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カサブランカ(東京宝塚劇場 1/7 18:30) [観劇メモ]

ユウヒに乾杯。小池修一郎に乾杯。タカラヅカに乾杯。

これって、タカラヅカでしかできないものなんだ。

だって、タカラヅカって大人数だから。「ビザをくれ」と焦る人々、活気のある市場、逃げようと改札に殺到する人々…、アンサンブルが20人ぐらいの舞台じゃ、この迫力は絶対でない。映画だとアップ多用で背景のようにしか映っていなかった人々が、舞台の上では本当に存在する。それぞれが生きている。どこ見ていいのか忙しい。本当にカサブランカがあるように思えてくる。

それに、リックって男役の美学そのものだから。それを体現するユウヒのかっこ良さたるや。あの肩幅、ウエストのなさ、小尻、三白眼。クールで中立、モテモテだけど好きな女は一人だけ、酒飲んでやさぐれてたくせに、イルザに「まだ愛している」と言われたとたん、ガバッと抱きしめちゃう。そのうえ、回想シーンでは若くてかわいくてキラキラ。なんだこりゃー、まじでときめくよ、ヤバい、ヤバい、全身がうっとりする、最初から最後までうっとりする、うわー。徹頭徹尾「素敵~」と目をハートにして観たのなんて久しぶりかも。これだよ、これ、男役芸ってこういうもんだよ、タカラヅカってこういうもんだよ。

イルザの気持ち、わかるな~。知的な紳士とアウトローとの間で揺れる気持ちってめちゃめちゃわかるよ。ラズロはインテリで上品で、尊敬に値する紳士。リックはやさぐれてて色気があって、女をメロメロにするような男。どっちも好きなのよう、どっちかを選べなんて言われても困るのよう。

だから私はイルザになってカサブランカにいたのだ。あの三時間! 東京宝塚劇場の座席で!

ま、上海の予習してたせいもあるかもしれないな。同じような時代の、同じような治外法権の街。行きどころのない外国人がいっぱいいて、どこにも行けずに漂っている…。ぴったりはまっちゃいました。

盆を多様したスムーズな演出がとにかくうまくて。映画につけたしたエピソードも無問題。小池先生絶好調だね。映像もきれい、今まで映像を舞台で使うのって反対だったけど、これはいい。絵みたいなものを流しているからだと思う。普通に撮った映像だと、舞台に生の人間がいるのに何故あえて映像が必要なのか?って思ってしまうけど、背景画を動画にしたようなものなら、しかも今回のように、飛行機の離着陸という、大道具でやったら間抜けになりそうなものなら、賛成。舞台全体を囲むように丸い壁に映しているのも、立体感があって正解。

映画の雰囲気を損なわない、とは言っても、タカラヅカらしいところもちゃんとあって。冒頭の音楽が、As time goes byなのに、ちゃんとヅカヅカしい演歌調のオープニングになってるのがまずツボだった。リックが階段の上の入り口から登場するところも、トップさん出ましたー! みたいな感じで、わくわくする。

あと、とにかくほっくんが素晴らしいね。難しい役をよくまあ、あそこまで。眉や目でいろーんな演技してるから、この人の表情だけ追いたくなってしまう。胴布団は似合わないけど、まあ仕方ないか。たまちゃんのウガーテも上手かった。『プチジャルダン』のお爺ちゃん・お父さん・息子の演じ分けで、上手いってことはわかってたけど、やっぱり上手いなあ(ちなみに、別チームのときのじんじんもめちゃうまだった)。月映樹茉かわいい。わかんない下級生が多数。群衆を見るのが楽しくて忙しい。大海亜呼の男装とか面白すぎ。ただ、蒼羽りく使いすぎじゃないかなー。

萬さま、最後があまり色気のなさそうな役でどうかと思ったけど、いやはや。この方、色気云々以前に、もっすごいスターさんなのだ。ちょっと歌って踊るだけで、空気が全然変わる。さすが路線系専科様。リックとの居方、みんなからの愛され方、イルザへの接し方、楽しそうなピアノの弾き方……上手いなあ。辞めないでぇぇぇ。

