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ダム・ヤンキース 感想つづき [観劇メモ(ヅカ以外)]

野球のことはよく知らないので不安だったけど、「ブルーマウンテンスタジアムへようこそ! いよいよ開幕です!」(青山劇場ってことね)なんてアナウンスでちょっとワクワク。プロローグの「4月から10月までの半年間は、妻は一人きり」という歌で早速クスクス。夫はテレビで野球観戦に夢中って、あるある。我が家もその時期だけ、スカパーのスポーツパックに加入してるんで(笑)。これでツカミはOK! 

終始アメリカンなノリで突き進んで、とっても楽しかった~。ラストが、ああなるとは思わなかったなあ。時々、群舞が長くて、話がはやく進まないかなあ、と思うところもあったけど。

「two lost soul」というナンバーが素晴らしい! 一生、元の姿には戻れないと絶望する主人公と、魔女との間に生まれる、同士愛のようなテンションの高い一瞬。口をあ~んぐり開けて観てしまった。大澄賢也とワタルの、ダイナミックなダンス! 面白い振り付け! この場面は何回でも見てみたい。主人公のキャラは賢也でなくてもいいような気もしたが、この場面を踊るには賢也でなくちゃダメだろうな。ダンサーからミュージカルスターになった人ってあんまりいないもの。一方で、ジェンヌはダンサーから女優になる人が多いから、賢也は元ジェンヌの相手役になることが多いよね、これからもよろぴくね。

川崎麻世は『モダンミリー』の誠実な役よりも、断然、悪魔役のほうが向いてる。狂言回しが上手いし、駄洒落も決してはずさない。

矢口真理の役は、本来はもっと意地悪な役なのかな? 「真実を知りたいだけなんです!」と言って結局ひっかきまわしちゃう。それが許されちゃうのは、矢口真理がかわいいからなんだろうなあ。小さくてマスコットガールみたいで、天然で。

カリンチョさん。これが大石内蔵助? なんと可憐な! と思ったが、歌い方や演技はやはり、映像で見慣れた杜けあきサマでした。重厚で篤実。ステキだわん。この人の包容力で話がまとまっていたように思う。メグとジョー二人のデュエット(三人だけど)、感動的でした。

青山明さんは、今年に入ってもう3度目のご対面。むさいけど、いてくれるとうれしい人ですね。

福麻むつ美さんて、OGなのね。顔がジェンヌっぽいと思ってたんだよなあ。この人と、伊藤弘美さんの押し出しの強さには笑った笑った。

しかし、悪魔に魂を売ってでも贔屓チームを勝たせたい、ってそこまで野球好きなのねぇ、アメリカ人。それに、素人目には、野球の勝敗って、たしかに悪魔の差し金かと思うぐらい、年によって違うよねー。去年あんなに強かったのに、どうして今年は? って。

そんな、どうでもいいことに一生懸命な、愛すべき人たち。もう一回ぐらい会いたいな~。

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ダム・ヤンキース(青山劇場 5/29 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

「男役じゃなくなっちゃったワタルを見て、ショックを受けたりしない~? もー心配だわぁ。大丈夫ぅ??」

と緑豆のことを心配していた私でしたが。

大丈夫じゃないのは私でした。

だって! へんてこりんなドレスで、甲高い声で、くねくね歩くワタル…。あんなの、包容力満点のワタルじゃなーい。やっぱりワタルのこと、男としか見てなかったもん、うぎゃー。。。。席を立ちたい気持ちをぐっとこらえ。

おや、パンツスーツに金髪くるくるパーマだと、モデルさんみたいでカッコイイね。背高いっていいことだね。はあ、だんだん慣れてきた。

1幕最後の黒いセクシーな衣装(ヅカ的にはダルマと言う)で賢也にせまるシーンは、大爆笑。あれ、ギャグだよね? ギャグだよね? あんなにデカくて、女っぽくなくて、めちゃくちゃ変だよね? でもなんかかわいいかも?

