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イキウメの金輪町コレクション(配信) [観劇メモ(ヅカ以外)]

2月の公演を、3月に1週間だけ配信。しかも3パターン。

見始めたとたんに、
テトリスみたいに、いろんなものがおさまるべきところにおさまる。
このすっきり感。

イキウメの世界観がしっくりきすぎる。
これだよ、これこれ!

抽象的な背景に、SFやオカルトっぽい話が、
理路整然と進みつつ、コミカルで、ちょっと情があって、
役者さんがめちゃウマで。

落ち着いたトーンの抽象画に、迷い込んでずっと出てこれない楽しさ。


ただ、3つのプログラムを1週間で見るのは無理でした。
甲乙をなんとか見終わって、よし次「丙」を買うぞ!
と思ったら、チケット買う期限過ぎてた…ううう。

DVDプリーズ…!


過去の公演の再演で、
前とは違う人がやってる場合が多いんだけど、
全然真似ではなくって、でも成立してて、
やっぱすごいわ、と。

イキウメにしても劇チョコにしても柿喰う客にしても、
脚本家の世界観を表現できる役者さんがそろってるって、
すごいことなんだなあ。

今回は、昨年の緊急事態宣言で舞台が中止になったときに、
いつも舞台になる「金輪町」の設定を詳細に詰めていった結果の公演。
その際に作られた地図などが公開されているので、
オタクっぽく、この作品のこの場所と、この作品のこの場所が隣同士なのね、
とか確認していく楽しみもある。うふふ。
そして過去のDVDをまた確認する、と。うふふ。

客演の松岡依都美さん、演じ分けがすごく上手い。
自殺志願の人を演じてる「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」、何度も見てしまった。


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帰還不能点(配信) [観劇メモ(ヅカ以外)]

BSでやっていた『あの記憶の記録』『熱狂』を見て
はじめて知った劇団チョコレートケーキ。

『あの記憶の記録』は、
ユダヤ人収容所で同胞を殺す役割をさせられた「ゾンダーコマンド」を題材にした作品で、
重…っ。激重…っ。
かわいい名前とは真逆。

でも、だんだんいろんなことが明らかになっていくドラマチックさや、
最後に少しだけ希望があったりとか、
演劇ならではの面白さがあって、すごく良かったです。
この劇団は、賞をたくさんとっているんですね。

次に公演あったら絶対行こう!! と夫と話していたのですが、

コロナ感染大爆発ですよ…。

ビビりな夫が「配信があるなら配信で」と主張し、
そうこうしているうちにチケットが売り切れ。
次は心置きなく生で観たいなあ。


帰還不能点というのは、飛行機が戻れなくなる、燃料が半分になったところ。
日本の近代史では、対米戦の決め手となった
昭和16年7月の仏印進駐を指すそうです。

ちょうどその頃、各省庁から集められた若きエリートたちが、
日本がこのまま戦ったらどうなるかを予測させられた
「総力戦研究所」というのがあった。

彼らは「アメリカには絶対に負ける」と予測したけど、
そうはっきりは言えないので、それとなく上に伝え、
東条陸軍大臣はご立腹だったそうな。


そのメンバーが戦後5年経って、
居酒屋に集まって思い出話をする、というお話です。

なんと、直前にたまたま、『昭和16年夏の敗戦』という、
「総力戦研究所」についての本を読んでいたことと、
なんとなんと、私の勤務先のかつてのNo.2が、
この「総力戦研究所」に所属していて、
しかも、この舞台の主人公のモデルである!
ということもあり、のめりこんで見ました。


前半は、彼らが「どこが帰還不能点だったんだろうね」と、
当時の大臣たちになってお芝居をする、という趣向。
次々役を変えるので、ちょっとまどろっこしいし、個性が見えない、
ちょっと教材ぽい(ていう感想をツイッターで見かけて、確かに)。

でも、歴史上、そういうことがあったんだー、
近衛文麿と松岡洋右ってそういう人たちだったんだ、
戦争責任は軍人と天皇だけじゃなく、官僚の責任も大きかったんだなあ、
と、勉強になる。

とはいえ、さすがにこのまま続くわけなかろう、
と思っていたら案の定。

すでに故人となったメンバーは、なぜ死んだのか、
という謎がだんだん明らかになっていきます。

そして、主人公が突然、「あの日、広島にいたんです」と言い出す。
そうなんです、彼は被爆してるんですよ。

帰還不能点の責任は、
近衛や松岡や軍にだけあったわけじゃないんじゃないか、
広島で吹っ飛んだ街とものすごい数の死体を見たら、
自分たちに責任がなかったとはとても思えない。
あのとき、自分たちは負けるとわかっていたのに、なんで何もしなかったんだ。

現代にビシバシ来る話です。つらい…!

