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プリシラ(日生劇場 12/28 18:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

LGBTが広まってきたとはいえ、
日本ではまだ無理なんじゃないか、という気が…。
いや、それが原因じゃないかなあ。うーん。

オーストラリアのドラアグクイーン3人が、
シドニーから、田舎を目指すロードムービー。

年とった、かつてのパイオニア(性転換者)が、陣内孝則で、
乙女ちっくな感じで面白い。彫が深い顔だから、
あー、こういう年とったオネエさんているよね、と思う。

若くて挑発的な子は、古屋敬多という人で、スタイルもいいし、歌も上手い。
(Wキャストらしい)

何よ、ババア!
何よ、若造!
みたいな感じでいがみあっていた二人が、最終的に仲良くなる過程が、
なかなかドラマチックで良かった。

特に、パイオニアの過去の業績について、若造は全く認識していないんだけど、
その時代のファンの人と途中で出会って、
ファンの人の回想で、美しいレビューが上演されるところが、
とっても素敵! (若造も尊敬せざるを得ないような美しさ)
(回想シーンはさすがに陣内じゃない人がやってんだけどね 笑)

しかも、このファンの人とくっつくのよ。さらに素敵でしょ~~
(ファンの人はCONVOYの人らしい。役柄上、すげーいい男に見える)

だがしかし。
肝心な主人公(いっくん)のドラマがよくわからないのだ。
ドラアグクイーンなのに、子供がいるんだよ。
で、妻が経営している田舎の劇場でショーをする(妻とは今や親友)、
子供が自分の仕事を理解してくれるか…
バイってこと? それはわからないでもないけど、
妻と今でも仲良しっていうのが、都合よすぎないか~?
うーん…

と悩んでいたが、ふと気づいた。
『ラ・カージュ・オ・フォール』と構造は同じじゃん!!
(しかも、いっくんはラカージュでは息子のほうを演じてたよね~)

なんで、ラカージュは、自分の仕事を子供に理解してもらえるか、
という悩みが、すんなり入ってくるのに、
プリシラでは、なかなか伝わってこないんだろう。
うーん…

ひょっとして、ロードムービーの特性上、
子供がなかなか登場しないからかな?
ラカージュみたいに、目の前で、子供に否定されたりしないからかな?
そうかもしれん。

映画も見てみよう。

あーー、ラカージュが観たくなってきた!(笑)
将来、いっくんのザザが観てみたいなあ!
(その前に、岡っちにやらせてあげてよ!)

そうそう、
陣内の役の人が昔やってたのは、ヅカファンになじみ深い「レビュー」。
ラカージュでやってるのも、「レビュー」っぽい。
それと、ドラアグクイーンの文化って、当たり前だけど、つながってるんだね。
ナイトクラブでおネエさんがやるショー、を
あえて「ドラアグ」と名付けていったのは、いつ頃、どういう動きだったんだろう??

あと、プリシラでは、導入部分に本当のドラアグクイーンが登場して、
場を盛り上げてくれるんだけど、すごくいいんだけど、
でも3人のオネエさんぶりが足りないようにも見えてしまい、難しい。
ミュージカル俳優として表現する部分も必要だから、
完全にオネエっぽくするのも変だし。

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磁場(本多劇場 12/23 14:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

『HEAD'S UP!!』の倉持裕が脚本で、
同じくユウヒさんが出るというので、観ました。

『HEAD'S UP!!』はすごくよくできたエンタメだったけど、
こちらは小劇場らしい作品で、
倉持さんの守備範囲の幅広さに驚き。

登場人物一人ひとりについていろいろ考えてちゃう
(その後どうしたかな、この前はどうだったんだろう、等々)
っていうのは同じで、やっぱりすごく上手いんだと思う。


そいでもって、めちゃくちゃ怖い話なんですよーー。

新進の脚本家が映画脚本執筆のためにホテルのスイートをあてがってもらって、
監督やプロデューサーと打ち合わせしたりするんですが、
ホテル代をはじめ、映画全体のスポンサーである大企業の会長さんが、
最初は善意っぽく、でもだんだんネチネチと、口出してくるわけです。
会長の意向を勝手に汲む秘書との関係性とか、
(会長にボコボコに殴られても秘書を続けている)
知られたくない過去まで調べて脅迫するとか、

観ながら怖くて怖くて、やめーてーー
と心の中で叫んでました。

大なり小なり、こういうことってあるじゃないですか。
組織の中で、一番力のある人をみんなで持ち上げて、
勝手に推測して勝手に自粛したり、
で、力のある人は孤独になり、もっと力を発揮しようとして、
誰も楽しくない状況になっちゃう。

せっかく面白く作られたものを、自分のセンスが悪いからって、
「一人よがりだ」ってケチつけて、超つまらないものにしちゃったり、さーー。


最終的にはどんでん返しで、ものすごく悲劇的な終わり方をします。
脱力…


パンフによると、実際にあったことを、
ちょっと誇張したり、ちょっと大人しく書いたりした、とのこと。
えー、これよりもっと怖いことがあったのー?!

