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死の舞踏(シアターコクーン 3/24 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

令嬢ジュリーと死の舞踏を、交代で上演するという。
令嬢ジュリーは前に観てすごく面白かったのでそれにするか、
いやいや、観たことないほうにするか、ということで死の舞踏を選択。

シアターコクーンの舞台の上なんですかね、
上に照明や幕をつるすバトンがいっぱいある狭いスペースを
三つに区切って、中央が演者がいるところ、左右に即席の客席という
変なつくり。
演じているほうは、両側から見られているわけ。
夫婦というものはお互いさま、みたいな意味なんだろうかねえ…??

話は、壮絶な夫婦喧嘩です。
とにかく最初から最後まで夫婦喧嘩。
いやはや。
こんなひどい夫婦喧嘩は見たことない。
二人とも相当病んでいる。ひどいわあ。

と思いつつも、
たとえば、喧嘩しておきながら、
すぐに「トランプする?」なんて言ったりするあたり、
自分にも思い当るような、
ものすごーーくリアルな感じが、またまた怖ーい。

病んで喧嘩ばっかりしてる夫婦のところに、
妻のいとこで、二人のキューピッド役だったという男が登場。
力関係が危うくなって、
妻が夫の昔の罪をあばいて、夫を投獄させようという計画がどうなるか、
というのがおおまかなストーリー。

いとこが、妻のほうと駆け落ちしようとしてたんだけど、
それをやめる瞬間というのが、象徴的だった。
ひどい夫から解放してあげたと思っていたけど、
結局、自分とこの女との関係が、ひどい夫との関係と
全然変わんないじゃん、という気付きなのか。
それとも、病んだ夫婦の喧嘩のネタとして、
結局自分は利用されてただけなんじゃないか、という気付きなのか。

膨大な台詞のやりとりに、必死についていって、
心理を読み解くのが楽しい。
でもさすがに、ずっと夫婦喧嘩なので、疲れる(笑)

やってるほうは100倍大変だろうなあ。
令嬢ジュリーじゃなくて死の舞踏を選んだもう一つの理由は、
神野三鈴が出てるから。この人、ほんとにいっちゃってて好き。
夫の役は(ひらみきがやる予定だったとか?)池田成志。
こういう落ちぶれた役はイメージじゃなかったんだけど、違和感なかった。
ただ、やや健康そうなので、
急に心臓発作が起きる動作とかに笑いが起きていた。
(でも、ここまで壮絶な夫婦喧嘩って、ある意味、
笑うしかないものだから、それでいいんだと思う)
いとこ役ははじめてみた音尾琢真、声にすごく張りがある!

しかし、ストリンドベリって、すごい人なのだなあ。。。
令嬢ジュリーといい、男と女のいがみ合いをここまで徹底して描けるなんてなあ。
病んでるよなあ。

イプセンといい、チェーホフといい、ストリンドベリといい、
19世紀終わりころのお芝居って、すごいのね。
あれっ、イプセンはノルウェーの人、ストリンドベリはスウェーデンの人、
北欧か~~

と、検索していたら、このブログが面白かった。
http://yondance.blog25.fc2.com/blog-category-26.html
ストリンドベリも病んでいるが、ファンも相当面白い。

こっちも面白い、と思ったら、令嬢ジュリーの脚本家だった。
http://blogs.yahoo.co.jp/backstage_majorleague/43632300.html?__ysp=56y56YOo5Y2a5Y%2B4IOOCueODiOODquODs%2BODieODmeODqg%3D%3D
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グランドホテル / カルーセル輪舞曲(東京宝塚劇場 3/16 18:30) [観劇メモ]

グランドホテル形式、すなわち群像劇、の語源であるにもかかわらず、
やはり宝塚、トップスターをがっつり主人公に据えた作りでした。
これはこれでいい。

たまきちが、カウチにがばーって脚開いて座るの、
あれ、なんなんすか。
そして、ちゃぴの、年くってる(役作り)のにキュートで、
ラブシーンでの、ぱあああっと明るくなる表情!

