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ロミオとジュリエット(東京宝塚劇場 8/16 18:30) [観劇メモ]

この役替わりには無理がある。雪組のときにも書いたけど、主役二人が役替わりするのは、ダメだ。ラブストーリーに入りこめない。

そもそも10代の少年少女が、会ったその日に「結婚する!」と言い出す話には、「おいおい」と突っ込みたくなってしまうもの。それを「うっとり」にするには、よほどの歌唱力か(宝塚でそれは無理)、よほどの見た目のバランスか(今回はジュリエットの背が高すぎる)、さもなければ「この二人は唯一無二のトップコンビなのだ」という前提がないと不可能。

ラブストーリーだけでなく、友情や家同士の結束もいまいち感じられなかった。ロミオ・ベンボーリオ・マキューシオが子供の頃から友達でやんちゃしてたという一体感が、無い…。青チームや赤チームが、「ロミオが俺たちの若き棟梁なんだ!」「ティボルトが俺たちの若き棟梁なんだ!」と思う気持ちが、薄い…。マキューシオとティボルトの、喧嘩し続けてきて、最後はほぼ同時に死ぬという「絆」が、感じられない…。

観たのは明日海ロミオ、龍ティボルト。どちらも合っている役だと思うのに、深めきれてないように思う。もっとじっくり一つの役を深められたらよかったのに。ティボルトが死ぬ動作が段取りに見えてしまったし。みんなみんな、もったいない。

役替わり以外について。

思わぬ人が思わぬ歌唱を発揮してた。特にあーちゃん。あんな低音で、子音をきかせて歌うあーちゃんを初めてみた。マギー、今までどちらかといえば、がなってしまう歌い方だったけど、語るように歌ってた。歌で芝居してた。マギーが一皮むけたと思った。

肝心のジュリエット。やっぱり背が高すぎるんだが…、メイクが良くなったね! パンダ目にしていて、鼻ぺちゃ顔をかわいく見せることに成功している。そして、これまでの「娘役芸を頑張ってやっている感」がなくなり、自然になっていた。「媚」のないまっすぐなジュリエットで、好感が持てた。

乳母の役作りが、今までと違う完全な「道化」。メイクもわざと不細工にして、動作も一人だけ戯画的。こうしたことで、途中までジュリエットの恋を応援していた乳母が、突如「やっぱりパリスと結婚したほうがいい」と翻ることが、すんなり納得できた。「ああ、考えの浅い人なのね」と。いや、しかし、そうすると、美穂姐さんの素晴らしい歌唱で流した我々の涙はなんだったんだ、返せ! となる。あの歌での感動は、考えの浅い人に対するものではない。…そもそもが矛盾している役ってことなのかなあ?

越リュウパパの髭が良かったなー。召使とほんとにいちゃいちゃしてた!

キャピレット母のすーさんは、ちょっと柄違いか。すーさんの熟女は魔女っぽくなってしまって怖い。「本当にティボルトが一回やっちゃったんだろうな」ぐらいの現役感がほしい。

大公は歌も上手いけど、ちゃんとオジサンしゃべりも出来てた。研4だなんてすごい。

愛は、踊りは優雅で素晴らしい。が、表情が企んでる。せし子の慈愛の表情とどうしても比べてしまう。

死は、まるでビジュアル系バンドの人だった。この作品世界をつかさどっている人ではない。顔突っ込んで伴奏して楽しんでる、といった趣。

んで、みやるり! 一人で重〜い芝居をしていて、目が釘付け。特に、死ぬまでの喧嘩のところで、ロミオがやってきて「あちゃー」と顔を覆ったり、いちいち心情が伝わってくる。狂気の表情もいいねえ。ああ、みやるりマキューシオをもう一回観たいよ〜〜(あとマギーベンボーリオ)。

そうそう、肝心の新トップさんね。大階段にあらわれたとき、髪型のせいか、トシちゃん(宇月さんじゃないよ、たのきんトリオのほうだよ)に見えた! 自分の好みではないけれども、ある意味、ビッグなスターだわ、この人。

最後に演出について。ピンスポットでシルエットを背景に映し出す(例:バルコニーにいるジュリエットのシルエットをロミオが見つける)のが、良かった。


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