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王様と私(関内ホール 7/27 18:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

すっごく有名な作品なので、知ってるつもりになってましたが、初「王様と私」。いやあ、けっこう深い話なんですね。

全く文化が違うから、反発ばかりするけど、分かり合いたいとも思う。それは、相手に魅力を感じるから。分かり合うために、少しずつ少しずつ折り合っていく。そうして心が通じ合う瞬間がある。でも、どうしても譲れないことがあって、最終的には決裂してしまう。シャル・ウィ・ダンスってこんな切ない曲なんだ!

文化だけじゃなくて、個人対個人でも、こういうことってあるよね。と思うと、けっこうしみじみして、泣いてしまった。

とはいえ、あくまでも1950年代のアメリカから見たアジアなので、民主主義万歳、自由恋愛万歳。そりゃあ、タイで上演禁止にもなるわなあ。大体、アンナ先生はもうちょっとシャムの文化に敬意を表すべきでは? イエズス会は現地の習慣を学ばないと布教できなかったんだよ。っと、この場合は、シャムのほうからわざわざ西洋を学ぶためにアンナ先生を呼んでるんだから、いいのか。

それに、アンナ先生が感じる王様の魅力というのは、子どものように無邪気であることなんだけれども、これって日本人も西洋人によく言われたことで、西洋人は褒めてるつもりなんだけど、日本人はバカにされたって怒ってたもんです。ひざまずいてお辞儀をすることも、日本に来た西洋人が驚くことの一つ。。。

でも現代日本の私は、この1950年代のアメリカの考え方にすっかり慣れているんだな、と再認識。…本当の「善」って、なんだんだろうなあ。王様を敬うこと? 鞭打ちしないこと? 自由恋愛を認めること? 立ってお辞儀をすること??

っと、異文化交流の話はここまでにして。

王様も、アンナ先生も、歴代いろいろな人が演じているのですね。アンナ先生は代々男役だそうで。確かに、びしっと王様とやり合う場面が多いし、でも先生としての大きさや、母性も出さなくちゃいけないしで、なかなかいい役ですね。リカちゃんは、ひいき目だろうけど、メラニーの延長線上で、包容力と異人さん感あふれて、なかなか良かったです。

マツケンはもうかっこよくてねえ。そしてかわいくてねえ。怖さと無邪気さを自在に操れるのが、さすが。

タプチム役は、しょうこお姉さん。これがとても良かった! 『回転木馬』のときもかわいくて上手かったけど、ちょっと不思議ちゃん的で、役を選ぶ人だと思っていたのだ。でも今回は、可憐で健気な恋する乙女で、もうふつーにどんなミュージカルのヒロインでもやれます。やってください。やらせてあげてください。なんたって、あのきれいなソプラノで恋心を歌い上げられると、ほろりとします。

マジーが劇中劇の怖い王様役で出てました。お面をかぶっていてもわかる、エレガントでダイナミックな踊り。

タプチムの恋人役の藤岡正明くんというのは、はりのある素敵なテノールなんだけど、歌っている顔が変顔になっているのが、ものすごーーーく残念。

ラムゼイ卿役の橋爪淳さんが、わたし好みのインテリ風ハンサム。

最後にフィナーレ的にもう一度シャル・ウィ・ダンスを踊ってくれたのが、救いでした。(ヅカファン的発想)
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BAD GIRLS meets BAD BOYS(東京国際フォーラム 7/14 13:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

去年、エレクトリックなんとかという公演に、わたるが出演したとき、SKY STAGEで見たtakahiroさんのダンスがすごかったので、今回初めて生で観ることにしました。水もまりもも出るしね。

その稽古映像だったかの、わたるの下手っぷりがすごくて。でも実際観に行った緑豆が「わたる、上手くなってたよ」と言っていて。佐久間先生の公演にしても、takahiroさんにしても、わたるって、自分からこの人に習いたいと思ってアクションを起こして、一生懸命練習して身につける。すごいよなあ。。。

で、わたるも水もまりもも、そりゃあ、タカラヅカ的なきれいな踊りがベースではあったけれども、のびのびかっこ良く踊ってました。

前半は女性(元ジェンヌ3人と、そうでない2人)中心の内容。後半は、男性中心の内容。特に前半は、ヅカファンがよく知っているようなスタンダードな曲を、今風(またも使う「今風」(汗))にアレンジしてあって、わかりやすいけれども、とってもスタイリッシュ。振付けもすごーーーく素敵。

