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宙組生の死亡と大炎上(長文) [ヅカってなんだ?的記事]

すごいことになってますね。
さすがに何か書かずにはいられず、出てきました。


ついに死人が出てしまった。と思いました。
96期裁判のとき、凄惨ないじめの実態を知った人の多くが、
原告さんが自殺しなくてよかった、と思っていたと思います。

しかも、数年前にも音楽学校で飛び降り事件があったとか。
マジかよ!

96期裁判のときと全然変わってないんだな。と思いました。
記者会見の隠蔽体質、HPの「自分は悪くない」「我々は被害者だ」的な文言、
知ってるー! って感じ。

炎上ざまあみろ。とも思ってしまいます。
あのとき、あんなに我々は抗議したのに。
いや、観たい公演はチケット買ってたから骨抜きではあるんですが、
(96期裁判の運営側の対応を理由として)友の会を辞める、スカステを辞める、
抗議の手紙を劇団に出す、等々してきたのに、それを完全無視したからだよー、
今、つけが回ってきたんだよー。

ついに貸切公演の企業からも見限られつつあって、
なんで96期裁判のときはそうならなかったんだろう、
やっと時代が追いついたのか? 遅すぎ!

あのとき「いじめなんてどこにでもある」と言って、気にせず観続けてた人たち、
今どう思ってる? ひょっとして文春が悪い、死んだ人が悪いって思ってる?

さすがに、今までの音楽学校生や演出家の加害とは違って、
現役の生徒、しかもトップスターを含む名前が出てしまっているのは、
有耶無耶にするのは無理でしょう。

正直、名前のあがった生徒は退団し、宙組を解体する、
ぐらいでないと再興できないのでは。
いっそ、宝塚そのものが解散するかも。そうなってもいいとまで思います。
レビューや歌劇は宝塚以外でだってできるのだし。

(でも、舞台が好きなもう一人の私は、
あれだけの豪華な舞台はほかでは難しいよな、とか、
1つの公演がほとんどまるまる無くなってしまうことはかなりショックだな、
周年なのに運動会が無いのかー、
とか思ってしまう部分もあるのですが)


(以下、雑談)

報道で出てくる人名には、ゴシップ的な要素もあって、
藤井大介アル中なんだ(苦笑)とか、
小林公平、公一がいい人扱いになってるけど、そうかあ~?
人事ごり押しとか、変な歌詞歌わせるとか、彼らもやってたじゃん?
紅より北翔をトップにするのは正しい判断なのでは? とか思ったり。

しかし上田久美子のパワハラや小池修一郎、野口幸作(+藤井大介)の性暴力は笑えないな。

演出助手が上田久美子のパワハラで辞めて、お金で解決させられたというのは、
何がなんでも裁判にしたくなかった、
96期裁判で裁判記録が誰でも見られる状態になったのが、トラウマだったんだろうな。

真風→星風のいじめは、
なるほど! だから芝居がかみ合ってなかったんだ! と納得。 
凰稀が厳しい「指導」をしてたっていうのも、
少なくとも包容力とかとは無縁で、
ベストアクトは『堕天使の涙』の新人公演のこじらせた役だったから、ちょっとわかる…

野口幸作の芝居は感情がないし、
小池修一郎のオリジナルは品がないし。
人柄や関係性って本当に舞台や作品に出るんだな、
自分が感じていたことは間違ってなかったんだ、
とちょっと驚いたり。

いやでも、それぞれの作品、パフォーマンスで秀でた点は確かにあったわけで。
上田作品で泣いたこともあるし、
小池の海外ミュージカルの翻案は確かに大きな転機だった。

だからと言って、小池修一郎が干されたら日本のエンタメはどうなる、とかは全く思わない。
レイプされたり自殺しなければいけないような人が一人でも減るなら、
それが一番。それ以上のことは無い。
エンタメ界には新しい才能が出てくるはず。

ただ、自分は悪いことしてないのに公演がなくなって収入がなくなる関係者のことは心配だ。
同じ「傍観者としての責任がある」とはいえ、
観客は自分の生活があるから、エンタメが無くなっても死ぬわけじゃない。
でも関係者は生活がかかっているものね…。

(雑談終わり)


戦前戦中ぐらいに活躍したジェンヌさんの自伝などを読んでいると、
先輩にいびられた話はけっこう出てきます。
でも、組織の仕組みとしてそれをやる感じではないように読めました。
変なルールとかも登場しません。

80年代入団のスターさんの話だと、音楽学校さぼってファミリーランドで遊んでた、
という話も頻出するし(たしか香寿たつきとか)、
00年代にコマ劇場でのOG公演シンデレラに出演した、
当時現役だった樹里咲穂と遠野あすかが、ベルばら時代のスターOGの、
自由さ、上下関係の無さにものすごく驚いて、喜んでました。

