開発しちゃった二人の青年が、実験中に窒息死する話。
「〇六〇〇猶二人生存ス」つらい…
技師がナレーターとして登場して、美化しない仕掛けになっている。

二つ目は原爆乙女とよばれる、
アメリカでケロイドの手術を受けた女性たちの話。
「その頬、熱線に焼かれ」
これもいろんな反応の女性がいて、繊細に描かれていて良かった。

新作「ガマ」。沖縄戦でガマに籠った数人のドラマ。
この上手いおじいさん誰だと思ったら、大和田獏だった…!!

松井岩根を描いた「無畏」は、ちょっと話が見えすぎていたかなあ。
結局、「上司は思いつきで物を言う」なんだなあ、というのは興味深い。

あとですね。
劇団チョコレートケーキって、女性の描き方がどうしても、
いわゆるセクハラとは逆方向なんだけど、
リアリティが無いというか、美化しすぎている作品が多くて、
そこだけいつも不満だった。

もちろん、演者がリアリティを付加してくれているんだけど、
劇中の役割として、「無垢な聞き役」に徹していたり(「帰還不能点」)、
「癒し役」であったり(「追憶のアリラン」なんと月影瞳!)、
「ヒーロー」であったり(「一九一一年」)。

その点、「ガマ」の軍国主義少女は、
よろしくない面をバンバン出してくる役だったし、
原爆乙女にも、意固地になって意地悪してしまう女性がいたので、
かなりうれしかったですね。


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