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脚本に見る演出家の個性 [ヅカ的近況]

『愛するには短すぎる』の脚本読みたさにルサンクを購入。ルサンク=写真集と脚本が合体した不思議な本であります。詳細は→http://www009.upp.so-net.ne.jp/ft2/koutenteki-zukafun/library/kyakuhon.gif

今まで、演出家やストーリーについて、あれこれ言ってきた私ですが、じっくり正塚脚本を読むのは初めてかも。お恥ずかしいことです。

で、あけてみてびっくり。台詞しか書いてないの!! ト書きがほとんどないの! 動作や言い方の指示が、ほとんどない。たとえば、バーバラがフランクと言い争う場面。「借金にはいろんな返し方があるって話だよ」「あっ、嫌!」「いたたたた」「ざまあみろ」しか書いてないんですよ。(迫る)とか、(腕を齧る)、とか、基本的な動作すら書いてない。へぇ~。

手元にあるほかのルサンクを見てみると…。ちなみに『薔薇の封印』(小池修一郎)と『長い春の果てに』(石田昌也)ですが、それなりに(無理に笑って)とか(背広を手にして走る)とか、動作が指示してあります。これが普通の脚本のイメージだよね。ハリーは徹底して、わざと、そういうものを書かないんだろうなあ。

さらに、『王家に捧ぐ歌』(木村信司)なんか(激して)とか(控えて)とか、指示が多い。(確信に満ち)(鋭い声で)(冷静沈着に)…、動作じゃなくて言い方の指示がすごく多いなあ。

個性なんでしょうなあ。ハリー芝居は台詞でできてる。キムシン作品は台詞ではできてない。それに、ハリーは、生徒に演技をつけるときに、細かく指示するらしい(実際に演じてみてくれるらしい)から、脚本に書く必要がないんだろう。それだけに、演技の幅は少ないし、アドリブもあり得ない。一方でキムシン作品ぐらいにたくさん指示を書いておくと、演出家が指示しなくても、なんとかなる(のでは?)。演技の仕方には幅が出てくる。

そういえば、キムシンの師と思われている植田紳爾は、演技は生徒にお任せだそうです。榛名由梨が自著に書いてました。それはそれでコワい、と。一方、ハリ−の師と思われている柴田先生(なぜかここだけ「先生」・笑)は、すみからすみまで指導してくれるから、お稽古は大変だけど、すごく安心できる、とのこと。

というわけで、植田、柴田、両巨頭の脚本を読んでみないと、ですね。

::::::::本家はコチラです→a posteriori takarazuka:::::::


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