ダル・レークの恋(神奈川県民ホール 6/16 18:00) [観劇メモ]
10年前の星組公演を、じつは観てます。ヅカファンになる前のことでした。むちゃくちゃ深くて、い~いお話だと思いました。けっこう感動しました。なのに、連れて行ってくれた友人以外、誰も私に賛同してくれません。10年たった今も、誰も賛同してくれません。
緑豆「だって、よくある話じゃん。」
違うのよぉ、まことの愛はどこにもないっていうお話なのよぉ。人間は、身分とか肩書きとか見た目とか、人の噂とかに惑わされちゃって、本当に人を愛することなんて、出来ないのよねぇぇぇ。
緑「だから、よくある話だっつーの。」
しかもさー、そんな愚かな女に復讐するために、「やらせろ」って言うなんて、恋愛は権力闘争にほかならないってことを明らかにしてるのよ。「悪魔!」とか言いながら、最終的にはうっとりしているカマラ…、性こそ権力闘争そのものなのだわぁぁ。
緑「たしかにタカラヅカでは珍しいけどね。でもよくある話だよ」
翌朝のラブラブっぷりもいいよねー。百姓の娘ですって言っておきながら、バレちゃうとこが切ないよねー。
緑「結局さあ、あの丸ベッドがいいわけでしょ?」
でも、ラッチマンはカマラが「詐欺師だ」ってデマに踊らされた時点でもう、別れを決意してるわけで…
緑「結局さあ、あの帯グルグルがいいわけでしょ?」
そんなんでHするのは、男の人はかえって燃えるんですかねえ?
緑「って、聞かれても困ります!!!
…まー、テーマは一貫してるから、『ジャワの踊り子』よりはマシだったかな。」
やっぱり賛同を得られません。よくある話だってんなら、似たような話を持って来ーい!
10年間ずっと「深いお話だわぁ」とばかり思ってきたけど、改めて生で観ると、ラッチマンのかっこよさをとことん追究した作品でもあるのね。育ちがよくて品がいい、けどイカサマ詐欺も得意で、ケンカが強くてパリの無頼漢、軍服が似合って、ターバンも似合っちゃう、浅黒い肌のイイ男。そして最後は男の美学を貫いて、女と別れる。いやぁ、男の中の男。こういう、現実には絶対いないカッコイイ男の人を描くのが、タカラヅカだよねーん。ペペルもうさんくさくて、昭和の香りプンプンでいいわぁ~。
一方でカマラ姫やリタ姫はちょっとお馬鹿さんに見えがちな話だけど…、でも、王子様はパリで無頼漢もできるけど、お姫様はそうはいかないものね。王子様は、身分の低い女を妾にできるけど、お姫様はそうはいかない。だから、ラッチマンのほうが振る舞いの自由度が高いのは、仕方の無いことだよね。
ところで、初演はよっちゃん(春日野八千代)主演でよっちゃん演出。今回は酒井澄夫潤色とのことですが、どのあたりが潤色なんでしょ~? そもそも、ほぼ50年前の話ですぜ。1幕に縮められないんでしょうか? いくらなんでも、展開がタルイのよ。初演時は二本立てだけど、当時は公演時間がやたら長かったから、たぶん『ダル・レーク』だけに関して言えば時間的には今とたいして変わらないと思う。それで併演を端折って芝居の一本立てにしちゃったんだろうけど、それってどうなの。
特に、全国ツアーなんだから、一本立てじゃないほうがいいと思うなあ。全国ツアーにいらっしゃる地方のお客さんには、これでもかーっていうレビューにワクワクする人も多いんじゃないのかなあ? そりゃ、昔の作品をやることで、昔ヅカファンだった人を引き戻すとか、レトロな作品のほうが地方では受ける、っていう見方は間違ってないと思う。かなりイイと思う。けど、ショーやレビューもついてたほうがいいと思うよぉ。
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