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眩耀の谷 ~舞い降りた新星~/Ray -星の光線-(東京宝塚劇場 9/1 15:30) [観劇メモ]

8ヶ月ぶりの宝塚です…!

芝居は謝珠栄。
ご本人が少数民族客家の末裔だから、こういうテーマは多い。

侵略すべく少数民族の調査にやってきた中央の役人が、
肩入れして、少数民族の王になる、というお話。

戦うより逃げるという選択。
民はいつも権力者にだまされる。真実は何なのか。
すごくぐっとくる。

中間管理職な主人公と、その上司の銀橋での言い争いが緊迫感。

でもまあ最終的には、じつは王の末裔でしたってやつでした。

花園宝塚で、こういうヘビーな題材が見れる面白さと、
最終的に花園的理屈に回収される不可思議さ。

トップお披露目の礼真琴さんがもううまくてうまくて。
好みってわけじゃないけど、歌に感情がすごく乗る。
おいおい泣いてしまったよ。
しかも踊りもうまいしねえ、背丈以外オールマイティなんだよね。
背丈ももはや気にならないトップさんオーラ。

ショーは中村B。
銀橋のトップ二人が大人っぽかったり、
ターバンでのタンゴの振り付けが面白かったり、
黒人霊歌でスーツで帽子のシーンがかっこよかったり。

ただ、オリンピックのところは、
令和がどうのとか、開催されます、とかいうナレーションは
やめればいいのになあ。もう開催なんて無理なのだから。
単なるオリンピックの場面にできるでしょ。

トップ娘役は花組にいたそうだが全然認識していなかった。
小顔でスタイルいい上に、なんでもできるという感じかな。
顔は美鳳あやみたい。

みつるさん、愛月さんより下なの??
いかにもなさよなら場面ないのはご本人の希望???

はるこちゃんがゆずみさん風味になっていて良い。
天華えまちゃんが番手あがってて驚き。良い良い。

ちなみに私の、再開初のオペラグラスロックオンは、
ひろ香祐でした(笑)。だって目立つんだもん。


じつに8か月振りぐらいの宝塚。
美麗な男役さんがずらっと揃うと、ぐおおおおと思う。

客席は一席ずつあけている。
トイレに並ぶのもシールに沿って。
席で飲食禁止(水分補給はOK)。なので売店も売ってるものが少ない。

出待ちも当然ない。お茶会もない。
差し入れも禁止だそうだ。

これで合理化、近代化するのか?
と思いきや、会でのチケットは当然あって、
だから逆に、ルールが複雑になっている様子。
より硬直化するのかもしれない。(良くない)

この機会に、いいところ(お茶会とか)だけ残して、
悪いところ(チケットのノルマとか)は止めればいいのにな。


震災のときは、再開できるのかハラハラし、
東北が大変なのに、そこで作られていた電気を東京で消費することに対する、
ヒリヒリしたものがあって、募金とかして、
でも再開して嬉しかったりした。
(当時自分はバリバリのファンだったし)
(結局、原発は何も解決していないが)

あのときと似ているようでいて、似ていない部分も大きい。
なんといっても、いつまた休演するかわからないということ。
あんなに近くで歌って踊って、誰か罹患してたら絶対蔓延する。
下級生の出番を減らしても、それほど意味があるとは思えない。

上演できるときには上演する。
できないときはしない。

一瞬一瞬が大事というよりも、
一瞬一瞬、隙をぬってサバイバルしていく、
どんな形でも続けていく、何か、動物的な感じ。

宝塚はそもそも、いつか卒業するから一瞬一瞬が大事、と
その役、その作品、その状況に一生懸命で、
それにファンも酔う。それが課金のモチベーションだ。

でもそれって、普通に上演できる、という前提あってのものだったんだな。
(もちろん、怪我とか妨げるものはいろいろあるけど)

舞台そのものが上演できない、
できたとしても、いつ上演できなくなるかわからない、
その基準すら全く決まっていないし、
科学的なことも明らかになっていない、
そんな中では、うっとりしてる暇なんかない。

状況を見極めて、走れるときに走る、食べれるときに食べる、
そんな野生動物のような感じ。

まさに、舞台芸術のサバイバルだ。
(国が、自粛させておいて、補償しないから。
補償があったとしてもサバイバルであることには変わりないというのに、
補償すらしないから)

宝塚だけじゃなくどこもそうだけど、
夢の花園(中は競争が激しいとはいえ、外からしたら花園)だからこそ、
突如、外からふってきたこのサバイバル状況が、際立って見える。


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配信で見たもの [観劇メモ(ヅカ以外)]

●7/12 シアターコクーン プレイタイム

こ、これは興味深い!
まったく新しい「配信」だ!

