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衛生(赤坂ACTシアター 7/24 18:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

タイトルやポスターからは内容がよくわからず、スルーしていた公演。
夫が好きなラジオ番組複数(エレ片、荻上チキ)で紹介されていて、
面白そうだよ、ということで滑り込みで行ってみた。

とにかくシモの話で、その言葉を連呼したり、
やたら叩いたり、やたら合体ポーズがあったり、と、
中学生男子の悪ノリが全体をおおっていて、
これはそもそも赤坂ACTでやるもんじゃないよなあ、
キラキラミュージカルが好きな人はドン引きだよなあ、
と、空席の多い客席を眺めてしまう…

まあ、新感線のノリとも言えるので、
最後の大きな仕掛けは、やはり大きな劇場でやりたいんだろうなあ…

でも、新感線のような支離滅裂なストーリーや、騒音は
皆無だったので、自分的にはOK。
むしろ音楽はとても良いし、ストーリーもしっかりしてる。

というわけでじつは高評価。

後からじわじわくる、すごく面白い芝居でした。
ていうか、よく出来てるよ、これ!

戦後すぐ、汲み取り業者が、あくどいことをしながら、
だんだんのし上がっていって、町を支配する。
最後の場面は1980年の駅伝。
時代設定が細かくて、ちゃんと調べればいろいろ仕掛けがあるんだろう。
(駅伝はこのときはじめてテレビ放送されたんですね~)

場所は平塚、このピンポイントさも面白い。
脚本家の出身地の隣の市だそうだ。
(大阪公演、九州公演では伝わるかなあ、このニュアンス)

汲み取り業者の親子が古田新太と尾上右近。
この二人が悪の魅力を見せてくれないといけないんだけど、
右近さんは上品すぎた。ここは非常に物足りない。

相棒で有名な六角精児が、のらりくらりとした悪い政治家。
古田VS六角の、サウナでのタオル一枚巻いただけの、
悪いヤツ同士の対決ソングがすごかった。歴史に残る名場面(笑)。

政治家の秘書役、有名なのかな? 
二幕では共産党から出馬して、それが六角さんへの愛だっていうのもおかしい。

彼ら悪い人たちに恨みを持っていて、殺そうとする人たちがいて、
その攻防が主軸なんだけど、
殺害未遂現場にいあわせた町の人たちが、
悪徳親子をかばう場面が秀逸。

ていうか、ここが一番言いたいことなのだと思う。
「自分の給料だけもらえればいい」「この会社のおかげで自分は生きてる」
「だから悪い人でもどうでもいい」「搾取され続けたい」
…今の社会と同じじゃん!!

「この奴隷たちから我々が搾取してあげるのが、彼らの幸せなんだ」
…竹中平蔵じゃん!! IOCじゃん!!

悪徳業者につぶされて恨みに思って復讐する一人に、ともさかりえ。
(ミュージカル初挑戦とのことで(上手い人だけど)やや小ぶりに見える。)
彼女の造形も、「おばかな人たちを導いてあげなくちゃ」と、
これまた「あるある」で興味深い。

住む市を変えれば世界が変わるわよ、っていう話は、
政治家が選挙区変える話だよね。
とにかくいろいろ面白いネタが詰め込まれてる。

この場面で、電柱を大勢で持ってくるくるする振り付けも面白い。
ともさかりえが惣菜工場でメンチカツとハンバーグを仕分けするナンバーとか、
六角さんが戦場でひどい目に遭うナンバーとか、
思い出すだけでも笑ってしまうナンバーがたくさんある。

特筆すべきは咲妃みゆ。
退団後はじめて観たが、もはや主役と思えるぐらいのうまさ。
1幕目では、岡山の村で夜這いの対象としてチヤホヤされつつ実質奴隷、
からの、抜け出して見世物小屋で修行を積んでたら、売られて、
悪徳業者の事務員兼おめかけさん。
だからやっぱりどこまで行っても奴隷なのね。

…という人生の果て、「命令する側は誰でも同じだから、
誰の嫁になってもかまわない、自分は決定権はない」
としれっと笑顔でいうのが、怖い怖い。
こんな設定なのに説得力を持たせられる演技力。
2幕目は、その娘で、母を殺された恨みをはらそうとする役。

つまり、女性の復讐の話とも言えるわけです。
1幕目の彼女は、「搾取されるのが幸せ」という町の人たちとリンクしているわけです。
うーん、深い!

