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「キザる」の衰退 [ヅカってなんだ?的記事]

一体いつから自分は宝塚を物足りなく思うようになったのだろうか。


物足りない、を、いつも「薄くなった」と表現していたけど、
具体的にはどういうことなんだろうか。

2010年代はじめに、そのころファンになった人に、
「紫吹さんとか湖月さんとかって、映像で観ると、濃すぎて笑っちゃいますよね」
って言われて、へ~、と思った記憶がある。
その人は、もっと薄いのが好きなのだそうだ。
宝塚は、濃くてなんぼ、笑ってなんぼでは? と不思議だった。


2004年にHPを作ったとき、
「男役の色気」がきっかけだったと書いた。
今、「男役の色気」ってあるかなあ?

女性が男役をやるからこその、不思議なオーラ、は確かにある。
こちらを誘惑するような、ドキドキするような、
男役さんからの目線というのは、確かにある。と思う。
あと包容力ね。


けど、私が好きだった「色気」はあまり感じられないな。
それこそが「濃い」ものなんだろう、多分。

じゃあその「色気」って具体的にはどういうものを指すんだろう。
不思議なオーラを土台としつつ、その上にある芸。


と、いろいろ考えてみると、
具体的には、ごく狭い範囲で言えば、
「キザる」ってやつかもしれん。


前述の、薄いのが好きだという人は、
「カフスを直すとか、髪を撫でつけるとか、
そういうキザる動作が好きではない」と言っていて、
だったらなぜ宝塚を見ているんだろ? とまで思ったものです。

「キザる」所作よりもう少し広い範囲で言えば、
客席へのアピール、かな。表情とか目線とか。
舞台から客席の一本釣りって、今もあるんだろうか。


今、そういうのってほとんど見られない気がする。
(たまにしか見ないので見落としていたらすみません、
おすすめの人いたら教えてください)

ふみか様(86期)はそれがある人だったけど、
(でなかったらファンにならん)
でも退団した2015年には、すでに少数派だった…


「キザる」は、一体いつ消滅したのだろうか。


トップさんで考えてみると、
蘭寿さんにはあった。
『ミスタースウィング』という作品名は、腰の振りから来ているわけだし。

82期の蘭寿さん、壮さんにはあった。
84期の北翔さんにもあった。
でもそれ以降は…??

(だいもん退団公演で確認したけど、歌うときのフリとして素敵なタメはあった。
でも伝統的なキザる動作はなかった。
唯一、中詰めの銀橋渡りで、だいもんとスターさん数人がウィンクしてたのが、
客席へのアピールだな)

振り付けとしてはあるけど、
ショーの「間合い」でそれを積極的に繰り出す、
ということはほぼ無いのでは。

…映像で確認しなくちゃ。

仮説として、北翔さんの2017年の退団がひとつのメルクマールだった説をあげておく。
遅れての就任だったから、まさに「キザる」の残照。


ジェンヌさんのおばさまをしているおばさまが(変な日本語 笑)、
「旧音楽学校を使っていた世代と、そうでない世代で断絶がある。
85期は予科のとき旧で、本科のとき新だから、境目だ」と言っていた。

そうなのかもーーー!


今ものすごく実感している。
とてもさみしい。
ひしひしと、さみしい。


完全に滅亡してしまったのだろうか。
今どこに行ったらそういう芸が見られるのだろうか。
ひょっとして、タソが続けてくれているのだろうか。



(繰り返しますが、たまにしか見ないので見落としていたらすみません、
おすすめの人いたら教えてください。切実に! お願いします!)



