マリポーサの花（宝塚大劇場 8/8 15:00） [観劇メモ]
脚本の出来が悪いとは思わない。ただ、私がハリー（正塚晴彦）作品に求めるある要素が欠落してる。
それは「女性の自立」。
ぎゃーー、なんかすごい、こっ恥ずかしいんですけど。
でもさ、『マジシャンの憂鬱』だって『La Esperanza』だって『BOXMAN』だって『ブエノスアイレスの風』だって『Romance de Paris』だって、『愛するには短すぎる』ですら、ヒロインは物語の中で成長するじゃないですか。自立っていうと大げさだけどさ、人生に悩む女性が何か決断をしたり、心を開いたりするじゃないですか。それを、包容力ある男性が見守る（男性もクールを装っていたのが変わって熱くなる）、こーれーが、私がハリー作品を好きな理由の一つだったのよ。今気づいた。
けどさ、今回のヒロインはあんまり変化がないの。何不自由ないお嬢様で、この事件で社会問題に目を開かれるけど、それが結果として描かれてないの。ラスト、たとえば事業に自分も参加するとか、弟のかわりに反体制運動に身を投じるとか、してもいいんでないの。『愛するには短すぎる』でもヒロインをとなみ（白羽ゆり）がやったから、二回も役柄を造形するのが難しかったのかもしれないけど。。。ラストの花のオチはすごい泣けるんだけども、でも逆に、女は待ってるだけなのかい、と突っ込みたくもなるのだ。
そのぶん、男同士の友情はこれでもかってぐらい描かれてて、ひょっとしてそっち方面を意図的にやったのか？ と勘ぐりたくなるぐらい。ユミコ（彩吹真央）はかなりおいしい。ネタバレになるから書かないが、緑豆は号泣しておった。
ストーリーは『ブエノスアイレスの風』のその後、といった感じ。革命が終わって、新しい政権ができて、かといって人々の暮らしは良くはならない。『ブエノスアイレスの風』のニコラスは、だからといって暴力に訴えるのではなく、違うやり方で世の中を変えよう、そのためにはとりあえず生きて行くしかない、と言ってた。それが私には真の「強さ」に思えた。
だけど今回のストーリーは、もう人々が我慢できなくなってしまった状態。逃亡していた反体制運動のリーダーも帰ってくる。さあ、どうする。それで迷う主人公ネロ。冷静に諭す友人エスコバル。過激な行動に出るヒロインの弟リナレス。まるで『ブエノスアイレスの風』のニコラスが、ネロとエスコバルに分けて描写され、『ブエノスアイレスの風』のリカルドがリナレスみたいだ。
あくまでも力に訴えようとするリカルドを、とめようとしていたニコラス。だけど、『マリポーサの花』ではネロとエスコバル（＝ニコラス）は、拷問をうけたリナレス（＝リカルド）の代わりに、銃を持って戦うのだ！ え～、戦っちゃうの！？？？ と複雑。。。複雑だよお。そこまで、今の日本はヤバいんだろうか、それがハリーの認識なんだろうか、とまた深読みしてしまう。…初期のハリー作品にはこういう戦闘シーンはけっこうあったそうで、、、そんなに複雑がることないんだろうけど、ふぅ。
それから、最初はリナレスをとめようとしていたネロが、最終的には反体制運動に参加する心の動きが、あんまりよくわからんかったのも、複雑に思えてしまう一因。
役柄としては、ミズ（水夏希）が元軍人だけど今は商人ってのはピッタリ。『霧のミラノ』でも商人だったでしょ。同じクラブのオーナーでも、コムちゃん（朝海ひかる）には帳簿は似合わない。だけど水なら帳簿も電卓だって似合う。マメそうだもん。何度も名前があがる反体制運動のリーダーは、誰が演じるんだろうと思っていたら、大湖せしるだった！（笑）
あと気になった人。。。キタロウくん（緒月遠麻）は初日と翌日でだいぶ成長してた。初日はマフィアにしちゃあ声が高くて、型通りのマフィアに見えない、でも笑いはとってる、このままお笑いで押し通すか。と思いきや、翌日は割れた声が出てたし、凄みと笑いのメリハリもよくなってた。緑豆いわく「いつもと演技の仕方が違う！ ハリーの指導のおかげに違いない」とのこと。ふーん…でもハリーがほめられてうれしい私なのであった。もう一人お笑い担当はコマ（沙央くらま）。『凍てついた明日』でのコマはいまいちだったけど、こっちはいいね。（ちなみに、キタコマオール阪神巨人の組み合わせはフィナーレの階段降りで見られます。）おっと、肝心な人を忘れてた、マヤさん（未沙のえる）ね。髪型がやや長めでさ、この方じつはけっこう見た目とか役にあわせて凝ってるんだよね。雪組はラテンラテンしてないように思うけど、キム（音月桂）のラテンのナンバーはうっとりするほど素敵。大月さゆの黒塗りは、まんまビバリだった（笑）。シューマイ（大凪真生）がマフィアの手下で怖かった。あとは、あーたん（葵吹雪）に台詞あり！ 祝！ しかも笑いとってた！
さーて、東京で何回観るかな。。。もうちょっと消化したいんだけど。。。
