ロシアン・ブルーの予習復習(映画編) [ヅカ的近況]
ニワニワ(がやってるセルゲイ・エイゼンシュタイン)が作った映画『戦艦ポチョムン』(1925)。間抜けな名前なので、コメディかと思ってました。すんません。
見はじめてみると、当然なんだけど無声映画で、なんだか退屈そう。水兵さんばっかだし…。キャラも立ってなくて、みんなワヤワヤしてるだけだし…。
と思いきや!
なんのなんの。ぐいぐい引き込まれる。次どうなるの!? ハラハラドキドキ。内容が、横暴な上層部に楯つく水兵さんたちの暴動ってのが、また、我々には馴染みやすく(革命とか好きなの)。
何より、カメラワークがかっこいい。カット割りっていうんですか? 画面そのものがかっこいいし、そのつなぎ方もかっこいい。群衆がぐわーっと歩いてる場面、一体どこまで群衆が続くんだーという、構図の美しさ。海に落ちそうな仲間を助けに、橋げたみたいな(全然違うんだけど言葉わかんない)ところに、等間隔に並んで飛び込む水兵さんたちの構図の美しさ。無声映画ならではの、文字画面と、映像画面との切り替えもテンポよく。アップになったり、引きになったり、シンフォニックな音楽がガンガン鳴ったり、突然無音になったり。とにかくおしゃれ。
淀川長治の解説がついてるんですが、「まるでレビューですよ、レビュー」って言ってました。そうそう、まさにレビュー。技巧やセンスとして、多くの影響を与えたんだろうし、今見ても全然古びていません。
内容は革命万歳的なもの。いや〜、こんなかっこいいもの見たら、洗脳されちゃうよねー。
『FRONT』っていう、第二次大戦中に戦意高揚のために日本で作られた雑誌を思い出しました。木村伊兵衛とかが参加してて、めちゃめちゃセンスいいんだけど、内容は政治的っていう。
この話、実際に革命前にあったことなのだそうだ。軍隊が権力の側ではなく民衆の側につくことで、ロシア革命につながる。。。フランス革命もそうだわ、オスカル様が「シトワイヤーン」って叫ぶのよ、うふ。
ちなみに、キム(がやってるグリゴリー・アレクサンドロフ)も出演。あんまりイケメンじゃありませんでした。ロシア人的にはこれがイケメンなのかな〜? イヤミな感じのオジサンに見えるよ〜? ちなみに2.ニワニワ(がやってるセルゲイ・エイゼンシュタイン)も神父役で登場! すごい変人だった! でもこのとき36歳…。ニワニワって『ロシアン・ブルー』の時点では48歳だそうで。具体的に年齢を聞くと、「いくらおじさん役者でも、やっぱりジェンヌさんって若くてキレイね」って思っちゃうわね。
**
さてもう一本。設定がとても似ていると言われている『絹の靴下』(1957)。
フレッド・アステア最後のミュージカル映画。MGMのミュージカル映画としてもほぼ最後の作品と言われているそうで。途中、ロックンロールのリズムなのにシルクハットの場面があって面白いんだけど、それが時代の移り変わりを象徴しているようです。
舞台はモスクワではなくてパリ。ロシア人音楽家が演奏旅行でパリにいついてしまい、アステア演じるアメリカ人プロデューサーが彼に映画音楽の作曲を依頼。それは困る、帰国させねば、ということでソ連から派遣された「鉄の女」(とは言われてないけど、もろにそういう感じ)シド・チャリシーがアステアと火花バチバチ…の末にラブラブ。
たしかに似てますな。
しかし、無理がありすぎる。いくら唐突なミュージカルに慣れた私でも、ブツ切りのタカラヅカ作劇に慣れた私でも、この二人が恋に落ちるのは無理がある。あまりにも正反対な立場の人間、せめてもう少し戸惑おうよ〜。あっさり、鉄の女が落ちるのは、つまんないよ〜。もっと、「やだわ、こんなあたし」みたいな場面ほしいよ〜。あっ、だ・か・ら、惚れ薬なのね? たっくん。惚れ薬で「く、薬飲んじゃったから」のほうが、まだ説得力あるよ。
帰国の経緯も、どう考えてもおかしいし。ソ連のダメ官僚3人組が面白かったり、ダンスナンバーで楽しいのはいっぱいあったけど、なんかすかっとしないなあ。。
この作品は確かに発想の元にはなってるんだろう。鉄の女、二コリともしないロシア人(笑う練習もしてる)、共産主義と資本主義との対立の滑稽さ。そこに「惚れ薬」という説得力と、そこから連想された魔法使い、さらに迫害、さらに検閲や粛清、と話を広げ、単なるハッピーミュージカルにしなかったたっくんは、やっぱすごいよな〜。(と同時に、通好みすぎるなあ、とも思うんだけどね)
これ、来年、オギー演出で、今村ねずみとワタルでやるそうです。どどどどどうするんだろう、オギー。無理のないストーリーに作り変えてくれるの? そそそそして、たっくんからの「アルバート、アメリカから帰ってきて!」ラブコールに、オギーはどんな返歌を作るのか?? たたたた楽しみだあ!
::::::::本家はコチラです→a posteriori takarazuka:::::::
見はじめてみると、当然なんだけど無声映画で、なんだか退屈そう。水兵さんばっかだし…。キャラも立ってなくて、みんなワヤワヤしてるだけだし…。
と思いきや!
