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犬は鎖につなぐべからず ~岸田國士一幕劇コレクション~(青山円形劇場 5/16 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

こういう話、好きです。淡々としているんだけど、台詞が進むうちに、妻と夫、兄と弟、旧友どうし、近所どうしの、ディスコミュニケーションがどんどん明らかになっていく。支配欲と親愛が入れ替わり立ち代りあらわれて、結局、近いようでいて遠いのね、私たち……、みたいな。それを時にシリアスに、時にコミカルに描いていて、たとえば近所の人たちが集まって、不平不満を解決する会議を開くくだりなど、まるで現代のマンション管理組合の総会みたいで、恐ろしいやらおかしいやら。

ナイロン100℃を観るのは初めてです。ケラリーノ・サンドロヴィッチも『時効警察』しか見たことない。じゃあなんで観ることにしたかというと、村岡希美さんが出るからでありま~す。『マダム・メルヴィル』でのテンションの高さと哀愁とが忘れられず、やっと拝見することができました。この人、声に特徴があるのね。なるほど、私は声フェチなんだと改めて気がついた。テンションの高さも相変わらずで、ちょっといっちゃってて、でも役柄の「奥様」からは決してはずれてなくてチャーミング。やっぱりすごいわ、この人。

それに、すごくいい脚本だったので満足満足。戯曲賞の名前にもなっている岸田國士の脚本7つをコラージュしたのだという。ケラリーノ・サンドロヴィッチの功績というよりは、岸田脚本の良さなのかな? 元の脚本を読んでみたい。日本ではじめて近代的な台詞を書いた人なのだそうだ。岸田衿子、岸田今日子の父だそうだ。不勉強で恐縮。自然なようでいて、計算されてる。あー、人間関係ってこうだよねー、って思うけど、決して本当の会話じゃないの。芝居とは、すなわち台詞なのだなあ。

装置や衣装がかわいくて、現代から見た夢の大正時代って感じだったんだけど、舞台装置転換の時の音楽と振り付けが、ガチャガチャとうるさく興を削がれた。もっと淡々と進めたほうが味わいが出るのに。まあ、単に私の好みではあります。いつもオーケストラピットの中の生の音ばかり聴いているんで(^^;)。一方、オープニングや経緯説明に映像が使われていて、これは反則かとも思ったけれども、内容がオシャレだったのでむしろ効果的だった。

役者さんも上手い人がいっぱいたなー。松永玲子という人は、吉本の島田珠代みたいだな(ほめてる)。廣川三憲という人は、発声がすごくいいなあ。三輪車を乗り回してるちょっと頭の弱い子ども役と、貧乏ゆえに意固地になってる夫に寄り添う楚々とした妻役が、同じ人だというのには驚愕。植木夏十というそうだ。客演の植本潤が女役なのはわかったけど、同時に貧乏夫もやってるのは最初全然気がつかなかった、上手すぎ。そして緒川たまきの美しいこと! コムちゃん(ヅカメイク仕様)や檀ちゃんをはじめて観たときのような衝撃。光り輝いてました。

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