：：：：：：：：本家はコチラです→a posteriori takarazuka：：：：：：：
それは「女性の自立」。
ぎゃーー、なんかすごい、こっ恥ずかしいんですけど。
でもさ、『マジシャンの憂鬱』だって『La Esperanza』だって『BOXMAN』だって『ブエノスアイレスの風』だって『Romance de Paris』だって、『愛するには短すぎる』ですら、ヒロインは物語の中で成長するじゃないですか。自立っていうと大げさだけどさ、人生に悩む女性が何か決断をしたり、心を開いたりするじゃないですか。それを、包容力ある男性が見守る（男性もクールを装っていたのが変わって熱くなる）、こーれーが、私がハリー作品を好きな理由の一つだったのよ。今気づいた。
けどさ、今回のヒロインはあんまり変化がないの。何不自由ないお嬢様で、この事件で社会問題に目を開かれるけど、それが結果として描かれてないの。ラスト、たとえば事業に自分も参加するとか、弟のかわりに反体制運動に身を投じるとか、してもいいんでないの。『愛するには短すぎる』でもヒロインをとなみ（白羽ゆり）がやったから、二回も役柄を造形するのが難しかったのかもしれないけど。。。ラストの花のオチはすごい泣けるんだけども、でも逆に、女は待ってるだけなのかい、と突っ込みたくもなるのだ。
そのぶん、男同士の友情はこれでもかってぐらい描かれてて、ひょっとしてそっち方面を意図的にやったのか？ と勘ぐりたくなるぐらい。ユミコ（彩吹真央）はかなりおいしい。ネタバレになるから書かないが、緑豆は号泣しておった。
ストーリーは『ブエノスアイレスの風』のその後、といった感じ。革命が終わって、新しい政権ができて、かといって人々の暮らしは良くはならない。『ブエノスアイレスの風』のニコラスは、だからといって暴力に訴えるのではなく、違うやり方で世の中を変えよう、そのためにはとりあえず生きて行くしかない、と言ってた。それが私には真の「強さ」に思えた。
だけど今回のストーリーは、もう人々が我慢できなくなってしまった状態。逃亡していた反体制運動のリーダーも帰ってくる。さあ、どうする。それで迷う主人公ネロ。冷静に諭す友人エスコバル。過激な行動に出るヒロインの弟リナレス。まるで『ブエノスアイレスの風』のニコラスが、ネロとエスコバルに分けて描写され、『ブエノスアイレスの風』のリカルドがリナレスみたいだ。
あくまでも力に訴えようとするリカルドを、とめようとしていたニコラス。だけど、『マリポーサの花』ではネロとエスコバル（＝ニコラス）は、拷問をうけたリナレス（＝リカルド）の代わりに、銃を持って戦うのだ！ え～、戦っちゃうの！？？？ と複雑。。。複雑だよお。そこまで、今の日本はヤバいんだろうか、それがハリーの認識なんだろうか、とまた深読みしてしまう。…初期のハリー作品にはこういう戦闘シーンはけっこうあったそうで、、、そんなに複雑がることないんだろうけど、ふぅ。
それから、最初はリナレスをとめようとしていたネロが、最終的には反体制運動に参加する心の動きが、あんまりよくわからんかったのも、複雑に思えてしまう一因。
役柄としては、ミズ（水夏希）が元軍人だけど今は商人ってのはピッタリ。『霧のミラノ』でも商人だったでしょ。同じクラブのオーナーでも、コムちゃん（朝海ひかる）には帳簿は似合わない。だけど水なら帳簿も電卓だって似合う。マメそうだもん。何度も名前があがる反体制運動のリーダーは、誰が演じるんだろうと思っていたら、大湖せしるだった！（笑）
あと気になった人。。。キタロウくん（緒月遠麻）は初日と翌日でだいぶ成長してた。初日はマフィアにしちゃあ声が高くて、型通りのマフィアに見えない、でも笑いはとってる、このままお笑いで押し通すか。と思いきや、翌日は割れた声が出てたし、凄みと笑いのメリハリもよくなってた。緑豆いわく「いつもと演技の仕方が違う！ ハリーの指導のおかげに違いない」とのこと。ふーん…でもハリーがほめられてうれしい私なのであった。もう一人お笑い担当はコマ（沙央くらま）。『凍てついた明日』でのコマはいまいちだったけど、こっちはいいね。（ちなみに、キタコマオール阪神巨人の組み合わせはフィナーレの階段降りで見られます。）おっと、肝心な人を忘れてた、マヤさん（未沙のえる）ね。髪型がやや長めでさ、この方じつはけっこう見た目とか役にあわせて凝ってるんだよね。雪組はラテンラテンしてないように思うけど、キム（音月桂）のラテンのナンバーはうっとりするほど素敵。大月さゆの黒塗りは、まんまビバリだった（笑）。シューマイ（大凪真生）がマフィアの手下で怖かった。あとは、あーたん（葵吹雪）に台詞あり！ 祝！ しかも笑いとってた！
さーて、東京で何回観るかな。。。もうちょっと消化したいんだけど。。。
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