で、思うに、
今私は元キャバレーの踊り子さんのやるショーや、
ストリップにはまっているのですが(→こちらのブログ)、
そこには「キザる」に類するものがあるんじゃないか。
踊り子さんがうっとりするときに、自分で自分の頬を撫でたりする、
そういう伝統的な所作があるんですよ。
(男役ではないけど)「キザる」に近いのではないか。
という気が、ちらほらと。
いや、ひしひしと。
しています。



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f f f-フォルティッシッシモ-/シルクロード~盗賊と宝石~(東京宝塚劇場 4/6 18:30) [観劇メモ]

今日が千秋楽ですね。
だいきほの雪組、人気すぎてほとんど観られなかったけど、
イープラスの貸切があたったので、退団公演、観れました。


上田久美子作の、史実とはちょっと違うベートーベンのお話。
第九がどうやってできたか、謎の女は何の象徴か
ってので引っ張る構造なので、飽きずに観ました。

謎の女は、情熱とか才能かと思ったらそうではなくて、
なんと、不幸という「運命」。
それを、愛したとき「歓喜」(=第九)が訪れる、
というのは、とても好みなストーリー。

外形的には、
フランス革命後、自由主義者が魂の自由を音楽で実現する、
みたいな話です。
(宝塚的にはベルばらとエリザベートをつないでいる)

つまり、貴族のためでもなく、民衆が楽になれるものでもない、音楽とは? 
ということも問うているわけ。
それが芸術ですよってことなんだろうけど。
でも、宝塚のスタンスって思いっきり、民衆が楽になるものだよね…。
そこの自省がないから、ちょっと白々しくは感じる。

二番手がナポレオンで、三番手がゲーテ。
ベートーベンが影響を受けた二人。
実際にベートーベンがすごく密に関係したわけじゃない二人が、
大きく扱われているので、ちょっと精神世界の場面が多い。

なんたって、死にそうになって見てる幻とはいえ、
ナポレオンとロシアの雪原で「隊列と音符って似てるよね」って盛り上がるんだよ。
すごいシュール。笑

ナポレオンってEUみたいなこと考えてたの?
それを武力で実現しようとしていたっていうのは、
同じく上田久美子作品の、『フライングサパー』の独裁者と似てる。
『フライングサパー』の最後で、面倒だけど民主主義しかないよね、
と言ってた部分は、今回ゲーテが説明していて、
その面倒をいきなり一人で引き起こしてるのがベートーヴェンと。

EUとか、ゲーテがナポレオンに
「遠くの情報が瞬時に手に入ればあなたは勝てるけど、
今そうじゃないから、あなたが率いてない舞台は負けてるでしょ」
って言うとか(これも幻なのかしら?)
現代の情報通信技術の発展や、グローバル化の問題、
イギリスのEU離脱までを踏まえてなのかなあ。
それにしては、この話は結論が出ていなくて消化不良。

歴史上の人物が上手いこと出てきて、
生徒さんそれぞれ見せ場あるのはとてもいいね。

天上界はファンシーで少女歌劇っぽすぎるかなあ。
あとラストは蛇足だと思うが、退団公演だからアリ、
というか必須なんだよね。

主人公は、絶望したー、いや、でも生きたいー
ってむちゃくちゃ起伏の激しい人なんだけど、
それを、あ、今生きる気力が湧いてきたのね、
と納得できるのは、だいもんの歌唱力あってこそ。
頑固で変人だけど、じつは真面目で憎めないキャラ、
『オーシャンズ11』を思い出すなあ。

彩凪翔(予測変換したよ!)さん、すごく良かった。
今まで、力んだ感じがしていたけど、
ゲーテのセリフがむちゃくちゃ説得力あった。
最後の最後でいいもの見せてもらいました。

にわにわのひどいお父さん、
朝月希和の声(96期なので引いて見ていたが声はいい)
愛すみれさんのやさしさ、
笙乃茅桜ちゃんのキレのいい踊り(退団なんだね)…

ところで、最後に紹介されるナポレオンの、
セントヘレナ島で農夫からすきを借りて畝を作った、ってエピソード、
実在? どういう意味なんだろう。
地道に「耕す」ことの尊さ???


