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虞美人 初演の脚本を読みました [観劇メモ]

初演、再演の白井鉄造版の脚本をゲットしました。

話はこびは、原作である長与善郎版にかなり忠実です。

ただ、オリキャラがいます。長生、万林、千林、菫花、紅林。最後の二人は女性です。片方が美人で片方が不細工。『真夏の夜の夢』のハーミアとヘレナみたいなもんでしょうか。彼らは狂言回しで、「秦の始皇帝がさー」とか、「項羽ってすごいらしいね」とか世間話をすることで、客席に状況を説明しています。今だとかなり寒〜くなっちゃうかも、っていう役どころです。

しかも、男性たちは兵士になってストーリーに参加するんです。不細工キャラの紅林も、芝居の最後には、意外な人生を歩んでいることになっています。

だからね。脚本読んだだけの印象ですが、「戦に翻弄されて、女の一生っていろいろだよねー」的な話に思いました。虞美人は項羽とラブラブだけど(だから?)自害する。でも幸せ。呂は野心を遂げたけど不幸。桃娘は親を殺され、ひどい目にあったけど、いい夫を見つけた。その対比をより強調し、観客が感情移入しやすくするために、紅林という庶民の女性が登場する。

時代的なものもあるのかも。だって、劇中に「男女同権の世の中」とか「ジープで立ち去る」とか、ブギのリズムとか、戦後すぐの流行りが登場してるんです。終戦から6年、まだアメリカに占領されている日本。夫が戦死した人、帰ってきたけど…という人、いろいろだったに違いないです。そう思うと、「戦に翻弄されて、女の一生っていろいろだよねー」はかなり、重い。

虞美人と呂と桃娘の3人で行われるヒステリックな場面は、白井版では夢オチということで虞美人の名誉を守ってはいますが、やはり原作どおり登場します。キムシン版でも、状況は違うし虞美人のほうが優位だけど、やはり3人がいて、戦う男に付き従う女の運命みたいなものを語ってますよね。なので、このテーマはキムシン版にも受け継がれているのではないか、と思うのであります。

ただ…紅林という名前。キムシン版では、一花ちゃんが演じている稚児の名前として使われているわけで。意味的には全然つながりないと思うんですけど…。キムシンはそんなにしてまで、一花ちゃんにお稚児さんをやらせたいのでしょーか。そんなにしてまで、お稚児狂いのまりんちゃんを見たいのでしょーか。気持ちはわかるけどさぁ、それを思いついちゃうキムシンって…。

*ちなみに、項梁エロ場面は初演再演ともにありました。←しつこい

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