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ソロモンの指輪(宝塚大劇場 8/8 15:00) [観劇メモ]

異例の30分だけのショー。ハリーが脚本を縮められないからショーが短くなったんだ、とか言われてたけど、違う。オギーが駄々をこねた結果なんだ。

タカラヅカの定番である大階段を使ったフィナーレをやりたくない。「やっ」とかいう変なかけ声のロケットをやりたくない。そういう要素を取り払ったショーがやりたい。今までも、『タランテラ』で大階段を設置する現場を見せちゃったり、『ロマンチカ宝塚』で脚線美封印の水兵さんロケットやったり、定番を崩そうとし続けて来たけど、もうやだ。ここらでガツンと自分のやりたいことだけやってみたい。→でも、それだとお客さんが満足しないでしょ。最後に華やかな大階段のフィナーレ見せないと、営業的に困る。→じゃあ芝居の最後に定番のフィナーレつけるしかない。→そのぶんショーは短くしろよ。ってな上層部の決定なんだろう。そうとしか思えん。

だって、ことごとく定番の要素がないのだ。拍手する箇所もない。オギーのやりたいことだけやったらこうなったって感じ。しかも、最後に祝祭の場面で盛り上げて「最後は華やかね、ほっとしたわ」と客に拍手させといて、じつは全然終わりじゃない。なんて意地悪、なんて確信犯。だんだん静かになってミズ(水夏希)一人だけになって、ミズがセリ下がって、幕も同時にしまって、そしてガシャーンと扉が封印される音がして、終わり。。。うっわー、面白い、面白すぎる! タカラヅカに甘いケーキを求めて来ている人には絶対ウケ悪いだろうけど、私は好きだー。

今回のテーマは「指輪」。まずは形状が似ている「日食」のイメージ。それから、輪つながりで「首輪」=束縛。パンフのオギーの言によると、指輪はタカラヅカスターのイメージでもあるとのこと。愛され、求められ、装飾品でもあり魔術の道具でもあり、束縛するものでもあり、捨てられるものでもあり。そういった比喩と、それから見た目つながりで、「劇場」。指輪に似た形の円形劇場が、盆が回ってこちらを向くと、極楽鳥がうじゃうじゃいるのには、ぞっとした。そして「ソロモンの指輪」をつけていると動物と話ができるという、だから数々の「動物」。この動物たちがねー、舞台の奥からぞっろぞろ出てくるのも、鳥肌。それから海に捨てられた指輪。いづるん(天勢いづる)が昔の恋を懐かしむ女の役で、ミズが波に洗われサビていく指輪そのもの。定番の川崎悦子振付&斎藤恒芳音楽の切ない場面。ラストのミズの衣装が赤いのは、「血」。指輪=タカラヅカスターも生き物なんだっていう意味なんだろう。

オープニングに「宝石商」とか「鑑定士」とか、いろいろな人物が登場して、見切れない。このへんは『バビロン』に似てる。動物たちの場面も、西風の場面も、最後の祝祭の場面も、「地獄鳥」とか「影」とか、「セラフィムとケルヴィム」とか(山岸涼子に『セラフィム』って作品があったなあ)、それぞれに役名があって、何回も通わないとわからない。ちなみに、指輪の精であるミズ、ユミコ(彩吹真央)、キム(音月桂)はそれぞれ、キリストの誕生を予言してベツレヘムを訪ねた東方の三博士の名前らしい。

すごかったのは、動物場面でシナちゃん(山科愛)が背の高いキリンで、あーたん(葵吹雪)が鹿みたいな動物だったこと(男役は役名の上では「紳士」で、対応する女役の動物の仮面を持っているだけなんだけど)。これってさぁ、それぞれ正反対なものをさせてるんじゃん? マクベスの魔女が言う「きれいはきたない」みたい、なんて意味深。そしてキリンから少女に戻った?シナちゃんは、この世界に迷い込んだ青年ーだけど彼も最初はルンペンーラギ(柊巴)と二人、銀橋を渡って、大人になるため別の世界へと旅立つ。退団者へのオマージュ。泣ける。。。

幻想的で、生々しくて、官能的。タカラヅカ的にこの路線をおしすすめていいのか、オギー色だけの30分なんてのが今後もアリなのか、わからないけど、とりあえず何度でも観て解釈を深めたいよ、私は。

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