ただねー、どうしても「オカマバー」なんだよね(笑)。わたるママ、水チイママ、職人ダンサーお二人に、新人まりも。いやっ、褒めてるんですよ。妖しさと迫力がすごいってことよ。わたるが退団後すぐのころ、『ダムヤンキース』の魔女とか、どうしてあああいう役が来るんだろうって思ってたけど、今考えると、似合ってたんだな。でっかくて妖しくて、でもどこかあっけらかんとしている…オカマ的な美しさ。そこに、外国人男性が絡むと、オカマバーに観光に来ました的な。。。男性たちが、人形と踊るシーンがあって、すごく笑えたんだけど、その後に女性と絡むと「やっぱり人形よりはオカマのほうがいいや」な構図に。。。(言いたい放題)

takahiroさんはそれほどたくさんは出なかったけども、やっぱりすごかったです。つーても、どうすごいのか、説明できなーい。動きが速いんだわよ。

そして、原田薫という人が、めちゃ上手だった。あっ…ヤンさんの公演の振付けとかもしてる人なのか!

それにしても、内容としては高いレベルだったんだと思うんだけれども、国際フォーラムの3階席から観るのは、無理があった。タップダンスとか、3階席から観るもんじゃないやろ。古典バレエとかタカラヅカのように、ある程度装置で見せるものでないと、置いてけぼり感が半端ない。もう少し小さい劇場で、日数多く公演してくれればいいのになあ。
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ルドルフ ザ・ラスト・キス(帝国劇場 7/10 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

「ただのロマンスじゃない」というデュエットが素晴らしかった。離れたところにいる二人が、互いを思って歌う歌。楽曲もいいし、よしおとたっちんの歌唱力もすごいし、なんたって入れ子になった盆二つを逆に回す演出(双子回しというそうな?)が、ぞくぞくする。曲の、い〜いところで、二人が一瞬重なったりするの。かっこいい!

かように、装置関連がとてもスタイリッシュでした。赤を効果的に使って、赤いヒモや赤いカーテンや赤い箱、心中を予感させたり。幕を上手に使って、画面のように切り取るとか。

その赤い中に、常に白い衣装で天使のように、ジャンヌ・ダルクのようにルドルフを鼓舞するヒロイン。マリー・ヴェッツェラってこんな女性だったんでしょうか。自由思想に心酔していて、それをきっかけにルドルフと恋に落ちる設定ももちろんのこと、情けな〜いルドルフを常に勇気づける様子は、『うたかたの恋』の従順なマリーや、『エリザベート』のトートが化けた退廃的なマリーとは全く違う。とは言っても、ウーマンリブ的な力強さではなく、あくまでも「少女」の枠で力強いのがとても魅力的。

思えば、たっちんのこの強さが、現在のタカラヅカでのトップ娘役像に合わなかったんだろうなあ。見た目とかではなく。歌が上手すぎて、男役をくってしまうからなんだと思っていたんだけど、上手くて男役をくわない娘役もいるわけで。歌の上手さに裏打ちされた、男役をくうぐらいの持ち味、ってことなんだな。もっと昔のタカラヅカだったら、こういうトップ娘役もアリだったんだろうけれども…。そういうタカラヅカが観たいんだけれども…。というわけで、早めに退団してこうして活躍しているのは大正解、よかったよかった。

で、こうした勇敢なマリーが、どうして心中するのか、一体どんな感情の動きがあってそうなるのか、を楽しみに観ていたんだけど、そこは全然わからなかった。

ルドルフは、とある理想を実現するためにマリーと別れる(ここで、例のデュエットのリプライズで盛り上がる)→フランツ・ヨーゼフに「とある理想」の件がバレてガックリ(けっこうあっさり)→偶然マリーと再開(偶然なんだよね?)→あっというまに心中→幕。ぽかーん。

うーん、結局どこがクライマックスだったんだろう。。。。私の感受性がおかしいんだろうか。。。

演出はすごくスタイリッシュなんだけど、曲が華やかというか、歌謡曲っぽいことも気になった。ワイルドホーンさんなのね、納得。すごく素敵な曲なんだけど、わりと普通に盛り上がるので、見た目とちょっとちぐはぐな感じがした。(そんな中、ステファニー役の吉沢梨絵と、一路さんは、歌謡曲っぽくて、合ってたかも(笑)。)