音楽がすごく良かった。
多分その時代その時代っぽいテイストにしてるんだと思う。
あと、セットもレトロでかわいい。

冒頭に、シモの言葉連発でシャウトする人、誰だろう、
メチャ上手で、彼女のおかげで世界に入り込めた。

脚本家は『秘密の花園』を観てますね、私。
アングラが好きなのかな。
『俺節』もやってるのか。原作好きだから観たかったけど観られなかった。

男子の悪ノリを少し減らしてもらえるなら、また是非観たいです。
でもまあ、それをやりたいんだろうなあ(苦笑)。


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最近観たお芝居のメモ [観劇メモ(ヅカ以外)]

宝塚全然観てませんね(苦笑)。


●劇団イキウメ『外の道』シアタートラム 6/6 13:00

昨年コロナで延期になった公演。
楽しみにしすぎていたせいか、ちょっと??な気が。

「無」が広がっていくことを、主人公二人だけが認識していて、
ほかの人は認識していない、という、
むちゃくちゃ怖い、イキウメ史上もっとも怖い話。

それってコロナでおかしくなっている(おかしいことに気付きはじめた)
今の世の中の象徴のようでもあるんだけど。

イキウメを見て面白いと思っていたのは、
そういうSFやオカルトっぽい事象が、
全員に共有されている前提があってこそ、だったのだなあ、と。
主人公たちだけ、というのは、求心力が無く感じた。

前川さんは良くも悪くも別のフェーズに移行したのだろうか。


あ、2月の公演のDVDを買えたので、『金輪町コレクション』の「丙」も見れました。
「高速ジジババ」面白かったー! 
これは芝居だと速度を表現しにくいから、落語がぴったりですね。
エンデの『モモ』と似た「時間」を効率化する話だけど、
老夫婦が幸せそうなのが、意外。


●『森フォレ』世田谷パブリックシアター 7/11 13:00

『炎アンサンディ』がすごかったので、同じ作者の作品、
難解そうだけどチケット取りました。
『炎アンサンディ』が1世代分の話だけに強烈だったのと比較すると、
6世代さかのぼる話なので、むしろ複雑で壮大でそこに迷い込む楽しさがありました。

人物相関図が置いてあって、1回しか観ないのでネタバレ上等で幕間に予習。
でも、相関図を見て想像したことの斜め上をいく展開!

男性的な支配、暴力、に虐げられ、産む性として必死に生きていく女性たちの物語。
最後に救いとなるのは、それらを融合するような存在。
冒頭が1989年のモントリオール工科大学の女性だけ殺された事件なのが象徴的。
個人的な家族の話でありつつ、背景としては社会の出来事とリンクしている。

産むことが強調されすぎるのは、フェミ的に気になるけど、
神話的でもあるので(ギリシャ神話やシェイクスピアを想起させる要素が多い)、
そこはまあいいかな、とも。

ほとんどファンタジーな部分もあるんだけど、
緻密な構成と詩のようなセリフで、リアリティを感じる。不思議。
3時間50分の上演時間、まったく退屈でなかった。

家に帰ってからも相関図を見ながら、いろんな要素をメモしていって…
もう1回観て確認したいぐらい。映像ないのかなあ。



●劇団チョコレートケーキ『一九一一』シアタートラム 7/18 14:00

(見事に三軒茶屋ばかり!)

念願の初 劇チョコです!