たまちゃぴ、ええのう~。

たまきちは強いていえば優等生っぽさが難だけれども、
年上の女性(設定)と組むと、
大人の女につりあってる包容力ある男、
すげー見る目あんじゃん、
ってことになって色気が出るから、組み合わせとしてすごく良い。

ちゃぴが、ちょっとした動作すらもバレリーナっぽいのが、素敵。
台詞の抑揚といい、貫禄といい、
大スターを観たぞ、トップ娘役ってこういうものなんだぞ、って気分になる。大満足。

みやるりのオットーも良かったなあ。
ちっちゃくてほそっこくって、ひょこひょこしているの。
美しい御尊顔ゆえに、世間知らずの少年のようにも見え、
でも重い芝居(褒め言葉)ゆえに、
ホテルに泊めてもらえないことや、社長への恨みが切々と伝わる。

この3人がいるときにグラホ。
素晴らしい選択だ。

フラムシェンはわかばバージョン。
バカっぽいのが本当に似合う(褒めている)。
野心はあるが、リスク管理は全くできていない。
やや高貴なので(当たり役マリーアントワネットが高貴なおバカさん)、
なぜ貧しい暮らしなのかな? とはちょっと思った。

主人公を一人に定めた結果、
ワリを食ったのはプライジング社長。
カラスのソロがまるまるカット。
うーん、これは残念。
せっかくのみつるのおじさま役なのに~

あと気に入ったのは、やはりトシちゃん。
すげー眼力。冒頭出てきただけで、ぐわーっとひきつけられる。
輝月ゆうまくんもやっぱりいいねー。髭と長身、ちょっと傲慢な支配人。

エリックは暁さん、出番少ないのね。
ラファエラは朝美さん、断髪がお綺麗でした。

退団の咲希あかねちゃんと、たかちくんが、
それほど出番がなくて残念。
海外ミュージカルは役が少ないのが難点よね。
二人がダンサー役かと思ってたのになあ。

そうそう、最後の死神役がちゃぴちゃんだったのは驚き。
エリザベッタと出会ったことが男爵の死の直接の原因ではないじゃーん。
まあ、スターの格と技術から言ったらちゃぴで正解なんだろうけど。

ラストに二人が白い衣装で踊るのは、宝塚らしくていいね。
その前に、白い服の二人が回転扉ですれ違うっていうのも、面白い。

従業員が貧しいという場面や、娼婦の場面も当然無し。
階級差があまり出て来なかった。すみれコードなんだろう。
ラスト全員が一列に並ぶのは、階級差の無い世界だといいな、
という意味らしい。

それはまあいいけども、
舞台の周囲に椅子があって、出演者がそこで待機してるっていう、
よくある演出。あれは意味不明だ。
特にラブシーンを衆人環視の中でやってるのはよろしくない。
観客はラブシーンに入り込んで見ていたいのに。
(実際は2000人で見てるんだけど、そのことに気付きたくない)


ショーはねー
最初、三木作品かと思うほどのブツギレ。(稲葉作品だった…)
コンセプトは一体なんなのか、と面食らったが、
どうやら、モンパリ=世界旅行→回転木馬、ということらしい。
世界をめぐって、最後、宝塚に戻ってくるのね。
それ自体は悪くないが、、、回転木馬と二重になっていることが伝わりにくいし。
なんといっても、場面ごとに、じゃじゃーんって中央でポーズとって暗転するのが、
つまらなく感じてしまう。
あああ、オギーのショーが観たい…場面場面がつながっていく、アレが観たい。

テキーラの場面はかっこよかったな~。
トシちゃんの、超絶素早いサンバステップにも驚愕。


そうそう! みやるりが二番手の羽しょってた!
ちょっとウルッとしました。


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炎 アンサンディ(シアタートラム 3/10 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

初演のとき評判良かったな、
ターコさん主演だし、取っておくか、
という軽い気持ちでチケットを取りました。

観劇が近づくにつれ、
なんだか重い話みたいだからどうかな、うーん、
と気乗りせず。

だがしかし!

こりゃすごいわ!
チケット取ってほんっとーーに良かった!