なんのなんの。ぐいぐい引き込まれる。次どうなるの!? ハラハラドキドキ。内容が、横暴な上層部に楯つく水兵さんたちの暴動ってのが、また、我々には馴染みやすく(革命とか好きなの)。
何より、カメラワークがかっこいい。カット割りっていうんですか? 画面そのものがかっこいいし、そのつなぎ方もかっこいい。群衆がぐわーっと歩いてる場面、一体どこまで群衆が続くんだーという、構図の美しさ。海に落ちそうな仲間を助けに、橋げたみたいな(全然違うんだけど言葉わかんない)ところに、等間隔に並んで飛び込む水兵さんたちの構図の美しさ。無声映画ならではの、文字画面と、映像画面との切り替えもテンポよく。アップになったり、引きになったり、シンフォニックな音楽がガンガン鳴ったり、突然無音になったり。とにかくおしゃれ。
淀川長治の解説がついてるんですが、「まるでレビューですよ、レビュー」って言ってました。そうそう、まさにレビュー。技巧やセンスとして、多くの影響を与えたんだろうし、今見ても全然古びていません。
内容は革命万歳的なもの。いや〜、こんなかっこいいもの見たら、洗脳されちゃうよねー。
『FRONT』っていう、第二次大戦中に戦意高揚のために日本で作られた雑誌を思い出しました。木村伊兵衛とかが参加してて、めちゃめちゃセンスいいんだけど、内容は政治的っていう。
この話、実際に革命前にあったことなのだそうだ。軍隊が権力の側ではなく民衆の側につくことで、ロシア革命につながる。。。フランス革命もそうだわ、オスカル様が「シトワイヤーン」って叫ぶのよ、うふ。
ちなみに、キム(がやってるグリゴリー・アレクサンドロフ)も出演。あんまりイケメンじゃありませんでした。ロシア人的にはこれがイケメンなのかな〜? イヤミな感じのオジサンに見えるよ〜? ちなみに2.ニワニワ(がやってるセルゲイ・エイゼンシュタイン)も神父役で登場! すごい変人だった! でもこのとき36歳…。ニワニワって『ロシアン・ブルー』の時点では48歳だそうで。具体的に年齢を聞くと、「いくらおじさん役者でも、やっぱりジェンヌさんって若くてキレイね」って思っちゃうわね。
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さてもう一本。設定がとても似ていると言われている『絹の靴下』(1957)。
フレッド・アステア最後のミュージカル映画。MGMのミュージカル映画としてもほぼ最後の作品と言われているそうで。途中、ロックンロールのリズムなのにシルクハットの場面があって面白いんだけど、それが時代の移り変わりを象徴しているようです。
舞台はモスクワではなくてパリ。ロシア人音楽家が演奏旅行でパリにいついてしまい、アステア演じるアメリカ人プロデューサーが彼に映画音楽の作曲を依頼。それは困る、帰国させねば、ということでソ連から派遣された「鉄の女」(とは言われてないけど、もろにそういう感じ)シド・チャリシーがアステアと火花バチバチ…の末にラブラブ。
たしかに似てますな。
しかし、無理がありすぎる。いくら唐突なミュージカルに慣れた私でも、ブツ切りのタカラヅカ作劇に慣れた私でも、この二人が恋に落ちるのは無理がある。あまりにも正反対な立場の人間、せめてもう少し戸惑おうよ〜。あっさり、鉄の女が落ちるのは、つまんないよ〜。もっと、「やだわ、こんなあたし」みたいな場面ほしいよ〜。あっ、だ・か・ら、惚れ薬なのね? たっくん。惚れ薬で「く、薬飲んじゃったから」のほうが、まだ説得力あるよ。
帰国の経緯も、どう考えてもおかしいし。ソ連のダメ官僚3人組が面白かったり、ダンスナンバーで楽しいのはいっぱいあったけど、なんかすかっとしないなあ。。
この作品は確かに発想の元にはなってるんだろう。鉄の女、二コリともしないロシア人(笑う練習もしてる)、共産主義と資本主義との対立の滑稽さ。そこに「惚れ薬」という説得力と、そこから連想された魔法使い、さらに迫害、さらに検閲や粛清、と話を広げ、単なるハッピーミュージカルにしなかったたっくんは、やっぱすごいよな〜。(と同時に、通好みすぎるなあ、とも思うんだけどね)
これ、来年、オギー演出で、今村ねずみとワタルでやるそうです。どどどどどうするんだろう、オギー。無理のないストーリーに作り変えてくれるの? そそそそして、たっくんからの「アルバート、アメリカから帰ってきて!」ラブコールに、オギーはどんな返歌を作るのか?? たたたた楽しみだあ!
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昨日は赤坂で一緒だったんですね~。
実は、私が今一番観たい映画、「ポチョムキン」と「絹の靴下」です。
「ポチョムキン」が何故すごいかについては、菊地成孔が最近
出した慶応の講義録「アフロ・ディズニー」に詳しいので、
ぜひ立ち読みしてみてください♪
「絹の靴下」は、ストーリーよりアステアのダンスが見たい。
「雨唄」と比べて、どうでした?
by ネリ (2009-09-13 20:56)
そうそう、みんな外看板写真撮ってるなーと思ってたら、その中にネリさんもいたんですね^^
菊地成孔の「アフロ・ディズニー」了解っす! ポチョムキンのすごさを語る言葉が自分には無く、つたない感想になってしまったので、勉強しまっす。
アステアのダンスは成熟、いぶし銀って感じで、私好みでした。でもまさか57歳だとは思わなかった。。。ほんとすごい人ですね。
by 竜眼 (2009-09-14 10:55)