大逆事件を、裁く側から描いた作品。
幸徳秋水とか一切出てこず、被告人としては菅野スガ子だけ、
あとは全部、裁く側の男性がわんさか。

主人公は、予審判事といって、最初の裁判を行う判事。
じゃあ今の地裁? かというと全然違って、非公開で、取り調べのようなもので、
この結果が「証拠」扱いになるという、ひどい仕組み。

劇チョコは『記憶の記録』『熱狂』『帰還不能点』『国境の向こう』を映像で見てきただけだけど、
末端の公務員に何か思い入れでもあるんですかね?(笑)
私もそうなので、むちゃくちゃ感情移入しやすいです(笑)。

中間管理職的なポジションとか、
上からの命令に逆らえなくてひどいことしちゃうとか、
そういう題材が多い気がします。
社会で誰しも少なからず何かに加担してしまっている、
ということに、自覚的であろうということなんだと思います。

クライマックスがけっこう後のほうにあるのも特徴な気がします。
今回は、「官にいる君だからこそできることがあるんじゃないか」と弁護士に言われ、
ミラクルな案を思いついた! みんなをいいくるめられるぞ!
と思ったら、その手はすでに上に取られてたー、ってところかな。
ううう、つらい。

上の言うことをきくしかない、その上もさらに上の言うことをきくしかない、
これが、延々と続く、
っていう構造を表現するために、あれだけの男性の人数が必要なんだろうなあ。

舞台に壁として登場する机といすを積んだ状態のものは、
そういう構造を表しているのかな。

菅野スガ子の堀奈津美さん、色白で鼻がすっと高くて、
肝の据わった女性をすがすがしく演じていて、
この人がポスターにどどーんと使われていることに納得。
この人の存在が、救いなんだよね。

判決と処刑の場面は、演出もかっこよかった。

千秋楽ということで、最後に、劇団員三人がそれぞれ、
登場人物のスピンオフをちょっとずつ演じる、という美味しいおまけがありました。
「上」の象徴みたいだった平沼騏一郎(浅井さん)は、
第二次大戦後にA級戦犯になった場面。
そうだそうだ、そういえばそうだった、と身振るい。
主人公(西尾さん)は、一転してコミカルに、判事を辞めたあとの妻の怒りと職探し。
(「国際的運動会の警備員の募集があるよ!」ってセリフで客席爆笑)
重い内容のあとで、ちょっとほっとする。
「上」の一味の末広判事(岡本さん)は、はじめて中間管理職っぽい迷いを吐露。
これらがみんな役者さんのセルフプロデュースというからすごい!

次も楽しみだ~。

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イキウメの金輪町コレクション(配信) [観劇メモ(ヅカ以外)]

2月の公演を、3月に1週間だけ配信。しかも3パターン。

見始めたとたんに、
テトリスみたいに、いろんなものがおさまるべきところにおさまる。
このすっきり感。

イキウメの世界観がしっくりきすぎる。
これだよ、これこれ!

抽象的な背景に、SFやオカルトっぽい話が、
理路整然と進みつつ、コミカルで、ちょっと情があって、
役者さんがめちゃウマで。

落ち着いたトーンの抽象画に、迷い込んでずっと出てこれない楽しさ。


ただ、3つのプログラムを1週間で見るのは無理でした。
甲乙をなんとか見終わって、よし次「丙」を買うぞ!
と思ったら、チケット買う期限過ぎてた…ううう。

DVDプリーズ…!


過去の公演の再演で、
前とは違う人がやってる場合が多いんだけど、
全然真似ではなくって、でも成立してて、
やっぱすごいわ、と。

イキウメにしても劇チョコにしても柿喰う客にしても、
脚本家の世界観を表現できる役者さんがそろってるって、
すごいことなんだなあ。

今回は、昨年の緊急事態宣言で舞台が中止になったときに、
いつも舞台になる「金輪町」の設定を詳細に詰めていった結果の公演。
その際に作られた地図などが公開されているので、
オタクっぽく、この作品のこの場所と、この作品のこの場所が隣同士なのね、
とか確認していく楽しみもある。うふふ。
そして過去のDVDをまた確認する、と。うふふ。

客演の松岡依都美さん、演じ分けがすごく上手い。
自殺志願の人を演じてる「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」、何度も見てしまった。