そこからの展開はウルウルしました。

この脚本の着想の始まりは、
「総力戦研究所にいて、しかも被爆したこの人は、
自分の責任をどう思っただろうか」
ってところだったと思います。

でも現実には、主人公のモデルになった人は、
この舞台と違って官僚を続けたわけです。
弱小のお役所とはいえ、No.2として乞われるほど出世した。
官僚らしいやり方で組織を立て直した、と言い伝えられています。
実在の彼は、昭和16年のあの夏のことを、
そして昭和20年8月6日のことを、どう思っていたんでしょう。

そして、この舞台では死んでしまっているメンバーも、
モデルとなった実在の人物は、日銀総裁にまで出世している。
どう思っていたんですかね。

現実の人間のほうが、より「複雑怪奇」なんだろうな、と
そのことにもしみじみしました。


役者さんたち、劇中劇をたくさんやっているので、
この舞台での姿が素だと思ってしまいそう。
(配信の最後についてる座談会のほうが、
現代人の役をやっているように思えるぐらい 笑)
外務省出身の役の二人が、いい声だったな。
みんなに愛着を持ちました。

劇チョコ、過去作品のDVDがあんまりないんだよなー、売ってくれー。
全部見たいー。


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バーナム(東京芸術劇場プレイハウス 3/13 17:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

咲良さんが出演するのと、オギー演出なので観に行きました。

映画「グレイテストショーマン」の主人公で、エンタメの歴史で重要な人物。
見世物小屋からサーカスを作った人。

楽しく元気でかわいらしい作品で、
多分テーマは、イカサマも使いようではハッピーになるよ、ということらしい。

だけど、「それでいいの?」「え、これだけ?」と思うことが多々あり。
要するに、すごく古い作品なんですね。
1980年代かなあ? と思ったら、まさに1980年初演だそうです。ビンゴ。

一つ目の違和感は、サーカスという大がかりなものを題材にしているのに、
会場が半端に広いこと。
それなら、オギーの退団作『ソロモンの指輪』みたいな大がかりなセットがほしい。
そうでないなら、博品館みたいな小さな劇場で、観客のイメージに任せてほしい。

二つ目の違和感は、とにかく今の感覚からしたらやばいことが多い。
見世物小屋で、黒人の老女や、身長が伸びない子どもを見せるんだけど、
それを能天気に見せていていいんだろうか??
差別でしょう。

もちろん、上演するなというわけじゃなくて、
そのことに意識的であってほしいわけ。
見世物小屋を舞台にした名作『サイド・ショウ』は、
見世物にされる側の葛藤だった。

今回は、見世物の興行主。
その葛藤を描くのなら、最終的には、
イカサマを辞める、ということになるのでは?

だがしかし、彼はなんと政治家になるのです!!
そりゃまずいでしょう。

今国会でもさんざん、政治家が嘘ばっかり言ってる。それが現実。
でもそれは、いけないことなのよ。
イカサマも使いようでハッピー…にはならないのよ、政治家の場合。
それならそこで葛藤してくれなくちゃ。
作品としては批判してくれなくちゃ。

1幕の終わりが、ソプラノ歌手との浮気っていうのも、
えー、それがこの人の葛藤なの? と驚き。
そして、最終的には妻に許されて主人公は家庭に戻るんだけど、
浮気された女性のほうはどうなのよ。
昭和30年代ぐらいの日本映画の、
妻とバーのママさんとの間でうろうろしてる喜劇、
みたいな感じ??(森繁の社長シリーズとか)

ふーるーすーぎーるー。


出演者のみなさんは上手でした。もったいないぐらい。
まあくんがきれいな女優さんになってた!

咲良さんは本当にダンスがのびのびとして上手くて、
どこにいても目をひきます。
何も知らなくても、アンサンブルのあの人は誰だろう? ってチェックすると思うぐらい。
ジャグリングのような技も頑張ってました。
あれから早10年、着実に、前向きに、
いろんな舞台にチャレンジしていて素晴らしいです。

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迷子の時間(配信) [観劇メモ(ヅカ以外)]

11月にパルコ劇場で上演されたもの。
ジャニーズの亀梨君が出るのでチケットが取れず、
だいぶ経ってから、しかも数日だけの配信をやっと観れた。

結論としては、
見終わったあと、早速、元のイキウメ版のDVDでお口直ししてしまった、というところ。
やはり前川作品を体現するのには、
劇団イキウメのメンバーや常連参加者がぴったりなんだなあ、と思ってしまった。

元版のほうが、抽象的。
パルコ版のほうが、現実の世界ぽい。
演者だけじゃなく、セットもそうだから、わざとだよね。

良かったのは、元版だと中嶋朋子がやっていたお姉さん役の貫地谷しほり。
中嶋朋子は繊細な人がさらに追い詰められた感があったけど、
この人のは、ごく普通の主婦が追いつめられる感で、それはそれでよかった。
あと、浅利陽介はさすがに上手い。
この二人が、時空を越えて(そうとは知らずに)親子再会するところは、密度高かった。
ガルシア役の人は踊れるのが良かった。

亀梨君は、安井順平のセリフ回しをそっくりまねていて、
よくまねできるなあ、と感心。
だけど、別の個性なんだから、まねじゃない作り方はできなかったのか。
むしろ、歌舞伎役者みたいないい顔立ちなんだから、
もっとコスチュームものに出るべきなんじゃないか、この人。

イキウメ版のDVDを見て安井順平を見たとたん「会いたかったー!」と叫んでしまったよ(笑)
そんなに安井順平が好きだったのか、自分(笑笑笑)

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