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幕末太陽傳/ Dramatic "S"!(東京宝塚劇場 6/20 18:30) [観劇メモ]


原作の映画、みたことないけど、みたくなった。
そもそも落語がもとになっているという。

いろんな人にいろんな役があるのが、すごくいい。
最後旅立つのもいい。

けど、サヨナラ公演的なカタルシスは得にくいねえ。

バラバラに話が進んでいた、
異人館焼き討ち計画と、
女郎屋のぼんぼんの駆け落ちとが、
うまいことかみ合って話が二転三転する、
というのはいいんだけど、どうも盛り上がらない。
なんでだろう。

最後のお墓の場面は、原作にあるから仕方ないけど、
すごくダレてしまうし。

あ、そうか、一番重要なのは、
トップと二番手の役の間に、濃密な関係がないからなんだな。
もちろん、銀橋でにらみ合ういい場面とか、
別れの挨拶をする場面とか、
ちゃんと作ってあるけど、
そもそもが全然の他人で、銀橋で一瞬仲良くなりかけた、
ってぐらいだからなあ。

トップ二人のラブも、素敵だけど、
それほど濃密ではないしね。

通常公演だったら、できればバウだったら、
楽しかったな、って感じかなあ。

よく「96期だろうがなんだろうが、舞台の実力がすべてだ」
とか言う人がいるけど、
その言葉が適用できるのは、咲妃みゆぐらいだろう、と思う。
トップなりたての頃は、ショーでの目立たなさが気になったけど、
もはやそれも全く気にならない。
芝居で、ウキウキしながら「心中して女の花を咲かせるわ」って
歌うところなんか、拍手してもしたりない。
ショーで娘役ひきつれる場面も良かった。

細くって、色白で消えそうで、
なのにものすごく元気で軽妙で、みーーんなを幸せにしてくれる主人公。
チギちゃんにぴったりだね。
上に立つ人が元気で楽しそうなことが、
組織において何よりも大切だと実感する、
そんなトップさんでした。

あ、専科からゆうちゃんさんとまりんさんが、ちょろっとずつ出てた。
出番あんだけ?? もったいない。
組に上級生がいなさすぎて、専科さんの使い方が変なことになってる気が。

ショーは中村Bで楽しかったな~。
『メロディア』に構成が似ていて、思い出してしまった。

スーツの色っぽい場面、
退廃的なパリの場面(オチがハッピーエンドで変だけど)、
かわいい色なのに曲が激しい感じで、次々人が出てくるめくるめく中詰め、
うーん、楽しい!
複数回観たい。

がおりを「がお様ーー(> <)」と思いながら観た。
いろいろ見せ場があって良かった。ううう。
銀橋でコーヒールンバを歌う中で、歌詞に「かおり」って入ってるのね。ううう。
芝居のほうも笑いとっててさすが。
数年前、雪組をたくさん観ていた頃には、
こんなにがおりを(自分の中で)重宝するとは思ってなかったよ。
あー、ほんとにいい男役さんになった。

星乃あんりが芝居で大きい役なのもうれしかった。
大人っぽくなったなあと思ってたので、女郎役が色っぽい。
ヒロインやったけどトップになれなかった娘役が、
大人っぽくなったなあ、素敵! 
と思うとやめちゃうこの現象、ほんともったいない。
こんな記事書いてました

桃花ひなちゃんも女郎役が綺麗だった~。

永久輝せあさんが、ロケット前に銀橋渡ってた。
歌ウマさんなのねー。
すっごく堂々としていて、5番手?でこれってすごくね?
いっとき、どの組も、二番手が銀橋渡りでへろっへろで、
おいおいおいおい宝塚大丈夫かよ、ってことがあったけど。
ああいう場で、「俺を見ろー」ってオーラを放てるかどうかが、大事よね。

だいもんの(歌っていても)滑舌が良いことに、毎回感動する。
まあやちゃんがかわいいかわいい。
なんかメイクダウンしてる気もするが、でもかわいい。
さきちゃんが面白い役やってた。
この人にわたくし期待してるんで、いろんな役を観たいです。



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君が人生の時(新国立劇場 6/20 12:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

主人公が、『ブエノスアイレスの風』のニコラスみたいだな、と思った。

って、通じないだろうなあ~

何か過去があって、自分からは全然動かないんだけど、
なんか包容力がある、という。

酒場でずっと座って、子分にこまごましたものを買いにいかせて、
じつは足が悪くて、昔はよく働いたけど今は無職?? 
案外金持ちみたいで、態度悪いけど本当はすごくいい人で、義侠心があって、
お金はどこから出てるの??