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帰還不能点(配信) [観劇メモ(ヅカ以外)]

BSでやっていた『あの記憶の記録』『熱狂』を見て
はじめて知った劇団チョコレートケーキ。

『あの記憶の記録』は、
ユダヤ人収容所で同胞を殺す役割をさせられた「ゾンダーコマンド」を題材にした作品で、
重…っ。激重…っ。
かわいい名前とは真逆。

でも、だんだんいろんなことが明らかになっていくドラマチックさや、
最後に少しだけ希望があったりとか、
演劇ならではの面白さがあって、すごく良かったです。
この劇団は、賞をたくさんとっているんですね。

次に公演あったら絶対行こう!! と夫と話していたのですが、

コロナ感染大爆発ですよ…。

ビビりな夫が「配信があるなら配信で」と主張し、
そうこうしているうちにチケットが売り切れ。
次は心置きなく生で観たいなあ。


帰還不能点というのは、飛行機が戻れなくなる、燃料が半分になったところ。
日本の近代史では、対米戦の決め手となった
昭和16年7月の仏印進駐を指すそうです。

ちょうどその頃、各省庁から集められた若きエリートたちが、
日本がこのまま戦ったらどうなるかを予測させられた
「総力戦研究所」というのがあった。

彼らは「アメリカには絶対に負ける」と予測したけど、
そうはっきりは言えないので、それとなく上に伝え、
東条陸軍大臣はご立腹だったそうな。


そのメンバーが戦後5年経って、
居酒屋に集まって思い出話をする、というお話です。

なんと、直前にたまたま、『昭和16年夏の敗戦』という、
「総力戦研究所」についての本を読んでいたことと、
なんとなんと、私の勤務先のかつてのNo.2が、
この「総力戦研究所」に所属していて、
しかも、この舞台の主人公のモデルである!
ということもあり、のめりこんで見ました。


前半は、彼らが「どこが帰還不能点だったんだろうね」と、
当時の大臣たちになってお芝居をする、という趣向。
次々役を変えるので、ちょっとまどろっこしいし、個性が見えない、
ちょっと教材ぽい(ていう感想をツイッターで見かけて、確かに)。

でも、歴史上、そういうことがあったんだー、
近衛文麿と松岡洋右ってそういう人たちだったんだ、
戦争責任は軍人と天皇だけじゃなく、官僚の責任も大きかったんだなあ、
と、勉強になる。

とはいえ、さすがにこのまま続くわけなかろう、
と思っていたら案の定。

すでに故人となったメンバーは、なぜ死んだのか、
という謎がだんだん明らかになっていきます。

そして、主人公が突然、「あの日、広島にいたんです」と言い出す。
そうなんです、彼は被爆してるんですよ。

帰還不能点の責任は、
近衛や松岡や軍にだけあったわけじゃないんじゃないか、
広島で吹っ飛んだ街とものすごい数の死体を見たら、
自分たちに責任がなかったとはとても思えない。
あのとき、自分たちは負けるとわかっていたのに、なんで何もしなかったんだ。

現代にビシバシ来る話です。つらい…!

そこからの展開はウルウルしました。

この脚本の着想の始まりは、
「総力戦研究所にいて、しかも被爆したこの人は、
自分の責任をどう思っただろうか」
ってところだったと思います。

でも現実には、主人公のモデルになった人は、
この舞台と違って官僚を続けたわけです。
弱小のお役所とはいえ、No.2として乞われるほど出世した。
官僚らしいやり方で組織を立て直した、と言い伝えられています。
実在の彼は、昭和16年のあの夏のことを、
そして昭和20年8月6日のことを、どう思っていたんでしょう。

そして、この舞台では死んでしまっているメンバーも、
モデルとなった実在の人物は、日銀総裁にまで出世している。
どう思っていたんですかね。

現実の人間のほうが、より「複雑怪奇」なんだろうな、と
そのことにもしみじみしました。


役者さんたち、劇中劇をたくさんやっているので、
この舞台での姿が素だと思ってしまいそう。
(配信の最後についてる座談会のほうが、
現代人の役をやっているように思えるぐらい 笑)
外務省出身の役の二人が、いい声だったな。
みんなに愛着を持ちました。