そして、気づいたらラストはウルウルしてました、自分。だって、ローラちゃんがかわいそうなのよぉぉ。ローラちゃん、いい子なのよぉ。哀しい過去があるのよぉ。幸せになれそうだったのに。ローラちゃん、変だけど、かわいいじゃんか!

身体の大きさが、魔女だってことの理由付けになってて、よかったかもね。大きな身体をもてあましてる感じが、恋に不器用なふうにも見えるし、元々の人柄の良さが、魔女だけどほんとはいい子なんだよってところにつながってるし。セクシー場面も、からっとしてて、ぶっとんでて良かった。そうだ、ワタルの芸風ってあんまり湿気がないんだな、ふむふむ。いい役で女優デビューでよかったじゃないか、うん。終演後には、素直に「女優 湖月わたるの誕生、おめでとう!」って思ったよ。

で、どうだった?

「ワタルはやっぱり美人だね。女性として、すごーくキレイ!」

ええっ、そうなのっ?? 

「僕は現役時代からそう確信してたよ。今度は、魔女とか特殊な役じゃなくて、可愛らし~い普通の女の子の役がいいなあ。えーっとね、例えばね~~」

…あっそ。

ファンよりもワタルの女優っぷりにうろたえてる自分はなんだったんだろう…。

*****
その他の感想は次号!

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レビュー・タカラヅカ『ドリーム・オン!』(相模大野グリーンホール 5/27 17:00)  [観劇メモ(ヅカ以外)]

客席降りでマリコさんと目が合った~~! し、死ぬー。連れていってー、闇の彼方遠く♪ はぁ、マリコトートの包容力だったら、今すぐ死んでもいいです。(ミズトートは一瞬躊躇。キモチワルイもん)

ほんっと、変わらないよねえ、マリコさん。寿退団して外国に行っちゃって、子どもまで産んじゃって、でも女優さんにはならず、OG公演でだけ男役を披露。すごくイレギュラーだけど、一番幸せかもしれないね。まあ、ファンは幸せなんだか不幸せなんだか、わからないけど。マリコファンの友人が「これじゃあ、一生、次のご贔屓ができない」と嘆いてました。。。罪深い人です、マリコさん。

万博での営業からはじまって、なぜか地方を回る公演として定着しつつある、ツレ&マリコ組。去年は狸御殿公演と、この公演と立て続けだったけど、今年は狸は無しで、地方回りのみ。やはり狸のようにスターさんがいっぱいだといろいろ大変なのでしょうかねえ??(下種のかんぐり)それに、新宿一箇所だけでやるよりも、いろんな場所でやるほうが興行成績はいいのでしょうか。たとえば、昔ヅカファンだったけど、地方にお嫁入りしちゃったのよ、とかいう年配の方が多いとか? ああいう昔風の興行は地方のほうがウケがいいとか? 狸のような時代劇で、スターさんどっちゃり! ていうのも好きだし、両方やってほしいんだけどなあ。

ちなみに、去年の感想→(まったく同じ日に観てるわ!)http://blog.so-net.ne.jp/pt-omoitsuki/2006-05-28

1幕は、阪急創立100周年にこじつけて、100年のエンターテイメントを振り返るというテーマのもとに、元トップの方々が女優さんに扮したりします。そのあいまあいまにタカラヅカの名曲を挟んで。なんだけどねー、ちょっと間延びしてました。

2幕は、狸の2004年公演(タカラヅカ創立90周年時)の自画自賛ソングオンパレードと、去年のこのドサ回り公演との合体ってところかな? こちらのほうがテンションは高かった。

ツレちゃんのオーラと、マリコさんの男役芸、それに二人の漫才、星奈優里のお色気に、るいるいの変わらないおっとり娘役芸、サミーさんの濃ゆさに、お久しぶりのかよこちゃん、etcetc. 満腹満腹。

