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アナスタシア(東京宝塚劇場 2/2 15:30) [観劇メモ]

楽曲が良いと聞いていたのと、
最近好きな別ジャンルのお気に入りの人がこの中の一曲で踊っていたので、
チケットを取りました。

確かに曲はいい!
どのナンバーもテンポよく進むので、飽きない。
ストーリーもそこそこワクワクする。

けど、ラストは予想できた。
つまり、心地よい予定調和のエンタメ。
(けなしているわけではないです)

キャラクターの造形が、
いかにも昔のブロードウェイミュージカルじゃないですか?
(けなしているわけではないです)

かっこいい詐欺師、だけど心はピュア。
勝気で喧嘩もできちゃうぐらいたくましいヒロイン。
その二人より少し年上の、コメディ部分担当のカップル。

たとえば『ガイズ&ドールズ』、たとえば『コパカバーナ』、
たとえば『クレイジーフォーユー』エトセトラエトセトラエトセトラ。
ヒロインに勘違いされて、最後に詐欺師が改心する、って、
まんまだよねー。

と思ってwikiを見たら、
元は1990年代のディズニーアニメで、
さらにその元は1950年代のハリウッド映画とのこと。
なーるーほーどーーーー。

しかし、舞台は、それを意識して作っているようには見えない。
せっかくの、作品の特徴となる部分、もっと強調していいのでは。
時代考証とかの意味とは別に、
作品への理解が足りないように思った。
致命的ということでは全然ないんだけど、正直、物足りない。

ていうか、そういう古臭い要素はいらないのかな?
でも、だったらこの作品上演する意味ないような。

『ガイズ&ドールズ』、リカちゃんのも、北翔さんのも、
古臭さを踏まえて演じていたように思う。
というか、二人とも古臭い人だった(笑)。
あと、話自体が古臭い(ジェンダー云々で)から、
そうでないと成り立たなかったという面もあるけど。

今回は、話の内容自体には昔の概念は無いし、
なんといっても曲が新しいから、ついそこに注力してしまって、
曲やストーリーの表面を撫でてしまっているように思えた。


一番良かったのは、すっしーさん!!
高貴で、不機嫌で、繊細な、難しい人物を、
曲やストーリーの表面だけでなく、
奥の奥まで追究して、しっかりと造形していた。

これぐらいのレベルの演技をいつもたくさん観たいのだがなあ…。
『霧深きエルベのほとりで』の一樹千尋さんを思い出した。
もはや、かなり期が上の人でしか観られないのだろうか。


あ、そういえば、
ペテルブルグの街について歌うナンバーが良かったな。
盆がぐるぐる回って、
背景の映像もそれについていって。
そういう「見せ方」はけっこう良かったと思う。


ちなみに、もとは18:30の開演だったのが、
緊急事態宣言を受けて15:30開演。
ほかの公演もよくそういうずらしをやっているけど、
宝塚は土日にやってるパターンだからずらしやすい。
ただ、ずらしても何の意味もないと思うがなあ…。
特に宝塚では、(出待ちもないし)
夜公演のあと飲食するファンはそれほど多くはないのでは。
むしろ15:30公演のほうが、終わったあと20時まで飲食しやすい。
なお、席は一席ずつあけてはいなかったけど、けっこう空席があった。


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パレード(東京劇術劇場プレイハウス 1/28 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

(ネタバレします)

1910年代にアメリカ南部で起きたレオ・フランク事件を描いた、
1990年代後半のミュージカル。

前回観られず、評判が良かったのでチケットを取った。

すごかった…。
みんな観て! 絶対観て! と叫びたい。
DVD、せめてCD出してくれ。

主役はれるような歌ウマさんが束になって出てる。
めちゃレベル高い。
楽曲もいい。
森新太郎のかっこいい演出。

なのに内容は、あまりにもあまりにも、つらい。ていうかひどい。

当時の南部は、南北戦争で負けたことをずっと根に持っていて、
奴隷を廃止させられたから、白人の子供が工場で働いてる、とか思ってる。
戦没者追悼の記念日が祝日で、盛大なパレードが行われる(これが題名の由来)。
「南部の誇り」にしがみついている。