重いは重いです。
最重と言ってもいいです。
(あ、うそです、『マーキュリーファー』の重さはどんな作品でも超えられない)

最初の舞台はカナダ。
お母さん(ターコさん)が死んで、のこされた双子の姉弟が、
「父と兄を探して手紙を渡せ」という
お母さんの遺言を果たすうちに、
衝撃的な自らのルーツにたどりつく。

…冷たかったお母さんの過去はどんなだったのか、
「兄」とは誰か、「父」とは誰か、
という謎解きで進んでいくので、
3時間以上の長い芝居でも、全く長く感じない。

お母さんは、中東の、
日常的に戦闘(「衝突」じゃないよ)が起きている国の出身。
なので、過去の場面と、姉弟が調査しにくる場面ではそこが舞台。

作者はレバノン内戦を逃れてカナダに移民したそうで、
レバノンが舞台らしい。
でも国名とかは全然出て来ない。
あえて抽象的にしているんだと思う。
同じことが、いつ、どこでも起きうるのだ、と言うために。

読み書きもできない育ちで、幼い恋も、生まれた子どもとも引き離され、
内戦が始まってゲリラ活動に身を投じ、
子どもを探し続けても、孤児院は焼かれ、
投獄されてからは拷問やレイプに遭い、、、

「アンサンディ」という原題は「災害」「火災」という意味だそうで、
まさにそんな人生ですよ。


お母さん(の若い頃)と、その友人が、
報復につぐ報復をいかにとめるか、
いや、こんなことされて、あとは報復しかないだろう、腕組みして見てるのか?
と言い争う場面は、(「父」「兄」の種明かしをのぞけば)白眉。

○○が殺されたのは、××に△△を殺されたから。
××が△△を殺されたのは、◇◇に◎◎を殺されたから。
◇◇が◎◎を殺されたのは…
無限の報復連鎖。

「たーたかいーはあらたなー、たたかいをーうむーだーけー♪」
なんだけどさ、
現実問題、その場にいたら自分だってどうするかわからない。


観劇後何日経っても、いろんな場面を、
しみじみと思い返すんだけど、
そのたびに、発見がある。

上述の場面で、報復したいと友人が思った直接のきっかけは、
三人の息子を殺されそうになったとある母親が、
「一人選べ、そいつだけ助ける、選べなければ全員殺す」と
脅されたということだった。
子ども三人…、双子の姉弟と、彼等が探す「兄」も、三人だ!

お母さんは祖母(双子からしたらひいおばあちゃん)から、
「書くこと、読むこと、話すこと、数えること」を学びなさい、と言われる。
…娘(双子の姉)は、数学者なのだ!

冒頭で彼女が、多角形について教えている場面があって、
この点からはこの点は見えていない、云々と言ってるんだけど、
ああ、それって、「父」「兄」のことなんだなあ、とか後からわかる。

そんなふうに、いろんなことが象徴的にリンクしていて、
全く、無駄がない。


そして、演劇ならではの表現がたくさんあって、
楽しい(筋書き的には「楽しい」とは無縁なんだけど)。

過去と現代を行ったり来たりする、
過去の人物と現代の人物がすれ違ったり、

遺言について話している公証人の部屋で、
隣が工事しててうるさくて、というその音が、
そのまま過去の場面のライフルの音につながるとか、

舞台の真ん中の穴が、
土葬のためのくぼみになったり、
狙撃兵が隠れている塹壕になったり。

映画にもなったんですね。(邦題『灼熱の魂』)
映画だとこういう仕掛けはできないだろうなあ。
(そのぶん映画ならではの表現があるのだろう、いつか見たい)


ターコさんは10代から60代まで、
恋する乙女から、かっこいいゲリラ、そして菩薩様のようなラスト…
憎しみと慈愛の共存、素晴らしかったです。
(ああ、そうだ、やっぱり、元宝塚の男役の良さは、力強さと慈愛なのだ)

オカケンが重要な役なんですが、
ほかにも何役もやってて、
ジャニーズの人とは思えない(失礼)、立派な役者さんだ。
最後、泣いてました。

双子の弟が小柳友、
『非常の人』でオカケンと共演してましたね。
華があって生意気で、
最初はお母さんの過去を知ろうとしなかった彼が、
だんだん変わっていくのが、ドラマチック。