フランツ・ヨーゼフは私の大好きな村井国男さん(よーするにオジサン好き)。なんだけど、村井さん、ちょっとワイルドだから、フランツ・ヨーゼフって感じじゃなかったな。二人の恋を邪魔する首相がさかけん。最初、警察長官か何かかと思ってました。だって、マッチョすぎるんだもん。

みっぽーやりせがいるのに、マジで驚いた。退団後初めて観たよ。(さゆさゆとミホ先生もいた)

それにしても、よしおはやっぱりすごいな。「歌いあげる」にもいろんな表現があって、それぞれちゃんとその感情で歌いあげている。それにやっぱり、プリンスだよね。それも、情けないプリンス。エリザのルドルフでデビューしたのは運命的だよなあ。
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ダンサ セレナータ / Celebrity(東京宝塚劇場 7/7 15:30) [観劇メモ]

ハリーの久々の新作はいわゆる革命もので、『ブエノスアイレスの風』や、『マリポーサの花』等々を想起させることしきりでした。

ベニーの秘密警察の役の書き込みが良かったですな。レミゼのジャベールのような、自分が信じてきた「正義」がなくなってしまう瞬間の悲しみが描かれているのは、しみじみする。

軍がわざと革命家を軍刑務所から脱走させて革命を起こさせようと工作する…っていう設定も面白い。

主人公が、革命家そのものじゃないのも、ちょっと新鮮。レオンへの宛書きとして、子どもの頃からダンサーで旅廻り、ヤクザな世界も知ってる、でも根は真っ当で、というのがピッタリ。ただ、そのことがなかなか明かされず、明かされる瞬間はすごいカタルシスになるかと思ってたのにそうでもなかったのが残念。

この主人公がヒロインに執着しているのも、『マリポーサの花』に比べるとずっと感情移入しやすい。ヒロインが一応ヒロインとして存在している。

だけども、ヒロインそのものの葛藤があまり描かれていないんだよなあ。お兄さんのせいで迷惑被ったということだけ。彼女には彼女なりの、植民地からやってきて受けた差別の数々、祖国への思いといったものがあるはずじゃないのかな。

ショーシーンが多いのは、華やかな感じがして良かった。振り付けや音楽も、かなりイケてた(死語)。

まあ、かように、良かったなと思う点はすべて、過去の作品と比べての話でして…。

一番残念なのは、何が言いたいのか、軸がなんなのか良くわからなかったこと。『ブエノスアイレスの風』のように、何があっても生きていけ、とか。『マジ鬱』のように、とにかくアサコがかっこいいからそれでいいや、とか。そういう軸が感じられなかった。

強いて言えば、「客は戻ってくる、俺たちがありったけを注ぎ込めば」という、エンターテイメントに対する思い、かな? だからこそ、ポスターのキャッチコピーが「踊り続けたい」(だっけ?)なのかな? だとしたら、そこがもっと響いてきたら良かったのにな。(エンタメとは何か的な話って、え、まさかハリー定年? サヨナラ作品??? おろおろおろおろ←腐ってもハリー信者)

最後のシーンはちょっと蛇足のように思った。

れみの役はちょっとリアルすぎる。真風はよく笑いを取っていて、ちょっと将来が楽しみになってきた。綺咲は棒読みは改善された?が、メイクがそれこそ「しわっしわ」だった。早乙女わかばは、ハリーが望む笑いのレベルには達してないんだろうなあ。

ベニーは、ブエノスの再演でおっちょんの役をやっていて、今回も同じような役。ブエノスのときよりはよっぽど「らしく」なってた。そして、あの偏執狂的な持ち味が存分に発揮された。変だよ、あの人。めちゃくちゃ変。

マヤさん枠→美城れん
シビさん枠→花愛瑞穂
ですか? 意義なし。

あ、そうそう、レオンのヒゲが似合っていなかった。ヒゲ部ファンとして、何故似合わないのかが非常に気になる。つける位置が低いのかなあ? 髪型とのバランス?? ヒゲ部の誰か、教えてあげて!!!

