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その後見たものまとめて。2021年12月 [観劇メモ]

●KAATで「アルトゥロ・ウイの興隆」

ヒトラーをギャングに置き換えた、ブレヒトの1941年の作品を、
現代に、ファンクミュージックでノリノリにして上演する、という白井晃演出。

ヒトラー、ギャング、音楽の時代、と3つの層があるので、
最初ちょっとついていけるか不安だったけど、大丈夫だった。

ノリノリの音楽で、最後、「ヒトラー(に相当する役)に賛成の人~~!」
って聞かれて、ハイルヒトラーを客席がやらされる、
これがマジ怖い。
やらない人が当然いるので、そうすると、銃声が飛ぶんですよ。
3階席だったので、手をあげなかったけど、
あげる人はどういう意識だったんだろう。ノリなんだろうか。
まさか本気で賛成しているわけではあるまい。

手拍子も、しないと悪いかな、みたいに思ってしまう。
でもそれって、「同調圧力」そのもので、
ヒトラーに賛成してなくても、場の雰囲気で、手あげちゃう、手拍子しちゃう、
っていう心理を、上手くついている。

にしても、ヒトラーのやってることって、ほんとギャングなんですね。
脅迫、言いがかり、罪のなすりつけ…

でも、銃殺こそしてないけど、今の日本だって、
警察、司法、マスコミを完全に支配してて、
わいろ送りまくっても罪に問われなくて、
方向性としては、これと同じだよね?

最初と最後に、これは遠い国のお話ではないんですよ、と繰り返される。
これが上演できる日本はまだマシなんだろう。

なお、ヒトラーに相当する役の草彅剛、
マイケル・ジャクソンみたいなダンスが上手くて、ずっとその調子で歩いてて、
セリフはそう上手いわけではないから、イキってる変な人にしか見えない。
なのになのに、センターに立つことにまったくてらいがない(さすがアイドル)。
その、センターにいるのに何もない、空洞な感じが、
いかにもダメで支配欲しかない権力者という感じで、
底知れぬ恐怖を感じる。


●星組「柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!」

長い原作を縮めた難があって、え!? という部分はあった。

でも、全体として、すごく良かったなあ~~。

なんといっても、虐げられた女性への目線がすごく優しい!
それを少女歌劇でやるのって、ほんと正しい!
大野拓史、万歳!!

敵方の男たちに家族を殺された女性たちが、
団結してかたき討ちをする。
それを指導する伝説の剣士。

男に利用された女性が、
はじめて自発的に好きになる、
それが伝説の剣士。

「女たちを殺さなければならないんだったら、
徳川家なんてつぶれて結構!」

「公」より「私」が大事。
なんて素晴らしいヒーロー…!

それをやる礼真琴さんが、上手くてねえ。
ほんと、実力に裏打ちされた余裕があって。
粗野な仕草、粗野な台詞、でも心根は優しく、お父さんには弱い、
それを全部、きちんとした技術でやってるんですよ。
ノリとか持ち味とかじゃなく。
なんとありがたい。

かつてのディープなヅカファン時代だったら、
原作読んで比較して10回ぐらいリピートして、
さんざん語るところだな。
キャラ一人ひとりについても深めたい。

白妙さん、大輝さんがすっかり重鎮になってて、
みっきーが準主役っぽいし、
かわいい娘役さんがいると思ったら、はるこちゃんだった(笑)
そういうところも楽しい。

ショーは懐かしい岡田敬二作品。
昔は「かったるい」と思っていたけど、ここまでくるとむしろ懐かしくて心地よい。

ところで、衰退していたと思ってた「キザり」がちょっとある?
突然雄たけびあげたり、すごいタメる部分があったり。
これは、星組だから? 昔の作品だから?

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f f f-フォルティッシッシモ-/シルクロード~盗賊と宝石~(東京宝塚劇場 4/6 18:30) [観劇メモ]

今日が千秋楽ですね。
だいきほの雪組、人気すぎてほとんど観られなかったけど、
イープラスの貸切があたったので、退団公演、観れました。


上田久美子作の、史実とはちょっと違うベートーベンのお話。
第九がどうやってできたか、謎の女は何の象徴か
ってので引っ張る構造なので、飽きずに観ました。

謎の女は、情熱とか才能かと思ったらそうではなくて、
なんと、不幸という「運命」。
それを、愛したとき「歓喜」(=第九)が訪れる、
というのは、とても好みなストーリー。

