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パレード(東京劇術劇場プレイハウス 1/28 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

(ネタバレします)

1910年代にアメリカ南部で起きたレオ・フランク事件を描いた、
1990年代後半のミュージカル。

前回観られず、評判が良かったのでチケットを取った。

すごかった…。
みんな観て! 絶対観て! と叫びたい。
DVD、せめてCD出してくれ。

主役はれるような歌ウマさんが束になって出てる。
めちゃレベル高い。
楽曲もいい。
森新太郎のかっこいい演出。

なのに内容は、あまりにもあまりにも、つらい。ていうかひどい。

当時の南部は、南北戦争で負けたことをずっと根に持っていて、
奴隷を廃止させられたから、白人の子供が工場で働いてる、とか思ってる。
戦没者追悼の記念日が祝日で、盛大なパレードが行われる(これが題名の由来)。
「南部の誇り」にしがみついている。

それで、主人公である、インテリの北部出身のユダヤ人を差別して、
冤罪で殺してしまう。

アンハッピーエンドだとは知ってたけど、
まさか主人公が××で××されて終わり、だとは思わなかったよ!
(書くのがつらくて伏せてしまった…)


冒頭は南北戦争に出征する若い兵士なんだけど、
すぐに彼が、片足になって登場する(別の役者なんだけど)、時間の経過がわかる。
その片足の老人は最後の最後にも登場するんだよね。恨みの象徴なんだろうな。

石丸幹二が、ちょっとおどおどとして、最初は妻にもつらくあたるような主人公。
南部のお嬢様でおっとりしているのに、どんどん力強くなる妻、堀内敬子。

フェイクだろうがかまわない、ニュースをまき散らす新聞記者、武田真治。
今井清隆の役は、アメリカでは有名らしい、差別をあおった新聞の社主らしい。
たいして台詞はなくて、通底するような歌を随所で歌ってる。
サカケンが偽証する黒人。これが歌がうますぎてねえ…。(この人が真犯人ぽい)
ハマコが黒人役や、被害者の母親役も?
オカケンが最後は正義を通そうとする州知事。でも古い体制の人ではある。
そんちゃんがその妻。二人の夫婦愛も良かった。
石川禅が冤罪に陥れる判事。この人、こんな色っぽかったっけ?


歌のうますぎる人たちが、「あんなやつ死ねばいい~」みたいなことを
朗々と歌うわけ。
レベルが高いからこそ、真実味が、説得力が、すごい。
いや、これ、フィクションだから、と思う隙が全くない。

ミュージカルって、すごいものなんだ。
ミュージカルだからこそ、パレードに集う、南部の人たちの盛り上がりが、表現できる。
ああ、こんな熱狂だったら、酔っちゃうよね。人を殺しても平気かもね。
だってみんなで盛り上がってるんだから、これが正義でしょ。って。
ミュージカルってハッピーで楽しいものだと思われがちだけど、
その逆の表現もありなんだ。

上から降りしきる色とりどりの紙。
ずっと掃除しないの。
しかも八百屋舞台で大変。
過去の堆積、なんだそうだ。
過去からずっと積もっている差別、憎しみ。

南軍の旗がしょっちゅう登場してたけど、
ちょうどトランプ支持者が議会に乱入した事件があったじゃないですか。
あのとき、その旗持ってる人多かったよね。
怖い! 今でもずっとつながってるんだよ、この問題が!

主人公夫婦が、冤罪を晴らそうと努力する中で、
心が通じ合うのは、救いの一つではある。

あと、最終的には、
主人公が絶対に嘘をつかなかったことと、
妻がパレードを見つめ続けるラスト(彼女は南部に住み続けたそうだ)
が、自分としては、ある種の希望だと思った。
嘘をつかない、現実を見つめ続ける(「見る」という行為は、抗議の意味でもある)、
それすら大変なときもあるかもしれないけど。

そうそう、黒人の表現が黒塗りではなく、
首に黒いストールをまく、というものだった。



思うところは山のようにある。書ききれない。






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