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グローリアス!(DDD青山クロスシアター 8/27 13:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

映画「マダム・フローレンス」と同じ題材の、
実在した音痴な歌姫のお話しです。

映画(残念ながら未見)では、夫がマスコミを買収して、
いい批評しかかかせなかったことになっているようですが、
このお芝居では、夫は登場せず。
マスコミも登場せず。

出演者は、
歌姫(篠井英介さん)と、
ピアニスト(水田航生くん)、
家政婦・友人・批判的な上流婦人の三役をやるユミコ(彩吹真央)さん、
の3人だけ。

ドラマチックな出来事が起こるわけでもない。
強いて言えば、ハラハラ要素は、
「リサイタルのチケットが売れるかどうか?」
ぐらい。

結果、マダムの魅力が全てになっているんです。

それが、大成功だと思う。
篠井さんの当たり役なんじゃないかなあ。
(ご本人は大変だろうけど)

最初は、歌の下手さと、変なテンションに、
ドン引きしていたピアニストが、
いつのまにか、マダムを敬愛するようになる。
その場面が台詞で表現されてもいいんだけど、
あえて言葉では表現していない。

でも、なぜか違和感がない。
それは、観客もピアニストと同じように、
最初は「どうなんだろう、この人…」「音痴っぷりはどうなんだろう…」
と探りながら観ていたのが、
どんどんどんどん、マダムを好きになっていくから。

歌の下手さの魅せ方も、いろいろ研究されたのだろう。
始終、クスクス笑ってしまった。
衣装で羽を背負って、自分でパタパタするのがあるんだけど、
(史実でもそうらしい)
タイミングとか、よく考えられてる。
何回でも観たい。

下手も、突き抜けたらすごい芸。
それを支えているのは、
「好きなことに無心になっている」ということだ。
素晴らしいことじゃありませんか。
だから、多分みんな、マダムに憧れてたんだと思う。

もちろん、好奇心、嘲笑したい、というような興味もあっただろうけど、
でも、それを満足させるだけの芸でもあったということ。

音痴な歌姫の笑える話かと思ってたけど、
そうではなくて、
好きなことに一生懸命な人の話だったわけ。

篠井さんの上品な持ち味も、
音痴さを下品にしないで、可憐さに変えた要素の一つ。

いろんな花柄の壁紙を使った、
下品の一歩手前みたいな派手でかわいい舞台、
内容にぴったり。

ピアニストのピアノ演奏は、どうするのかと思ってたら、
なんと、舞台はじっこに本職のピアニストがいて、
口パクならぬ、演奏パク。
ピアニスト役の水田くんと目を合せたり牽制しあったりしてて、
舞台ならではの面白さ。

水田くんは名前の通り、したたる色気があるねえ。

ユミコさん、お久しぶり。
スペイン語でがなる家政婦は間合いがよくて面白いし、
なんたって、マダムの友人役のおばあちゃんがかわいいのなんのって。
男役時代は優等生的な役が多かったけど、
素はこういう、ふんわりしたかわいらしい人なんだろうなあ。

1時間40分の、こじんまりした、愛すべき小品でした。

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阿弖流為 –ATERUI(日本青年館 8/4 15:00) [観劇メモ]

やっぱ大野作品いいわぁ~。
大劇だと詰め込みすぎになっちゃうけど、
これぐらいの規模、時間だと、ちょうどいいわぁ~。
原作ありだから迷走しなかったというのもあるかな?

礼真琴さん(すごすぎて愛称で呼べない)は
もはやトップのような働きっぷり。
安心して見ていられる。
それでいて、フレッシュ。
小柄なことも全然気にならなかった。

リーダーとしての責任を果たすという意味では、
バンディートにも近いね。
そこに当然、友情が絡む。

アテルイとモレは、お墓も一緒なぐらい、セットな組み合わせ。
(将軍と参謀)

で、モレがアテルイに、言うんですよ。
「死ぬ日は同じと決めていた!」って。
ちょっとーーー、全国の腐のみなさん、今の聞いたーーー!??
って客席で叫びそうになっちゃったよ。

