野ばら(林真理子 文芸春秋 2004) [ヅカ的近況]
某OGがモデルだということでヅカファンの間でも話題になった本。やっと読むことができましたが。
どうということもなく読み終えてしまったよ。
ヅカファン的には、初めて知った的なことはひとつもなく。もちろん、普段我々が耳にするような美談はどこにも出てこず、退屈な面ばかり。合コンに精を出していたり、ファミレスで煙草をスパスパ吸ってたり、稽古嫌いだから役付きが悪くなったり、プロデューサーは電鉄上がりでみんな疑問を持っているとか、ファンが作ってくれた豪華なお弁当も下級生に下げ渡されちゃうとか、運転手係のファンはひたすらずーっと待ってるとか、まあ、知らない人には「へー」かもしれないけど、でもヅカファンなら「現実にはそうなんだろう」と認識されていることばかりでした。
とにかく、家柄や財産や美貌の自慢ばかりなのだ。スノッブ趣味の連続。こういうお店に行った、こういうブランドの差し入れが喜ばれる、こういう買い物をした、業界のパーティに行った、歌舞伎座で女優さんかと間違われた、元同級生にモテたけどサラリーマンはイヤetcetc. 女の友情のあやうい感じとか、わがままな男に翻弄されて悶える展開とか、そういうのは平均レベルの記述で、周辺の華やかな部分ばかりにページが割かれている。
林真理子って、文才あるけど田舎出身で美人じゃなくて、って自画像を面白く書いていた人ではなかったっけ。ルンルンを買って帰って幸せになっていた人じゃなかったけか…?
あ、そうか。いまや憧れていた「あっち側」に行くことができたんだ。お金もある。消費社会を満喫した。ルンルン以外のものもたっくさん買って帰れる。そのうえ、お金で買えない家柄のよい世界にも立ち入ることができちゃった。歌舞伎とか宝塚の裏側も知っちゃったんだから。ただの成金じゃないのよ、あたし。でもさ、「あっち側」って別に、幸せじゃないのよね。。。ま、あなたたちにはわからないかもしれないけどね。。。ふっ…。
って、それだけかーい。
そりゃ、トップになれないっぽい立場の研4の娘役が、退屈で辞めたいと思うのも仕方ないけどもさ。じゃー、その倦怠や裏側の問題点をとことん突き詰めればいいじゃんか。ま、そういう、若くて恵まれた女性の傲慢さを描くことがテーマなんだろうけど。
林真理子にとって宝塚や歌舞伎は、単なる、スノッブの道具に過ぎないってことだ。なんか、空しいなり。
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