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蜘蛛女のキス(東京芸術劇場中ホール 11/9 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

原作も映画もストレート版も観たことなく。チョー有名作品なのにね。はじめてタイトルを聞いたときは、ゲイの主人公がイコール蜘蛛女なのかと思ってました。

いや、その解釈もありなのか…。蜘蛛女は、ゲイのモリーナが憧れる女優オーロラの演じた役名。だからモリーナにとっての憧れでもあり、また、蜘蛛女のキスで人が死ぬという役だから恐怖の象徴でもあり、その映画の話を聞かされる政治犯ヴァレンティンにとってはモリーナとイコールでもある。。。

重いけど、なんか理解できそうな気もして、すごい、あとひくなー。原作も映画もストレート版も、全部比べてみたいなあ。

尋問という名の拷問が日常的に行われている、劣悪な監獄の中。政治犯としての誇りを保とうとしてボロボロになるヴァレンティンと、看守の屈辱的な要求の言いなりになって、その代わりに見返りを得ているモリーナと、どっちの身の処し方が正しいんだろ。

そんな正反対な二人、最初は仲良くなれっこないと思うけど、映画の話を通じて次第に心を通わせる。そして最後は…。だけど、それって愛なのかな? ヴァレンティンはやっぱりモリーナを利用したんだろうか。どこまでが利用なのか、どこまでが愛なのか。モリーナはオーロラ演じる、愛に殉じる女性になりたいと思ってる。だからそれを演じさせてもらえるなら、それは利用だってかまわない? いやむしろモリーナだってヴァレンティンを利用してる? それとも、これは単純なモリーナの純愛物語なの?

ラスト、憧れのオーロラのように愛に殉じたモリーナは、一転して美しい衣装、美しい舞台セット、看守や刑務所長までが親しげな夢のような世界で、楽しく歌い踊る。まるでヅカのフィナーレみたい。これが、モリーナが憧れていた映画の中の世界。それは死ななければ到達できないものだったんだ。…でもこの場面って、映画やストレート版ではどうなのかしら。

原作はすべてが台詞で出来ているという。台詞で、劇中劇である映画の場面を再現するのは、すごく魅力的だろう。けど、舞台では蜘蛛女という登場人物を作成してじかに表現している。ゆらゆらと舞台上をたゆたって、歌い踊り、映画の場面を表現しながらも、モリーナやヴァレンティンを操ったり、狙ったりしている蜘蛛女。結果、わかりやすくなったのかな? いやー、全然わかりやすくないっすね。オーロラが美しく歌い踊る横でモリーナとヴァレンティンが絶望していたり、拷問が併行して行われていたりって図がたくさんあって。ミュージカル化するってことは、感情の高ぶりを表現しやすいだけでなく、多層的になる効果もあると思うのだが、いかに。

コムちゃん(朝海ひかる)は特有の「この世のものではない」感で蜘蛛女のイメージそのもの。声がダミ声なのが、男役のときは気にならなかったけど、女優さんだと思うとちと気になった。ターコさんの蜘蛛女はどうだったのでしょう。モリーナ役の石井一孝がとにかくチャーミング! も〜、かわいくってかわいくって。本当に愛らしい人物でした。浦井建治も体当たり。オギーって浦井君好きだよねえ。初風諄にはまた泣かされたなあ。

そういえば『キャバレー』と同じジョン・カンダー&フレッド・エッブの作品なのだ。『キャバレー』のパンフでの豊崎由美の発言がずっと気になってたけど、もうどうでもよくなってきた。ミュージカル=単純なんて、偏見以外の何者でもないでしょう。(単純なのも多いけどね)

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