OG公演というと、「女優として仕事がないんかい!」とか、「一般の芸能界からしたらタカラヅカなんて恥ずかしいものなんだから、やめて!」とか、否定的な見方もあるようで、私もわからないでもないです。でも、観てるとそんなこと微塵も思わないし、また絶対観たいと思いますね。ホスピタリティは現役生よりもすごいし、年とってこその芸の重みもあるし、男役芸をはじめとするタカラヅカ芸は、立派な芸術だもん!(男優さんと一緒にやったら浮いちゃうかもしれないけど) 

それになんたって、OGがタカラヅカを賛美するのを観てるのは、と~っても楽しいのですよ。ヅカファン魂がくすぐられるの。いろんなことがあって、燃え尽きて、辞めたジェンヌたちが、今またこうして集って「ふぉーえばーたからーづか」とか歌ってるって、すごいことじゃないですか。タカラヅカを好きじゃなきゃ出演しないじゃないですか。これこそ、本当のタカラヅカ愛って気がするのです。

『宝塚アカデミア』に、かつてはOGの芸能活動っていうと越路吹雪みたいにドレスを着てシャンソンを歌うのが主流だったけど、ごく最近(10年ぐらい前)、どなたかOGが(肝心な名前を忘れてしまった)男役で颯爽と公演をやって好評で、それ以来、男役も披露するOG公演が広まっていった、という記事が載ってた記憶があります。芸能人の有り様が変わってきたってことでしょうかね。せっかくのタカラヅカ芸を無駄にしないって、すごくいいことだと思うなぁ~。

というわけで、来年も楽しみにしてますよーん、阪急様。

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予科生のすみれ売り(5/20) [ヅカ的近況]

一週間も前の話で恐縮(今日は本科生のすみれ売りだそうで)。初めてナマで見ました。赤い羽募金の、すみれ版とでもいうのかな。

でも、この場合、寄付をすることでも、すみれをもらうことでもなく、予科生とコミュニケーションする、予科生をチェックするってことが、メインディッシュみたいよ。だって、大劇場前の広場に人がたーっくさん。すみれを売る予科生と、寄付をする人以外の、それを眺めてる人がたくさんいるんだもん! 衆人環視の中で、予科生に声をかけてすみれをもらうなんて、めちゃくちゃ勇気がいるよ~~。

結局、遠くから見るだけで退散…。

生徒さんのアイシャドウがみんな、揃いも揃ってどぎつい水色だったのが印象的。やっぱり、青いアイメイクのリバイバルが来てるのかな?

写真は、買いすぎちゃったという人からめぐりめぐってもらったすみれ(背景は爬虫類トート)。すみれって、造花なんだ…。そりゃそっか、生花じゃすぐにしおれちゃうし、5月にすみれは出回らないよね。すみれってこんな葉じゃないような、すみれってこんな茎じゃないような。ま、細かいことはいいっこなしで。

紙には「社会を明るくする運動」って書いてある。そっか、これはそういう運動なのか(笑)。ヅカファンがジェンヌの卵に、鵜の目鷹の目なのも、社会を明るくすることにつながるのか~、ははは。でも、そんな視線にさらされても、豆電球のようにピカピカの笑顔をふりまく予科生は、ほんとに社会を明るくしてるよーに見えました。清く正しく美しくの建前を真実にする、それがタカラヅカの生徒さんたちです。

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エリザベート こまごまと [観劇メモ]

『エリザベート』という作品を既に何回か観てるからなのか、今回が特別なのか、細かいところがすごーく気になるのです。

☆エリザベートがルキーニに刺されるところ、一回目は真剣白羽どり! もとい、白刃どり、もとい、傘で完全にブロックしてたけど、前もあんなだったっけ?? 

☆最後通告の手紙を渡すとこ、タメが長くない?

☆ハンガリーで三色旗のドレスを見せるところ、今まではエリザベートが自主的に「ここは私に任せて」ってボディランゲージだったけど、今回はフランツが「シシィ、頼むよ」ってボディランゲージだ。

☆お見合いの場面。ヘレネとエリザベートと並んでいるところで、フランツがヘレネを無視するところ、今までもヘレネはあんなに不恰好にお辞儀してたっけ?

