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極楽歌劇団「落語の国のプリンス」(精華小劇場 9/20 17:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

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「道頓堀極楽商店街」というテーマパークで、ミュージカルっぽい演し物をしていた劇団が、テーマパークの閉館に伴い、別の形で復活した公演。テーマパーク時代に観られればよかったんだけど、知ったのが閉館後だったので、こうして観れてうれしいです。

作・演出が北林佐和子。

落語をうまくちぢめて、江戸時代がいきなりSFでファンタジー、奇想天外、ありえねー、でもそうなったら面白い、っていうふうにつながていて、さすがに上手い。それぞれの落語を知ってたらもっと楽しめたと思う。

与太郎という、落語によく出て来るアホキャラが主人公。オグリに「捨て子があればみんなで育てるものです」っていう台詞があるけど(もとの説教節にも出て来る)、昔の人は捨て子を町全体で育てたし、アホな子はアホなりにかわいがっていたんだよね。寅さんの源ちゃんなんか、そういう存在なんじゃないかな。だから、なんかホッコリするというか、全体的に心温まるお話になってるのがいい。現代は、役に立つ人間しか生きている価値がないって世の中じゃないですか。そんなことないよー、と伝わるのがうれしい。また、与太郎役(自称トップスターだそうです)が本当に与太っていて、説得力がある。

ただ、歌劇というほど歌劇ではないのが残念だった。音楽自体はいいんだけどね。また、「ミュージカルナンバーとはどうあるべきか」話になっちゃうんだけど、ミュージカルナンバーがたいしたことなく感じてしまう。

いや、落語をネタにしてるということを示すために、落語形式にしているのが中途半端なのかも。時折高座に座って何役もやって話を運ぶ。そうすると、ノリが中断されてしまう。後半はかなり盛り上がったけど、最初のうちはちょっとたるかった。いっそ、「落語の国のプリンス」と銘打たないで、「与太郎物語」にしちゃっても良かったのでは。落語をしゃべるということで女性がすべてひっつめ髪なのも、華やかさにかけるし。

劇場は、なんばの商店街の中にある廃校になった小学校を使ったもので、とても小さい。だから、セットとかもすごくシンプル。衣装もどうしてもちゃちい。そういう中で歌劇をやる、となるとやっぱり、ナンバーの完成度が重要になっちゃうんじゃないかなあ。「地球を救うのはアホだけ、洗濯ものを干すのは竿竹」ってナンバーが最高におかしかった。全編こんな感じだといいな。

テーマパーク時代のDVDを見てみた。いやはや、装置がすごいね。テーマパークの広場を使って、建物に模した部分の2階や3階を舞台にして、そこを宙づりで移動したりする。広場ももちろん使う。お客さんは椅子席もあれば立ち見もあって、上見たり横見たり、劇団員にいじられたりと、目線を常に移動して忙しそう。ごく短い30分の演し物で、ストーリーはごくシンプル、最初から最後まで音楽が鳴っている感じ。テーマパークそのものが、昭和初期の意匠で統一されているから、それに乗っかれる部分もある。

うーん、テーマパークという「装置」を使えなくなって、小劇場でそこそこ長い演し物をやる。となると、独自性を出すのが難しいよなあ。劇団員はどの人も、芝居も歌も(落語も)すごく上手いので、これからも頑張ってほしいです。

下北沢でもやるそうです→http://www.jiraiya.co.jp/saishin-kouen_dada090721.html
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