外形的には、
フランス革命後、自由主義者が魂の自由を音楽で実現する、
みたいな話です。
(宝塚的にはベルばらとエリザベートをつないでいる)

つまり、貴族のためでもなく、民衆が楽になれるものでもない、音楽とは? 
ということも問うているわけ。
それが芸術ですよってことなんだろうけど。
でも、宝塚のスタンスって思いっきり、民衆が楽になるものだよね…。
そこの自省がないから、ちょっと白々しくは感じる。

二番手がナポレオンで、三番手がゲーテ。
ベートーベンが影響を受けた二人。
実際にベートーベンがすごく密に関係したわけじゃない二人が、
大きく扱われているので、ちょっと精神世界の場面が多い。

なんたって、死にそうになって見てる幻とはいえ、
ナポレオンとロシアの雪原で「隊列と音符って似てるよね」って盛り上がるんだよ。
すごいシュール。笑

ナポレオンってEUみたいなこと考えてたの?
それを武力で実現しようとしていたっていうのは、
同じく上田久美子作品の、『フライングサパー』の独裁者と似てる。
『フライングサパー』の最後で、面倒だけど民主主義しかないよね、
と言ってた部分は、今回ゲーテが説明していて、
その面倒をいきなり一人で引き起こしてるのがベートーヴェンと。

EUとか、ゲーテがナポレオンに
「遠くの情報が瞬時に手に入ればあなたは勝てるけど、
今そうじゃないから、あなたが率いてない舞台は負けてるでしょ」
って言うとか(これも幻なのかしら?)
現代の情報通信技術の発展や、グローバル化の問題、
イギリスのEU離脱までを踏まえてなのかなあ。
それにしては、この話は結論が出ていなくて消化不良。

歴史上の人物が上手いこと出てきて、
生徒さんそれぞれ見せ場あるのはとてもいいね。

天上界はファンシーで少女歌劇っぽすぎるかなあ。
あとラストは蛇足だと思うが、退団公演だからアリ、
というか必須なんだよね。

主人公は、絶望したー、いや、でも生きたいー
ってむちゃくちゃ起伏の激しい人なんだけど、
それを、あ、今生きる気力が湧いてきたのね、
と納得できるのは、だいもんの歌唱力あってこそ。
頑固で変人だけど、じつは真面目で憎めないキャラ、
『オーシャンズ11』を思い出すなあ。

彩凪翔(予測変換したよ!)さん、すごく良かった。
今まで、力んだ感じがしていたけど、
ゲーテのセリフがむちゃくちゃ説得力あった。
最後の最後でいいもの見せてもらいました。

にわにわのひどいお父さん、
朝月希和の声(96期なので引いて見ていたが声はいい)
愛すみれさんのやさしさ、
笙乃茅桜ちゃんのキレのいい踊り(退団なんだね)…

ところで、最後に紹介されるナポレオンの、
セントヘレナ島で農夫からすきを借りて畝を作った、ってエピソード、
実在? どういう意味なんだろう。
地道に「耕す」ことの尊さ???


ショーは生田くんの初ショー。
シルクロードと言いつつ、チャイナ場面が、一番素敵だったな 笑。
バンドネオン! ふみか様の杜月笙が見えるーー。きゃー。
この場面、音楽もかっこ良かったな。

中詰めの衣装は南米っぽい気も。

アーサーのハレムの王様、素敵だった~。
煌羽レオのスーツ、超絶かっこいいな(この人も退団かあ)。

ブラックフェイスが問題視されるようになり、
数年前の月組のタイを舞台にしたやつも相当やばくて、
宝塚はこれからこの手の題材をどうするんだろう、と思っていたところで、
盗賊とか、王様とか…
歴史的な題材と言えばそうだけど…
3%ぐらい、気になった。
「奪う」ということを何度も繰り返していたのも、わざとなんだろうか。

最後のほうでちょっと現代的な戦いの場面があったのが印象的だった。
今までだったら、かっこいい戦い、英雄が登場する場面、
として描いていたと思うんだけど、
そうではないように見えた。
911以降のことを踏まえているのかな。

こういう場面のあと、今までなら、全員真っ白になって、
平和が訪れましたー、もしくは天国で幸せですー、みたいになるけど、
それは次期トップコンビだけがやって、
ほかの戦士は戦士の恰好のままだったのも、意味があるのかなと思った。

大階段でだいもんが取るポーズ、リカちゃんがやってたやつじゃん~
と思ってたら、そうか、だいもんの初舞台か!
初舞台観た生徒さんが卒業するってのは、感慨深いですねえ。