ショーは生田くんの初ショー。
シルクロードと言いつつ、チャイナ場面が、一番素敵だったな 笑。
バンドネオン! ふみか様の杜月笙が見えるーー。きゃー。
この場面、音楽もかっこ良かったな。

中詰めの衣装は南米っぽい気も。

アーサーのハレムの王様、素敵だった~。
煌羽レオのスーツ、超絶かっこいいな(この人も退団かあ)。

ブラックフェイスが問題視されるようになり、
数年前の月組のタイを舞台にしたやつも相当やばくて、
宝塚はこれからこの手の題材をどうするんだろう、と思っていたところで、
盗賊とか、王様とか…
歴史的な題材と言えばそうだけど…
3%ぐらい、気になった。
「奪う」ということを何度も繰り返していたのも、わざとなんだろうか。

最後のほうでちょっと現代的な戦いの場面があったのが印象的だった。
今までだったら、かっこいい戦い、英雄が登場する場面、
として描いていたと思うんだけど、
そうではないように見えた。
911以降のことを踏まえているのかな。

こういう場面のあと、今までなら、全員真っ白になって、
平和が訪れましたー、もしくは天国で幸せですー、みたいになるけど、
それは次期トップコンビだけがやって、
ほかの戦士は戦士の恰好のままだったのも、意味があるのかなと思った。

大階段でだいもんが取るポーズ、リカちゃんがやってたやつじゃん~
と思ってたら、そうか、だいもんの初舞台か!
初舞台観た生徒さんが卒業するってのは、感慨深いですねえ。

トップ娘役が芝居でもショーでも「象徴」の役だったのは興味深い。
これって、『宝塚ロマンチカ』の檀れいやん。
持ち味全然違うので、ちょっとショーでは物足りなかったけど、
芝居のほうでは、勝気ですねたりして、
ハキハキと不幸を名乗って、持ち味にとてもあってたな。


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イキウメの金輪町コレクション(配信) [観劇メモ(ヅカ以外)]

2月の公演を、3月に1週間だけ配信。しかも3パターン。

見始めたとたんに、
テトリスみたいに、いろんなものがおさまるべきところにおさまる。
このすっきり感。

イキウメの世界観がしっくりきすぎる。
これだよ、これこれ!

抽象的な背景に、SFやオカルトっぽい話が、
理路整然と進みつつ、コミカルで、ちょっと情があって、
役者さんがめちゃウマで。

落ち着いたトーンの抽象画に、迷い込んでずっと出てこれない楽しさ。


ただ、3つのプログラムを1週間で見るのは無理でした。
甲乙をなんとか見終わって、よし次「丙」を買うぞ!
と思ったら、チケット買う期限過ぎてた…ううう。

DVDプリーズ…!


過去の公演の再演で、
前とは違う人がやってる場合が多いんだけど、
全然真似ではなくって、でも成立してて、
やっぱすごいわ、と。

イキウメにしても劇チョコにしても柿喰う客にしても、
脚本家の世界観を表現できる役者さんがそろってるって、
すごいことなんだなあ。

今回は、昨年の緊急事態宣言で舞台が中止になったときに、
いつも舞台になる「金輪町」の設定を詳細に詰めていった結果の公演。
その際に作られた地図などが公開されているので、
オタクっぽく、この作品のこの場所と、この作品のこの場所が隣同士なのね、
とか確認していく楽しみもある。うふふ。
そして過去のDVDをまた確認する、と。うふふ。

客演の松岡依都美さん、演じ分けがすごく上手い。
自殺志願の人を演じてる「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」、何度も見てしまった。


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帰還不能点(配信) [観劇メモ(ヅカ以外)]

BSでやっていた『あの記憶の記録』『熱狂』を見て
はじめて知った劇団チョコレートケーキ。

『あの記憶の記録』は、
ユダヤ人収容所で同胞を殺す役割をさせられた「ゾンダーコマンド」を題材にした作品で、
重…っ。激重…っ。
かわいい名前とは真逆。

でも、だんだんいろんなことが明らかになっていくドラマチックさや、
最後に少しだけ希望があったりとか、
演劇ならではの面白さがあって、すごく良かったです。
この劇団は、賞をたくさんとっているんですね。