☆ミルクの在庫がないのは「在庫がないんだ!」だったよね? いつのまに「在庫なし!」になったの?

☆子ルドが「猫を殺した」って言うと、トートがビックリしてるのを初めて見た。トート的には全然OKなんじゃないの? トート、猫好き? 

なんか、ちょっとづつ演出が変わってる~。全般的に、今回は動作が大げさに、わかりやすくなってる気がするんだけど、誰の意図なんでしょう??

などなど、気になることを確認すべく、星と宙のビデオを引っ張り出してきて、順番に見ております。傘ブロックは、今回は横ブロックだけど、星と宙は縦ブロックだ。最後通告はたしかに過去のほうがタメが短い。ヘレネはお辞儀してないし。スカステの「名作check it out」状態だー。

あー、花も月も、初演雪も映像を入手しなくっちゃ。ウィーン版のDVDも梅芸で売ってるときに買っときゃよかったぁぁ。

**その他感想メモ**

☆フランツの歌詞が史上最高に聞き取りやすい(マイク技術の進歩もあるんだろうか?)。ユミコの低音の魅力を初めて知った。

☆キムルキ、イタリア人に見えるぞ、よしよし。

☆マデレーネ、山田ミネコの漫画に出てきそうなアイメイクだ。

☆なんといっても重臣たち! 顎鬚なんかつけちゃって、もー、かわいい。ゾフィーにビクビクしてたり、えばってみたり、いちいち面白い。今までよりも学年が下のキャスティングだけど、それがかえってよかったかも?(今、雪組は上級生が少ないんだねえ)。

☆コマのもみあげがいつのまにかチャルさん型になってる。→もみあげ一覧はコチラhttp://www009.upp.so-net.ne.jp/ft2/koutenteki-zukafun/report/momiage4.html

☆キタロウくん、復帰&フィナーレセンター降り、おめでと~。

ちなみに、私が一番好きなのは、ドクトル・ゼーブルガーが「死ねばいい!」と言ってカウチに上がるところ。水トートは、帽子を脱ぐのと「死ねばいい!」が同時なのよ~。そして、コートを全部は脱がずに、半分脱ぎながら歌うのよ~。キャー。

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女性政治家には「娘役の知恵」が必要? [ヅカ的近況]

学生時代はアイドル的存在、
同期の中では姉御肌、
よっちゃんの相手役もつとめ、
結婚してからは梨園の妻の役目を果たし、
子育ても英才教育でがんばり、
そのうえテレビの司会者としても人気があり、
夫の浮気も「役者はそんなもの」と意に介せず、
政治家としても男社会で上手に生き抜き、
最後は参議院議長にまでなった。

こう書いてみるだけで、すごいっす。まず何よりも、体力があるんだろうな。

以上、我らがタカラヅカのOG、扇千景参議院議長の輝かしい経歴。『女性セブン』なんて普段手にしないけど、取り上げられてたので読んでみました。

扇千景のこの頑張りぶりは、まるで「役柄を見事に演じきる」ようであったそうです(関係者談)。梨園の妻としての役柄。女性の政治家としての役柄。決して、他人にケチをつけさせない。スキを見せない。役柄でなきゃ、こんなにこなせないわな。

面白いのは、記事ではこれらの処世術を「娘役の知恵」でくくってあるところ。娘役は男役よりでしゃばってはならない、でも男役よりもやることがたくさんある、なのにそれらの苦労を決して外には見せず、ニコニコと笑顔をふりまいておっとりとした風情でいなければならない。なるほど、ヅカファンならその意味、よーくわかります。

