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ヅカ版『エル・アルコン』の作り方—原作との比較 [観劇メモ]

斉藤君は、いかにして単行本4冊を1時間半にまとめたか。

★ニコラスはじめ、部下とのいきさつを、時間短縮のためすべてカット。
★ルーカス・エリオットのエピソードを、時間短縮のため(か、演じる生徒がいないからか)すべてカット。エドウィン・グレイムと合体させるのかと思ったが、そうではなかった。
★ジュリエットとレッドが主役であるエピソードを、ティリアンを主役にするために大幅カット。
★その結果、つじつまが合わなくなったところは、別の人物で代行するなどしてつじつまを合わせた。

てなところでしょう。

植田のベルばら改悪も「別の人物で代行」とかよくあるけど、斉藤君のは気にならなかったなあ。どうしてかなあ。大筋では理解を間違ってないから、かなあ?

ただ、理解を間違ってるというか、もったいないぞ、というのは次の点。

★シグリット・シェンナがティリアンの最初の女だってのは、省略しちゃダメだろー。そのエピソードが無いと、シグリットはただのイヤな女じゃないかー。ま、イヤな女なんですがね、でもHシーンがあるのとないのとではだいぶ違うと思うよ? なんでHシーンをカットするよ? ペネロープとギルダと2回もあるからカットしたのか? しなくていいっつーの!
★ティリアンが死んだとき、レッドが泣かないのは深みがない。「敵ながらアッパレ」っていう関係性がないと、ティリアンが小さく見えちゃう。

で、さらに手を加えたのが…

★ジェラード・ペルーのエピソードを、時系列でかなり後ろのほうに持ってきた。原作のひとつ『エル・アルコン—鷹—』のほうでもクライマックスにあるので、順当ではある。しぃちゃんの扱いも良くなって一石二鳥。

そして、なんといっても、

★ギルダの扱いが大幅アップ!

『エル・アルコン』をヅカでやると聞いて、まず気になったのが、トップ娘役の扱いであります。青池作品の女性の描かれ方は、なんともヅカに合わないのです。その中でも、かろうじて主人公に敬意を持たれているギルダを、トップ娘役の役にするのは妥当は妥当。でも、敬意だけじゃね…、うーん。

と思ってたけど、なるほど。斉藤君は、ギルダをティリアンの好敵手というような位置づけにしたのでした。トップ男役と、2番手男役の信頼関係、みたいな。それは正解だ! でかした! 最後に二人が舞台上にいて、白い衣装であらわれるとこなんか、原作とは全然違うけど、まあ「アリ」かなって思えたし、ヅカ的にもOKだった。

(「じつは小さい頃知り合いでした」ってエピソードは…、無くてもいいような気がするが…。ほかの女と違うってことを、どうしても入れたかったのかねぇ。)

むしろ、青池作品では女性の描かれ方に悲しさを感じてしまうけど、かといってヅカ的なおしとやかな娘役もあまり好きではない私としては、その折衷案であるこのヒロインのあり方は、ものすごーく好みかもしれない。いや、好みなんだ。だから、ティリアンとギルダが剣を交えてる舞台写真なんか買ってんだ(笑)。結局のところ、この二人のありようこそが、この公演に嵌ってる一番の理由かもしれないな。

ただ、それならばおかしいのが、ギルダの死に方。同じ艦に乗っててティリアンをかばって死ぬようじゃ、今までのヅカ的ヒロインと同じじゃないか。方向性がまちがっとる。あくまでも好敵手なんだから、ギルダもギルダで、戦いの果てに死んでもらわなくっちゃー、ダメですよ。

::::::::本家はコチラです→a posteriori takarazuka:::::::


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hotei

本家にもお邪魔させていただきました。
「演出家おとめ」結構役立ちました。年齢順に並んでて、あ、私と同年代はキムシンあたりかと…(って、年齢出てませんが…)。
色々とあちらこちらに造詣の深い方のようで恐れ入っております。
ところで、竜眼様は「ARex」の観劇予定は無いのでしょうか?
ヅカファンの間ではあまり好意的に評価されていないようですが、私的にとっても気になっています。
もしご覧になるのでしたら、ぜひ感想をお願い致します。
by hotei (2008-01-09 21:24) 

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