だから、報道にもある通り、阪神大震災以降、宙組作って以降、
儲け第一、過重労働になって、いろいろと厳しくなっていた、
というのは確かにそうなんだろうと思います。
スカステができたのも過重労働の一つでしょう。


でも、知人がかなり昔の話として、「高校時代の友人があこがれて入団したけど、
夢と現実は違うんですよねー、すぐ辞めました」と言ってたり、
島田歌穂がTCAプレスのインタビューで、母親が元ジェンヌだけど、
「あなたには合わない世界だから」と島田歌穂が入団しようとするのを止めた話をしてたり、
それらのニュアンスから、ブラックぽいなとは思っていました。

なぜそのときにもっと考えなかったんだ、自分…。

劇団幹部に物申した他組のトップスターに、
幹部が「俺がトップにしてやったのに」と言ったとか。
その家父長制的考え方! キモーーー!

そもそも小林一三は「お父さん」と呼ばれていたわけで、
昔の家父長制的考え方が、今もえんえんと生きている。
遊廓の経営者が「お父さん」「お母さん」と呼ばれていたのと同じで、
「家族的」という言葉は疑ってかからなければなりません。
家族という名前で搾取される上下関係が、
ジェンヌ同士、スタッフ同士の間にも生きているってことです。

OGの証言で「上になって下をいびるとストレス解消になる、
今までやられてたことの仕返し」というのがありましたね。
出演者をこき使い、競争させ、ストレスを与えるのだから、当然、いじめが起きやすくなる。

変なルールは、人をいじめるためにあるとしか思えません。
1期上と下に情報を伝達するルール「上げ」「下げ」とか、
そんなん一斉にLINE送信すりゃいいじゃん、アホかと。
典型的なブラック企業です。

ファンもファンクラブで競争させられ、お金を使わされています。
ファンクラブのスタッフさんの「献身」も、やりがい搾取そのものです。


湖月わたるが言っていた「(宝塚は)みんなで魔法をかけあっている」は、
夢のような世界になるように努力している、
つまり、たとえば、いじめたくなっても理性で止める、ということかと思っていました。
湖月さんはたしかにそうかもしれん。

でも多くの実態は、いじめがあっても無かったことにするという
「魔法」をかけていたのかもしれません。

あああ、「魔法は」、「自治」や「伝統」の名のもとの隠蔽だったのだ…。

「魔法」が成り立っていたのは、
我々ファンが、周辺の企業が、世間が、みんなが、
素晴らしいものだと賞賛し、消費してきたから。
自らの依存対象として、儲けの材料として、必要としてきたから。

歌舞伎もジャニーズも、スポーツも同じ。

でももう、魔法はとけてしまいました。
私にだけでなく、社会全体で。



昔の自分の書いたものを読んでたら、上に書いたこととほぼ同じでした(笑)。
このカテゴリとか。自分が、宝塚に対する未練が無くなってるとこだけが違う(笑)。



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演出家原田諒のセクハラパワハラについて [ヅカってなんだ?的記事]

年末に原田諒のパワハラセクハラが報道されたので、出てきました。
96期のいじめ裁判をずっと追ってきた身としては
(このブログではこのカテゴリ)、
宝塚の体質として当然こういうことはあるだろう、あっただろう、
寺田瀧雄のときなんか完全スルーだったんだから、という感想しかないです。

ただ、原田諒を辞めさせたのは、進歩だなあ、とは思います。
96期の事件は、ブラック企業という言葉が広まる少し前だったと思うし、
演劇界でのパワハラセクハラ、スポーツ界でのパワハラセクハラも
まだそれほど話題になっていなかったので、
世の中の変化に、宝塚が少し追い付いたのだろう、と少し感慨深いです。

もちろん、公式HPの「今後はハラスメントの防止のさらなる徹底に努める所存」とか、
「個人のプライバシー保護の観点から配慮を欠いた記事であり大変遺憾であるとともに、
本件に関して弊団が隠ぺい等の不適切な対応や不誠実な発言を行ったかのような、
事実と異なる内容や表現がございます」」とか、
具体的にどうなのか全然明らかにしておらず、
そもそも文春砲がなければ、しれっと退職を報告しなかった
(もともと演出家の退団は公にしてないけど)ふしがあって、
昨今のコンプライアンスからしたらダメダメではあります。
せめて、対策ガイドラインの策定や、相談窓口の開設を実施します、
ぐらい言わないと、本気だとは思えません。
(そんなことするわけないですよね 苦笑)