さて、ショー。

『インフィニティ』で一皮むけた稲葉が、大劇場サイズでどう作ってくるか、やっぱりコケちゃうのか、と期待と不安半々でしたが、なかなか楽しかったです。

なんたって、スカスカじゃない!(笑) 装置が少し豪華かしら? ミラーボールが左右や、装置の奥や前にあったりするし、振り付けも「床がいっぱい見えるよー」状態がほとんどなかった。

そして、金色の場面といい、フィナーレのピンクの豹柄の場面といい、今風な曲と振り付けがかっこいい! (語彙の少ない私の「今風」=代官山とか中目黒のこじゃれた飲食店で流れている音楽……(汗汗汗))

その「今風」は、ねねの衣装に存分に発揮されていたと思う。モデル役のときの、小花柄ガウチョに刺繍入りのジレ、金色の場面の冒頭のオレンジのズドーンとしたドレス、それを脱いだ後の金色のショーパン、銀橋渡りの黒いドレスに黒い小さなシルクハット。うーん、センスいい。夢咲ねねの、良くも悪くも最大の特徴は、ファッション誌のモデルみたいなところだから、これはいい使い方だなあ、と感心しました。

一方、今回退団のすずみんは、思いっきりクラシカルで、この対比が笑っちゃうほど。特に、モデル役のねねと、デザイナー役のすずみんがカップルだという場面では、すずみんが80年代の宝塚スターみたいなエリマキトカゲ衣装で、時代の違いにクラクラしてしまった。

女性を争って集団でケンカする場面や、白い衣装で再生する場面などは、既視感だらけの場面だったけど、音楽のつなぎ方や、途中で女同士もケンカするなどちょっと目新しいことがあったので、それほど退屈ではなかった。

お笑いというか、ちょっと気が抜ける要素を入れるのが好きなのかなあ。軽くなってしまうので、私には不要に思えるけど、それが稲葉の主義なのかもしれん。

真風場面が、礼真琴場面と化していた。真風さん、がんばってー。ほかにも、天寿みっきーや夏樹れいなど、そこそこいろんな人が使われていたのも、良かったな。(カノンはほんと退屈だった(そればっかり))

まさこ様の扱いが、、、、真風より下なのか、、、。番手が下なのはともかく、せっかくの組み替え、もっと活かす場面は作れないものか。

白華れみに一場面あげてほしかったけど、二番手娘役というのはそれほどは優遇されないものなのかな。でも、今回もどの場面もおしゃれなカツラに、キレのいいダンスで、退団を惜しみました。

(追記)白華れみには、ロココ調の衣装のコミカルな場面があった。そういえば。それに、エトワールもだ。なんで印象に残ってなかったんだろう(汗)。多分、「かっこいいれみれみ」が観たかったんですな、私。
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トップスターは人格者、という夢 [ヅカ的近況]

きりやんがいなくなって、ユウヒもいなくなった。シューマッハ全員退団した。うわ〜、さみし〜。思いのほか、喪失感を味わっております。

『大海賊』のフレデリックの美しさ、『プロヴァンスの碧い空』の下手っぷり…思い出を語りだしたらいろいろあるけど、ユウヒの魅力についてはどうも上手く語れない。なので、違うことを書く。

最近は歌劇もグラフも、チラ見しかしてないんだけど、ユウヒファンに「読め!」と言われて、サヨナラ企画の出版物などを、そこそこ読んでおりました。そーすると、けっこう、「組替えで来たユウヒさんは、いきなり私を愛称で呼んでくれたんです」的な、「トップとしてあるべき姿を実践しようとする」ユウヒ像があり、ちょっとウルっと来たりしました。

ああ、これこれ、これだよ、トップ退団ってのはさあ。きりやんの、「自分を見習ってみんなが自主練するようになった」ってのも、感嘆したなあ。

誰と限ったことじゃないんだけど、トップスターってのは、芸だけじゃなく、人格的にも素晴らしい人なんです。これは、私がトップスターにそうあってほしい、という意味でもあるし、タカラヅカの修辞としてそうやって持ち上げるのってよくあるよね、という意味でもあるし、実際に、トップを極めた人には大なり小なりそういう人格的に優れたものがあるであろう、という意味でもあります。それが、宝塚の「夢」の一つなんです。(もちろん、トップさんだけじゃなく、どの生徒さんにもそうであってほしいんだけど、一組一人だけの地位はまた特別ということで)

退団するという最後の最後に、トップさんの人格的に素晴らしい話、苦労したけどそれを乗り越えた話をたくさん聞いて、舞台上では、「マンハッタンを20年かけて北上したんだ」なんて台詞にそれを重ねておいおい泣いて。

タカラヅカって、芸を観るものというよりも、そして娯楽であるというよりも、美徳を観るものなんだよ! 少なくとも私にとっては!