次に公演あったら絶対行こう!! と夫と話していたのですが、

コロナ感染大爆発ですよ…。

ビビりな夫が「配信があるなら配信で」と主張し、
そうこうしているうちにチケットが売り切れ。
次は心置きなく生で観たいなあ。


帰還不能点というのは、飛行機が戻れなくなる、燃料が半分になったところ。
日本の近代史では、対米戦の決め手となった
昭和16年7月の仏印進駐を指すそうです。

ちょうどその頃、各省庁から集められた若きエリートたちが、
日本がこのまま戦ったらどうなるかを予測させられた
「総力戦研究所」というのがあった。

彼らは「アメリカには絶対に負ける」と予測したけど、
そうはっきりは言えないので、それとなく上に伝え、
東条陸軍大臣はご立腹だったそうな。


そのメンバーが戦後5年経って、
居酒屋に集まって思い出話をする、というお話です。

なんと、直前にたまたま、『昭和16年夏の敗戦』という、
「総力戦研究所」についての本を読んでいたことと、
なんとなんと、私の勤務先のかつてのNo.2が、
この「総力戦研究所」に所属していて、
しかも、この舞台の主人公のモデルである!
ということもあり、のめりこんで見ました。


前半は、彼らが「どこが帰還不能点だったんだろうね」と、
当時の大臣たちになってお芝居をする、という趣向。
次々役を変えるので、ちょっとまどろっこしいし、個性が見えない、
ちょっと教材ぽい(ていう感想をツイッターで見かけて、確かに)。

でも、歴史上、そういうことがあったんだー、
近衛文麿と松岡洋右ってそういう人たちだったんだ、
戦争責任は軍人と天皇だけじゃなく、官僚の責任も大きかったんだなあ、
と、勉強になる。

とはいえ、さすがにこのまま続くわけなかろう、
と思っていたら案の定。

すでに故人となったメンバーは、なぜ死んだのか、
という謎がだんだん明らかになっていきます。

そして、主人公が突然、「あの日、広島にいたんです」と言い出す。
そうなんです、彼は被爆してるんですよ。

帰還不能点の責任は、
近衛や松岡や軍にだけあったわけじゃないんじゃないか、
広島で吹っ飛んだ街とものすごい数の死体を見たら、
自分たちに責任がなかったとはとても思えない。
あのとき、自分たちは負けるとわかっていたのに、なんで何もしなかったんだ。

現代にビシバシ来る話です。つらい…!

そこからの展開はウルウルしました。

この脚本の着想の始まりは、
「総力戦研究所にいて、しかも被爆したこの人は、
自分の責任をどう思っただろうか」
ってところだったと思います。

でも現実には、主人公のモデルになった人は、
この舞台と違って官僚を続けたわけです。
弱小のお役所とはいえ、No.2として乞われるほど出世した。
官僚らしいやり方で組織を立て直した、と言い伝えられています。
実在の彼は、昭和16年のあの夏のことを、
そして昭和20年8月6日のことを、どう思っていたんでしょう。

そして、この舞台では死んでしまっているメンバーも、
モデルとなった実在の人物は、日銀総裁にまで出世している。
どう思っていたんですかね。

現実の人間のほうが、より「複雑怪奇」なんだろうな、と
そのことにもしみじみしました。


役者さんたち、劇中劇をたくさんやっているので、
この舞台での姿が素だと思ってしまいそう。
(配信の最後についてる座談会のほうが、
現代人の役をやっているように思えるぐらい 笑)
外務省出身の役の二人が、いい声だったな。
みんなに愛着を持ちました。

劇チョコ、過去作品のDVDがあんまりないんだよなー、売ってくれー。
全部見たいー。


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バーナム(東京芸術劇場プレイハウス 3/13 17:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

