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A-"R"exー如何にして大王アレクサンダーは世界の覇者たる道を邁進するに至ったかー(日本青年館 1/9 18:00) [観劇メモ]

比喩や象徴が幾重にも重なっていて、とても面白かった。

あらかじめ予習しておいたのは、アレクサンダーの綴りはALEX…なのにRを使用している理由。REX=王様、つまり「一人の王様」を表している、ということ。あと、開演前にパンフでオギーの文章を読んでおいたのがよかったのかも。

一人の王、つまり、普遍的な王者。つまりは、タカラヅカのトップスターをも含んでる。だけど、誰もが自分の人生では王様なわけだから、どんな人にも通用するお話とも言える。

歴史は芝居のように「作られたもの」で、主役(アレックス)にも端役(クレオパトラ)にも残酷。主役は主役としての役割のみを演じることを強要され、端役はたいした描写もなく去らなければならない。そして、誰の人生も、かように他人に強要され、またないがしろにされる。

他人の自己実現のために利用される苛立。特に親。母は母の思惑で、父は父の思惑で、子供を利用してる。ほんと、「むかっぱらが立つ!」

神とは人々の思いの象徴だと、神であるアテナが言う。アレクサンダーは馬、それを乗りこなすのが騎手である神。だとしたら、民が騎手で、王は競走馬。ファンは騎手で、ジェンヌは競争馬だ。「みんながそれでいいならいいよ」と言って登場する王=を演じる役者=瀬奈じゅん!

アテナは「良い子」「正統な歴史」の世界を象徴している。アレクサンダーと取引してると言う。あんたがいい子であれば、戦いに勝たせてあげるよ、と。だから管理職である組長がアテナ役だし、婦人警官みたいな服だし、歴史を語るMC役なんだ。一方、もう一人の神デュオニソスは「狂気」「依存」「深層心理」を表す。アテナと対になる世界。

歴史=人生=芝居、という多重構造だから、全体が芝居をやってるっていう設定になってるんだ。『LAST PARTY』はその意味なかったけど、これは意味があるぞ。

アテナが使わす勝利の女神ニケは、まさに寄り添い系トップ娘役の象徴だ。出世争いを勝利に導く。戦いの中でしか出会えない運命。

アサコの衣装はこれまでの役を思わせる。だってこの作品のサブタイトルは、「如何にして瀬奈じゅんはトップスターへの道を邁進したか」でもあるわけだから。

何故アンサンブル的な役はヒッピーの格好をしているの? と、なかなかわからなかったけど、ひらめいた。『ジーザス・クライスト・スーパースター』へのオマージュなのか!! ジーザスも、みんなに神の子と崇められてうんざりしてた。『KEAN』といい、私はそういう、選ばれた人の苦しみを描いた作品が好きだ。

ギリシャ悲劇を模した要素もあるとネットで読んだが、素養がないのでわからない。残念。言葉遊びみたいなところはシェイクスピアを模していると客席で話している人もいた。納得。

他人に利用されてるふりをして、実は利用してた、とアレクサンダーは言いつつも、結局、自分の力だけでインドに行くと、そこは幻想的な場所。どういう意味なんだろう。アレクサンダーは晩年(といっても若いけど)神がかっていたそうだが。

結局、アレクサンダーがデュオニソスにほのめかしていた「本当の望み」って何なんだろう? 利用した奴等に(自分の力で遠くに行けることを示して)復讐することなのでは?

そして「絶望の果ての淵にある希望」って? やっぱり「死」? 死はハッピーエンドで勝利かあ〜? オギー作品で死によって救われる以外のハッピーエンドって、ほとんどないかもしれない。もちろん、アテナの言うとおり、原始の細胞に戻るという意味であって、現世的な死の悲しみではないとわかってはいるけれど。

崇められてはじめてトップスターが誕生するタカラヅカだからこそ、意味のある作品。なんだけど。それだけに、そこまで言ってしまっていいのかな、とも思った。ファンがジェンヌを生け贄にしてる世界だって、わかってる。だけどそこにいくばくかの夢や希望があると思いたいのよ。

::::::::本家はコチラです→a posteriori takarazuka:::::::


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コメント 2

hotei

ARexはご覧にならないのでしょうかとコメントした直後に携帯から感想がアップされてたので驚きました!
やはり宝塚らしからぬ、内面芝居のようですね。
でもそんな芝居私は好きです。
観なかったことが悔やまれます~。
続きの感想がありましたらお待ちしております。
by hotei (2008-01-09 22:10) 

竜眼

hotei様はご覧にならなかったのですね〜。映像になったら是非! 台詞が膨大で、全然エンタメではなかったですが、面白かったですよ。
by 竜眼 (2008-01-10 22:18) 

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