トップ娘役が芝居でもショーでも「象徴」の役だったのは興味深い。
これって、『宝塚ロマンチカ』の檀れいやん。
持ち味全然違うので、ちょっとショーでは物足りなかったけど、
芝居のほうでは、勝気ですねたりして、
ハキハキと不幸を名乗って、持ち味にとてもあってたな。


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アナスタシア(東京宝塚劇場 2/2 15:30) [観劇メモ]

楽曲が良いと聞いていたのと、
最近好きな別ジャンルのお気に入りの人がこの中の一曲で踊っていたので、
チケットを取りました。

確かに曲はいい!
どのナンバーもテンポよく進むので、飽きない。
ストーリーもそこそこワクワクする。

けど、ラストは予想できた。
つまり、心地よい予定調和のエンタメ。
(けなしているわけではないです)

キャラクターの造形が、
いかにも昔のブロードウェイミュージカルじゃないですか?
(けなしているわけではないです)

かっこいい詐欺師、だけど心はピュア。
勝気で喧嘩もできちゃうぐらいたくましいヒロイン。
その二人より少し年上の、コメディ部分担当のカップル。

たとえば『ガイズ&ドールズ』、たとえば『コパカバーナ』、
たとえば『クレイジーフォーユー』エトセトラエトセトラエトセトラ。
ヒロインに勘違いされて、最後に詐欺師が改心する、って、
まんまだよねー。

と思ってwikiを見たら、
元は1990年代のディズニーアニメで、
さらにその元は1950年代のハリウッド映画とのこと。
なーるーほーどーーーー。

しかし、舞台は、それを意識して作っているようには見えない。
せっかくの、作品の特徴となる部分、もっと強調していいのでは。
時代考証とかの意味とは別に、
作品への理解が足りないように思った。
致命的ということでは全然ないんだけど、正直、物足りない。

ていうか、そういう古臭い要素はいらないのかな?
でも、だったらこの作品上演する意味ないような。

『ガイズ&ドールズ』、リカちゃんのも、北翔さんのも、
古臭さを踏まえて演じていたように思う。
というか、二人とも古臭い人だった(笑)。
あと、話自体が古臭い(ジェンダー云々で)から、
そうでないと成り立たなかったという面もあるけど。

今回は、話の内容自体には昔の概念は無いし、
なんといっても曲が新しいから、ついそこに注力してしまって、
曲やストーリーの表面を撫でてしまっているように思えた。


一番良かったのは、すっしーさん!!
高貴で、不機嫌で、繊細な、難しい人物を、
曲やストーリーの表面だけでなく、
奥の奥まで追究して、しっかりと造形していた。

これぐらいのレベルの演技をいつもたくさん観たいのだがなあ…。
『霧深きエルベのほとりで』の一樹千尋さんを思い出した。
もはや、かなり期が上の人でしか観られないのだろうか。


あ、そういえば、
ペテルブルグの街について歌うナンバーが良かったな。
盆がぐるぐる回って、
背景の映像もそれについていって。
そういう「見せ方」はけっこう良かったと思う。


ちなみに、もとは18:30の開演だったのが、
緊急事態宣言を受けて15:30開演。
ほかの公演もよくそういうずらしをやっているけど、
宝塚は土日にやってるパターンだからずらしやすい。
ただ、ずらしても何の意味もないと思うがなあ…。
特に宝塚では、(出待ちもないし)
夜公演のあと飲食するファンはそれほど多くはないのでは。
むしろ15:30公演のほうが、終わったあと20時まで飲食しやすい。
なお、席は一席ずつあけてはいなかったけど、けっこう空席があった。


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FLYING SAPA -フライング サパ-(日生劇場 9/13 16:00) [観劇メモ]

4月に中止になった公演、観れて良かった。

昼と夜の時間が惑星の軌道で極端に違う…って、萩尾望都っぽい。
管理された社会と原始的な土地…って、イキウメの『太陽』っぽい。
宝塚でSFって珍しい?  そもそもあったっけか?