また、「辞めさせたからそれでいいでしょ」という発想は、
96期のときに被害者や、とばっちりをくらった生徒を
辞めさせようとしたのと変わってない気がします。
(今回は加害者を辞めさせたからマシではあるけど)
被害者意識丸出しな文章も、96期のときと全然変わってないですね。


私が疑問なのは、ファンの人たちが怒っていることです。
今ファンでいる人たちの多くは、96期のことを承知で、
そういうものだと思って観ているのではないの?
東小雪さんが、暴力的な構造になっているとずっと警鐘を鳴らしていたし(本の感想)
それでもかまわないと思って観ているのではないのかなあ? と不思議です。
知らない人が多いのか、考えないようにしているのか。。。
まあそれだけ宝塚は魅力的ですからね…

あのときは加害者も被害者もジェンヌ(の卵)だったけど、
今回は加害者は演出家、被害者は演出助手とジェンヌだから、
加害者を批判しやすいのかもしれません。
さらに、加害者が男性というのもあるかも。
同じ共同体にいるとはいえ、演出家、男性、は
自分たちの花園の正規メンバーではないという感覚はたしかにあります。

 完全に余談だけど、
 2011年の「ニジンスキー」の男性同士のラブシーン
 (今回の事件の被害者は男性という説もありますね)、
 演出は完全にジェンヌがやってて、「原田君は顔真っ赤にして見てるだけだった」
 と複数のお茶会で聞きましたが、
 いつのまに、ジェンヌに暴言吐くような「お偉い」演出家になってたんですねえ。

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2022年秋以降に観たものとこれから [観劇メモ(ヅカ以外)]

なかなかこちらを更新できていません。
「夜の観劇」のほうも下書きがたまる一方ではあるのですが、
そもそも「夜」じゃない観劇が、「夜」におされて減ってきています。

でもまあ、自分のためのメモとして。

2022年、劇チョコのあとに観たお芝居は、

・イキウメ「天の敵」(9/18 本多劇場)
DVDで何度も観ているのを生で観れた~
マクロビの元祖桜沢如一がモデルと思われる、現代のヴァンパイアの話。
これはみんな言ってるけど、食べるという行為は誰でも共通だから、
自分のこととして考えやすいです。

さらに今の自分には、老いる覚悟のようなテーマがひしひしと伝わってきました。
若返っても、食べられない、飲血やめたら一気に老ける、
そこまでして若さがほしいかどうか。
そもそも「完全食」を求めてたらそこに行き着いたわけで、
健康への固執というのは結局、
老いるという天の摂理に抗うってことなわけですよね。

あと、中央の、庭に出るような通路は、あの世との出入口だと思いました。
「ゲゲゲの先生」でもそういう構造だったかもしれません。

前回と違って、アシスタントが二人うろうろしていましたが、
どういう意味だったんだろう。

・二兎社の「歌わせたい男たち」は、
2005年に見てすごく楽しかったし、
イキウメの大窪人衛さんが出るのでチケット取ってたのですが、
コロナで中止~~

・配信で「阿修羅のごとく」。
ドラマは名作だと思ってるんだけど、
今、演劇でやると、すごーーく古い話だなあと思ってしまう。
この数十年で、女性の生き方の選択肢はすごく増えた。
一方で、男性陣は、今と変わらないなあと思ってしまう。
向田邦子が生きていたらどんな作品を書いただろうか。

三女に接近する探偵がすごくうまいと思ったら、岩井秀人だった。
(なんと四女の彼氏役もやっていた…!)


…えっ、これだけ!? 

うわーお、2022年は宝塚を全く観てないよ!!
(年始に花組で優波の退団公演を観るつもりだったのがコロナで中止に…)

月城かなとさん、「ソルフェリーノの夜明け」新人公演で
にわにわのおじさん役をやってむちゃくちゃ上手かった、
その人がトップになっている、これは是非観たい、
と思ってるんだけど、気付いたときにはチケット売り切れてるんですよね。。
特に、正塚信者だったので、ブラックジャックは観たかった。。。
今の宝塚はけっこう売れてるみたいで、熱意がないと全然チケット取れないですね。
あと、礼真琴さんとか、朝美さんとか、上手いなあと思っている人は観たいけども。
3番手以下ぐらいの人たちはまったくわからなくなってしまいました。


ここだけの話なんですが、
96期の件があっても、紫峰七海様がいたから観続けていたし、
2015年末の退団後も、東京宝塚劇場公演を一回は必ず観ていたのですが、
それが途絶えたのは、
2017年はじめの紅ゆずるのトップ就任からだったと思い出しました。
なんとその公演だったかで、公演パンフの解説執筆依頼が来たんですよ。
(!! 職場の媒体に(団体名義だけど)戦前のレビューについて書いていたので)
祝う気になれんと思って断るほど、苦手だったんです。