それで、主人公である、インテリの北部出身のユダヤ人を差別して、
冤罪で殺してしまう。

アンハッピーエンドだとは知ってたけど、
まさか主人公が××で××されて終わり、だとは思わなかったよ!
(書くのがつらくて伏せてしまった…)


冒頭は南北戦争に出征する若い兵士なんだけど、
すぐに彼が、片足になって登場する(別の役者なんだけど)、時間の経過がわかる。
その片足の老人は最後の最後にも登場するんだよね。恨みの象徴なんだろうな。

石丸幹二が、ちょっとおどおどとして、最初は妻にもつらくあたるような主人公。
南部のお嬢様でおっとりしているのに、どんどん力強くなる妻、堀内敬子。

フェイクだろうがかまわない、ニュースをまき散らす新聞記者、武田真治。
今井清隆の役は、アメリカでは有名らしい、差別をあおった新聞の社主らしい。
たいして台詞はなくて、通底するような歌を随所で歌ってる。
サカケンが偽証する黒人。これが歌がうますぎてねえ…。(この人が真犯人ぽい)
ハマコが黒人役や、被害者の母親役も?
オカケンが最後は正義を通そうとする州知事。でも古い体制の人ではある。
そんちゃんがその妻。二人の夫婦愛も良かった。
石川禅が冤罪に陥れる判事。この人、こんな色っぽかったっけ?


歌のうますぎる人たちが、「あんなやつ死ねばいい~」みたいなことを
朗々と歌うわけ。
レベルが高いからこそ、真実味が、説得力が、すごい。
いや、これ、フィクションだから、と思う隙が全くない。

ミュージカルって、すごいものなんだ。
ミュージカルだからこそ、パレードに集う、南部の人たちの盛り上がりが、表現できる。
ああ、こんな熱狂だったら、酔っちゃうよね。人を殺しても平気かもね。
だってみんなで盛り上がってるんだから、これが正義でしょ。って。
ミュージカルってハッピーで楽しいものだと思われがちだけど、
その逆の表現もありなんだ。

上から降りしきる色とりどりの紙。
ずっと掃除しないの。
しかも八百屋舞台で大変。
過去の堆積、なんだそうだ。
過去からずっと積もっている差別、憎しみ。

南軍の旗がしょっちゅう登場してたけど、
ちょうどトランプ支持者が議会に乱入した事件があったじゃないですか。
あのとき、その旗持ってる人多かったよね。
怖い! 今でもずっとつながってるんだよ、この問題が!

主人公夫婦が、冤罪を晴らそうと努力する中で、
心が通じ合うのは、救いの一つではある。

あと、最終的には、
主人公が絶対に嘘をつかなかったことと、
妻がパレードを見つめ続けるラスト(彼女は南部に住み続けたそうだ)
が、自分としては、ある種の希望だと思った。
嘘をつかない、現実を見つめ続ける(「見る」という行為は、抗議の意味でもある)、
それすら大変なときもあるかもしれないけど。

そうそう、黒人の表現が黒塗りではなく、
首に黒いストールをまく、というものだった。



思うところは山のようにある。書ききれない。






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東京原子核クラブ(本多劇場 1/16 17:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

マキノノゾミの出世作、東京国際フォーラムこけらおとしだったそうです。
(え、どのホールなんだろう。メインのとこだと広すぎる気が)

戦前の下宿屋さんの群像劇。
主人公は理化学研究所で原子核の研究をしているという、水田航生。
(上司の西田さんは、原子爆弾の開発をしていた仁科芳雄がモデル)

