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リンカーン(神奈川芸術劇場 3/4 13:00) [観劇メモ]

だいぶ昔の話ですが、
感想をメモしていたので、アップします。


うわぁ、リンカーンがしゃべってるよ!
あの肖像写真のリンカーンが!

え、でも日本語なんだけど、なんで?

…あ、ああ、ここ日本だったか(^_^;)

という驚き。
あの顔にあの髭つけたいって、よくわかる。
それだけでGJでした。

原田のこれまでの伝記ものと違って、
実現させたい夢が一貫してあって、
それが叶ったとたんに暗殺される、
というわかりやすいクライマックスがあるので、
筋が通りやすい。

それに、音楽と装置がとても良くて退屈しない。

理事様とあきらがディベートする場面とか、
ゆきちゃんとべーちゃんが二人で歌う歌とか、
ぞくぞくした。

三つの階段を、あるときは小部屋に使ったり、
あるときはつなげたり、
そして最後はアメリカ国旗に…!

組子にそこそこ役があるのもよかった。
娘役はわりをくっちゃったけど。
マイティもふじぴーもこれまでよくやってきたタイプの役だけど。
和海しょう様の長いソロがあるのよー。

ゆきちゃんは強気な女性が似合う(朧月夜はちとやりすぎだった)
二人のラブストーリーがもっと見たかったなあ。
さらに言うと、この二人でスカーレットとバトラーが見たいなあ。


でも、リンカーンが実現したかったことってなんなんだろう。
奴隷解放ってことはわかるんだけど、
それは何のためなんだろう。
そこがよくわからなかった。

あきらとのディベートでも、
あきらが「奴隷を廃止するかどうかは各州で決める、民主主義じゃん!」
って言うと、
「それでは連邦として一つにならない、アメリカ建国の精神が」
って「愛国」のほうに滑って行くのが不思議だった。

幕間に友人に聞いたら、(受け売りとの前置きつきでしたが)
史実のリンカーンは、じつは人権ということは考えていなくて、
近代的な資本主義社会を実現するためには、
奴隷制は古いと考えていた、とのこと。
なーるほどー。

なんと、先住民を迫害したりしていたそうだ。
のぉぉぉ。

資本主義のためにはみんな平等がいい。
そのシステムに乗るなら、人種は問わない。
だけど、そのシステムに乗らないなら、排除する。

その後のアメリカの基本姿勢そのものだ。
だから一番偉大な大統領だと言われるのかー、なるほどなるほど。

…全然楽しくないなー(笑)。

…しかも、宝塚でやるのは厳しくないか?

史実を通りやったら、どうしてもそうした問題に触れてしまう。
問題をしっかり掘り下げたら、めちゃくちゃシビアな芝居になりすぎる。
じゃあ、適当になぞっとけ。

というのが透けて見えるんだよなあ。

あんたはリンカーンの何をリスペクトしてるわけ???
と問い詰めたくなってしまった。

それと関連するかもしれないけど、
登場人物の葛藤が中途半端で、もったいない。

あきらはどうして最初の考えをかえて、リンカーンに味方することになったの?
リンカーンの○○○に心打たれたから、だよね?
それこそが、脚本家がリンカーンを「リスペクト」する部分だよね?
で、○○○は何??

リー将軍に関しても、
息子との和解に関しても、同様。

つまりは、肝心の○○○を描けないわけよ。
政治的すぎて。
現代の感覚と合わなくて。
さらには、脚本家の力量がなくて。

やっぱり、政治家を大衆演劇の題材にするって、
めっちゃ難しいよなああ。

…と思いながら観ていました。
自分はとことん、宝塚に向いてないなー。

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