劇チョコ、過去作品のDVDがあんまりないんだよなー、売ってくれー。
全部見たいー。


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バーナム(東京芸術劇場プレイハウス 3/13 17:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

咲良さんが出演するのと、オギー演出なので観に行きました。

映画「グレイテストショーマン」の主人公で、エンタメの歴史で重要な人物。
見世物小屋からサーカスを作った人。

楽しく元気でかわいらしい作品で、
多分テーマは、イカサマも使いようではハッピーになるよ、ということらしい。

だけど、「それでいいの?」「え、これだけ?」と思うことが多々あり。
要するに、すごく古い作品なんですね。
1980年代かなあ? と思ったら、まさに1980年初演だそうです。ビンゴ。

一つ目の違和感は、サーカスという大がかりなものを題材にしているのに、
会場が半端に広いこと。
それなら、オギーの退団作『ソロモンの指輪』みたいな大がかりなセットがほしい。
そうでないなら、博品館みたいな小さな劇場で、観客のイメージに任せてほしい。

二つ目の違和感は、とにかく今の感覚からしたらやばいことが多い。
見世物小屋で、黒人の老女や、身長が伸びない子どもを見せるんだけど、
それを能天気に見せていていいんだろうか??
差別でしょう。

もちろん、上演するなというわけじゃなくて、
そのことに意識的であってほしいわけ。
見世物小屋を舞台にした名作『サイド・ショウ』は、
見世物にされる側の葛藤だった。

今回は、見世物の興行主。
その葛藤を描くのなら、最終的には、
イカサマを辞める、ということになるのでは?

だがしかし、彼はなんと政治家になるのです!!
そりゃまずいでしょう。

今国会でもさんざん、政治家が嘘ばっかり言ってる。それが現実。
でもそれは、いけないことなのよ。
イカサマも使いようでハッピー…にはならないのよ、政治家の場合。
それならそこで葛藤してくれなくちゃ。
作品としては批判してくれなくちゃ。

1幕の終わりが、ソプラノ歌手との浮気っていうのも、
えー、それがこの人の葛藤なの? と驚き。
そして、最終的には妻に許されて主人公は家庭に戻るんだけど、
浮気された女性のほうはどうなのよ。
昭和30年代ぐらいの日本映画の、
妻とバーのママさんとの間でうろうろしてる喜劇、
みたいな感じ??(森繁の社長シリーズとか)

ふーるーすーぎーるー。


出演者のみなさんは上手でした。もったいないぐらい。
まあくんがきれいな女優さんになってた!

咲良さんは本当にダンスがのびのびとして上手くて、
どこにいても目をひきます。
何も知らなくても、アンサンブルのあの人は誰だろう? ってチェックすると思うぐらい。
ジャグリングのような技も頑張ってました。
あれから早10年、着実に、前向きに、
いろんな舞台にチャレンジしていて素晴らしいです。

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迷子の時間(配信) [観劇メモ(ヅカ以外)]

11月にパルコ劇場で上演されたもの。
ジャニーズの亀梨君が出るのでチケットが取れず、
だいぶ経ってから、しかも数日だけの配信をやっと観れた。

結論としては、
見終わったあと、早速、元のイキウメ版のDVDでお口直ししてしまった、というところ。
やはり前川作品を体現するのには、
劇団イキウメのメンバーや常連参加者がぴったりなんだなあ、と思ってしまった。

元版のほうが、抽象的。
パルコ版のほうが、現実の世界ぽい。
演者だけじゃなく、セットもそうだから、わざとだよね。

良かったのは、元版だと中嶋朋子がやっていたお姉さん役の貫地谷しほり。
中嶋朋子は繊細な人がさらに追い詰められた感があったけど、
この人のは、ごく普通の主婦が追いつめられる感で、それはそれでよかった。
あと、浅利陽介はさすがに上手い。
この二人が、時空を越えて(そうとは知らずに)親子再会するところは、密度高かった。
ガルシア役の人は踊れるのが良かった。