モレ役の方は、「鈴蘭」でも礼真琴さんの家来みたいなのやってたね?
(スカステに一瞬だけ再加入したので、ちらっと見た)
しゅっとしていい感じね。
組替えなんだ。
重要な役なのに、パンフでの扱い小さ過ぎねーー? 
とみんな思っただろうけど、これから出世するのであろう。

ほかにもさー
ラブシーンで、(あ、これはヒロインとの場面ね、一応)
「あなたの中の炎が私にもえうつった」
「その炎、消しはしない」
みたいな台詞もあったよ。
素敵素敵~~

最近のたっくんは、
エンタメ要素も入れられるようになり。

ラブシーン、決め!
の直後に討伐の命がくだって、幕! 一幕おわりー
とか、こなれている。

二人が死ぬところ、
お酒を飲みながら、
「蝦夷に生まれて良かった!」と笑顔で言い放って、
ぱっと暗転して、
すぐに明るくなると、
そこには二人分の首(布で包んである)が置いてある、
とか、、
今でも思い出すと切ない。

映像を使うのも多くなったね。
今回みたいに、地名のヨミと漢字がぴんとこなかったり、
地理がわからない場合、地図を写すのはとてもいい。
頼りすぎない程度にしてほしいけど。

ストーリー上は、
裏切りと見せかけて…? というくだりが少し分かりにくかったかな。
勝ったのに降伏、じゃなく和睦にするとか。

柚美さんの男役は、面白かった~。
だって、轟さんに似てるんだもん。

みんなに、ちょいちょいエピソードあるのがいいよねえ。大野作品の良さ。
あんるちゃんの役とか、人身売買で買われて、召使として忠実に仕えている…
ってなんか深読みもしちゃうよーん。

敵役である坂上田村麻呂が、子どもの頃多賀城にいたことがあるとか、
経済的な理由で協力する物部氏とか、
いろんな人がいろんな感情で絡んでるってのも、いい。

そしてそして、しーらん!!
しーらん史上最高だよ!!
いや、この作品で一番の賞をあげるとしたら、しーらんだよ!!
細くて、熱くて、頑張ってるなあって思ってたしーらん。
すごい大人の男だったぁ~。
アテルイたちの先輩格で、
大和朝廷に従順なふりをしておいて…じつは、っていう難しい役。
細さが逆に、枯れた感じになっていて、
一見枯れていて、でもそれはちゃんと戦略を持っていて、
次世代のために犠牲になる、、、。
つかまったあと、檻に入れられて引き回される場面が、もうもう…
はうううう
しーらん、次で退団なのかあああ。
素晴らしかったです。

文化祭以来、いいと思っている、天華えまちゃん。
良かったわあ。お芝居上手いわあ。

ヒロインは有沙瞳。二人並ぶと等身バランスがいいねえ。
だいもんだと、ちょっと顔が濃すぎる同士だけど、
こっちの組み合わせのほうがいいな。
(あと、今って娘役は歌えることが大事なのかしらん)

二番手で坂上田村麻呂役は瀬央さん。
見た目が男っぽくて声がやや高いってのが、
ちょっとキタロウくんを思い出すけど、
もっと怜悧な感じ。
役にぴったり。

輝咲さんが最初に討伐に行く大将で、
この方、悠未ひろ的な、怪物っぽいすごみがある。

夏樹れいさんはおバカな貴族を、美麗なお顔でコミカルに演じてました。
退団かあ。

音楽は高橋恵、、高橋城のお嬢さん?
ちょっとお父さん似のメロディーもあった、
けどやや単調かな。

フィナーレでたくさん桜が咲いてた。
大野作品はお花がいつも登場する。ちゃんと意味がある。
これはきっと、舞台になった場所が桜の名所なんだろうな、
と思って調べたら、多賀城跡が、桜の名所なのだそうです。あたりー。
ああ、この人物たちが、1200年以上たって、お花見をしているところなんだね。
せつなーーーー。

原作を読んで、どこをたっくんが変えたのかとか、比較したいです。


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邪馬台国の風/Santé!!(東京宝塚劇場 8/11 15:30) [観劇メモ]