身体をはって美徳を体現してくれたユウヒをはじめ、数々のトップさんたち、ありがとう。これからもそんなトップさんが生まれますように。。。

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サンセット大通り(赤坂ACTシアター 6/30 17:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

もう大阪公演も終わってしまいましたが、、、

『桜の園』といい、年をとってしまった女の悲哀話が続いております、私の観劇生活。

折しも、視力が落ちてコンタクトの度数をあげたんですよ、そしたら近いところが見えなくなりましてね。携帯電話をすこし離さないと見えないんですよ。ひょっとして、ひょっとして、これって例の……ザ・老眼! OH MY GOOOOOD!!! 顔のたるみ、二の腕の肉、何故昔のスペックに戻れないのでしょうか、この煩悩をどうしたらいいのでしょうか、神様。

主演のトウコとは同学年ということもあり、しみじみしてしまいます。そりゃあ、私はトウコのようにトップスターでもなんでもないし、主人公ノーマのような過去の栄光なんて何にもない、でも、でも、でも、でも、気分的にはよーーーっくわかる。

サイレント映画時代の大女優が、過去を忘れられずに生きていて、執事以外と会わないのにすっげー豪華な衣装着てたりして。転がりこんだ若い男に恋をして軟禁、自分のカムバック作品が撮影されると勘違い、、、

前半は、ひじょーにバランスが難しい内容だと思いながら観てました。ただの怖いおばあさんに襲われたホラー、という作りにも出来ちゃうし、一方、それをコメディにすることもできちゃう。トウコは笑いを取りがちだし。けどまあ、ホラーとコメディは紙一重だから、いいのかな(例:楳図かずお)。

が、後半になると、ホラーもコメディも遠のき、人間ドラマとして魅せられました。演出が鈴木裕美だと後から知って納得。ロイド=ウェーバーの素晴らしい音楽に流されない、きちんとした作りでした。

ラストはかなり衝撃。自分を16歳だと思って「本当の私を見て!」と言うノーマ。だけど、みんなが見ている本当のノーマは…。でももう一回ひっくり返ると、あの格好で輝いているノーマはやっぱり16歳なのかもしれないな。

それに、映画(や演劇)という世界そのものを描き出してもいるんだね。みんなが勝手に夢を描いて、勝手におしつけあっている。上手く行く人もいるけど、大半はそうはいかない。なのにしがみついている有象無象たち。

この話に説得力を持たせるためには、ノーマがある程度老けてなくちゃいけない。だけど、観客の共感を得るためには、ある程度可愛らしさや美しさもなくちゃいけない。そして何しろ、歌唱力が必要とされる。そこそこの年の女優さんなら、誰しも挑戦したい役でしょうなあ。トウコは立派に大女優でした。特に、久々に撮影所に行ったときのソロが素晴らしかった。泣けた。

ユミコは22歳ってどうなのと思ったけど、違和感なかった。ベティという役は、ノーマの対照で、映画界で自分のできる範囲で生きて行こうと思っている、とてもクレバーな人なんではないですか。え、もっと嫌味な女設定? うーん、ユミコの持ち味なのか、素直で賢い子だな、と思ってしまいました。

田代万里生は体調が悪かったそうで、アフタートーク欠席でしたが、舞台では全く遜色なかったです(ちょっと鼻声かな?とは思ったけど)。すごいなあ、歌ウマさんて。ジョーという役は、下手するとただのチャラ男だろうから、これぐらい生真面目な持ち味の人で、かえって良かったんじゃないかと思いました。

鈴木綜馬の執事マックスがとっても素敵。(アフタートークでのおちゃめキャラがまた大大大素敵)眉毛を薄くしているのかな? その下の目が、ノーマとジョーの成り行きを嫉妬ぎらぎらでしずかーに見つめているのがたまりません。でも、これは元々の設定だけど、元夫だったっていうのはちょっとやりすぎでは。

ベティの婚約者は、『愛と青春の宝塚』の兵隊さんなのねー! 戦国鍋テレビにも出てるし、立派になったねー。遠目に見るとなぜか吉本新喜劇の伊賀に見えるが(笑)。

それにしても、戸井さんと福麻さんの使われ方はもったいなかった。

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