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遠野物語・奇ッ怪 其ノ参(世田谷パブリックシアター 11/2 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

『太陽2068』が面白かったので、同じ脚本家前川知大の作品を観ることに。

柳田国男の遠野物語に着想を得つつも、
舞台は、現代とも未来ともつかない架空の日本。
「標準化推進法」とかいう法律で、世の中が均一化され、
迷信や曖昧な事柄はおおやけにしてはいけない。

現代日本への批判なわけであります。

ヤナギタという作家が、遠野という村の「話」を青年ササキから聞き取って、
自費出版→拘留→検閲官が尋問。

その会話の中に、遠野で聞いた「話」が織り込まれる。

その織り込まれ方がいかにも演劇的で面白い。
警官が突然、遠野の人になったりするの。

舞台にはちょっとだけ高くなった四角いスペースがあって、
取調室でもあり、遠野のどこかの家の中にもなる。

「曖昧な話は、おおやけにしてはいけない」
と言う警官や検閲官が、迷信の中の人になっている。
だから、どんな人もそういう部分も持っているよね、という。


じつはわたくし、仕事で、
記録を残す、歴史を編む、ということを意識することが多いのですが
(まわりくどい言い方ですんません)

オーラルヒストリーを採取するか、
ということが懸案になりがちです。

そんなもの必要ない、
不確かだ、裏が取れない、
という意見も多いです。

じゃあ、紙に残っているものだけが事実なのか?
そんなこたぁねえだろう。

「話」として伝えられていること、
そのこと自体も、重要な情報のはず。

不確かなものを排除しようとする社会の動き。

「話」、「語り」に託したい、個々の人間の心。

…いろんなことを考えさせられました。



ただ、頭で考えちゃう感じで、エモーショナルな感じにはならなかった。

検閲官が自分の心情を吐露する場面があるんだけど、
そこに至るまで、ヤナギタともっと熱い感情のやりとりがあると良かったな。

遠野物語からとったエピソードがけっこう多くて、
面白いんだけど、それに時間を取りすぎたのかもしれん。

主人公ヤナギタ自身が、作中であまり変化が起きないからかな。
ササキ君も心情では変化は起きないし。
一番変化があるのは、検閲官。

今気付いた。検閲官の名前はイノウエ。
『新釈遠野物語』を書いた井上ひさしから来てるのかー!
すげー!



ヤナギタは仲村トオル。
声がよく響くし、背も高いし、やや一本調子なのも大物っぽくて、
スターさんだなあと思いました。

遠野の青年ササキが瀬戸康史。
東北弁といい、霊媒体質っぽさといい、ほんと上手い。

検閲をするのは山内圭哉。
生で見るのは『宝塚BOYS』以来だろうか。
冒頭、語り手的な感じで、関西弁で観客を誘導するのが面白かった。

ササキのおばあちゃん(途中で幽霊になっちゃう)
銀粉蝶が、やや高めの声がいっちゃってる感じで、
かわいかったな~。60代とは思えないぐらい綺麗。



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