ただ、様式は聞いてたよりもずっと宝塚ぽく感じた。
番手とか、役付きが宝塚ルール。
画面が暗くて、主人公が(記憶がないので)自分探ししてるのが、
正塚芝居に似てると思う人もいるだろう。

でも、テーマは全然宝塚らしくなかった! これはすごい画期的!
冒頭、ヘイト発言をする人を罰して、でも記憶を書き換えちゃう、というエピソードがあり、
あ、そういう、今の社会で起きてることに対して、何か言いたいんだな、とわかる。
ビッグデータを収集してるとか、すごく現代を意識してる。

平和で穏やかでみんな一見幸せだけど、
そうやって管理されてて、記憶まで消されて、見せかけの幸せ。
強いて言うなら、ソ連とかの共産主義革命で全体主義になってしまった国。
独裁者は誰かな、ソ連ならスターリン、と思ったら
ゆうちゃんさんの声で、笑った(『ロシアン・ブルー』を見てね)。

そうなった原因がだんだんわかってくるわけだけど、
過程で「暴力」が真のテーマだとわかる。
暴力を起こさないためにすごい装置を発明して「みんなが幸せに暮らせる国」を作ったけど、
でもそれは暴力なしでは実現しなかった。
というか、そういう国家体制そのものが暴力だってことなのよ。
それは、今の日本が進もうとしてる姿なんだよ、とあからさまに言っている。
(読んでないけど、ネット情報によるとプログラムで、
今の日本は静かなディストピアが法制化されている、と書いてあるそうだ。私も同感)
ををを、うえくみ、攻めてる~。

宝塚で「暴力」をテーマにしたことってあったか?
ないよ、絶対ないよ。そういうの避けるでしょ、夢の世界だよ。
二番手娘役が投降してきた敵を撃ったのが、衝撃だった。
そんなん、宝塚で見たことない。

表現も新しかった。
二番手娘役(主人公の元カノだが主人公は記憶がない)とほにゃららして、
「お前は俺の体を知りすぎてる」って…、そんな台詞宝塚ではじめて聞いた(笑)。
ヒロインが、娼婦のように振る舞い、
やがて明るみになる過去では、少女時代にレイプされていたことがわかる。
暴力をテーマにするなら、それは避けて通れないことだ。
でも宝塚ではトップ娘役にそれはやったことないのでは。

全体主義は暴力である、
カビくさくても民主主義しかない。
その結論に至るのは当然だよね。

でもそれをどうやって実現するのか、
そこは  ほとんど描かれないのだ(笑)。
だって難しすぎるもんね…。

ただ、ラブシーンで「気持ちがびびっと伝わればいいのに」
「全然伝わらない(笑)」ってやりとりがあって、
ああ、それが大事なんだろうな、と。
独裁者は、好きだからわかってほしい、と言っていた。
好きだからこそ、相手とはわかりあえないって前提が、大事なんだよね。

って、スターさんにうっとりしてひれ伏して、劇場の一体感を楽しむ宝塚で、
連帯責任という暴力が美徳で伝統とされてきた宝塚で。
これ、理解されてるのかなあ?? されているといいな。


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眩耀の谷 ~舞い降りた新星~/Ray -星の光線-(東京宝塚劇場 9/1 15:30) [観劇メモ]

8ヶ月ぶりの宝塚です…!

芝居は謝珠栄。
ご本人が少数民族客家の末裔だから、こういうテーマは多い。

侵略すべく少数民族の調査にやってきた中央の役人が、
肩入れして、少数民族の王になる、というお話。

戦うより逃げるという選択。
民はいつも権力者にだまされる。真実は何なのか。
すごくぐっとくる。

中間管理職な主人公と、その上司の銀橋での言い争いが緊迫感。

でもまあ最終的には、じつは王の末裔でしたってやつでした。

花園宝塚で、こういうヘビーな題材が見れる面白さと、
最終的に花園的理屈に回収される不可思議さ。

トップお披露目の礼真琴さんがもううまくてうまくて。
好みってわけじゃないけど、歌に感情がすごく乗る。
おいおい泣いてしまったよ。
しかも踊りもうまいしねえ、背丈以外オールマイティなんだよね。
背丈ももはや気にならないトップさんオーラ。

ショーは中村B。
銀橋のトップ二人が大人っぽかったり、
ターバンでのタンゴの振り付けが面白かったり、
黒人霊歌でスーツで帽子のシーンがかっこよかったり。

ただ、オリンピックのところは、
令和がどうのとか、開催されます、とかいうナレーションは
やめればいいのになあ。もう開催なんて無理なのだから。
単なるオリンピックの場面にできるでしょ。

トップ娘役は花組にいたそうだが全然認識していなかった。
小顔でスタイルいい上に、なんでもできるという感じかな。
顔は美鳳あやみたい。

みつるさん、愛月さんより下なの??
いかにもなさよなら場面ないのはご本人の希望???