でもさ、政治の世界も、そうでなくちゃいけないんだね。「娘役」という虚構の役柄を演じ続けなければ、やっぱり男社会では生きていけないんだね。ただの「政治家」では、いられなかったんだ。ただの「自分」では、ダメなんだ。彼女には特に政策というものはなく、要請されて出馬し、気配りや上手に立ち回ることであれよあれよと出世してしまったという。それが女性の政治家として出世する方法なのかぁ。

そう思うと、日本の女性議員の少なさも、じゅうぶん頷けますな。また、逆に言うと、タカラヅカはほんとに男社会を模しているんだなあ、と改めてビックリしたりもします。なかなか興味深い記事でした。

気になったこと:「娘役は男役よりも、お裁縫や料理もできなくちゃならない」という一文があったのですが、そうですか~? 今そういうコードはないよねえ? 昔はあったのかな?? 

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さくら/シークレットハンター(5/22 18:30 東京宝塚劇場) [観劇メモ]

エリザベートの興奮がさめやらないのですが、星組を観てまいりましたので忘れないうちに。これに初心者をお誘いするのですよ~。ちょー駄作だったらどうしようかと、ドキドキですよ~。

***さくら***

☆プロローグの衣装の色合いがいまいち。松本悠里の使い方も散漫。

☆雛人形の場面は好きだ。ショー作家じゃないから、ストーリー性のあるもののほうが得意?

☆花見客の場面も、長いけど悪くない。これは狂言に題材があるのか?

☆こういう、コント集みたいな日本物のショーは、ひょっとしたら大昔(といっても30年ぐらい前まで)の宝塚ではたくさんやっていたのではないかと思う。

☆松本悠里が白拍子の役をやってる、竹林の場面のストーリーがいまいちわからない。トウコは落ち武者なんだよね? 死んじゃうの? お披露目なのに不吉だわ。

☆最後の、花びらを手からひらひらさせて、ラストまでもってく盛り上がりは良かった。フォーメーションが(2階から観たせいかもしれないけど)、舞台というよりは和製ミュージカル映画用に見えた。

☆結局のところ、妖艶な場面とコント集な場面と、あまりまとまりがないようにも思ったが…。

☆日本もののショーの伝統は、絶対に途絶えさせてはならぬ! と思うので、谷以外の演出家にもぜひトライしていただきたい。

***シークレット・ハンター***

児玉明子にしては破綻してなかった。今回はちゃんと最後に話がつじつまあってた! …そんなことで喜ばれるなんて、トホホ。でもほんと、トウコお披露目が『聖なる星の奇跡』とか『天の鼓』とかでなくてよかった。

開演アナウンス、プロローグのトウコのコント、あすかの着せ替え場面など、小ネタをいくつも仕込んであるし、ショー場面の入れ方など、一応飽きさせないようになってる。番手どおりに役つけてるし、地面から桟橋があらわれる装置とかなかなかいいし。

でも、総じて眠かったのよね…。どっかで観たことあるよーな場面と、どっかで聞いたことあるよーな台詞の羅列なんだもん…。宝塚のヒーローの常として、ちょっとワルなんだけどほんとはいい人、という造型があるわけですが、いい人場面の根拠を子ども時代の回想ですべてまかなうっつーのは、あまりにも短絡的ではないかと。あの子ども時代なら、「俺はサイテーなヤツなんだー」って話になるのでは? あ、それって『ガイズ&ドールズ』だね。つーか、カリブの海でお酒2杯も飲んじゃってってのがそもそもガイズのパクリじゃん。自分でも「俺はグレゴリーで君はオードリー」って『ローマの休日』だって宣言してるもんね。お、パクるときはパクったって自己申告すればまだまし、と学習したのか?