双子の姉(栗田桃子)、それからお母さんの若い頃の友人(那須佐代子)、
お二人とも、今まで観たことありませんでしたが、
一見、地味なのですが、
しゃべりだすとすごい!! 引きこまれる!
いろんな役を次から次へとやってた中村彰男も、
演じ分けが上手かった。


一日1回公演しかないのが納得の、
全身全霊でないと演じられない芝居でした。


…ネタバレしないようにしているので、
半分も語っていません。
まだまだ語りたいことがあるのよー。


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コメディ・トゥナイト(新橋演舞場 3/5 16:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

ソンドハイムの作品というと『南太平洋序曲』を見たことがあるけど、
すごく難しいという印象。
でもこれは単純なドタバタコメディなので、わかりやすかったです。
女装したり、人を取り違えたり、というよくあるやつ。

でも多分、日本人にはわからないことが多いんじゃないかな。
古典を踏まえたりしてるんじゃないの? と思った。
それか、すごくシニカルでドライな話??
あと、韻を踏んだりしているはずだよね?

ヒロインがものすごくバカだったり、
身分制度が歴然としてあったり、
武士がものすごく横暴だったり、
普通のお話しだったらちょっとあり得ないぐらい「よろしくない」ことが多い。
あえてそうしているとしか思えない。
でも、その意図は伝わってこない。
なので、大爆笑というわけには全然いかない。

あ、だからやっぱり「難しい」んだな。

主役はラブリンで、ひたすら動く役で、恋愛も発生しないので、
なかなかやりづらい役だとは思うが、まあ合ってたんじゃないでしょうか。
(藤原紀香が客席入口でお知り合いにご挨拶してた)

女装させられるルー大柴が良かった。
下手うまなの。山田花子みたい。
棒読みなんだけど華がある。
このキャスティングがあるからこそ、成立してた。

あと、老人役の徳井優がものすごく上手かった。
ちょろっと出てきて、ちょろっと台詞言うだけなんだけど、
拍手喝采。

おばかなヒロインが平野綾。
はじめて見たけど、うっとり顔とうっとり声ができてて、
ヅカっぽくてすごくいい。

ジェントルマンな印象がある鈴木壮麻さんが、
マッチョでバカな役で、ちょっと無理してて切なかった。
歌はめちゃウマ。

女郎屋の主人のダイヤモンド☆ユカイが一瞬、山本耕司に見える。
まあこのひとも上手いよね。うさんくささ含めて。

お母さん役の松田美由紀が芝居が下手だったのと、
お父さん役の高橋ジョージが芝居や歌は下手じゃないんだけど、
美しくないのが、残念だった。


それと、どうしても書いておきたいことがある。

「女中に夢中」という曲があって、
オッサンは若い女中さんが大好き、という内容なんですが、
それ自体はまあ、そう思うことは勝手だし、よくあることだろうし、
オッサンはバカだなーっていう曲としてアリなんですが。

その中に出てくる「秘密を守ってくれる女中さん」
「夜は自分の部屋に来てくれる女中さん」っていう歌詞に顔面蒼白になった。
それはあんたが雇用主の権力で無理強いしとるだけだろうが!

オッサンがそう思うのは勝手だけど、なんの批判もなしに
「楽しいナンバーですよー」「嫌なことが一つも起きないお芝居ですよー」
という触れ込みで、搾取を肯定する歌詞を垂れ流さないでほしい。

たとえば歌い終わったあとに上からバケツの水が降ってくるとか、
そういう批判を入れればいいのに。

ほかにも、「あの子はバージンだから」と30回ぐらい言ってて、
1~2回なら「オッサンのたわごと」で済むけど、連呼しないでくれ。

設定として女郎屋がメインだから、
その手のことを取り除けというわけではない。
歴史的にどこにでも存在していたこと。
ただ、「搾取」をあからさまに肯定するな、ということです。

ふ~

あ、今回も(←亜門演出という意味)、
咲良さんがアンサンブルで出ていて、
長い手足とダンス力をいかした役でした。
ほんと華やか。

曲はなかなか良かったです。
演奏する人が和服で、最初に花道を通ってやってくるのもいい演出。


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