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激情 / BOLERO (神奈川県民ホール 5/9 16:00) [観劇メモ]

やっぱ名作だわ、激情。映像でしか見たことなかったけど、面白くて、どうしても生で観たかった作品。再演してくれてありがとう! だ。

犬のような単純バカの兵隊ホセと、狼のように自由を求めるジプシー女カルメン。正反対だからこそ惹かれあい、正反対だからこそ傷つけ合う。極端な人間像だけど、どちらにも感情移入できる。

話運びがドラマチックな気がするのは、なぜ。時々幕が降りて、ジプシーの歌が入ったりして、下手すれば単調になるかもしれないのに、なぜ。音楽がいいのかな。高橋城と斎藤恒芳。いいに決まってるやーん。

柴田作品には恋に燃える男女がよく出てくるけど、その中でも破滅っぷりが、すごいよね、この話。それを、謝演出でスピーディに見せてくれるから、転落のスピードが半端じゃなく感じる。カルメンが最初にケンカするときの振り付けや、ホセを誘惑しようとするロープのダンスとか、どれも飽きさせず面白い。

初演の日比野克彦の装置はさすがに全ツでは使えないとはわかっていたけど。でも、十字架を模した台とか、色合いとか、踏襲しようとしてた。そこが、現代的で、現代にも通じる問題なんだよ、と言っているような気がした。男と女が束縛しようとしたり、拒絶しようとしたり。自由を求めれば苦労が多く、安定を求めれば退屈する。ジプシーたちの魂の叫びみたいな歌も、今でも通用する内容だし。

レオン(柚希礼音)のアホっぽさおおらかさがホセにぴったりで。「神よー!」と叫ぶとこなんか、鳥肌もの。ねね(夢咲ねね)はやっぱり長沢ちゃんで、そのへんにいそうなかわいい女の子が一生懸命意地悪顔を作ってヤンキーをやっているように見えてしまうが、それでも、じゃあほかに誰がやればいいのかと聞かれると、ねねがベストだったとしか言えない。すずみん(涼紫央)の荒々しい役は初めて観たかも、笑っちゃった。でもやっぱり上手いよね。もちろん、メリメのほうが似合っているけども。映像で見たときは、この役必要なのかな〜とか思ってたけど、必要だった。ナマすぎる破滅の物語を、一歩ひいて見れた。ともみん(夢乃聖夏)は歌がへろへろなんだなあ、もったいないなあ。せあら(妃咲せあら)がぴったりの役でよかった。けど衣装がダサすぎやねん。じゅんちゃん(英真なおき)やマヨ(天霧真世)のヒゲに満足。みきちぐ(美稀千種)のエロオヤジにも満足。

しかし、役の少ない芝居だね。初演のときはその他大勢の人がもっとたくさんいたってことかいなー。

ショーはやっぱりつまらない。鳩、ボレロ、イスラム、アフリカ、ポエム、が全然融合していないんだもん。南風里名がひっくい声でソロ歌っててかっこよかった。顔もちょー好み。あと、どいちゃん(鶴美舞夕)の女装に満足。

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虞美人がやや眠い理由 [観劇メモ]

あらためて観ると、項羽と虞美人のヒーロー&ヒロイン然とした麗しいストーリーと、それ以外の部分が、あまりにも乖離した話だな、と。

根本的に、項羽の誠実さに無理があると思う。(いや、まとびさんの熱演にはいつも涙してますが)

死ぬときに「私は誰も裏切っていない、人の裏もかいていない」って言うけど、最初に殷通を殺したのは、思いっきり、裏をかいてるやろ。手を組みそうに見せて、殺してるんだから、それ、騙し討ちやろ。

かように、当時の武人ってのは騙してなんぼ、殺してなんぼでしょ。でも現代の感覚からすると悪い人ってことになっちゃうし、タカラヅカ的じゃない。だから、「戦うけど、騙さないならOK」ってことにしておく。まるでスポーツマンシップだ。スポーツマンシップで紀元前200年をやるから無理がある。

項羽をいい人にしようとすればするほど、ほかの登場人物の魅力を否定していることになっちゃうんだもん。

韓信の、裏をかきまくったすっごい技に感嘆したり、衛布のプライドの高さと寝返りっぷりにある種のかっこよさを感じたり、そういう楽しみ方があんまりできない。彼らに魅力を感じちゃうと、項羽がただのバカ正直なアホになってしまう。だから、そう思わないようにする。そしたら、項羽以外が総崩れでつまらない人になる。

騙し討ちをし合っている人たちは、みんな項羽と別の世界で生きてるみたいだ。しかも、価値観自体が否定されてる。せめて張良みたいに描きこまれていれば差が際立つけど、それ以外の人は描き込みが少なすぎる。

そもそも、2時間半でやるには、登場人物が多すぎるんだよね。「え? 今死んだの誰?」「あの人、なんのためにそんなことするの?」ついていくのに精いっぱい。本来は、誰もが王になれるかもしれない時代に、ぼこぼこと沸いて出た、面白い男たちの生きざまを堪能する話(司馬版なら文庫本3冊、横山版なら文庫本12冊かけてね^^;)それを、2時間半で項羽と虞美人のラブストーリーとセットにしようとするから、無理があるんだよなあ。

いっそ、原作や初演みたいに、虞美人と呂と桃娘に焦点を絞って、that’s 女の生きざま! にすればよかったのに。張良以下セリフほとんど無し、みたいな…。わああ、それじゃあ、組子ファンは許しませんわな。キムシンが組子それぞれにセリフを与えた、これは喜ばしいことなわけで。うー、ジレンマ。

せめて、誰と誰が敵か、を明確にすればよかったのかなあ? 2幕は劉邦VS項羽って構図が明らかだからまだ眠くないけど、1幕は、誰が誰と対立してるかよくわかんないのが、いけないのかなあ。強大な秦に対抗して、適当に手を結び合ってるってのは頭ではわかるけど、いかんせん秦が3人しか出てこないからなあ。

いろんな人に役があって、でもまとまりがあって、そのうえタカラヅカ的価値観にも合う芝居。ほんと難しいね。

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そらち! そして、おじさん好きとしては、あずりん退団がショックだ…
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