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ひかりふる路 / SUPER VOYAGER(東京宝塚劇場 1/23 18:30) [観劇メモ]

主軸が定まらない話だった。

途中までは、マリー=アンヌが主人公なんじゃね? と思ったのだ。
憎んでいた男に恋をするという大変化があるから。
しかし、元貴族で一人生き残ったから、革命の主導者を殺そうとする…
あまりにもベタな設定だ。
一体どうやって暮らしていたのだろうか。かなり荒唐無稽に感じる。
(でも歌が上手くて、「私はマリー=アンヌ~」とか名乗る素っ頓狂な歌詞も、
違和感なく聞けてしまうからすごい)

途中からは、ロベスピエールの苦悩が中心になる。
独裁者になるしかなくて、本当にこれでいいのかな? 
いや、これしかない、と自分に言い聞かせてる様子が切ない。
髪が乱れているのが色っぽい。
しかし、なぜ独裁者になるのか不自然。
親友ダントンに裏切られたから? それだけ?
ちょっと何段階かステップをはしょっている気がするなあ。

本当は、だいもんが『BUND NEON/上海』の杜月笙をやりたいって言ってくれてたから、
生田先生は、同じような悪の権化みたいなのを予定してたんじゃないのかな。
でもトップお披露目だし…ということで、白い味をつけちゃったら、
わけわかんなくなっちゃったのでは?

で、結局おいしいのは、小悪魔ちゃんサン=ジュストだという…
この人は一貫してるし、魅力的。
結局、サン=ジュストが操ったから、ロベスピエールは悪くなっちゃった、
っていうふうに取れなくもなくて、
じゃあロベスピエール小物じゃん、てことになりかねない。

ミュージカルとしては、
二人が夜道を帰りながらお互いを探り合うナンバーとか、
祭典で殺そうとするナンバーは面白かった。

そうそう、祭典の最中に殺そうとするとか、
最初がルイ16世の裁判で、最後がロベスピエールの裁判っていうのとか、
構造はなかなか面白い。

歴史上有名なセリフがちゃんと入ってるのも、考えてる。

歌は本当に素晴らしいね。
2人とも、歌だけで演技できるから、堪能。
それだけに、話の「?」が目立っちゃうんだよねえ。


そうそう、まあやちゃんのメイクはもう全然OK。
かわゆいかわゆい。

サン=ジュストの朝美さん、爽やか系かと思ってたけど全然違うんだね。
これは本当に当たり役。
歌も上手いし、将来が楽しみだ。

さきちゃんが、人情に厚いあんちゃん系で、
役といい、声といい、ショーでの上着脱げそう加減といい、
もう、湖月さんにそっくり。

まなはるがけっこういい役だったな~。

なぎしょーが女役。
ニジンスキーのときは怖いだけだったけど、なかなかいい。

コマつん!
ショーでのシャンソンすごく良かった~。
男役/女役っていう枠を超えてきちゃったね。
ああ、13年前の今頃、その舞台の上で、
キタロウくんにいじめられて(る役だっ)たよね、
さみしくてたまらない。

ショーは、前作の野口作品ようなスペクタクルってほどじゃないけど、
人の動きがやっぱり面白い。

スーツの場面がとてもかっこよかった。
振付は三井聡!
この人、マジーの公演でいいなと思ってたんだよ! 自分、見る目ある、えへん(笑)
宝塚っぽいけど、テンポが速くて現代的なの。

全体的に音楽も面白かった。
中詰めのyou'd be so nice to come home toのラテン風なんてはじめて聞いた。

ただ、ジャニーズみたいな場面は、好きじゃなかった…
むしろ苦行だった。あんなん、ニーズあるのかなあ?
わしが老人なだけ?

お披露目ムード、宝塚礼賛ムード全開なのも、お披露目にピッタリ。
野口幸作は元ヅカファンだって聞いたとき、
『ガーシュイン』のひどさから全く信じてなかったけど、
これなら信じられる。

さきちゃんの相手役が朝月ばっかりなのはつまらないな。


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秘密の花園(シアターウエスト 1/17 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

唐十郎作品を観るのは、少女仮面滝の白糸につづいて3つめ。

ストーリーがあるようでいて無い、
え、何それ、ファンタジー? みたいな設定もあったり、
見得を切るような、時代がかった部分もあるし、
いやー、アングラだなー、と思いながら見ていた。
アングラ演劇って、見世物小屋だよねえ。
でも、セリフ劇っぽくて、セリフでぐっとくるところもあったり。

面白くて後からいろいろ思い出すんだけど、
全体としては、そんなに集中できなかった。

三角関係の2つの角にあたる、
妻:寺島しのぶと、夫:田口トモロヲが、
軽やかすぎて、あまりファンタジーでは無かった、気がする。
現代劇ならすごいと思う人たちなんだけど…。

愛人:柄本佑は、とても良かった!
柄本明の息子なんだね。
しかも、この作品の初演でこの役を柄本明がやっていたという。
ぬぼーっとしてて、つかみどころがなさそうなんだけど、
声が良く出て、演技もすごく骨太。
ファンタジーの世界なのに、リアリティを感じる。
すごい逸材じゃない?
この人が末井昭をやる映画があるそうな? 見なくちゃ!

お目当ての、柿喰う客の玉置玲央は、
完全にファンタジーの人だった。いい仕事してた。
ていうか柿って、アングラの系譜だよね?
あの筋力で、タンスで懸垂したり、本水使った舞台で跳んだり跳ねたりして、
私の大好きなあの滑舌で、わけのわからないことをしゃべっていた。

そのお父さん役の、池田鉄洋という人もすごかった。
顔を赤と白に塗り分けて、着物みたいな服で、本当に見得を切る。

主役じゃないけど、こうやってぐわあっと舞台をかっさらっていく役者さんが好き。

あ、演出の福原充則も出てたんだ。へー。
日暮里の駅で、主人公(?愛人)を現実の世界と区分けしている謎のオジサンの役。

舞台は日暮里なんだけど、
現実の、卑俗な街を「秘密の花園」とネーミングするのが、
すごくわかる。素敵。

で、聞くのもヤボだけど、、
菖蒲って何の比喩なんだろ…?

あとあと、木造アパートの窓が開いて、ババーンと主役登場!
みたいなのって、銀ちゃんにもあったような。
(銀ちゃん=「銀ちゃんの恋」=「蒲田行進曲」の宝塚版)
同じ時代の演劇なんだなあ~。
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