龍真咲も苦手だったのですが、ちゃぴちゃんが良かったのと、
みやるりを観たかったので、がんばって観ていた。。
(礼真琴さんは絶対トップになるから、あとで観られるだろうと思っていたし、
綺咲は96期というのを差し引いても、それほど好きではなかった…)

そのあたりから、ごろごろっと坂を転げ落ちてしまった気がします。
苦手なトップがいるっていうのは、(主役なだけに)なかなかつらかった。
もちろん、全体的に薄味になったというのも大きいです。


そんな古巣に関するブログ、いい加減閉じてもいい気もするのですが、
最近、大昔の宝塚について、また調べ始めたりしていて、
それをアップするかもしれないので、一応残しておきます。


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生き残った子孫たちへ 戦争六(8/17-9/4 東京劇術劇場) [観劇メモ(ヅカ以外)]

劇団チョコレートケーキが3週間ぐらいで6作品を一挙上演。
役者さんもかわるがわる出てて超ハードスケジュール。
ほぼ全部観たので、週2で池袋に通ってました…

特に印象深いのは「追憶のアリラン」。
戦前の朝鮮で裁判官をしていた日本人が主人公。罪に問われるんだけど、
罪の程度やそれを周りがどう思うかに、
いろんなグラデーションがあって、丁寧に描かれていた。
彼の部下だった朝鮮の人が、ちょっと夢物語みたいな誠実さなんだけど、
浅井伸治がリアルに演じているので、
夢物語が本当の希望に感じられたのが特に良かった。

あと、初期の短めの作品。初期だけに、また若者がやっているので、
テーマがダイレクトに、鮮烈に伝わってくる。

一つ目は特攻を開発しちゃった二人の青年が、実験中に窒息死する話。
「〇六〇〇猶二人生存ス」つらい…
技師がナレーターとして登場して、美化しない仕掛けになっている。

二つ目は原爆乙女とよばれる、
アメリカでケロイドの手術を受けた女性たちの話。
「その頬、熱線に焼かれ」
これもいろんな反応の女性がいて、繊細に描かれていて良かった。

新作「ガマ」。沖縄戦でガマに籠った数人のドラマ。
この上手いおじいさん誰だと思ったら、大和田獏だった…!!

松井岩根を描いた「無畏」は、ちょっと話が見えすぎていたかなあ。
結局、「上司は思いつきで物を言う」なんだなあ、というのは興味深い。

あとですね。
劇団チョコレートケーキって、女性の描き方がどうしても、
いわゆるセクハラとは逆方向なんだけど、
リアリティが無いというか、美化しすぎている作品が多くて、
そこだけいつも不満だった。

もちろん、演者がリアリティを付加してくれているんだけど、
劇中の役割として、「無垢な聞き役」に徹していたり(「帰還不能点」)、
「癒し役」であったり(「追憶のアリラン」なんと月影瞳!)、
「ヒーロー」であったり(「一九一一年」)。

その点、「ガマ」の軍国主義少女は、
よろしくない面をバンバン出してくる役だったし、
原爆乙女にも、意固地になって意地悪してしまう女性がいたので、
かなりうれしかったですね。


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劇団イキウメ 関数ドミノ(5/29昼 シアターイースト) [観劇メモ(ヅカ以外)]

2005年の初演は見たことがなくて、2008年版はDVDで何度も見ました。
今回の観劇後、2014年版と2017年の寺十吾版のDVDを入手しました。

今回の特徴はまず、
最初と最後に、真壁本人の談として、
「スーパーヒーローがすごいこと(壁をよじのぼったり)をしている」
というナレーションがあること。
すごい力がある人がそんなことしかしないんかい、ってことかなあ。

これ自体、真壁本人のことなのか、真壁がドミノでなくなったあとのことなのか、
解釈がいろいろありうる。

んだけど、形として「わかりやすくしますよー」って枠組みに見えてしまい、
勢いを削いで、説教臭くなってる、気が、する。

あと、安井順平が真壁役であること(2014年版もそうだけど)。
前回の「外の道」もそうだけど、安井順平を主人公にするのは
実力があるから、わかる。わかるけどーーー
ファンとしては(ファンなのか、ファンなのだ)、
安井順平が本当に輝くのは、茶々を入れるところなんだよー、と思う。

2008年版では保険調査員 横道役。
信じているのか信じていないのかスタンスを明らかにせずに、
ちょっとずつ茶々を入れていく、
そのおかげで観客はこの不思議な設定との距離感が取れたわけです。

オカルトに笑いはつきもの(ホラー漫画家はギャグ漫画も画く、みたいな)
「聖地X」の兄にしても、「地下室の手記」の主人公にしても、
イキウメにとって、安井の「茶々」や「笑い」がどんなに重要なことか!!

