SSブログ

OUR HOUSE (新国立劇場中ホール 6/22 18:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

madnessというイギリスのバンドの曲を使ったミュージカル。G2演出。お話が後づけだとは思えないぐらい、脚本がよくできていた! 16才の少年が、ちょっとした過ちをおかし、それを素直に認めるか認めないかで、善の人生と悪の人生が分岐していく。白い服のときは善いジョー。黒い服のときは悪いジョー。わかりにくいのかと思っていたけど全然そんなことはなかった。むしろ、善悪の場面がスピーディに入れ替わることで、二人(一人だけど)はどうなっちゃうんだろ~、とハラハラドキドキ。

同じせりふを、善場面と悪場面と両方で使っているのに、まったく違う意味になっていたり、過ちを犯すきっかけになった場所の持ち主がストーリー上最後まで重要な会社であったり。不法侵入という過ち、父親が押し込み強盗であったこと、悪ジョーのする仕事が警報器の販売や不動産業だということ、最後もっとも重要なのが家を守ることであること等、「場所の侵犯」というのが一貫したテーマだったり。伏線というほどではないけど、お芝居の要素のすべてが有機的に結びついているのには、本当に関心。

その「家」の象徴である、ジョーのお母さん役に、我らが(ってファンじゃないけど、元ジェンヌはみんな仲間のつもり)タータン=香寿たつき。素のかわいこぶりっこと、男役でのオッサンぶりがミックスされると、こんなおばちゃん、おかあちゃんになるのかね~。優しくて強くて田舎っぽいお母さん。最後は泣かされてしまった。それにしても、男役トップがお母さん役ってことがプチショックなのはなぜだろ、ヅカファン的には誰もが通る道だわね(笑)。

主役の中川晃教は『SHIROH』での神がかった役が好きだったけど、今回は歌い上げる曲がないので、あの高声が聞けず残念。それはタータンの演歌調が聞けないということでもあり。ヒロインの池田有希子は昔のアイドルみたいに、けなげで健やか。悪を象徴する後藤ひろひと、池田成志は場面を一気に自分のものにしてしまうのがすごい。お父さん役の今井清隆は歌がうますぎて平面的な気が(・・・歌の下手なジェンヌのファンが言いそうなことだ! 笑)。それにしても、善と悪をかわるがわる演じて、切り替えが大変だろうなあ。踊りも飛んだりはねたりで。出演者の熱気もすごかった。

ところで、ここで描かれる「悪」っていうのは、よーするに見栄っ張りっつーことのようです。最初におかした過ちは、彼女にいいとこ見せようとしてやったこと。お金もちになったら、お金もちを続けなくちゃいけないから、どんどん悪循環になっていく。かといって、善で正直に生きていると、世間の目は冷たい。だから、このお話は、善の心と悪の心の葛藤を描く、というストーリーではなく、自分が世間に対してどう振舞うかによって世間の扱いはどうなるか、というゲームみたいなストーリーなんですね。そこが、後味がさっぱりしすぎて余韻が残らない点かなあ、と思いました。

☆ネタバレあり、注意☆
特に、ラストシーンは、最初の過ちの場面に戻って、その過ちを犯さないという選択をした場面なのですが、えぇぇ、じゃあ、過ちを犯してからの善ジョーと悪ジョーのこの2時間半はなんだったの!? 結局は、見栄っ張りはやめましょうねっていう教育的お話ぃぃ? という気持ちが一瞬よぎってしまうわけです。悪ジョーが成長し、善ジョーも成長する、というお話だったら、なおよかったな。

チケットはまだまだあるみたい。値段が高すぎなんだよー(10000円と8000円)。音楽は好みじゃないけど、脚本がいいので、安かったらリピートしたい作品でした。

::::::::本家はコチラです→a posteriori takarazuka:::::::


nice!(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

乙女ロードTV映画版 コパカバーナ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。