はるこちゃんがゆずみさん風味になっていて良い。
天華えまちゃんが番手あがってて驚き。良い良い。

ちなみに私の、再開初のオペラグラスロックオンは、
ひろ香祐でした(笑)。だって目立つんだもん。


じつに8か月振りぐらいの宝塚。
美麗な男役さんがずらっと揃うと、ぐおおおおと思う。

客席は一席ずつあけている。
トイレに並ぶのもシールに沿って。
席で飲食禁止(水分補給はOK)。なので売店も売ってるものが少ない。

出待ちも当然ない。お茶会もない。
差し入れも禁止だそうだ。

これで合理化、近代化するのか?
と思いきや、会でのチケットは当然あって、
だから逆に、ルールが複雑になっている様子。
より硬直化するのかもしれない。(良くない)

この機会に、いいところ(お茶会とか)だけ残して、
悪いところ(チケットのノルマとか)は止めればいいのにな。


震災のときは、再開できるのかハラハラし、
東北が大変なのに、そこで作られていた電気を東京で消費することに対する、
ヒリヒリしたものがあって、募金とかして、
でも再開して嬉しかったりした。
(当時自分はバリバリのファンだったし)
(結局、原発は何も解決していないが)

あのときと似ているようでいて、似ていない部分も大きい。
なんといっても、いつまた休演するかわからないということ。
あんなに近くで歌って踊って、誰か罹患してたら絶対蔓延する。
下級生の出番を減らしても、それほど意味があるとは思えない。

上演できるときには上演する。
できないときはしない。

一瞬一瞬が大事というよりも、
一瞬一瞬、隙をぬってサバイバルしていく、
どんな形でも続けていく、何か、動物的な感じ。

宝塚はそもそも、いつか卒業するから一瞬一瞬が大事、と
その役、その作品、その状況に一生懸命で、
それにファンも酔う。それが課金のモチベーションだ。

でもそれって、普通に上演できる、という前提あってのものだったんだな。
(もちろん、怪我とか妨げるものはいろいろあるけど)

舞台そのものが上演できない、
できたとしても、いつ上演できなくなるかわからない、
その基準すら全く決まっていないし、
科学的なことも明らかになっていない、
そんな中では、うっとりしてる暇なんかない。

状況を見極めて、走れるときに走る、食べれるときに食べる、
そんな野生動物のような感じ。

まさに、舞台芸術のサバイバルだ。
(国が、自粛させておいて、補償しないから。
補償があったとしてもサバイバルであることには変わりないというのに、
補償すらしないから)

宝塚だけじゃなくどこもそうだけど、
夢の花園(中は競争が激しいとはいえ、外からしたら花園)だからこそ、
突如、外からふってきたこのサバイバル状況が、際立って見える。


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BLUE RAIN(博品館劇場 7/3 19:00) [観劇メモ]

コロナ後、ミュージカルとしては最初の公演らしい。
再発売で運良く買えたので、ドキドキしながら劇場へ。
じつに4か月半ぶりの観劇!
チケットやオペラグラスを忘れずに鞄に入れて、
時間を気にしながら劇場に行くのも、久々すぎてムズムズする。

席番によって、できれば●分前に来てください、とHPにあったけど、間に合わず。
でも、席数を半分に減らしたせいか、
あの、いつも超混雑のエレベーターも、全く混んでおらず。
チケットは、提示したあと自分でもぎって箱に入れる。
手にアルコールスプレーをぷしゅっとされる。
休憩無し。トイレ使えない。
物販無し(本来パンフだけは売る予定だったが間に合わなかったらしい)。

席は1つずつあけて座るんだけど、お隣との間に、ビニールシートが!
即席でよく作ったなあ。
舞台を観るのには邪魔にならない程度。

舞台にもビニールシートがたくさん。きれいではある。

はじまった!
…あ、あれ? 私、冒頭の台詞聞き逃してる。
何年何月何日って言った…?

なんと、久々すぎて、舞台を観る集中力が戻ってこない!
そうだった、舞台を観るって、
台詞を聞き逃さないように、はじっこにいる人が何してるか、小芝居を見逃さないように、
舞台装置の意味や、照明の変化、
とにかく、全感覚をフルで使って集中しなくちゃいけないんだった!