真壁という役の設定はどんどん年を取っていって、
最初は親に心配されるフリーターだったのが、今や、元官僚。
2014年版からは、看護婦さんの役ができて、
マザーテレサのようなことを言うのも象徴的。
「本当に幸せを願っているのか?」という問いが、
個人的なものから社会全体へ、
「世の中を良くしたいと本当に願っているのか?」に移ってきている。
前川さんの変化だろうし、それは世の中全体の変化とリンクしているのかも?

それはさておき、ちょっとした比較など、つらつらと。

2014年版だと左門森魚役(浜田信也)が奇異な動きをしていたけど、
それは今回は無し。
前川さんのツイッターによると、マチズムやパターナリズムを「笑えるよね?」と
わざと表現していたけど、今回はわざとやるのはやめたと。
それは正解だったと思うけど、そうすると最初と最後のまとめはどうなのか、という…。

土呂役が盛隆二に戻ったのは良かった。
2014年版で土呂役が森下創だったのは、
森魚と年齢が違い過ぎて、友達になる説得力が薄い気が。

新田役が森下創なのはちょっと切迫感が無い気が。
新田役は、ヤンキーっぽいほうが勢いがあっていいと思うなあ。
(森下さんに合う役って…)

陽一(大窪人衛)の役が2014年版だとイキってて面白い。
人衛さんだからめちゃ上手いけど。でも似合ってない、笑。
その彼女の役が今回、総合職で働く女性っていうのはすごくいいね。
陽一が兄である森魚から自立しようとする背景として生きている。

温水洋一が横道役っていうのは、悪くないけど、もったいなさすぎやろ、という気が。

ついでに寺十吾版の感想も。
これは2017年の公演だけど、ベースは2014年版ではなく2008年版。
真壁役の瀬戸康史が華がありすぎ!
柄本時生の森魚役はぴったり。
ふられちゃう田宮役(池岡亮介)がイケメンすぎて驚き。
でも、こんなイケメンなのになぜ…やっぱ森魚はドミノなんだという説得力はある。
彼がふられた腹いせに、泉ちゃん(八幡みゆき)を悪く言うのはとても良い。
泉ちゃんが不思議ちゃんキャラのほうに振れすぎていて、
田宮君がそんなに好きになるだろうか? と思った。
横道役の勝俣さんが全然生きてなかった。

全体的に似たようなハンサムさんが多く(同じ事務所の人たちなのね)、
最初は見分けがつきにくい。
また、特に当初は、会話のテンポに余裕がなく、
ほぼ全員が怒鳴り続けているように見えてしまう。
土呂さん(山田悠介)の口説きの場面あたりから良くなった。

前川さんの演出は、(安井順平の魅力と同様)
茶々を入れるとか笑いとかをすごく意識しているんだろうな。
すごく理知的な「間」。(「わかりやすさ」では無い)
そういうところも、自分がイキウメを好きだと思うところなのかも。


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ガイズ&ドールズ(帝国劇場 6/12夜) [観劇メモ(ヅカ以外)]

(最初に書いておくと、紫吹ファンとして思い入れありまくりで、
かつ、フランク・レッサーの超名曲も大好きなので、
話の内容が古いのはわかりつつ、細かいことまであれこれ言わずにはいられません)

キャストはやはりぴったりというわけにはいかず、んんーと思うところも多かったけど、
なんといっても、はじめて歌詞を聞き取れた!(笑)
それでわかったことがたくさんあった。

ナイスリーは作品の枠組みなんだ!
コミカルな役でありつつ、超重要なナンバーをうたっている。
冒頭の、どの馬に賭ければいいかという超くだらないナンバーで、世界観を示し、
タイトルナンバーも担い、
さらに「舟が揺れる」というある意味、結論的なナンバー。
「舟が揺れる」が結論だということはよく言われているけど、
今回はじめて実感したよ。
みんなで信仰を持つことが大事なんだよ、という…
いや、やっぱりよくわかってないかもだけど(笑)。
万里生の歌唱力と、すっとぼけたキャラに感謝。

とはいえ、本当は太ってコミカルないわゆるコメディ役者がやる役なんだろうな。
全員歌詞聞き取れて、それでいてアメリカンミュージカルらしいキャストって、
日本だと無理なのかなあ…(苦笑)

浦井くんのネイサン、かーわーいーいー!
さすがに、なんでもできる人だよね。

芳雄のスカイは、ギャンブラーには見えないが、
この人を起用した成果?面白味は、
「女神よ今夜だけ」がまるで現代劇だったこと。
すごい緊張感。ストレートプレイで極限状態を演じているみたいだった。
芝居は現代劇、歌唱力はミュージカル。面白い人だ。