わちゃくちゃと楽しい日々、でありながら、
それぞれの立場と世相がきちんと描かれてて、
しみじみ、いい作品でした。

下宿屋をきりもりするお嬢さんは、化学をやってたけど、
理研には女性は就職できなかったんですって。
戦前、大学に行けた女性はすごく少なかったはず。
なのに就職はできないのか…。

ダンスホールのピアノ弾き、ダンスホールが閉鎖されたあとは満州の慰問団に。
プロレタリア演劇の作家で、特高につかまっちゃう人は、戦後は逆に大人気になったり。
下宿屋のお嬢さんといい感じになるけど、結婚はしない軍人さん。

そして謎の女が、きりやん!
レビューダンサーだったり、富豪と結婚したり、突然修道女になったり。
ちょこちょこっと出てきては笑いを取っていて、
もうかわいいのなんのって。
まるで『ガイズ&ドールズ』のアデレイドなんだよー!
アデレイドがまた見られるなんて!
男役の場面もあって、めちゃウケてましたが、本職ですからー。
きりやん、何かで「笑っちゃうほどかっこいい」っていう表現をしてた。
まさにそれだよー。

物語のクライマックスは1幕も2幕も、大村わたる(柿喰う客!)演じる、
東大の野球部…? という学生…?
「聖なる愚者」という位置づけなんだろうな。

仁科の研究が背景にあるからには、当然、原爆が大きな要素なわけです。

市井の人々は、
ある人は、生きるのに必死で、政治のことなんか口にしない、
ある人は、戦場に行っても死にそうになったら絶対に逃げよう、と思い、
ある人は、日本がすごい兵器を開発することを心から願い、
そして科学者は、原子核に魅せられすぎて、原子爆弾投下のニュースに、
死んだ人のことよりもまず、「先を越された」と思ってしまう。

けっこう重い話なのだ。
同じような局面になったら、私たちには何ができるのだろう。

DVDを買いたい。


ところで、元の開演時間は18:00だったの。
1時間繰り上げ。
終演は20時。
お店、どこもやってない!!
家に帰ったらけっこう夜遅い。困った。

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ザ・空気ver.3(東京劇術劇場シアターイースト 1/10 13:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

(ネタバレします)

今年の観劇はじめ。
緊急事態宣言になってからまだ数日。
めったに都内に行かない夫と一緒だったこともあり、なんだか緊張感…。
客席には、席と席との間に仕切りができていたし、
誰もしゃべらない。

でも始まったら笑いの渦。
そして、ぞっとする。
さすが永井愛。

空気の1と2は人気すぎてチケットが取れず、あとでDVDで見た。
「桜木さん」がずっと登場するのね。
古い体制を象徴するようなオッサンが必ず出てきて、
主人公はそれに対峙する。
40~50代の女性も必ず登場する。

でも今回面白いのは、そのオッサンが途中で、
自分が持っている政権にとって不都合な証拠を公開したい、と言い出すこと。
そして主人公がそのことを最後の最後にためらって却下すること。
うわー、鳥肌ものだ。

テレビ業界のブラックぶり、下請けの不利さとかもしっかり描かれていた。
若者がよくも悪くも無鉄砲なのも、面白くて、つらい。
中間管理職的な人の態度の(いいほうへの)変わり方、
若い女性キャスターの立ち位置や振る舞い…。

オッサンもそもそも、元は政権批判する側だったわけで、
一人ひとりの中のいろんな変化や迷いが、わかるから切ない。

オッサンは佐藤B作。ちょっとかわいげすら感じる。
(1の木場勝己は心底むかついたし、2の松尾貴史は心底いけすかなかった。
どっちもそれぞれすごかったよ。オッサンもいろいろなのだ。)

主人公は私の好きな神野三鈴。
ちょっとテレビ局の人にしては神がかってるが(笑)、
さすがの緩急と迫力でした。


帰りにお茶もせず、まっすぐ帰宅する観劇、さみし~~。
観劇って、その前後も大事だったのだな…。
でも、上演されるだけでありがたい!




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