フィナーレのラテンは、日本物のショーで発散できなかったぶん、最後にドドーンと発散できて、楽しかった~! ロケットもストーリー性があって面白かった。ワタルやみらんがいないのはさみしかったけど、トウコがあのちっちゃい身体に、白い羽をどっさりしょって降りてきたら、ちょっとウルウルしちゃった。

あっ、そういえば…、「お姫様を助けてくれたら自首する」って女刑事とした取引はどうなっちゃったのん?? ラストに降りてくる幕がじつは網だっていうオチ? やっぱり破綻してるのかしら…。

結論としては、初心者を連れていくには、合格点スレスレ、先生が甘ければ落第せず、ってところかな、ふぅ。(『黒蜥蜴』だったらちゃぶ台ひっくり返しかねないよ)

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エリザベート(5/19 11:00ほか 宝塚大劇場) [観劇メモ]

エリザベートってほんとに面白い話だ。じつは論理的には矛盾だらけなのだけれども、素晴らしい楽曲と設定があるから、多少ストーリーが揺らいで傾いても、微妙なバランスで浮かんでいられる。だから、むしろ傾きがあるほうが陰影を作り出して、いろんなふうに解釈できる、いろんなキャスティングで楽しめる。

でも、今回のエリザベートは今まで生で観た中では一番好きかも。むちゃくちゃ好きかも。一番、納得できたからかも。(生で観たのは花、月、今回。映像で見たのは星、宙。初演雪を見ていないので、えらそうなことは言えないです、差し引いてください)私が思っていた矛盾が、一番少ないキャスティングのように思えるんだなあ。それとも、自分がウィーン版を観て勉強しちゃったからかも? あと、ちょっとずつ演出が変わって、ボディーランゲージが明確になってる(だよね?)から???

矛盾というのは。

トートはエリザベートを愛したのならすぐに手に入れてしまえばいいのに、なぜそうしないのか。死神なんだから、愛した=殺す、でしょう。ラストでは殺してるじゃん。カタルシスを得てるじゃん。なのにずっと「愛したから殺さない」で話を進めてる。おかしい。

エリザベートは「強く生きる」と宣言して頑張ってるのに、なぜ死神が見えるのか? そんなイっちゃってる人なら、何度も死を拒絶するのはおかしい。

さらに、そんな矛盾だらけの中で、なぜラストで、エリザベートはトートを受け入れる決断をしたのか。「夜のボート」でフランツに見切りをつけたということ? いやいや、ずっと前から見切りをつけてるでしょう。おかしい。

これらの矛盾は、もとのウィーン版では全く気にならなかった。民衆全体に死への憧れがあるから。そもそも、死がエリザベートを愛してるっていうのは単なるレトリックなんだもの。だけど、ヅカ版では単なるレトリックを主人公にまで昇格してしまった。トートを主人公にして、民衆全体に漂う死への憧れも排除した。だから「死が人を愛する、では人が死を愛するなんてことがあるだろうか?」ルキーニの台詞どおり、いつもここがひっかかっていたのだ。

でもね。今回のトートは粘着質だった。エリザベートを追いかけるのが楽しい、死においやりたいけど、おいやる過程が楽しいから、できれば死んでほしくない、ってトートだった。たとえて言うなら…、銭形警部?? ルパン3世を追いかけるのが楽しいから、できればつかまえたくないの。でも、どうせつかまえるなら、自分の手でつかまえるぞ、と恋焦がれているの。「死は逃げ場ではない!」っていう台詞も今まで納得いかなかったんだけど、今回は「自分の恋をそんな軽々しく叶えさせてくれないでくれー」って意味に聞こえて納得がいった。ミズトートのあの「n」や「m」の発音がそう思わせるのかしらん。愛と死のろ~nnnnnn~ど~。やmmmみのーnなnかからーmmmみmつmmめてーいーるー。糸引いてますぜ。

エリザベートがトートを受け入れる理由も、トートが逆切れしたからなんだ、と感じた。(そう、この話の主人公はあくまでもトートなのだ!)最終弁論でフランツに「あなたは恐れてる、彼女に愛を拒絶されるのを!」と挑発されて、何ぃぃぃ、と怒って、エリザベートを殺すことにしたんでないのかねえ? 意外に小者なトートだな(笑)。