気になるのは、リックとイルザが再び愛を確かめ合った(と言ってましたよ、彼ら)後、上着脱いだだけなこと。ネクタイほどいちゃっていいんじゃないですか~? 情事の後なんですから。

映画と大きく違うなと思ったこと。タカラヅカ版ではラズロが好戦的だ。戦闘のシーンが入ったからかも。熱くて、アドレナリン出てまーすって感じに見える(蘭とむの持ち味か?)一方、リックの、武器商人から足を洗ったエピソードに時間を割いているために、リックが戦闘が嫌いな平和主義者にも見える。

で、最後、リックが「君も革命の仲間だ」、とか言われるでしょ。あれってたぶん、「かつて失った情熱を再び取り戻し、正義の味方になる」という、タカラヅカによくあるパターンの物語なんだよね? でも、これから「北アフリカで戦闘に参加する」とまで言われると、なんかキャラが違う気が。「さあ、どうかな」ぐらいにぼかしておいてほしかった。

もうひとつ、映画と違うなと思ったこと。映画では、リックはルノーのことを最後の最後ではじめて「ルイ」って呼ぶけど、タカラヅカ版では最初からルイって呼んでるね。より仲良しな感じがする。

フィナーレは、白い上着(ホテルマンファッション)の男役が、ピンクのドレスの女役とすれ違う場面がかっこいい。あれ、ありそうでなかったような振り付けだよねえ。

それにしても、当初「カサブランカを一本ものでやる」と聞いたときは、「あんな登場人物少ない話を?」と否定的なことしか思い浮かばなかったけど、いやはや、予測と全然違ってました。タカラヅカの舞台装置と大人数とラブロマンスと男役芸を満載した、いい作品になってました。

ユウヒに乾杯。小池修一郎に乾杯。タカラヅカに乾杯。

では、上海に行ってきます。

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コメント 4

ikki

こんばんは。
蒼羽りく使い過ぎか?と言われると、そうでもないです。下級生の名前を網羅すると、ほとんどありとあらゆる下級生が、目立つ立ち位置も含めて、ありとあらゆる場面で使われているのが分かります。単に、りくサンの顔を覚えてるから、そーゆー気がしたんじゃないかと。
面の割れている上級生の方が、舞台に上がる頻度は少なそうです。
ナチの親衛隊にいた人が、レジスタンスの集会に参加してたりとか、色々あるので、慣れてきたらそういうのを探すのも面白かったりします。

by ikki (2010-01-08 21:14) 

はるすかえ☆

休日を利用して映画のカサブランカを見たのですが…
ナニコレ、チョーオモシロインデスケド!!
最近、自分の中のアンチヅカ要素が強くなるのを感じています。
だってお手紙書いちゃってるスターさんのいる星な組、
今作ぜんっぜん興味が沸かなくて、もう行かなくていいや的気分。
それなのに小池マジックなカサブランカが行きたくてしようがない!
あ~、君の瞳に乾杯を生で堪能したいですぅ~(早くも壊れ気味)。
宙組、これから面白そうだなぁ…。
by はるすかえ☆ (2010-01-09 21:05) 

竜眼

ikkiさま、コメントありがとうございます!
そっか、顔を覚えているからそう思っちゃうのかもしれないですね。
顔わからない下級生たちを、この機会に覚えたいと思います!
早速、バウから帰ってきておとめをチェック…光海舞人さんを認識できましたー。
あと2回チケットあるので、楽しみです。
by 竜眼 (2010-01-12 18:28) 

竜眼

はるすかえ☆さま、こんばんは
もともと面白い話ですよねっ、カサブランカ。
小池マジック、是非観ていただきたいです〜!!!
やさぐれユウヒさんの超絶かっこよさも必見でございますううう
バウまで行っておいて大劇場の星組は全く観てなくて、
比較できないのが残念なのですが…

by 竜眼 (2010-01-12 18:31) 

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