咲良さんが出演するのと、オギー演出なので観に行きました。

映画「グレイテストショーマン」の主人公で、エンタメの歴史で重要な人物。
見世物小屋からサーカスを作った人。

楽しく元気でかわいらしい作品で、
多分テーマは、イカサマも使いようではハッピーになるよ、ということらしい。

だけど、「それでいいの?」「え、これだけ?」と思うことが多々あり。
要するに、すごく古い作品なんですね。
1980年代かなあ? と思ったら、まさに1980年初演だそうです。ビンゴ。

一つ目の違和感は、サーカスという大がかりなものを題材にしているのに、
会場が半端に広いこと。
それなら、オギーの退団作『ソロモンの指輪』みたいな大がかりなセットがほしい。
そうでないなら、博品館みたいな小さな劇場で、観客のイメージに任せてほしい。

二つ目の違和感は、とにかく今の感覚からしたらやばいことが多い。
見世物小屋で、黒人の老女や、身長が伸びない子どもを見せるんだけど、
それを能天気に見せていていいんだろうか??
差別でしょう。

もちろん、上演するなというわけじゃなくて、
そのことに意識的であってほしいわけ。
見世物小屋を舞台にした名作『サイド・ショウ』は、
見世物にされる側の葛藤だった。

今回は、見世物の興行主。
その葛藤を描くのなら、最終的には、
イカサマを辞める、ということになるのでは?

だがしかし、彼はなんと政治家になるのです!!
そりゃまずいでしょう。

今国会でもさんざん、政治家が嘘ばっかり言ってる。それが現実。
でもそれは、いけないことなのよ。
イカサマも使いようでハッピー…にはならないのよ、政治家の場合。
それならそこで葛藤してくれなくちゃ。
作品としては批判してくれなくちゃ。

1幕の終わりが、ソプラノ歌手との浮気っていうのも、
えー、それがこの人の葛藤なの? と驚き。
そして、最終的には妻に許されて主人公は家庭に戻るんだけど、
浮気された女性のほうはどうなのよ。
昭和30年代ぐらいの日本映画の、
妻とバーのママさんとの間でうろうろしてる喜劇、
みたいな感じ??(森繁の社長シリーズとか)

ふーるーすーぎーるー。


出演者のみなさんは上手でした。もったいないぐらい。
まあくんがきれいな女優さんになってた!

咲良さんは本当にダンスがのびのびとして上手くて、
どこにいても目をひきます。
何も知らなくても、アンサンブルのあの人は誰だろう? ってチェックすると思うぐらい。
ジャグリングのような技も頑張ってました。
あれから早10年、着実に、前向きに、
いろんな舞台にチャレンジしていて素晴らしいです。

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迷子の時間(配信) [観劇メモ(ヅカ以外)]

11月にパルコ劇場で上演されたもの。
ジャニーズの亀梨君が出るのでチケットが取れず、
だいぶ経ってから、しかも数日だけの配信をやっと観れた。

結論としては、
見終わったあと、早速、元のイキウメ版のDVDでお口直ししてしまった、というところ。
やはり前川作品を体現するのには、
劇団イキウメのメンバーや常連参加者がぴったりなんだなあ、と思ってしまった。

元版のほうが、抽象的。
パルコ版のほうが、現実の世界ぽい。
演者だけじゃなく、セットもそうだから、わざとだよね。

良かったのは、元版だと中嶋朋子がやっていたお姉さん役の貫地谷しほり。
中嶋朋子は繊細な人がさらに追い詰められた感があったけど、
この人のは、ごく普通の主婦が追いつめられる感で、それはそれでよかった。
あと、浅利陽介はさすがに上手い。
この二人が、時空を越えて(そうとは知らずに)親子再会するところは、密度高かった。
ガルシア役の人は踊れるのが良かった。

亀梨君は、安井順平のセリフ回しをそっくりまねていて、
よくまねできるなあ、と感心。
だけど、別の個性なんだから、まねじゃない作り方はできなかったのか。
むしろ、歌舞伎役者みたいないい顔立ちなんだから、
もっとコスチュームものに出るべきなんじゃないか、この人。