そして。今回のシシィは「少女」だった。力強く生きていこうとしている「人間」ではなく、あくまでも「少女」だった。少女とは異界とつながっているもの。だけど、現世での欲望を貪欲に満たそうとするもの。まさにシシィだ。だったら、姑に口答えし、だけれども死神も見え、ダイエットで身体を壊し、だけど生き生きと木登りをするのも、納得がいく。少女の狂気で成り立ってる役なんだ。昇天の場面でのとなみの表情がなんともいい。「うっとり顔」を通り越してた。かつて、アサコがエリザベート役をやるときに、「スカーレットは男役がやってもいいけど、エリザベートは娘役にしかできない役だ」と言ってる人がいたけど、今ならなんとなくわかる(アサコがダメだというわけではなく)。ああ、お花様のエリザベートを生で観てみたかった。。。

なるほど、エリザベートは「少女の狂気」という点では、少女歌劇に最適な人物なのかもしれん。しかも、この世のものではない美しく妖しい中性的なトートは、まさに男役。姑にいじめられて行き場がない少女が、トートの魅力に気づき、おののきながらもその腕の中に自分をゆだねるあり方は、ヅカファンそのものではありませんか。小池がエリザベートを輸入したという功績だけで一生食べていけるのも、無理はないよ。

ルキーニがトートを崇める動作をしているのも好みだった。この二人が連携してなきゃ話は成り立たない。(花組版へのこの点の不満は→http://www009.upp.so-net.ne.jp/ft2/koutenteki-zukafun/essey/dekiteru.html)今回中村Bが演出に入ってないからか? でも一方で(これはウィーン版でもありうるけど)、全部がルキーニの夢、ともとれるのね。そのルキーニの魂が100年、つまり現代まで生き続けている。やっぱり、これは退廃した現代の物語なんだろうな、そもそも。

今回の私の解釈はこうだけど、次観たら変わるかもしれないし、また別のキャストだと変わるだろうし。やっぱり面白い話だ。エリザベート。

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六甲山 初体験 [近況]

ご無沙汰です。ムラ行ってました~。報告することはいろいろあれど、まずは六甲山。

私家版:阪急沿線プチヴォヤージュの第二回目(一回目は有馬温泉)は、六甲山ホテルに行ってまいりました。宝塚南口から電車に乗って、西宮北口で乗り換え。神戸方面に向かいます。この沿線が、『VANITY』で描かれている高級住宅地なんですよね。つるバラの植わったおうちなどを見ながら、六甲駅で下車。ここまで30分ぐらい。六甲駅前からバスで山を登ります。途中でケーブルカーに乗るなど、いろんな行き方があるようですが、我々は阪急バスオンリーで。

市街地を5分ぐらい走ると、もう山。これは有馬温泉のときも思ったけど、すぐ山なの。で、もんのすごいヘアピンカーブをぎゅいぎゅい登ります。30分ぐらいで山の上。とにかく涼しい! 標高800m弱で、5度も涼しいらしい。これがかの有名な「六甲おろし」なのね! きれいな林の中に、別荘や会社の保養所がいっぱいあって、まるで軽井沢。なのに眼下には神戸の海。あのーーー、むちゃくちゃ違和感あるんですけど~。だって、軽井沢のすぐ下に横浜港があるようなもんだよ。ありえねーーーー!

六甲山ホテルは新館と旧館があるけど、断然旧館のほうがいいです(旧館のほうが安いし)。レトロな山小屋風です。旧館の入り口は今は閉鎖されているけれども、外から見るととってもステキ。こっちを入り口にして、もっとレトロな雰囲気を強調すればいいのに。2階中央には小林一三使用のソファーセットのあるロビー。ここももっと雰囲気作りすればいいのに。でも、新しい建物のほうが人気があるのかねえ? 新館は結婚式のお客さんでにぎわってました。(なお、阪急グループだけどスカステは見られません。ちっ)

最近スカイフェアリーズが六甲山をレポートすることが多いですが、それは阪急が持ってる庭園とかの案内で、六甲山のエリアの東半分のほうです。動物好きな我々は、西側にある神戸市立(市立!!)の牧場へ。小さいけど高低があって、羊や山羊と遊べて、こりゃ楽しい。なんと、『ナニワ金融道』の主人公がデートしたのがこの牧場なんですぞ! 