亀梨君は、安井順平のセリフ回しをそっくりまねていて、
よくまねできるなあ、と感心。
だけど、別の個性なんだから、まねじゃない作り方はできなかったのか。
むしろ、歌舞伎役者みたいないい顔立ちなんだから、
もっとコスチュームものに出るべきなんじゃないか、この人。

イキウメ版のDVDを見て安井順平を見たとたん「会いたかったー!」と叫んでしまったよ(笑)
そんなに安井順平が好きだったのか、自分(笑笑笑)

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パレード(東京劇術劇場プレイハウス 1/28 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

(ネタバレします)

1910年代にアメリカ南部で起きたレオ・フランク事件を描いた、
1990年代後半のミュージカル。

前回観られず、評判が良かったのでチケットを取った。

すごかった…。
みんな観て! 絶対観て! と叫びたい。
DVD、せめてCD出してくれ。

主役はれるような歌ウマさんが束になって出てる。
めちゃレベル高い。
楽曲もいい。
森新太郎のかっこいい演出。

なのに内容は、あまりにもあまりにも、つらい。ていうかひどい。

当時の南部は、南北戦争で負けたことをずっと根に持っていて、
奴隷を廃止させられたから、白人の子供が工場で働いてる、とか思ってる。
戦没者追悼の記念日が祝日で、盛大なパレードが行われる(これが題名の由来)。
「南部の誇り」にしがみついている。

それで、主人公である、インテリの北部出身のユダヤ人を差別して、
冤罪で殺してしまう。

アンハッピーエンドだとは知ってたけど、
まさか主人公が××で××されて終わり、だとは思わなかったよ!
(書くのがつらくて伏せてしまった…)


冒頭は南北戦争に出征する若い兵士なんだけど、
すぐに彼が、片足になって登場する(別の役者なんだけど)、時間の経過がわかる。
その片足の老人は最後の最後にも登場するんだよね。恨みの象徴なんだろうな。

石丸幹二が、ちょっとおどおどとして、最初は妻にもつらくあたるような主人公。
南部のお嬢様でおっとりしているのに、どんどん力強くなる妻、堀内敬子。

フェイクだろうがかまわない、ニュースをまき散らす新聞記者、武田真治。
今井清隆の役は、アメリカでは有名らしい、差別をあおった新聞の社主らしい。
たいして台詞はなくて、通底するような歌を随所で歌ってる。
サカケンが偽証する黒人。これが歌がうますぎてねえ…。(この人が真犯人ぽい)
ハマコが黒人役や、被害者の母親役も?
オカケンが最後は正義を通そうとする州知事。でも古い体制の人ではある。
そんちゃんがその妻。二人の夫婦愛も良かった。
石川禅が冤罪に陥れる判事。この人、こんな色っぽかったっけ?


歌のうますぎる人たちが、「あんなやつ死ねばいい~」みたいなことを
朗々と歌うわけ。
レベルが高いからこそ、真実味が、説得力が、すごい。
いや、これ、フィクションだから、と思う隙が全くない。

ミュージカルって、すごいものなんだ。
ミュージカルだからこそ、パレードに集う、南部の人たちの盛り上がりが、表現できる。
ああ、こんな熱狂だったら、酔っちゃうよね。人を殺しても平気かもね。
だってみんなで盛り上がってるんだから、これが正義でしょ。って。
ミュージカルってハッピーで楽しいものだと思われがちだけど、
その逆の表現もありなんだ。

上から降りしきる色とりどりの紙。
ずっと掃除しないの。
しかも八百屋舞台で大変。
過去の堆積、なんだそうだ。
過去からずっと積もっている差別、憎しみ。

南軍の旗がしょっちゅう登場してたけど、
ちょうどトランプ支持者が議会に乱入した事件があったじゃないですか。
あのとき、その旗持ってる人多かったよね。
怖い! 今でもずっとつながってるんだよ、この問題が!

