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「キザる」の衰退 [ヅカってなんだ?的記事]

一体いつから自分は宝塚を物足りなく思うようになったのだろうか。


物足りない、を、いつも「薄くなった」と表現していたけど、
具体的にはどういうことなんだろうか。

2010年代はじめに、そのころファンになった人に、
「紫吹さんとか湖月さんとかって、映像で観ると、濃すぎて笑っちゃいますよね」
って言われて、へ~、と思った記憶がある。
その人は、もっと薄いのが好きなのだそうだ。
宝塚は、濃くてなんぼ、笑ってなんぼでは? と不思議だった。


2004年にHPを作ったとき、
「男役の色気」がきっかけだったと書いた。
今、「男役の色気」ってあるかなあ?

女性が男役をやるからこその、不思議なオーラ、は確かにある。
こちらを誘惑するような、ドキドキするような、
男役さんからの目線というのは、確かにある。と思う。
あと包容力ね。


けど、私が好きだった「色気」はあまり感じられないな。
それこそが「濃い」ものなんだろう、多分。

じゃあその「色気」って具体的にはどういうものを指すんだろう。
不思議なオーラを土台としつつ、その上にある芸。


と、いろいろ考えてみると、
具体的には、ごく狭い範囲で言えば、
「キザる」ってやつかもしれん。


前述の、薄いのが好きだという人は、
「カフスを直すとか、髪を撫でつけるとか、
そういうキザる動作が好きではない」と言っていて、
だったらなぜ宝塚を見ているんだろ? とまで思ったものです。

「キザる」所作よりもう少し広い範囲で言えば、
客席へのアピール、かな。表情とか目線とか。
舞台から客席の一本釣りって、今もあるんだろうか。


今、そういうのってほとんど見られない気がする。
(たまにしか見ないので見落としていたらすみません、
おすすめの人いたら教えてください)

ふみか様(86期)はそれがある人だったけど、
(でなかったらファンにならん)
でも退団した2015年には、すでに少数派だった…


「キザる」は、一体いつ消滅したのだろうか。


トップさんで考えてみると、
蘭寿さんにはあった。
『ミスタースウィング』という作品名は、腰の振りから来ているわけだし。

82期の蘭寿さん、壮さんにはあった。
84期の北翔さんにもあった。
でもそれ以降は…??

(だいもん退団公演で確認したけど、歌うときのフリとして素敵なタメはあった。
でも伝統的なキザる動作はなかった。
唯一、中詰めの銀橋渡りで、だいもんとスターさん数人がウィンクしてたのが、
客席へのアピールだな)

振り付けとしてはあるけど、
ショーの「間合い」でそれを積極的に繰り出す、
ということはほぼ無いのでは。

…映像で確認しなくちゃ。

仮説として、北翔さんの2017年の退団がひとつのメルクマールだった説をあげておく。
遅れての就任だったから、まさに「キザる」の残照。


ジェンヌさんのおばさまをしているおばさまが(変な日本語 笑)、
「旧音楽学校を使っていた世代と、そうでない世代で断絶がある。
85期は予科のとき旧で、本科のとき新だから、境目だ」と言っていた。

そうなのかもーーー!


今ものすごく実感している。
とてもさみしい。
ひしひしと、さみしい。


完全に滅亡してしまったのだろうか。
今どこに行ったらそういう芸が見られるのだろうか。
ひょっとして、タソが続けてくれているのだろうか。



(繰り返しますが、たまにしか見ないので見落としていたらすみません、
おすすめの人いたら教えてください。切実に! お願いします!)



で、思うに、
今私は元キャバレーの踊り子さんのやるショーや、
ストリップにはまっているのですが(→こちらのブログ)、
そこには「キザる」に類するものがあるんじゃないか。
踊り子さんがうっとりするときに、自分で自分の頬を撫でたりする、
そういう伝統的な所作があるんですよ。
(男役ではないけど)「キザる」に近いのではないか。
という気が、ちらほらと。
いや、ひしひしと。
しています。



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