イキウメ版のDVDを見て安井順平を見たとたん「会いたかったー!」と叫んでしまったよ(笑)
そんなに安井順平が好きだったのか、自分(笑笑笑)

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アナスタシア(東京宝塚劇場 2/2 15:30) [観劇メモ]

楽曲が良いと聞いていたのと、
最近好きな別ジャンルのお気に入りの人がこの中の一曲で踊っていたので、
チケットを取りました。

確かに曲はいい!
どのナンバーもテンポよく進むので、飽きない。
ストーリーもそこそこワクワクする。

けど、ラストは予想できた。
つまり、心地よい予定調和のエンタメ。
(けなしているわけではないです)

キャラクターの造形が、
いかにも昔のブロードウェイミュージカルじゃないですか?
(けなしているわけではないです)

かっこいい詐欺師、だけど心はピュア。
勝気で喧嘩もできちゃうぐらいたくましいヒロイン。
その二人より少し年上の、コメディ部分担当のカップル。

たとえば『ガイズ&ドールズ』、たとえば『コパカバーナ』、
たとえば『クレイジーフォーユー』エトセトラエトセトラエトセトラ。
ヒロインに勘違いされて、最後に詐欺師が改心する、って、
まんまだよねー。

と思ってwikiを見たら、
元は1990年代のディズニーアニメで、
さらにその元は1950年代のハリウッド映画とのこと。
なーるーほーどーーーー。

しかし、舞台は、それを意識して作っているようには見えない。
せっかくの、作品の特徴となる部分、もっと強調していいのでは。
時代考証とかの意味とは別に、
作品への理解が足りないように思った。
致命的ということでは全然ないんだけど、正直、物足りない。

ていうか、そういう古臭い要素はいらないのかな?
でも、だったらこの作品上演する意味ないような。

『ガイズ&ドールズ』、リカちゃんのも、北翔さんのも、
古臭さを踏まえて演じていたように思う。
というか、二人とも古臭い人だった(笑)。
あと、話自体が古臭い(ジェンダー云々で)から、
そうでないと成り立たなかったという面もあるけど。

今回は、話の内容自体には昔の概念は無いし、
なんといっても曲が新しいから、ついそこに注力してしまって、
曲やストーリーの表面を撫でてしまっているように思えた。


一番良かったのは、すっしーさん!!
高貴で、不機嫌で、繊細な、難しい人物を、
曲やストーリーの表面だけでなく、
奥の奥まで追究して、しっかりと造形していた。

これぐらいのレベルの演技をいつもたくさん観たいのだがなあ…。
『霧深きエルベのほとりで』の一樹千尋さんを思い出した。
もはや、かなり期が上の人でしか観られないのだろうか。


あ、そういえば、
ペテルブルグの街について歌うナンバーが良かったな。
盆がぐるぐる回って、
背景の映像もそれについていって。
そういう「見せ方」はけっこう良かったと思う。


ちなみに、もとは18:30の開演だったのが、
緊急事態宣言を受けて15:30開演。
ほかの公演もよくそういうずらしをやっているけど、
宝塚は土日にやってるパターンだからずらしやすい。
ただ、ずらしても何の意味もないと思うがなあ…。
特に宝塚では、(出待ちもないし)
夜公演のあと飲食するファンはそれほど多くはないのでは。
むしろ15:30公演のほうが、終わったあと20時まで飲食しやすい。
なお、席は一席ずつあけてはいなかったけど、けっこう空席があった。


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パレード(東京劇術劇場プレイハウス 1/28 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

(ネタバレします)

1910年代にアメリカ南部で起きたレオ・フランク事件を描いた、
1990年代後半のミュージカル。

前回観られず、評判が良かったのでチケットを取った。

すごかった…。
みんな観て! 絶対観て! と叫びたい。
DVD、せめてCD出してくれ。

主役はれるような歌ウマさんが束になって出てる。
めちゃレベル高い。
楽曲もいい。
森新太郎のかっこいい演出。

なのに内容は、あまりにもあまりにも、つらい。ていうかひどい。

当時の南部は、南北戦争で負けたことをずっと根に持っていて、
奴隷を廃止させられたから、白人の子供が工場で働いてる、とか思ってる。
戦没者追悼の記念日が祝日で、盛大なパレードが行われる(これが題名の由来)。
「南部の誇り」にしがみついている。