だいもんは普通にうまくてかわいい。

みりたんは、切れ者で孤独。
芳雄もだけど、お互いに切れ者で孤独。
だから惹かれ合うって設定なのか?
いやいや、全然ケミストリーが起きていない!
全然、恋物語に見えなかった。これが致命的。満足感が無い。
りかくらのウエットさ、みちふうのホットさが懐かしい。

アーバイドにソロがあった。サラが孤児だったのだなとわかる。
未沙のえる様(宝塚初演のナイスリー)はカートライト将軍。笑いとってた、さすが。
石井一孝さんはブラニガン警部。素敵~。もっと観たいんだけど。

ビッグジュールがかわいくなかったな。ビッグジュールはかわいげがないと。
なので、あの賭けの場面がダレまくってた。

アデレイドのショーでの最初のナンバーが農場の牛だったのが驚いた。
どういうコンセプトなんだろう。当時はよくあったんだろうか。気になる。

2幕冒頭のナンバー「もってけミンク」は、
最近バーレスクやストリップ観てる目からすると、
その手のナンバーなのね!! 
つまり「脱ぐ」ナンバー。
はじめて理解した!
しかも、「結婚するまではそういうことしないから! ひどい!」とかいいながら、
自分で脱ぐ。「持ってけ」という名目で。
かなり倒錯してる。面白い。

訳が岩谷時子ではなく、植田景子。景子タンそんな仕事してるんだ。
分かりやすくなってた。
ナイスリーのナンバーが理解できたのはそのせいもあるかも。

そうそう、飛行機に乗ってハバナに行く場面もあった。
宝塚版では、ハバナって日帰りできるの? って最初思ったし、
サラが飛行機に乗ったことがない、旅行とかしたことないってことがわかって良い。

あと、スカイの衣装が地味だよねえ。ギャンブラー全員、衣装地味

サラとアデレードの最後の場面、急に仲良くなった違和感はなかった。
これは同期だとこっちがわかっているからか、
本当に同期の親密感が出ているのか。

「古い話ですよ」ということで、冒頭にスクリーンで「1936年」と明記して、
オープニング映像をいかにも映画という作りにしている。
だけど、「女らしく」とかよりもまず、「結婚しないと!」ってところが、
私は20年前から気になっていたし、今はもっと気になる。


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篠原演芸場で劇団美山を観た [観劇メモ(ヅカ以外)]

大衆演劇は、一度観たことがあります。
そのときは観光地だったから、一見さんがほとんどだったけど、
今回は東京の劇場。

ここのところすっかりはまっているという友達に連れられて行きました。

靴を脱いで地べたに座るのですが、
桟敷を区切る橋みたいなのはありません。
2階もあるみたい。こじんまりした劇場。
でもちゃんと花道はあります。
通っている人がほとんどみたいで、アットホームです。
(中に喫煙所があるのは、完全にアウト)

前半はお芝居、後半はショー。
この日はゲストで他劇団の人も出演していました。

友達のご贔屓の里見こうたさんは、しゅっとしたハンサムで、女形がとってもきれい!
私がついつい見てしまうのはゲストで出ていた劇団暁の女性。
(やはり女性が好きなのね、私。それか、見慣れているからか)
三咲愛羅さん、垂れ目でいかにも私好みの顔。
若いのに、芸がもう完全にできています。
小さいころからやってるんだろうなあ。
そう、女性もいるんですよね。
ドロンジョ様的な役割の女性とか、かっこいい。

お芝居は、花魁が、策略のせいで、いろんな客をいっぺんに相手しなくちゃいけなくて、
部屋を行ったり来たりして嘘をついてドタバタ。吉本新喜劇っぽい。
本当に愛してくれるのはすごく寡黙な人だった、っていう純愛オチ。

でも、吉原の遊女が身を投げて自殺するなんてできるだろうか? 
堀に囲まれて出られないのに? 
いろいろ気になることがある脚本でした。

ショーは和洋ごちゃまぜで、みんな身体能力がすごい!
歌舞伎の演目を次々やるやつがすごかったなあ。

チップを渡す行為を頻繁にしていて、なんと千円札じゃなくて万札なんですよ。
髪留めみたいなもので着物にはさんだりする。
(ポチ袋に入れても良いので、それなら千円札でも可能か?)
「お花をつける」というそうな。
張り合い出すと止められなさそうだねえ。
お金が無尽蔵にある人がやる遊び。
でも、着物につけるとき、二人だけの世界になれるのが、本当に楽しそう。やばいやばい。