こりゃ、男役がやる役だよ。でないと成り立たないよ。
何者か全くわからないし、ほとんど動かないのに、主役だなんて。

っていうところを、ジャニーズのスター性でなんとかしてた、かな? 坂本。

話は、1939年の戦争がはじまりそうな鬱屈したサンフランシスコの、
酒場に、いろんな人がやってきて、いろんなことを言ったり、したりする。
それだけ。

コメディアンとして使ってください、と言うくせに全然面白くないヤツとか。
でも彼はタップが上手くて、それで雇ってもらえた。

そんなふうに、ちょっとダメな人にも、なんかしらいいところがある。

ずっと座っていて、カタコトで同じことしか言わない、ユダヤ人かな?が、
ふと、自分の故郷のことを話し出したり。
ゲームばっかりしてる若者は、アッシリア人だという。
バーのマスターはイタリア人。

いろーんな人がいて、それでいいんだなー。
と思うと、ウルっとする。

タップダンス、黒人ピアニストの伴奏、ユダヤ人のハーモニカ、
が突然融合して超かっこいい音楽になるところで、ゾクゾクした。

いろーんな人がいるから、面白いんじゃん。

だけど、それが許せない人は、「治安を守る」名目で取り締まろうとする。

売春婦を追い出したい警察の親分? が
わかりやすい悪役。

主人公坂本の子分が橋本淳くんで、
橋本くんが好きな売春婦がすみ花ちゃんで、
すみ花ちゃんがこの警察の親分にひどい目にあいそうなところを…

というのが、一応のクライマックス。

悪役が単純な悪役なのは物足りないけど、
芝居としてカタルシスを得るためには、そうせざるを得なかったんだろう。

かわりに、下っ端のおまわりさんがそのあたりの葛藤をしゃべってくれる。
(前にアラカルトに出てた中山祐一朗。)
「ただ毎日平凡に幸せに生きたいだけなのに、
なんでこんなにイザコザが起きるんだ?
みんないかれてるよ!」と。

彼には、本質は見えていない。
「平凡な幸せ」以上を求めてしまう誰か、
もしくは「平凡な幸せ」を認めない仕組み、があるからじゃん!
売春婦を取り締まるばっかりで、
売春婦本人の幸せについて真剣に考えないような世の中が良くないんだよ!

酒場の外では、ストライキが起きたりしている。
そういう意味では、きわめて今の時局にあった話なわけよ。

酒場の中では、いろんなテーブルで、次々話が起きているから、
同時並行していて、それがちょっとした効果をうんでいる。
富裕層を批判する話になってるときに、
たまたま、興味本位でやってきた上流階級の人が座ってたり。

木場勝己が伝説のガンマン風に登場するんだけど、
じつはただのホラ吹き。
でもすごい迫力。

最後、殺人をおかそうとした自分自身に呆然とした主人公は、
街を出て行く。
これまで、何もしないことに徹底していたけど、
突然、自分の中に激しいものが生まれたことに、驚いたのかな。
何か、新しいことが生まれそうだと思ったのかな。

彼はどこからお金を得ていたんだろう。
株かな? と思ったけど、
一緒に観た人が、武器商人かも? と言っていた。

だとしたら、それを辞めることにしたのかもしれないな。
だといいな。

サローヤンの名前は知っていたけど、観たのははじめて。
地味だけどしみじみした。

坂本と橋本くんが賭けた馬の名前が「プレシャスタイム」。
芝居のタイトルは「君が人生の時」。

大ホラ吹きのおじいさんが、
しきりに、「○○年にこういうことがあって俺はこんなことをしたんだ」と言う。
ホラだってわかってるんだけど、
坂本は、本気で信じてあげていた。
そこにもウルっとした。

そして彼が最後に、殺人をやらかして、
「俺が人を殺したのは、1939年の10月だったかな…」
と、今、現在のことを言う。

タイトルの通り、「時」も重要なテーマなんだね、これ。

一瞬一瞬が、一人一人が、大事で、取り戻せない。

なんだかしみじみする芝居でした。


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グレート・ギャツビー(日生劇場 5/26 18:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

音楽がいまいちでした。
もったいない。

脚本は宝塚版とそれほど違いが無い、かなあ?
確認できていないのですが。

殺されるのが桟橋ではなくプールってのが、
いや、別に芳雄の水着姿見たくないし、と思うけど(笑)

宝塚の、いかにも芝居の途中で歌が入ります、じゃなくて、
ミュージカルっぽくしたかったんでしょう。
なのに、エモーショナルに歌い上げる場面で、
音楽に全く乗れない。なんか難しそうな曲ばかり。

酒場のジャジーな場面の曲はかっこよかった。


芳雄は、後ろ姿とか男役っぽくて、なかなか。
酒場で机の上に乗る場面、すごくかっこよかった。

でもやっぱり、本物の男の人だし、歌がうますぎて、
なんというか、「粘着質の変人」でした。

ラストに、子ども時代のギャツビーが日課を読み上げるところ、
宝塚版だと、「華やかな人に見えたけど、すごい努力家だったのねー」
って意外性を見せる場面でしょ。
それが芳雄だと、え、当然そういう努力はしていそう、
冷静に、着実にやってそう、と思って全く意外ではない。
いや、それでいいような気もする。それはそれでアリだ。