小屋でうじゃうじゃしてる羊さん。かわいいやら、おかしいやら、こわいやら。

関西圏の人にとっては、身近な高原と言えばここなんでしょうね。東京から軽井沢に日帰りは厳しいけど、大阪から六甲山なら全然OK。なんだか、関東平野がものすごーく野蛮に思えてきました。ただ、全体的に、子ども連れやカップルで、マイカーで昼間に来るのが良さそうですね。夕方以降はなんにもすることないって感じで。宿泊なら、朝のすがすがしい空気を吸うんでしょうな。時間に余裕のあるときに、今度は東側も行ってみたいです。

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犬は鎖につなぐべからず ~岸田國士一幕劇コレクション~(青山円形劇場 5/16 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

こういう話、好きです。淡々としているんだけど、台詞が進むうちに、妻と夫、兄と弟、旧友どうし、近所どうしの、ディスコミュニケーションがどんどん明らかになっていく。支配欲と親愛が入れ替わり立ち代りあらわれて、結局、近いようでいて遠いのね、私たち……、みたいな。それを時にシリアスに、時にコミカルに描いていて、たとえば近所の人たちが集まって、不平不満を解決する会議を開くくだりなど、まるで現代のマンション管理組合の総会みたいで、恐ろしいやらおかしいやら。

ナイロン100℃を観るのは初めてです。ケラリーノ・サンドロヴィッチも『時効警察』しか見たことない。じゃあなんで観ることにしたかというと、村岡希美さんが出るからでありま~す。『マダム・メルヴィル』でのテンションの高さと哀愁とが忘れられず、やっと拝見することができました。この人、声に特徴があるのね。なるほど、私は声フェチなんだと改めて気がついた。テンションの高さも相変わらずで、ちょっといっちゃってて、でも役柄の「奥様」からは決してはずれてなくてチャーミング。やっぱりすごいわ、この人。

それに、すごくいい脚本だったので満足満足。戯曲賞の名前にもなっている岸田國士の脚本7つをコラージュしたのだという。ケラリーノ・サンドロヴィッチの功績というよりは、岸田脚本の良さなのかな? 元の脚本を読んでみたい。日本ではじめて近代的な台詞を書いた人なのだそうだ。岸田衿子、岸田今日子の父だそうだ。不勉強で恐縮。自然なようでいて、計算されてる。あー、人間関係ってこうだよねー、って思うけど、決して本当の会話じゃないの。芝居とは、すなわち台詞なのだなあ。

装置や衣装がかわいくて、現代から見た夢の大正時代って感じだったんだけど、舞台装置転換の時の音楽と振り付けが、ガチャガチャとうるさく興を削がれた。もっと淡々と進めたほうが味わいが出るのに。まあ、単に私の好みではあります。いつもオーケストラピットの中の生の音ばかり聴いているんで(^^;)。一方、オープニングや経緯説明に映像が使われていて、これは反則かとも思ったけれども、内容がオシャレだったのでむしろ効果的だった。

役者さんも上手い人がいっぱいたなー。松永玲子という人は、吉本の島田珠代みたいだな(ほめてる)。廣川三憲という人は、発声がすごくいいなあ。三輪車を乗り回してるちょっと頭の弱い子ども役と、貧乏ゆえに意固地になってる夫に寄り添う楚々とした妻役が、同じ人だというのには驚愕。植木夏十というそうだ。客演の植本潤が女役なのはわかったけど、同時に貧乏夫もやってるのは最初全然気がつかなかった、上手すぎ。そして緒川たまきの美しいこと! コムちゃん(ヅカメイク仕様)や檀ちゃんをはじめて観たときのような衝撃。光り輝いてました。

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