チケット代が安くて、舞台装置は簡素だけど、
でも着物とかそれなりにお金かかってそう、
それは「お花」で賄ってるんだろうねえ。

この人たち全然休みなしで毎日公演してて、しかもほぼ毎日違う演目みたい。
一体いつお稽古するんだろう?
いわゆるブラックな労働形態。若いからできるんだろうけど…、
前見たときはけっこう年の人もいて、素敵だったけど。


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2022年5~7月に観たもの [観劇メモ(ヅカ以外)]

〇「お勢、断行」 5/15昼 世田谷パブリックシアター

ゲネプロまでやったのにコロナで中止になった作品。
上演できて良かった-。
(これで、自分がチケット取ってた中で、コロナですべて中止になった公演のうち、
実現していないのは「チェーザレ」だけになりました)

倉持裕作。
「お勢、登場」という乱歩原作で数年前にやったものの続編。
乱歩の世界観で、大正末期の実在の猟奇事件を組み合わせたお話だという。

ぶっちゃけ、タイトルロールのお勢さんが必要ないお話だった。

話の軸は、後妻おその(大空ゆうひ)。
暴力夫を病院送りにする計画の顛末とそのきっかけの真相。
やつれて楚々とした後妻が、
急に怜悧に小姑(池谷のぶえ)を邪見にしだすところ、ゾクゾクしたあ~。

時制が行ったり来たりするのはそれほど効果的でもなく。
池谷さん、梶原善、江口のり子、千葉雅子、いずれもよくある役柄なんだけど、
戯画的で、さすがに上手い人たち。
お医者さん役や、探偵役の人も良かった。

乱歩らしさは、最後の、少女が家中の電気をつけて回るところかな。

お着物がどれも素敵。


〇「ひみつせん」6/18夜 シアターウエスト

主演の三浦透子が気になるのと、詩森ろば作なので観に行きました。

登戸にあった陸軍の研究所でタイピストをしていた女性。
その時制と、それを調べている2001年時点とが交錯する作り。

科学者としていろいろ実験できるのが楽しい、という「欲」と、
倫理観との葛藤。

牛を人工的に病気に感染させる兵器の話と、
捕虜を人体実験して殺す話とが、
平行して語られる。

葛藤を持たずにひょうひょうと生きていける人もいれば、
葛藤に耐えきれない人もいる。

欲を自覚して背負って生きていく人もいて、
主人公の女性がちょっとラブなのがそういう人、
というのがまあまあ面白い。

女性は、科学者になりたくて、でも女だから大学に入れない。
科学は、世の中をよくするためにあるものではないのか?
という問いをこの二人が語っているのが一番大事なところなんだろう。

でも全体的に地味なのは、女性が実験には関わっていないというところ、かなあ。
それは仕方のないことなんだけど。

2001年時点で調べているのが何かっていうオチは、わりとすぐわかっちゃうんだけど、
一応それでひっぱっている。

三浦透子は目力が強く、名前の通り透明感もあり、
大物女優誕生! という感じでこれからが楽しみ。


〇「わたしの恋人」7/9夜 本多劇場

のん(能年玲奈)の演技を生で観てみたい、ということで行ってみた。

かなり取っ散らかった話なんだけど、
渡辺えりと小日向文世だからとにかく上手い上手い。

まだ見ぬ恋人を追い求めて転生していく話で、
場面が行ったり来たりして、まるで詩のよう。
音楽が良くて飽きない。

転生の一つはナチスに殺されたユダヤ人だったり、
東日本大震災の津波が重要な要素だったり、
人間に踏みつぶされる火星人が登場したり。

多分「恋人」というのは、平和や人権が守られることそのものなんだと思う。
それを希求し続けること。

でも一緒に見た夫はそのテーマだとわからなかったという。ええ~。
比喩だよ、比喩。
(冒頭で「メタファー」「何それ」「比喩だよ、比喩、たとえ!」っていうやりとりがあったな)

原作も気になる。

のんちゃんは、ものすごくスタイルがよくて、スーツを着ていたりするとまるで男役!
演技も歌も粗削りだけどけっこうよくて、
研3で新人公演の主役に抜擢、すごいスターがあらわれたぞーーー
一体どんなトップスターに成長するんだろう、楽しみーーー
というふうにしか見えない元ヅカファン脳。
いやもうすでに大スターなんだけど。
ぶりっ子がいじめっ子に豹変するところとかすごく面白かった。
もっと舞台に出てさらに輝いてほしい。


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OSK レビュー春のおどり(新橋演舞場 3/26夜) [観劇メモ(ヅカ以外)]

和ものは日舞の家元3人の競作。
特に3つ目の尾上菊之丞作が、ややスピリチュアルぽくて抽象的、
動きも音楽も面白かった! 

