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黒蜥蜴(ベニサン・ピット 11/25 13:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

ターコ様(麻実れい)の黒蜥蜴、観ないわけにはまいりません。

名高いベニサン・ピットで観劇するのは初めてです。東京の東側の、昔はにぎやかだったろうけど今はビルばかりの閑散とした町。工場みたいな中を通って着いたところは、やっぱり工場を改造したような小さな空間。椅子もペンキがはげてて、これはこれで味があります。

幕開き、くら~い中に、突然壁が割れて光がさして、日本人形のような少女があらわれたのにはビックリしたー。これが早苗役(宮光真理子)。日本人形みたいでもあり、西洋風でもあり、乱歩の世界にピッタリ。

舞台装置がおしゃれ。棒を何本か立てて、それを窓に見立てる。棒を持って(つまり欄干によりかかる)、黒蜥蜴が「夜…、私の時間」などと言うと、窓の外の空気が伝わってくる。奥行きがとてもある舞台のようで、たいていは前半分ぐらいを使ってるんだけど、最後には奥も見えるようになり、そこに黒蜥蜴の集めた美しい品が見え隠れするのも、また面白い。

ターコ様は、読売新聞のインタビューで「高尚な文学作品でもあり、大衆娯楽でもある」とおっしゃっていた(敬語です、当然)けど、ホントにそのとおりね。探偵ものの面白さ、バカバカしいトリック、笑っちゃうような設定、でも詩のような台詞、日常生活では全然触れることがない、だけどどこかに必ずある物事の本質を突き詰めようという姿勢。。。

ターコ様は黒ばかりのお衣装(「お」がつきます、当然)を5着ぐらいお召しになっておられました。髪はずっと夜会巻きで、最後だけダウンスタイル。死ぬ場面で髪が美しく垂れるように、なのでしょうね。爪だけが真っ赤。あの爪を塗ったネイリストはさぞ、ドギマギしただろうなぁ、なんてバカなことを考えたりして。部下には威厳に満ちて冷酷、明智にはもだえ、金持ちには下卑た笑いを向け…、美しくて孤独で可愛そうでチャーミング、そんな黒蜥蜴でした。

しかし、明智小五郎って、髪薄いっけ…?(笑) 明智役(千葉哲也)は素晴らしくハリのあるい~い声で、いい役者さんのようなのだが、いかんせん、頭髪とヒゲが松尾スズキに見えてしまうのよう。私立探偵っていうより、疲れた刑事さん? もっとイヤミでスタイリッシュなイメージなんじゃないかなぁ、明智は。明智っぽくないと同時に、乱歩っぽくないって感じもして、ターコ様とは別の次元にいるように感じてしまった。どっちが悪いってんじゃなくて、キャスティングの問題。だから、濃密な妖艶さがあまり感じられない。それはそれで、決して二人の愛は成就することがないということに、説得力を与えていたとも言えるけど…。

あともう一個突っ込みどころは、これって一体いつっていう設定なのかしら? 原作は1934年、三島の戯曲は1961年。どっちにしても、明智への謝礼が月100万って高すぎるよねえ? でも現代ならもっと高くてもよさそう。東京タワーのおみやげが千円って、思いっきり現代の感覚だよねえ? メイドが口紅じゃなくてグロス使ってるし。うーん、でも今時、あんなベタな宝石商っていなさそうだしねえ。

初日の翌日だったので、台詞を噛む人も多かった。終盤にもう一回観にいこうかと思ってます。私も爬虫類の称号がほしいです。うふふ。

ちなみに、来年のヅカ版はオサが黒蜥蜴だね、それ以外あり得ない。キムシンならやってくれるだろう。明智がまとぶん、早苗が彩音、全然無問題。雨宮がまっつで、小林少年(て出てくるの?)がみわっちってイメージだけど、番手としては逆かな? 以上、配役発表時にはずれてたら笑ってください。

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