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星逢一夜 / La Esmeralda(東京宝塚劇場 9/5 15:30) [観劇メモ]

なかなかの佳作ですな。

日本ものなうえに、一揆なんて地味な題材。
なのに、みんな泣いてた。

立場のせいで、自由になれない、思いを遂げられない。
『若き日の唄は忘れじ』と似たような。
日本ものにはそういうのが多い。

しかも健気なのがいい。
「お前にやる。こいつはお前のことが好きなんだ。
こいつが幸せになるなら俺はどうでもいい」
うわー、泣ける。

お互い、想いを口に出したりはせず、
それ以外のセリフや動作で示すのが、味わい深い。
ラストあたりで一回だけ、「愛したのはお前だけだ」と抱き寄せる。
ぐっと来るなあ。

こういう作品が評価されるのはいいことだ。
上田久美子の快進撃が続いてますね。


天文が好きな、藩主の次男坊。
天文が、科学=客観=普遍の真理、
という意味で使われているのもいい。
『天地明察』よりも少しあとの時代。

因習にとらわれた人々の中で、開明的な思想をもった主人公。
遠い土地があること、
そこには自由があるかもしれないこと、に
子どもたちが希望を抱く。

希望を背負った次男坊が藩主になって、
西洋の科学を採用した吉宗に才能を見出される。

けれども、結局は幸せになれなかった。
ふるさとで一揆が起き、友達を殺し、
好きな人とも結ばれない、というお話。。。。


じつは私、
どーーーしてもある一点が気になってしまって、
号泣するには至りませんでした。

それは、年貢の取り立て方法の良し悪しです。

みなさん、わかりました? 
自分、経済に疎いので、とんとわからん。

豊作凶作にかかわらず一定の量をおさめさせる(定免法という)
豊作のときは多く、凶作のときは少なくおさめさせる(検見法という)

どっちがいいのかな??

検見法を定免法にあらためたのが享保の改革の一つだという。
へー。

主人公は、定免法を推進した。

「一定の額が市場に出回らないと、経済が立ち行かない」
「小を捨てて大を取る」

ん? 消費税上げて、無理やり株価も上げて、
アベノミクスだとか言ってるのと同じじゃね!???

と思ってしまって。

確かに、当時としてはそういう考え方はすごく新しくて画期的だったかも。

でも、社会福祉の面をしっかりしておかないと、
凶作の村から、確実に死人が出るよね??

普遍の真理を知っている青年が、
なぜそんなことをするのだ?
天文好きという設定で表現したかったことの根本が崩れてしまわないか?

こんなサイトが役立ちそうだが…
http://www.ops.dti.ne.jp/~makinoh2/edo/edo10.html
経済に疎い私には半分も理解できない。

当時は、「小を捨てて大を取る」がすごいことだったのかもしれないけど、
その先の先まで来た現代人にとって、
それだけじゃあ説得力無いんじゃないか。
せめて、主人公が年貢の取り立て方法について、葛藤する場面がほしい。
もっと語ってほしい。もっと教えてほしい。

…そんなことが、どーーーっしても気になってしまいました。

小箱作品のように2時間以上あったら語ることができたのかな。

ちなみに、元ネタは郡上一揆という岐阜で起きた一揆だそうで、
劇中でも名前が出ていました。
ただ、史実では享保の改革の後で、
しかも、定免法から検見法に切り替えたことがきっかけだとか。
あら? 逆なのね?
あーー、やっぱりわかんね。
「一定量取り立てることにした結果、凶作のとき一揆がおきる」というほうが
現代人には理解しやすいな、やっぱり。
その改変は良いと思う。

郡上一揆の殿さまも天文好きだったそうです。
でもそれは、新しもの好き的な感じなのかな。浪費家だったそうで。
天文好きを、普遍の真理として取り上げたのは、宝塚らしくていいなと思う。

普遍の「善」、それこそがみんなが宝塚に観たいものだろうから。


じゅんちゃん(英真なおきさんね、念のため)が吉宗。
雪組で観るのは珍しい。すごい締まってた。

がおちゃんが飄々としたおじいさん役。この役、めっちゃいい役だよねー。

あとは……
メイン三人は上手かった。宛書としても良かった。

役の少ない芝居だったな。仕方がないが。

カリ様のシケがお美しかった。


ショーは楽しかったけど、緩急の「緩」がなくて消耗した
(生徒さんもさぞかし、と思う)。

透水さらさがジョセフィン・ベイカーを演じていたのが丸顔に似合ってて良かった。
バナナが金じゃなくて銀なのは、あまりセクシーにしないため?

彩風咲奈がますますかっこよくなっていて、やばい。



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