…幸い、数分で集中力が戻って来た。よかったよかった。

舞台のまわりに椅子があって、出番のない役者さんがコーラスをする形式。
この椅子の前にビニールシート。
そして中央に、可動式の大きなビニールシート。
激しく怒鳴り合うようなシーンや、探り合うようなラブシーンは、
このシート越しに行われる。
下のほうはきれいに絵がかいてある。

拘置所の面会のアクリル壁になったりして、かなり自然。
さすがオギー演出。

とはいえ、ほんとはここでもっと近付くんだろうなあ、
コロナがなかったらこんなのつけないよなあ、
こういう、サスペンスっぽい話だから、「秘匿」の暗喩にもなるけど、
ハッピーで一体感を求めるような話だったら、使えないよなあ、
と考えたりもする。

でも、途中からビニールシートが全く、一切、気にならなくなった。
作品が、役者が、とにかく中身が濃かった。

カラマゾフの兄弟が元ネタで、韓国作品だそうだ。
カラマゾフと言えば、水さん主演のあれ。
だから犯人はわかってるんだけど、ぐいぐいひきこまれる。

「ブルーレイン」とは、親に虐待された子どもに降る雨なんだと思った。

時制が少し行ったり来たりするのもいい。
だんだん過去のことがわかってくるのもいい。

死んだ父親は、家族を虐待していたから、
兄弟はものすごく父親を憎んでいる。
その憎しみをどう扱ったらいいのか。

みんな衣装は青なのに、父親だけが赤。
でも、兄弟たちは、一か所だけ、ポケットチーフとか、
赤いものを身に着けてるの。
つまり、暴力を彼ら自身も受け継いでしまっている。
「あなた、父親にそっくりじゃない」と言われ、愕然。
父親の幻影に悩まされるのは、自分の中にある暴力性におびえているってことなんじゃないか。

歌に乗せて感情がガンガン迫って来る。
これだよこれ、ミュージカルの醍醐味だよ。

フョードルに相当する、暴力の権化のような父親、今井清隆。
一本調子な感じでちょっと苦手なんだけど、
それが、内面をおもんぱかってあげようという気も全く起こさせない、
暴力そのものに見えて、効果的。

ドミトリーに相当するテオ、不良青年だけど、
むちゃくちゃ優しいお兄ちゃんが、吉野圭吾さん。
情があるよねえ、この方。
子どものころのエピソードに泣く。

イワンに相当する頭のいい弟ルークは、東山光明…Daiamond Dogsの人なのね。
はじめて見るけど、押しが強くてすごく良い!! 
真麻里都にちょっと似てる。

スメルジャコフに相当する意味深な青年サイラスは、木内健人
これまたはじめて見るけど、意味深な笑顔といい、
高い声といい、ぴったりな配役なんじゃない? 

アリョーシャに相当するのかな? 天然ぽくて愛情にあふれた家政婦さん、
池田有希子。小柄なのに力強い。。。えっ、モーリー・ロバートソンの妻なんだ、驚き。

グルーシェニカに相当するヘイドンが、水さん。
まじめに生きようとしているのに、うまくいかない葛藤。
湿った憂いがあって、この作品にぴったり。
(ドミトリーやってるしね)

多くの人が死んでしまうけど(このあたりの台詞はコロナをふまえてなのかな?)、
舞台のはじにある水槽の二匹の魚
(舞台装置の一番奥と、水さんのストッキングにも描かれている)のように、
テオとヘイドンのように、幼いときのテオとルークのように、 
誰かがいれば、アダルトチルドレン同士、支え合って生きていけるかな。

私の心も、一緒になって親を憎み、誰かを疑い、
そして、誰かを助けようと思って、100分の物語を生きた。

役者さんが、全力で力を発揮してる。
これがこの人たちの幸せなんだと強く思う。
その、幸せに客席も共鳴する。共鳴して、同じ物語を生きる。

配信はいろいろ観たけど、
やっぱり、同じ時間にやっている、巻き戻せない配信が良かった。
同じ時間に同じ物語を生きる。共時制。

そして、同じ空間で!
それが、劇場に行くってことなんだ。

役者さんたちと、物語を生ききったあとの、爽快感。
なんて幸せなんだろう。
私達はこれを絶対に、守らねば。

今までは大勢の同士と共に降りていた階段を、
(退場も列ごとに少しずつだったので)
たった一人で泣きながら降りた。
嬉し泣きだ。

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El Japón―イスパニアのサムライ/アクアヴィーテ!!(東京宝塚劇場 1/4 15:30) [観劇メモ]

前言撤回。

大野作品良かった。まだ私はヅカファンかもしれない(笑)。

大切な人を失ったまま生きていく人たち。
『花のいそぎ』『睡れる月』、大野たっくんの作品は本当にそういう優しさに満ちている。
和賀城の戦いが前提にあるってことは、
『アテルイ』を生き延びた人、なのか。