こういうことは「巻き込まれる」とか「ひっぱられる」とか、
紐とか布のイメージなんだけど、
それを「磁場」っていうのが面白い。

会長役の竹中直人が、怖すぎて怖すぎて。

ユウヒさんはその愛人で、売れない女優。
ややダサい服で、一見どっちの味方かわからない感じなんだけど、
実は慈愛に満ちていて、それとなく主人公を助けようとする。
宝塚の元男役に、慈愛って大事よね。
でも「売れない」のはちょっと似合わなかったな、風格がありすぎるんだもん(笑)


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本の感想 [ヅカってなんだ?的記事]

あけましておめでとうございます。

1年前は、ふみかちゃんが退団して、ぽかあーーーーーんとしていました。
その後、どうなるかと思っていましたが。

ふみかちゃんは芸能活動を始め、羊たちの同窓会もあり。

自分も、宝塚はアウェーな場所になってしまったけど、
ちょこちょこ観劇しては、感想を書きたくなって今に至る、と。

「余生」をぼちぼち生きられたらと思います(笑)。


で、ふと振り返ったら、記事にしてない文章がありました。

退団公演でムラに何往復もしていたとき、
飛行機や新幹線の中で、せっかくだから、
読んでなかった宝塚本を読んでたんですよね。

昔は、宝塚研究の本を片っ端から読んでいたんですが
(そのときの感想一覧→http://www009.upp.so-net.ne.jp/ft2/koutenteki-zukafun/library.html
96期裁判でどんどん醒めていったため、
「ブラック企業に経営のコツとか聞いても、意味ねーわ(怒)」
と思って、途中から一切読んでいなかったという(苦笑)。

とりあえず読んだ5冊の感想をここに載せておきます。

-----------------

○ヅカメン! おとうちゃんたちの宝塚 / 宮津大蔵(廣済堂出版 2014)

ルンパさんの御夫君が書いた小説。
中学生でも読めるような、わかりやすいお話しでありつつ、
複数の人物がバラバラに登場するのに、それぞれ関連しあっていて、
最後はフィナーレで全員が登場する、とても気の利いた作りです。

宝塚を支える生徒監、プロデューサー、大道具さんといった男性のほか、
生徒のお兄さんやお父さんも含めて、
男性の立場から宝塚を描くことで、
戸惑いつつも宝塚への愛情が湧いていく様子が、イキイキと伝わってきます。

サンバさんという名前で登場する上級生男役さん(もちろんルンパさんがモデル)、
ちょっとだけ、ふみかちゃんと重なったりもしました(/_;)
こんな伴侶を見つけてくださるなら、喜ばしいことです(/_;)
(本の感想と関係ない 笑)



○宝塚百年を超えて 植田紳爾に聞く / 川崎賢子(国書刊行会 2014)

紳爾に賢子が聞き書きした本。
いやー、これはマジ面白い!!

これまでの著書では語られていなかった話も、
聞かれると答えちゃうってことで、
白井鉄造との確執!! 山村家への婿入り、等々
初出エピソード多数です。

北条秀司に師事したというようなことも、
詳しい経緯とともに、当時の演劇事情がよくわかります。

宝塚での実際の現場の
昔と今の変化などもそれなりに語られているので、
紳爾ファン(っているのか 笑)以外にももちろん面白いです。

宝塚文化をどうとらえるか、今後どうあるべきか、というような部分では、
賢子がガンガンに突っ込んで聞いても、
全然答えになっていない部分もあったりして、それはそれで(^_^;)

賢子には、ほかの先生方にも是非聞き書きをしていただきたいです。
(渡辺武夫はキムシンがインタビューしてましたが、本にはならないのかな?)

ちなみに、例の裁判については、
「個人情報保護で生徒の家庭の事情がわからなくなったからだ」
と紳爾が答えていて、
「そりゃ違うだろー!」と読みながら全力で突っ込んだら、
賢子がビシっと反論してくれていました。



○元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略 / 森下 信雄(角川書店 2015)

「どうして再演が多くなったんだろう、どうしてあんまりショーやらないんだろう」
「どうして大劇場と東京の間の休みが短くなったんだろう」
と疑問に思っていたことの大半が、
「コストがかかるから」「儲からないから」だと明言されていて、
おおぅ……、となりました。

しかもそのきっかけ的なものが、国鉄民営化だというから興味深い。
バブル前じゃないですか。
経済は長いスパンで見ないといけないのですね。

悠長な少女歌劇が、不況の時代、どうやって儲けを出すか。
けっこう赤裸々で面白く、また切なくなります。
はーあ。



○宝塚歌劇 〈なつかしさ〉でつながる少女たち / 永井咲季(平凡社 2015)

卒論をまとめたものだそうで、
自分の卒論を考えると穴に入りたくなります。

「なつかしい」という用語が、現在のノスタルジックな意味だけでなく、
「慕わしい」という意味で使われていること(宝塚だけではなく、時代的に)
に着目したことがとても面白いです。

現在、宝塚が生き残っているのはノスタルジックな性質からではないか
と思うので、そこをもっと掘り下げてほしかったです。



○宝塚ファンから読み解く 超高関与消費者へのマーケティング / 和田 充夫(有斐閣 2015)

マーケティング手法の説明など難しいところもありました。

ヅカファンの属性や行動様式を、
年間観劇回数ごとのグループに分けて事細かに分析していて、
あーー、あるある、的なこともありつつ、
えー、なんか違うんじゃないか、的なこともありつつ。

結論としては、ファンクラブをもっと重視しろ、となっていて、
それには同意なんだけど、
自分がマーケティング理論について理解できていないせいか、
どうしてその結論になったか、いまいちわかりませんでした(^_^;)

その業界の人には、「おお、参考になるぞ!」と思うのかな???




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