上演前の劇場のいろいろな場所を、延々と撮ってるの。
役者のウォーミングアップとか、着替えとかも撮るの。

そしておもむろに上演が始まる。

男女(森山未来、黒木華)の恋の駆け引きのようなセリフ。
それを、正面からじゃなく、いろんな角度から撮る。
高いところのハシゴみたいな場所に役者がいるので、
下から、上から斜めから撮る。

誰の脚本だろう、太宰ぽいな、と思ったら岸田國士だった。

最後は客席に降りて来て、椅子と踊ったりもする。

なんなんだ…。
不思議な世界だった。

同じことはそうそうできないだろうけど、
通常の公演の代替である「配信」ではなく、
新しいジャンルが誕生していた。


●7/18 パルコ劇場 大地

WOWOWで観た。

素晴らしかったー!!

この状況を予知していたとしか思えない内容。
生で観たかった(もうチケットなかった)。

三谷幸喜作品はじつは舞台は生で観たことはなくて、
テレビや映画では90年代までで、
最近のは『マジック・アワー』がいいけどほかは…と思っていたけど。

大泉洋とか山本耕史とか有名な人がいっぱい出るので、
そんなに期待してなかったんだけど、中身も出演者も本当に良かった。

東欧かどこかの独裁国家で、
反政府主義だということで捕まって、強制労働させられている人たち。

なぜか演劇関係者だけが集まったグループがある。
独裁者の真似をしたというだけで捕まった大道芸人とか、
インテリの演出家とか、女形とか、いろんな人たち。

あることを実現するために、嘘の芝居をすることになるんだけど、
芝居をしたくてたまらない、
そのために才能をもって生まれてきたような人たちが、
普段そんなに仲良くないのに、
盛り上がって団結して、そのことに一生懸命になっていく様子が、
そして、それがばれたときの結末が、
切なすぎる…!

それぞれベッドの場所が分けられていて、それがコロナ対策なのかな?
唯一あるラブシーンも、全然ラブシーンぽくなくて、
落ち着きのない二人、って感じになってたのが、仕方がない。

配信でも、まばたきもせず観た。

コロナ下における上演の伝説になるのではないかな。


●8/10 DDDクロスシアター ディファイルド

朗読劇。

図書館にたてこもり、目録カードの撤去に反対する図書館員と、
それを阻止しようとする刑事のやりとり。
図書館員として観ないわけにはいかない。

チケットが取れなかったので、配信で。
水田航生と羽場裕一の組み合わせにしました。

しかし、配信だと何かしながら観れてしまうのよね…。
料理しながら聞いていた、という感じ。

気になっていたのは、
2020年の今、目録カードとコンピューター検索なら、
後者のほうが便利に決まってる、という結論が出ていること。

2000年が初演だったそうで、納得ではある。
(ちなみに私の勤務先でカードボックスを撤去したのは2004年。)
そのときはまだその二つが対比されてしかるべきだったんだろう。

コンピューターに支配されてしまう! という恐れ。
紙の本のすばらしさ。

わかる、わかるけど。
もちろん、コンピューター検索には偶然の出会いが無い、というデメリットもあるけど。

でも今、目録カードに戻ろうとは誰も思っていない。
そんな20年後に上演するのだから、筋書きは変えないまでも、
多少のアップデートが必要なのでは?

コンピューターに支配されてしまうという恐れは、
今、確実に現実になっているわけだし。

工夫してほしかった。
終始、感情移入できなかった。


● 8/10 座・高円寺 片づけたい女たち

6月の公演が中止になってしまった3軒茶屋婦人会が、
永井愛の脚本を朗読という形で上演。

脚本がいい。
それを男性がやるものもいい。

夕飯食べながら、楽しく観ました。

アラフィフの女性たち3人。
定食屋さんのおかみで、嫁の扱いに困っていたり、
会社で管理職になりつつあったり。

片付けられない一人の部屋を、
三人で片付けながら夜通しおしゃべりしてるだけなんだけど、
いろんな心情が語られてて、すごく共感できる。

時代設定は90年代半ばみたいだから、
その当時にしては少ないほうだよね、女性管理職。
(こういう芝居を見る人たちの層がよくわかるな。)
当時はアラフィフなんて相当、「年配」扱いだったかなあ。

でも今でも全然通じるんだよ。
ていうか、自分がもうアラフィフなんじゃん、わーお(怖)。


今、様子見で、公演やること自体直前に発表されて、
チケットも直前に発売だから、
応援したくても観られない場合が多い。
だから配信があるのはありがたい。
席数を減らしている分を、配信で料金取って埋めてくれてかまわない。

ただ、今まで演劇を観ていた人たちが、みんなそう行動するかわからないし、
(やっぱり配信はつまらない、と言う友人は多い)
今まで観なかった人を呼び込むことには至らないだろう。
まだまだつらい時期が続きそうだ。


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