みんなに役がある。これ最高。

家来が「自分は混血だから」って言うじゃん(あれ、希峰かなたくん?)
そういうちょっとしたところにまで、愛があるんだよねーー。

奴隷として連れてこられた日本人女性、
こういう働き方もあったんだ。
(女主人になった人もいたらしい)

イスラム教徒を働かせないことにして労働力が足りなかったとか、
知らないことばかりだー。

一人一人に役の人生があって、
歴史の小ネタがいっぱいあって。

自分は、『いだてん』や『この世界の片隅に』がすごく好きで、
一人一人にドラマがあることと、
歴史のコネタがちりばめられていること、
それを調べながら、そうかそうか~って二度三度味わうことが好きなんですが、
大野作品はまさにそれだったんだな。

リカちゃんがやめるとき、
柴田、正塚、荻田、大野作品がある限り、宝塚を観るだろう、
と思ってたけど、
その通りになっているなあ。

スポットライトがあたる人以外の人
(舞台で言えば主役、歴史で言えば市井の人々、宝塚で言えば脇役)
にまで思いが至って、しっかり調べて描いているってことは、
オタクとして小ネタ調べが楽しだけじゃなくて、
一人ひとりの権利を大切にして、尊重し合うっていう、
すごく大事なことにつながっていると思うから。

宝塚は、そういう場所だと思っていたんですよね、私。

違ったけどね。
でもそういう面が全くないわけではないんだろうな。

一方で、主役にばばーんとスポットライトがあたる、
大衆芸能らしさもあって、
その両立が面白いって思っていたんだな、自分。

遠のいてはじめて、わかった気がする。

真風さん、この役、すごく似合ってる。
別にトップになりたくてなったわけじゃないし…っていう「憂い」ね(笑)。

ききちゃん、出番少なさすぎと思ったら、最後めちゃくちゃおいしかった。

ずんちゃん、似た役が続くがまあいい。

雰囲気をがらっと変えてしまうすごい演技で、
でも若い人がいるけど誰かと思ったら、
英真なおき様だった(笑)

りんきら、もんち、このあたりが豪華でうれしい。
もんち最後なのか。
脇役万歳。

大介ショーも、安心感あって楽しかった。
ディスコっぽいのよね。2003年の『タカラヅカ舞夢』の男役祭りぽい。
(ただ、月組のタイのやつで似た場面あったような)
フィナーレのアンチェイントメロディーの昭和っぽさもすごく好み。
真風さんにも合ってる。

しかし、このテイストもそのうち、
我々が「岡田敬二のロマンティックレビュー、退屈だなあ」
って思っちゃうみたいに、
若い世代にはウケなくなるのかなあ。ていうかもはやウケてないのかなあ。

秋音光がタンゴで女役。
前から思ってたけど、ダンスも芝居もうまいよね。
もう少し踊りに毒があってもいいと思う。
…しかし、96期には、いろんな意味で思い入れ(笑)がある。
本名全部覚えてるなんて、96期しかいない(苦笑)。


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A Fairy Tale -青い薔薇の精-/シャルム!(東京宝塚劇場 10/27 15:30) [観劇メモ]

エコ、妖精と友人だった少女時代、って、まるでPUCKじゃん??

産業革命発祥の国イギリスでの、スピード優先な時勢と、
時を超える妖精さん、という組み合わせは少女歌劇の題材としてはすごくいいと思った。

さよなら公演なのに、トップさんの偉大さ、愛に包まれる…
という感慨にならない。
みりたんの個性だからそれはまあいい。
みりたんは清様であり、エドガーだから。
でもそれなら、もっとそこを突き詰めた作品が良かったなー。

あと、ものすごく物足りなく感じたのは、
脇役が少ないからなのかも。
そう、私は脇の素敵な人が好きなの。
だって、るなちゃんがあんな渋い探偵役って、それおかしいやろ。
るなちゃんは妖精さんで踊るべきでしょ。
素敵女役さんもいっぱい辞めちゃうし。

乙羽映見、96期だけどいい女役だったよな。
花瀬みずかポジになってたのに、もったいない。

「選択と集中」、儲かるところにたくさんお金をかけることを良しとする
社会の在り方が、こんなところにも及んでいると、痛感する。

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オーシャンズ11(東京宝塚劇場 6/15 15:30) [観劇メモ]

終始、なつかし~! と思いながら観ました。
花組、すんごい通ったもんねー。

エコホテルっていう設定も、まあ今のところ古びてはいないかな。

ダニーとラスティが銀橋で歌うのは、新曲かしら?
かっこいい!