主人公夫婦が、冤罪を晴らそうと努力する中で、
心が通じ合うのは、救いの一つではある。

あと、最終的には、
主人公が絶対に嘘をつかなかったことと、
妻がパレードを見つめ続けるラスト(彼女は南部に住み続けたそうだ)
が、自分としては、ある種の希望だと思った。
嘘をつかない、現実を見つめ続ける(「見る」という行為は、抗議の意味でもある)、
それすら大変なときもあるかもしれないけど。

そうそう、黒人の表現が黒塗りではなく、
首に黒いストールをまく、というものだった。



思うところは山のようにある。書ききれない。






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東京原子核クラブ(本多劇場 1/16 17:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

マキノノゾミの出世作、東京国際フォーラムこけらおとしだったそうです。
(え、どのホールなんだろう。メインのとこだと広すぎる気が)

戦前の下宿屋さんの群像劇。
主人公は理化学研究所で原子核の研究をしているという、水田航生。
(上司の西田さんは、原子爆弾の開発をしていた仁科芳雄がモデル)

わちゃくちゃと楽しい日々、でありながら、
それぞれの立場と世相がきちんと描かれてて、
しみじみ、いい作品でした。

下宿屋をきりもりするお嬢さんは、化学をやってたけど、
理研には女性は就職できなかったんですって。
戦前、大学に行けた女性はすごく少なかったはず。
なのに就職はできないのか…。

ダンスホールのピアノ弾き、ダンスホールが閉鎖されたあとは満州の慰問団に。
プロレタリア演劇の作家で、特高につかまっちゃう人は、戦後は逆に大人気になったり。
下宿屋のお嬢さんといい感じになるけど、結婚はしない軍人さん。

そして謎の女が、きりやん!
レビューダンサーだったり、富豪と結婚したり、突然修道女になったり。
ちょこちょこっと出てきては笑いを取っていて、
もうかわいいのなんのって。
まるで『ガイズ&ドールズ』のアデレイドなんだよー!
アデレイドがまた見られるなんて!
男役の場面もあって、めちゃウケてましたが、本職ですからー。
きりやん、何かで「笑っちゃうほどかっこいい」っていう表現をしてた。
まさにそれだよー。

物語のクライマックスは1幕も2幕も、大村わたる(柿喰う客!)演じる、
東大の野球部…? という学生…?
「聖なる愚者」という位置づけなんだろうな。

仁科の研究が背景にあるからには、当然、原爆が大きな要素なわけです。

市井の人々は、
ある人は、生きるのに必死で、政治のことなんか口にしない、
ある人は、戦場に行っても死にそうになったら絶対に逃げよう、と思い、
ある人は、日本がすごい兵器を開発することを心から願い、
そして科学者は、原子核に魅せられすぎて、原子爆弾投下のニュースに、
死んだ人のことよりもまず、「先を越された」と思ってしまう。

けっこう重い話なのだ。
同じような局面になったら、私たちには何ができるのだろう。

DVDを買いたい。


ところで、元の開演時間は18:00だったの。
1時間繰り上げ。
終演は20時。
お店、どこもやってない!!
家に帰ったらけっこう夜遅い。困った。

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ザ・空気ver.3(東京劇術劇場シアターイースト 1/10 13:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

(ネタバレします)

今年の観劇はじめ。
緊急事態宣言になってからまだ数日。
めったに都内に行かない夫と一緒だったこともあり、なんだか緊張感…。
客席には、席と席との間に仕切りができていたし、
誰もしゃべらない。

でも始まったら笑いの渦。
そして、ぞっとする。
さすが永井愛。

空気の1と2は人気すぎてチケットが取れず、あとでDVDで見た。
「桜木さん」がずっと登場するのね。
古い体制を象徴するようなオッサンが必ず出てきて、
主人公はそれに対峙する。
40~50代の女性も必ず登場する。