逆に、変人っぽさが出ているからこそ活きたのが、
ニック(万里生)との友情。
ニックが「君を尊敬する」と最後に言うところ、
変人でも尊敬してもらってよかったね、とじんわりする。
ここに「腐」を感じる向きもあるんだろうか?
万里生の好青年ぷりもあって、
すごくいい組み合わせだった。


夢咲ねねはスタイル良くてアホっぽくて、
いかにもデイジーらしい。
ほんとに彼女はアメリカンな役が似合う。

神月茜(今はAKNE LIVさんというのか)、
退団後活躍していることは知っていたけど、はじめて見た。
こんなに響くいい声だったのね~。
歌ウマさんだとは認識してたけど、しゃべる声もいい。
顔といいスタイル、芝居、当時の進んでる女性のイメージ通り。

まりもちゃんがぷくぷくになってたよ。驚き。
シカゴ観たときは、在団時と変わらなかったけどなあ。
いや、マートルにはそれでいいんだけど、役作りなのかなあ?
またキレのいいダンスが観たいです。

渚あきがデイジーのお母さん役で、
低い声で気位高くやってて、
新たな活路を見出したか、と思った。
あまり見かけなかったし、うれしい。

全体的に、衣装が良かった~!
特に、自動車事故の場面でデイジーが着ていた水色にレースの服、欲しい。


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瑠璃色の刻(赤坂ACTシアター 5/15 13:00) [観劇メモ]

みやるり主演なので観ました。
登場した途端、重厚なビロードのような空気に包まれて、
おお、真ん中に立つとこんな感じか、いいねいいねと味わいました。
(新公主演は残念ながら見ていない)

しっかし、原田は相変わらず主人公が描けないのね。

いや、偉人伝紙芝居ばかりのこれまでと比べて、
サン・ジェルマン伯爵、ではなく、それになりすました男、その野心、
というテーマ自体は、すごくいいと思う。

でも、なぜそうしようと思ったか、
友達が辞めようって言っても、あえて自分だけ続けることにしたのか、
が、全然描かれていなくて、うーむ。
貧しかったから、という言葉だけでは伝わらない。
なりすますことではじめて人に認められる喜びを知ったとか、
病んでる方向か、野心強い方向か、どっちかで、
場面を入れてくれないと。

それとも、マリー・アントワネットが自分を信じてくれたってことで、
ラブが動機なのかな???
…というほど、さち花ねえさんのマリー・アントワネットが大きな扱いで、
宝塚ってこういうふうに突然、脇の人が大きな役やったりするのが
いいよねー、とうれしくなりました。

あと、ロベスピエールのトシちゃんがかっこよかった。
ダンサーなロベスピエール、
演説のときの腕の動きって大事ね!
アジられて、革命に参加する気満々になる。

お友達役が雪から異動してきた月城さん。
この方、お芝居上手いし声もいい。
二人の相性も良さそうで、
話のオチは、友情にクローズアップしそうになるので、
最初から、そこをテーマにする手もあったのになあ。

ヒロインはえっと、なんてったっけな(だんだん生徒さんの名前がわからない)
ヒロインらしい出番が少なくて気の毒。

とはいえ、ラスト二人で、ぽつぽつと芝居のセリフを言い合うシーン、
なんか不思議な色気があってよかった。(二人とも)

訛り台詞で笑いをとってたのは96期の夢奈瑠音、上手いよねえ。
…裁判記録を地裁に見に行ったときのメモメモ…
あんま名前あがってないよね…
と気にしてしまうんだよなあ。

ネッケル長官、輝月ゆうまくんが安定の髭。
サンジェルマン伯爵のお城? を模した大きならせん階段風のセットを、
歌いながら登るとセットが回る、という仕掛けがあって、
歌や存在感が負けずに力強くて良かったです。
あ、ロミジュリの大公閣下ぽいのか、その動き。

そうそう、そのセット、
正面から見ると、オギーの『ソロモンの指輪』に似ている。
あれは、まわってる途中で、極楽鳥がうじゃうじゃいるのが見えて、
ぞおおおっとしたけど、今回はそうでもない。
ただ、上でネッケルが歌って、下では民衆がうめいている、
っていうのなんかは、なかなか良かった。

些細なことだけど、
くるくる巻き毛を、ボリュームが出過ぎないように作ってたり、
みやるりの美意識がいろいろ反映されているんだろうなあ、と思った。
芝居のほうも、東上する前に変更したとか。
(それでこれということは、元はもっとひどかったってことか)
…めったにない主演なんだから、
もっといい作家でやってあげてほしかったよ。
って、そんなこと、しょっちゅうあるよね、宝塚。トホホ。


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