駄作だ駄作だと聞いていたせいか、
それほど驚かなかった。
何回も手直しされているそうだ。

「大海賊」を「そこそこよくできてる」と思うぐらいには、
破たんがないと思う(笑)。
見た目かっこつけているのに、主人公の感情がわけわかんない、
サイコパスか、お前は、
というような作品に比べたら、全然マシかな、という。

でも、全然深くはない。
場面転換とかにもなんの工夫もない。
昔の作風なんだろうね。

敵役がただの敵役でしかなくて、近代的な物語で求められる動機とか何もない。
愛し合った二人が、立場のせいで別れざるを得ない、
それだけで持たせているという。
あと、何重にも三角関係とか。

でも宝塚ってこういうの多くない?
配役も、番手とかをちゃんと考えて、そこそこ順当にふってるし。

突っ込みどころと言えば、
巫女が神のお告げを得るのは真実とされている一方で、
手を熱湯につけてやけどしなかったら無罪っていうのは、
薬草で、ある意味科学的にやけどを回避する現代的解釈なのねえ。

そういえば、邪馬台国って結局どこにあったんだろうねえ?
いろいろわかってない時代だからねー
服とか本当はどうだったんだろうねー
などと邪心が時折入り込む。
同じような衣装でも、太王四神記は邪心入り込まなかったから、
(外国の話だからかもしれないけど)
観ながら、ちょいちょい退屈していたのだろう(笑)

キキちゃんがすごくかっこよくなってた。宙組に組替えかあ。
ゆきちゃんの巫女がぴったり。


ショーは賑やかだったけど、あまり残らず。
みりたんの女装が美しかった。
ロケットの衣装がかわいかった。葡萄なのかな?
カレーのロケットボーイが「スターさん!」って感じでいい。

みりたんとゆきちゃんのデュエットダンスにときめいた。
仲良さそうでよかった。
みりたんがフィナーレで組子の顔を見るのも、いい感じ!
なかなかなつかなかった猫が、
ふわっと近づいてきてくれた、みたいな。
(まだお腹全開じゃないけど、そのうちお腹全開もいけるかな、ぐらい)



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カントリー~THE COUNTRY~(DDD青山クロスシアター 7/13 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

イギリスの翻訳劇で、
「ええ」とか「そうね」とかの相槌がバンバン台詞にかぶるような、
そういう芝居です。
やや、翻訳に難があったか、
いや、それはわざとなのか。

終始イライラしている芝居なわけです。
なかなか面白かった。

田舎住まいの専業主婦(ゆうひさん)と、夫の医者。
夫が深夜に、若い女性を保護したといって連れてくる。
でもなんかあやしい。
イライラする会話の連続で、
だんだん、夫とその女性がもとからつきあってたとか、
そもそも医者という立場で患者を半ば強制的に○○したとか、
麻薬やってたとか、
そういうことが少しずつわかってくるんだけど、
別に、何も解決しない、という。

その若い女性と専業主婦との、
マウンティング合戦みたいなのもあり。

翌朝、夫がいそいそとテーブルセッティングなんかしちゃって、
妻にプレゼントなんかしちゃって、
でもそれが田舎では履きづらいハイヒールだったりして、
何かズレている。
仲良さげな会話のあいまあいまに、嫌味や探り合いがはさまる。
ちょーーー怖い。

でも、そういうのって、普遍的かも。
本音を隠した会話から見える、いびつな関係性。

夫役の人が、いかにもいい人そうで、
それだけに蔭であんなことやこんなことしてるのか、
と思うと、ぞーーーっとする。
伊達暁さん、上手い。

ゆうひさんが地味めの専業主婦という意外な役。
いろんなことを察知できてしまう頭の良さがあるのに、
現状維持しようとしたり、
表面をつくろったりする、硬質な感じが、
案外あっていたかと。

ステージの三方を客席が囲み、
ステージと客席の間の空間が家の廊下という設定になっている。
ステージ下に小道具をしまってあって、そこから物を出したり。
ちょっと面白かった。



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