キキちゃんのラスティが、洒落男っていう設定なのね。
ジョンソン先生とのギャップがすごい。
北翔さんは盛り上げ役って感じだったので、
ジョンソン先生も自然だった。
どっちも個性。

桜木さんのベネディクトはほんとに怖く感じるときがある。
だいもんは、真面目な人なんだろうなーって思ってた。
どっちも個性。

あっきーのフランクが文学的で、ほんとこの人の芝居はいい。

蒼羽りくのダンスを見納めた。

星風まどかのたたずまいは夢咲ねね、
セリフまわしは蘭はな。
芝居のテンション高い人なので、独自の演技を期待したのだが。

すっしーさんが、歴代で一番よぼよぼのソールだった。
そっちのほうが話としては、しっくりくる。

真風さんが、前よりも楽しく演じているふうだった。
演目によるのかしら。

ららちゃん、ますますかわいくなった! いいぞ!

若き日のテス、誰この美人さん。
今どきにしては古風で珍しいタイプじゃない? 好みー。 
夢白あやっていうんだ。
新人公演ヒロインなんだね。いいぞ!

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夢現無双/クルンテープ 天使の都(東京宝塚劇場 5/23 18:30) [観劇メモ]

宮本武蔵の成長物語なんだろうけれども、
どうすれば成長なのか、今成長してるのかどうか、が
わからない。
エピソードのつぎはぎが続くだけ。

なんとか考えてみるに、
内なる暴力性をどうコントロールして武道の高みに近づけるか、
ということが成長なのかもしれない(原作読めばわかるのかな)。

でも、その暴力性ってのが、宝塚にはなじまない気がする。
宝塚では、軍人さんとかお侍とかしょっちゅう出てくるけど、
愛のためにとか美学のためにとか詭弁を弄して、
なんとか暴力性を隠すことが多い。

サイトー君はかつて巌流で宮本武蔵を描いたけど、
あのときは、佐々木小次郎が主人公で敗者の美学がテーマだったから、
気にならなかった。

正直、内面に一番変化があって主人公ぽいのは、
幼馴染で、佐々木小次郎を偽る青年じゃん。

あと、せっかくのチャンバラものなのに、立ち回りがダメダメだった。

…なんと、たまきちが腰を痛めていたとか。
そうか~。怪我人も多いし、働かせすぎなんだよ、宝塚。

美園さくらは歌がうまくて声がいいが、芝居が浮いている。

みやるり最後なのに内面があまりない役でもったいない。
でも、本当に美しく、主人公が追い求める相手として、びしっと決まってた。

清四郎は巌流の綺華れいが鮮烈だったので、
暁さんだと「あら、かわいらしい」ってなっちゃうね。頑張ってたけど。

相変わらず千海さんがうまい。

光月るうがすっかり重鎮ポジになっている。

月城さんの休演は残念だった。

代役にはいった、夏目雅子の姪、All for oneで王子様やってた子、
めちゃウマやん。見た目もいいし。

ショーは、タイをテーマにするのはきれいでエキゾチック。
たまきち&みやるりの紫色の場面が特に素敵だった。

でも、特定の国、特に欧米以外は、今時まずい面もある気がする。
タイ本国で上演禁止な『王様と私』をあんなに使うとは。

このモニョモニョした感じは、
日本も、欧米から下に見られて、
眼鏡で出っ歯の日本人、っていうイメージを映画や舞台で笑われてきたから。
そこまでいかなくても、オペラ『ミカド』とか、全然日本ちゃうやん、てのがいっぱいある。
にもかかわらず、欧米人と同じつもりで、
タイ人が見たら「ちゃうやん」「ひでえ」ってものを作ってる、
ってところ。

あれだ、「名誉白人」ってやつだ。
差別されてるのに、差別する側と同じに立って、新たな差別に加担する。

…そもそも宝塚が、欧米のレビューを輸入したものだもんね。
欧米ではアップデートされてるだろうけど、
日本でガラパゴス化して生き残ってるのが少女歌劇。

黒塗りショーも今後どうすべきか。
好きなんだけどねえ、黒塗り。

なんとなーく東南アジアとか、なんとなーくアフリカとかだったら
ええんかのう。架空の、想像上の国、みたいな感じで。。。


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