2つ目の場面(藤間勘十郎作)の、花魁の場面での城月れいさんや、
今回退団の愛瀬さんがすごく良かった。

今の二番手さんは、すごく若いのね。トップの楊さんといい、一気に若返ったね。

桐生さんが登場すると、本当に神が登場したんじゃないかというオーラ。
かといって楊さんを食わないよう、場面を配慮してあっていいバランス。

洋ものはオギー。
待ってました~~!
オギーのショーが見られるのはOSKだけなんだよ!
しかも新橋演舞場なら盆が回るんだよ!
ぞくぞくするような場面があって本当にうれしい。

トップ娘役? 舞美りら(華美ゆうかちゃん(ヅカ86期ね)みたいなお顔)、
ダンスがめちゃ上手い。そのうえなんか異形(褒めてる)。
花魁からぱっと黒燕尾になるのが、魔ものとしか思えない。
女性らしいラインの黒燕尾なので、度肝を抜かれた。 
これは宝塚だと難しいかも。男役至上主義だから。
うーん、なんかすごく気になる。
少女歌劇の在り方を引っ掻き回すような仕掛けだと思う。とても魅力的。

全体的には、100周年記念なので、オギー色全開というよりは、
OSKならではの曲や場面を多めにしてあるみたい?
でもリピートしたいぐらいでした。


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2022年1月から3月に観たもの [観劇メモ(ヅカ以外)]

今年1月から親の介護が始まってしまい、
忙しくてまったく更新していませんでした。
このさい、閉じようかとも思ったのですが、
ひとまず感想は書いてあったので、今更ですが、載せていきます。

〇1/15夜 「ブルーレイン」博品館劇場

コロナ後はじめて観た舞台の再演。
ヒロインが水夏希ではなく彩乃かなみに。より翻弄されて不幸に見える。
長男役がどうしても好みではなくて残念。

ちょうど親の介護が始まった段階で、前回よりも次男に感情移入した。
次男は父親に「お前ならできる」と言われるんだけど、それが虐待っていう。
自分自身が親のために病院から何度も呼び出されることと重なってつらかった。

飛沫防止パーテーションが無くなっていると思ったが、あった! 
飛沫防止というよりは、人物同士の距離の比喩として使われているみたい。
あと、水槽の壁なんだね。


〇1/21夜 柿喰う客「空鉄砲」スズナリ

著名な作家とその愛人(元男娼)と息子(いずれも男性)、作家の死を映画化するための俳優。
作家の役を演じる俳優と、作家本人を、同じ田中穂先がやっていて、あれ、今どっちなんだ?
っていうのがすごく楽しい。

ほかの役も、次々入れ替わったり、場面も前後したり、
「語り」中心の柿ならではの仕掛けがぞんぶんに楽しめる。
作家がどうして死んだのか、が最後に明かされるのでどんどん引っ張られる。

玉置玲央の男娼役もぴったり。しかもちょっととうがたっているという設定。
だけど、男どうしの愛憎や、男らしさへの固執に、
自分の中にまったくとっかかりがなくて(苦笑)、
すごく面白いけど、刺さるって感じではなかった。


〇2月に配信で「モンローによろしく」「ある王妃の死」「フェイクスピア」

「モンローによろしく」はマキノノゾミの初期作品だそうで、
初日一日だけやってコロナで中止になってしまった。
幸い、初日の映像を撮っていたので配信に。

第二次大戦中から赤狩りの時代のハリウッド。
最初は人気があったけど不器用で干されていく俳優と、
最初は抵抗していたけどだんだん世慣れして出世していく監督と、
素人から人気女優に、そしてマリリンモンローに座を譲るヒロイン、
の三人の友情の話らしく、
いかにもアメリカ映画っぽいせりふのやりとりがとてもおしゃれ。

なんだけど、女優役の那須凛が一人勝ちで、
監督役は「東京原子核クラブ」で良かった石川湖太朗なのでまだいいのだが、
人気俳優役がいまいちで、三人のバランスが悪くて、
何が主眼なのかよくわからない感じになってしまっていた。


「ある王妃の死」は題材が閔妃暗殺事件なので、見てみた。
二手に分かれた舞台装置と、チェロの音楽が素敵。
オッサンたちが、朝鮮を占領してウハウハしてて、
本当に嫌な気分にさせられて、よくできている。
王妃役が演技は高貴なんだけど、声や見た目がイメージと違った。


「フェイクスピア」は評判が良かったので配信チケットを買ったけど、
野田秀樹を配信で見るのは全く無理があった。途中で脱落。


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