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リラの壁の囚人たち(日本青年館 5/26 18:30) [観劇メモ]

随所にただよふ文芸のかほり。

幾重にもかさなる「囚人」の比喩。ナチスの目を逃れて匿われ、外に出られないレジスタンス。戦争で体が不自由になって婚約者につらくあたる青年。婚約者の世話を献身的に続けているけれども、愛されている実感がない看護婦。ナチスの将校の妾になるしかない、水商売の女の子。占領されたパリそのもの。

セットがほとんど変わらず、中庭での会話だけで進んで行くんだけれども、しかも、主人公はただ匿われているだけで、たいして何もしてないんだけれども、それでも世界が広がる。台詞がいんだ、きっと。人間の心理がちゃんと描かれている。特に、ヒロインと婚約者の共依存関係など、ぞくぞくするほどだ。

それは、タカラヅカ特有のラブシーンにおいてもそう。主役二人のラブソングに至るセリフのやりとりにうっとりする。久々だ〜、こういううっとり!

特に先鋭的なことがあるわけじゃない。きわめてオーソドックス。でも、良質。たとえて言えば、大人が読んでも楽しい少女小説。

って、それがそもそものタカラヅカだったのかな。淡い色合いで描かれるシックなパリ。昔の恋へのノスタルジー。清らかなラブシーン。白井鉄造の後継者は小原先生なのでは、という仮説にまた一歩近づいた。

だがしかし、昔風味ではある。植田・柴田よりは新しいんだけど。曲やダンスナンバーがかなり平面的で、興が削がれるところも多々あり。。。演出は中村Bとのこと。うーむ、最初っから期待はできないが、なんとかブラッシュアップできなかったものか。

ラストはやや唐突だけど、それでも価値を低くするほどのものではなく。

しかし、よく考えたら主人公がしてたことって、立ち聞きと、女に優しくするだけなんだね(笑)。それを「なんとなくかっこいい人」にできる、凰稀かなめのやさ男っぷりは、さすが。「あなたはかわいいですよ」に不覚にも、ときめいてしまった。ドキドキ。でもねー、歌とか、全体に薄味すぎだー。私には物足りない。演歌風味がほしいよ〜。歌詞で「空しい」って歌うとき、全然空しそうじゃないんだもん。

れみ(白華れみ)はセリフ回しが娘役らしいんだね。品がある。星組で花開いてほしいものです。

車椅子の扱いで心情表現もできちゃって、ベニー(紅ゆずる)すごいやん。

みやるり(美弥るりか)のナチス将校、頑張りすぎなのかカツゼツがちょっと変。でも、私なら迷わず小粋なメゾン(違、それは『白昼の稲妻』)に引っ越します。なぜマリーが迷うのか、わからない(笑)。

マリー役に音波みのり。好みの顔なのでチェックしてました。大きな役がついてうれしい。

美城れん上手すぎ。コロちゃん(音花ゆり)かっこよすぎ。しーらん(壱城あずさ)のキャラがよくわからない。直樹じゅんの活躍は喜ばしい。天寿光希は発声がすごくいい。立ち姿がいまいちやね。ねったん似の男役さんは誰?→本城くれは→なんだよ、これで退団かよ!

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コメント 2

雀

私は今日観て参りました。
てる&れみの並びが期待以上に良かったです。
れみちゃんは寄り添い芸のできる娘役なので貴重ですね。

ところで、いつの頃か、星組公演に行くと天寿みっきいが私の視界に入ってくるようになりました。
彼女のネックは身長ですかねぇ・・・
小柄だけどキビキビ踊るし、表情もいいし、歌も上手いのですが。
昭和だったら絶対一押しでプッシュされたんじゃないかと思います。
汀夏子さんとか順みつきさんみたいに。
by 雀 (2010-05-29 23:31) 

竜眼

雀さま、コメントありがとうございます!
てる&れみって、なんか文芸のかほり漂いますよね。
しかも悲恋が似合う。またこの組み合わせを観たいです。

汀夏子さんとか順みつきさん! なるほど〜
狸御殿でハートわしづかみにされましたよ、このお二人には。
熱い熱い。
今ってスタイル重視ですしねえ。
みっきいって主席入団でしたっけ、上手いし、顔もきれいだし、
スカフェのときも感じよかったし、頑張ってほしいです。
by 竜眼 (2010-05-31 18:03) 

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