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シルバー・ローズ・クロニクル つづき [観劇メモ]

千秋楽おめでとうございました。10/28の15:00、前楽を観ました。

やばいです。2回目観たら、話のアラとか気にならなくなってしまったのよ。いかんいかん。初見の違和感を思い出さねば。

しかも、肝心の語り相手である緑豆が「小柳奈穂子でかした! ユミコやるじゃん! 終わっちゃって、さみしい〜(涙)」状態で、全然議論につきあってくれない。困った。あんた、初見では「2幕がいまいち」とか言ってたやんけ。「もう筋とかどうでもいーい」「『長い春の果てに』でクロード先生にはまったときと同じかも〜」…たしかに、あのときは私も、初見の違和感が思い出せないぐらい、ステファン先生にはまったっけ…(遠い目)。贔屓のいるファンを満足させるってこたぁ、座付き作家としては素晴らしいですな。(そのうえ石田や斉藤君みたいなセクハラが無いしね)

というわけで、一人でなんとかかんとか思い出してみようとしていたら、ちょうどスカステで楽の映像をやってて、気がついた。クリストファーがいなくなるとき「金の薔薇」って言ってる。え? 銀だと思ってたよ。「どうしてクリストファーは金なの?」と緑豆に聞いても「わからん」とだけ。『ポーの一族』ではメリーベルは銀髪だから、「メリーベルと銀のばら」ってタイトルだったんだよぉ?? クリストファーとアナベル二人とも銀髪じゃん?? いや、ポーに合わせなくてもいいんだけど、兄妹で色が違う理由、どこでも説明してないよね? なのに唐突に言われても。

そうそう! こういうふうに、絵づらとか語呂とか、新奇な思いつきを優先させたために、論理性や説得力が無視されてる、ってところが気になったんだわよ、私。

たとえば、アナベルの心理描写。最初の登場がすごく甘えん坊でかわいらしいけど、50年眠ってて目覚めた後の反応としてはなんかおかしくないかなー? 珍しい事物を面白がっているけど、あまり戸惑っていない。非常に自己肯定的。50年眠ってたって、かなり特殊なことだよね? 我々、オタクの心理は書き込みが少なくても容易に理解できちゃうけど、50年眠ってた人の心理っつーのは書き込みがないと全然理解できないのよう。

ま、そこを彼女の最大の葛藤にするんなら、わかる。でも、50年眠ってたのは、つじつまあわせのために必要だっただけで、彼女の葛藤でもなんでもないらしい。え〜? こんな特殊な状況を設定しておきながら、そこが彼女の葛藤でもなんでもなく見えるって、どーいうことよ。

こんなふうに、特殊な設定が全部放りだされちゃってるんだよね。

ヴァンパイアは噛みかたによって、人を殺したり、手下にしたり、できるの〜?
ヴァンパイアって繁殖するものなの〜?
ハーフヴァンパイアってなに〜?
ヴァンパイアの血を注入したら、永遠に若いの〜?
どうしてブライアンは噛み付かれたら急に老けちゃうの〜?
どうしてエリオットはヴァンパイアになったら若返っちゃうの〜?

小柳奈穂子は、観に来た人にいろいろ突っ込まれると、「深くは追究しないでください」と答えていたそうだ。そりゃそーだよな。トホホ。

ちなみに、アナベルの葛藤は「人間に受け入れられない」「だから放浪し続けなければならない」である。なぜなら彼女はハーフヴァンパイアだから。『ポーの一族』では、放浪し続けなければいけない理由は、「永遠に少年少女でいなければならない、成長しない異物だから」だった。ま、ヅカのスターさんに12歳の少女、14歳の少年をやらせるわけにはいかないから、年齢を高くして、そうすると放浪する理由がなくなっちゃうからハーフヴァンパイアってことにしたんだろうな。でも…、なんかポーっていうよりは、別のものに似てるよな。化け物に生まれた悲しみ。。。あっ、『妖怪人間ベム』か! 

化け物に生まれた悲しみっていうのは、葛藤としては、わからんでもない。ドラマチックではある。で、エリオットの名誉のために、噛み付いてブライアンをやっつけたとき、自分が化け物としてしか存在できないことを痛感して、消えた。ってことなのよね。まー、ここんところは、つじつまは合ってる。

じゃー、なんで40年後にエリオットを迎えに来るんだよお〜??? あれってやっぱり、40年間エリオットが浮気してないかどうか見張ってたんじゃね? ひょっとしてアナベルってヤな女?(緑豆に「ひどいよ、そんなこと言うなんて!」とおこらいた)そーでなきゃ、40年あける意味がわからんよ〜。だって40年たっても、戦争やテロで何も変わってないって、エリオットも言ってるじゃん。最後、迎えに来る必要はないのでは? それともあれは、死の床にいるエリオットの見た幻なのかな。そっちのほうがつじつまが合うし好きだな。いっそのこと迎えにこないで、エリオットが同僚に誘われて踊りに行く場面で終わってほしかったよ。(あ、でもそうすると、あーたんの老け役が見られないのか)

でもね、エリオットがヴァンパイアになって、アナベルと月明かりに照らされて歌う、その絵づらがきっと必要だったんだよね。論理より、ヅカファン的ツボ。ツボを優先したから、筋がとおってない。…ま、ヅカにはよくあることか。たはは。

なお、敵役の名前が「ブライアン」って、小池の『LUNA』と同じ。監禁されて、しかも手下が弱い、えーっと、『デイタイム・ハスラー』だ。荷物にまぎれて脱出するのは『マインドトラベラー』。小池由来(?)の妙なアレも違和感の一つ。アレ…うまく名付けられないけど、幻想と科学のコラボとでも言うんでしょうか? 海馬が! とか、ヴァンパイア冷凍! とか、アレですよ。でも、『ポーの一族』+小池=マッドサイエンティスト万歳、だったけど、『ポーの一族』+小池+小柳=石田っぽくてマッドサイエンティストに爆笑ってところが、なんか違うんだよね。これについては、もうちょっと考えます。

<その他>
★テルキタの並びがいいね〜。豪華豪華。『霧のミラノ』の新人公演を緑豆が絶賛してまして。もちろん本役の二人もすごかったんですが、「同期ならではの緊迫感があったんだよー」だそうです。それをちょっと垣間見ました。
★愛原実花はメイクがましになっていい感じ。
★大凪真生の演技らしい演技ははじめて見たけど、うまいねー。ああいう映画監督っているよねー。
★大月さゆはかわいいけど、ヴァンパイアには見えないよう。前田美波里に見える。溌剌として健康的なんだよなあ。だからメリーベルのように病弱っていう設定にしなかったのは正解。
★アナベルのチュニック風のワンピース。『キャバレー』でもあったけど、現在のハヤリであって、当時のハヤリではないのでは? 丈がミニなのはわかるが、あんなにボリュームあったかいな、60年代。でも、イマドキの女子なんだなあ、小柳菜穂子、と思う。『アメリカン・パイ』の衣装もかわいかったし。今回、黒いドレスのヴァンパイアダンサーズ?がブーツを履いてるのも、ゴスロリ風で新鮮。

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