でも今回面白いのは、そのオッサンが途中で、
自分が持っている政権にとって不都合な証拠を公開したい、と言い出すこと。
そして主人公がそのことを最後の最後にためらって却下すること。
うわー、鳥肌ものだ。

テレビ業界のブラックぶり、下請けの不利さとかもしっかり描かれていた。
若者がよくも悪くも無鉄砲なのも、面白くて、つらい。
中間管理職的な人の態度の(いいほうへの)変わり方、
若い女性キャスターの立ち位置や振る舞い…。

オッサンもそもそも、元は政権批判する側だったわけで、
一人ひとりの中のいろんな変化や迷いが、わかるから切ない。

オッサンは佐藤B作。ちょっとかわいげすら感じる。
(1の木場勝己は心底むかついたし、2の松尾貴史は心底いけすかなかった。
どっちもそれぞれすごかったよ。オッサンもいろいろなのだ。)

主人公は私の好きな神野三鈴。
ちょっとテレビ局の人にしては神がかってるが(笑)、
さすがの緩急と迫力でした。


帰りにお茶もせず、まっすぐ帰宅する観劇、さみし~~。
観劇って、その前後も大事だったのだな…。
でも、上演されるだけでありがたい!




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ゲルニカ(パルコ劇場 9/26 13:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

重すぎて感想を後回しにしていたことに、今頃気づいた…

ゲルニカ、つまりあのピカソの絵で有名な、空爆にあった街です。

一般市民を含めた史上初の大規模空爆。
ほぼ全滅だったので、何人死んだかもわかっていないらしい。
(同じことを数か月後に日本も南京にやっている!)

貴族と教会が力を持っていて、古い体制を維持しようと必死になっているけど、
庶民は「自由」を求めて戦い始めている時代。

主人公は領主の一人娘、「いだてん」で前畑秀子をやってた上白石萌歌。
上手いわけじゃないんだけど生命力と華がある。
(じつは彼女は、領主が召使いに産ませた子ということが後でわかったり)
どの街に空爆をするか判断するためのスパイとしてやってきた男と恋に落ちる。
でも彼もユダヤ人で、家族を人質にとられているわけで。

領主の妻のキムラ緑子が狂気じみていて、最終的に空爆に手を貸してしまう重要な役。
それを操る牧師や、
おだやかに生きていきたい、でももう召使いは嫌だと思っている料理人や、
とにかく戦いたい人民戦線軍(柿喰う客の玉置)や、素朴な若者や。

いろんな人がいて、それぞれ良い行いもあれば、後ろめたいこともあり、
必死に生きていたんだよねえ。
ポスターのみんなの笑顔はそのことをあらわしているんだろう。

外から見る人に、ジャーナリストのチギちゃん、透明感があってぴったり。
それから「いだてん」の美川くん。えっと、勝地涼。
こちらもなかなか斜に構えていて良かった。

いろんな人生が交錯して、主人公は出産するんだけれども、
その日に空爆が行われる。
その表現がすごいんだ。
ゲルニカといえば空爆で、あの有名な絵もあるから、
一体どうやって表現するんだろうと思っていたけど。
緞帳が…ああ、映像があるだろうから、ネタバレは避けよう。
こんな空爆の表現があるんだ、と驚いた。

主人公は赤ん坊を抱いたまま死んでしまうのだけれども、
チギちゃんがその赤ん坊(とおぼしき物体)を取り上げる。
生きているのかな、死んでいるのかな。わざとわからないようにしてる?
でも台詞で、「この子の名前をエスポワール(多分)と名付ける」と言ってた。
つまり希望。
じゃあ生きているのかな。

空爆以外でも、二人が恋に落ちる場面とか、
シンプルな舞台装置を使った演出が面白かったし、
そもそもの脚本が素晴らしかった。長田育恵さん、覚えておこう。

映像でまた観たい。きついけど。

ちなみに、新しいパルコ劇場はスタイリッシュで、
でも黒と赤の色合いや、劇場の中の距離感は昔とそれほど変わらず、安心。



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