それで、主人公である、インテリの北部出身のユダヤ人を差別して、
冤罪で殺してしまう。

アンハッピーエンドだとは知ってたけど、
まさか主人公が××で××されて終わり、だとは思わなかったよ!
(書くのがつらくて伏せてしまった…)


冒頭は南北戦争に出征する若い兵士なんだけど、
すぐに彼が、片足になって登場する(別の役者なんだけど)、時間の経過がわかる。
その片足の老人は最後の最後にも登場するんだよね。恨みの象徴なんだろうな。

石丸幹二が、ちょっとおどおどとして、最初は妻にもつらくあたるような主人公。
南部のお嬢様でおっとりしているのに、どんどん力強くなる妻、堀内敬子。

フェイクだろうがかまわない、ニュースをまき散らす新聞記者、武田真治。
今井清隆の役は、アメリカでは有名らしい、差別をあおった新聞の社主らしい。
たいして台詞はなくて、通底するような歌を随所で歌ってる。
サカケンが偽証する黒人。これが歌がうますぎてねえ…。(この人が真犯人ぽい)
ハマコが黒人役や、被害者の母親役も?
オカケンが最後は正義を通そうとする州知事。でも古い体制の人ではある。
そんちゃんがその妻。二人の夫婦愛も良かった。
石川禅が冤罪に陥れる判事。この人、こんな色っぽかったっけ?


歌のうますぎる人たちが、「あんなやつ死ねばいい~」みたいなことを
朗々と歌うわけ。
レベルが高いからこそ、真実味が、説得力が、すごい。
いや、これ、フィクションだから、と思う隙が全くない。

ミュージカルって、すごいものなんだ。
ミュージカルだからこそ、パレードに集う、南部の人たちの盛り上がりが、表現できる。
ああ、こんな熱狂だったら、酔っちゃうよね。人を殺しても平気かもね。
だってみんなで盛り上がってるんだから、これが正義でしょ。って。
ミュージカルってハッピーで楽しいものだと思われがちだけど、
その逆の表現もありなんだ。

上から降りしきる色とりどりの紙。
ずっと掃除しないの。
しかも八百屋舞台で大変。
過去の堆積、なんだそうだ。
過去からずっと積もっている差別、憎しみ。

南軍の旗がしょっちゅう登場してたけど、
ちょうどトランプ支持者が議会に乱入した事件があったじゃないですか。
あのとき、その旗持ってる人多かったよね。
怖い! 今でもずっとつながってるんだよ、この問題が!

主人公夫婦が、冤罪を晴らそうと努力する中で、
心が通じ合うのは、救いの一つではある。

あと、最終的には、
主人公が絶対に嘘をつかなかったことと、
妻がパレードを見つめ続けるラスト(彼女は南部に住み続けたそうだ)
が、自分としては、ある種の希望だと思った。
嘘をつかない、現実を見つめ続ける(「見る」という行為は、抗議の意味でもある)、
それすら大変なときもあるかもしれないけど。

そうそう、黒人の表現が黒塗りではなく、
首に黒いストールをまく、というものだった。



思うところは山のようにある。書ききれない。






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東京原子核クラブ(本多劇場 1/16 17:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

マキノノゾミの出世作、東京国際フォーラムこけらおとしだったそうです。
(え、どのホールなんだろう。メインのとこだと広すぎる気が)

戦前の下宿屋さんの群像劇。
主人公は理化学研究所で原子核の研究をしているという、水田航生。
(上司の西田さんは、原子爆弾の開発をしていた仁科芳雄がモデル)

