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マジシャンの憂鬱(東京宝塚劇場 10/11,11/1 18:30) [観劇メモ]

正塚晴彦は恋愛が描けないなんて、一体誰が言ったんだ!?

前々から申してますとおり、私はハリーの書く男女の台詞が好きです。支配権を奪い合うような、心のうちを探り合うような、リアルで、でも本当のリアルじゃない、掛け合いの台詞たち。→『愛するには短すぎる』の感想

今回もさ〜、仕事上で知り合った仲なんだけど、だんだん好意を持つようになり、でもそれを口には出さずにいて、ダンスしたり、閉じ込められたりと身体的距離だけが近づいて行って、でもなかなか恋愛に持ち込まないで、あくまでも台詞で押したり引いたりを続けるのが、なんとも焦らしテクなのよね〜。それを最後に「好きですよ、あなたのことが」とストレートに来たもんだ。ぎゃー、鼻血ブー!!

ヒロインが堅物なのがまたいいですね。仕事(=皇太子妃の侍女)に一生懸命すぎて、ダンスも踊れない(でも美人でおしゃれなのは、ヅカのお約束)。家庭の事情で精神的にいっぱいいっぱい。それを、うさんくさい職業(=マジシャン)の男がほぐしてくれる、と。ああ、書いていて顔が赤くなってきた。これが「優しいポルノグラフィ」(*)以外のなんであろうか。ハリーはヅカらしくないとか言われているけど、思いっきり「少女の夢」を描いてるじゃんよ。思いっきり「ラブストーリー」を描いてるじゃんよ。

ふと思ったんだけど、健気でかたくなな女性と、うさんくさい職業の男って組み合わせ、『BOXMAN』も同じだね。母親を高い老人ホームに入れてるおかげで、保険の勧誘員を頑張らなくちゃいけないお花様。怒鳴られるとパニックになっちゃう心身症気味なところが、似合ってたな。私が大好きな『ブエノスアイレスの風』も同じパターンなんだと、今頃気がついた。『愛するには短すぎる』のヒロインも、お母さんのために夢を諦めようとしていたっけ。わー、ハリー作品を片っ端から確認しなくちゃ。

ハリーの描く恋愛が好きで、ハリーの書く台詞が好き。ってことは、私、ハリー自身が好きなんだろうか? あのロン毛白髪で、宝塚のキムタクとか言われて否定しないような人を好きなんだろうか?? いやーっ! いやよ、いや。でも、でも、好きなんだろうな、きっと。いい加減、認めよう。実際にどうかは知らないけれど、書くものにはその人自身が表れるものね。柴田先生の恋愛‘観’はきっとドラマチックで情熱的なんだろうし、たっくんの恋愛‘観’はプラトニックで清らかなんだろう。『La Esperanza』のファビエルさんのあの台詞を書けるってことは、ああいうこと思ってるってことであって、実際言われたらこっ恥ずかしいけど、そういうことを思ってる人は、やっぱり魅力的ってことだよなあ。うむ。

「で、ユウヒ以下5人も適当な役しか宛てられなかったことは、どうでもいいわけ?」
なんか後ろで突っ込み入ってますが…

「ダイアナ妃の事件を安易に下敷きにしてるんだよね?」
「悪者の描き方も適当だし」
「突っ込みどころ満載だよね? 事件の解決があんなに上手くいっちゃうなんてさ」
…おっしゃるとおりです。すみません。緑豆はハリー作品に全然ぐっと来ないらしいのよね。→http://blog.so-net.ne.jp/pt-omoitsuki/2006-07-22

「シルバー・ローズ・クロニクルのことはあんなに事細かに欠点をつついておきながら、ハリー作品の欠点はスルーかよ!」
ごめんなさぁ〜い!!

(*)橋本治が『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』で陸奥A子のオトメチック漫画を形容した言葉。

::::::::本家はコチラです→a posteriori takarazuka:::::::


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