わちゃくちゃと楽しい日々、でありながら、
それぞれの立場と世相がきちんと描かれてて、
しみじみ、いい作品でした。

下宿屋をきりもりするお嬢さんは、化学をやってたけど、
理研には女性は就職できなかったんですって。
戦前、大学に行けた女性はすごく少なかったはず。
なのに就職はできないのか…。

ダンスホールのピアノ弾き、ダンスホールが閉鎖されたあとは満州の慰問団に。
プロレタリア演劇の作家で、特高につかまっちゃう人は、戦後は逆に大人気になったり。
下宿屋のお嬢さんといい感じになるけど、結婚はしない軍人さん。

そして謎の女が、きりやん!
レビューダンサーだったり、富豪と結婚したり、突然修道女になったり。
ちょこちょこっと出てきては笑いを取っていて、
もうかわいいのなんのって。
まるで『ガイズ&ドールズ』のアデレイドなんだよー!
アデレイドがまた見られるなんて!
男役の場面もあって、めちゃウケてましたが、本職ですからー。
きりやん、何かで「笑っちゃうほどかっこいい」っていう表現をしてた。
まさにそれだよー。

物語のクライマックスは1幕も2幕も、大村わたる(柿喰う客!)演じる、
東大の野球部…? という学生…?
「聖なる愚者」という位置づけなんだろうな。

仁科の研究が背景にあるからには、当然、原爆が大きな要素なわけです。

市井の人々は、
ある人は、生きるのに必死で、政治のことなんか口にしない、
ある人は、戦場に行っても死にそうになったら絶対に逃げよう、と思い、
ある人は、日本がすごい兵器を開発することを心から願い、
そして科学者は、原子核に魅せられすぎて、原子爆弾投下のニュースに、
死んだ人のことよりもまず、「先を越された」と思ってしまう。

けっこう重い話なのだ。
同じような局面になったら、私たちには何ができるのだろう。

DVDを買いたい。


ところで、元の開演時間は18:00だったの。
1時間繰り上げ。
終演は20時。
お店、どこもやってない!!
家に帰ったらけっこう夜遅い。困った。

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ザ・空気ver.3(東京劇術劇場シアターイースト 1/10 13:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

(ネタバレします)

今年の観劇はじめ。
緊急事態宣言になってからまだ数日。
めったに都内に行かない夫と一緒だったこともあり、なんだか緊張感…。
客席には、席と席との間に仕切りができていたし、
誰もしゃべらない。

でも始まったら笑いの渦。
そして、ぞっとする。
さすが永井愛。

空気の1と2は人気すぎてチケットが取れず、あとでDVDで見た。
「桜木さん」がずっと登場するのね。
古い体制を象徴するようなオッサンが必ず出てきて、
主人公はそれに対峙する。
40~50代の女性も必ず登場する。

でも今回面白いのは、そのオッサンが途中で、
自分が持っている政権にとって不都合な証拠を公開したい、と言い出すこと。
そして主人公がそのことを最後の最後にためらって却下すること。
うわー、鳥肌ものだ。

テレビ業界のブラックぶり、下請けの不利さとかもしっかり描かれていた。
若者がよくも悪くも無鉄砲なのも、面白くて、つらい。
中間管理職的な人の態度の(いいほうへの)変わり方、
若い女性キャスターの立ち位置や振る舞い…。

オッサンもそもそも、元は政権批判する側だったわけで、
一人ひとりの中のいろんな変化や迷いが、わかるから切ない。

オッサンは佐藤B作。ちょっとかわいげすら感じる。
(1の木場勝己は心底むかついたし、2の松尾貴史は心底いけすかなかった。
どっちもそれぞれすごかったよ。オッサンもいろいろなのだ。)

主人公は私の好きな神野三鈴。
ちょっとテレビ局の人にしては神がかってるが(笑)、
さすがの緩急と迫力でした。


帰りにお茶もせず、まっすぐ帰宅する観劇、さみし~~。
観劇って、その前後も大事だったのだな…。
でも、上演されるだけでありがたい!




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