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カリスタの海に抱かれて / 宝塚幻想曲(宝塚大劇場 4/11 15:00) [観劇メモ]

今回の芝居はなかなかいい。さすが大石静。

トップと二番手がトップ娘役を取り合うとか、ラブシーンで妖精さんが舞っているとか、途中途中でベタに心情ソングが入るとか、あ~、宝塚観てるな~って思う。で、セリフがちゃんとしていて、破たんがない。それぞれの思惑が絡み合い、誤解したり、疑ったりしてどんどん悪いほうに転んでいくのが、きちんと理解できる。オリジナルでこれぐらいのレベルのを毎回観たい。

ヒロインが全然寄り添い系じゃないのも感情移入しやすい。ややガサツというか。ドレスが着たい、ドレスなんてどこで着るのかって意中の男性に聞かれたら、「あんたの前でに決まってるじゃないか」と、あっけらかんと言う。いいねえいいねえ。で、考え無しだから、そこでそれ言ったら誤解されちゃうよってことを口に出しちゃう。いいねえいいねえ。

最後いきなりハッピーエンドになるのは、けっこうポカーンだったが、まあ理解できなくはない。(あんなに「復讐したい」って言ってた人たちは、納得できたのかなあ…?)

それよりも疑問なのは、主人公がどうしてあんなに立派な青年なのか、っちゅーことだ。裏切り者の息子として育ち、裏切った報酬で貴族になっても、 本物の貴族からは蔑まれ、それでどうしてキラキラした顔でふるさとの島に帰ってこれるのだろう。できすぎじゃないのか。…とは言いつつも、みりたんのキラキラ顔でなんとなく納得。

エリザのときは(わたし的に)不満たらたらだったみりおの演技だが、今回は全然そんなことはなく。やっぱり歌が上手い人が歌ばっかりの公演は良くないんだろうか。「君を愛することは、無い」と無理やり言ったあとで「あっ、言っちゃった…」みたいな顔してるのとか、すごく良かった。

新トップ娘役である花乃まりあは、思ったよりも大丈夫でした。でもすごく役を選ぶと思う。今回のはいいけど、大人っぽい役や勝気な役以外は難しいのではなかろうか。声質や芝居が大仰なのと(それはそれで面白い個性だが)、口回りがいかつい。みりおと組ませる意味がよくわからない。いろいろ勘繰りたくなってしまう。

プログラムによると、だいぶ早くにプロットができていて、その後、トップ娘役が決まり、予想外の組替えもあったように読める。トップ娘役は誰の想定だったんだろうか。ちなつの役は取ってつけたようだと思ったが、後から付け足されたのなら納得。

それにしても、ナポレオンはこの作品中の飛び道具のようなもので、これが上手く効かないとラストは成立しない。柚カレーの美貌とヘタウマ演技(豪快なオジサンぶりっこ)が、ものすごく効いている。これ、別の人だったらかなり難しかったのでは。

…また東京で細かな話を書きます。

カリスタ島ってどこだろうと思って検索したら、実在の島じゃないんですね。へーへーへー。独立戦争って(宝塚に限らず)よく題材に選ばれるけど、 なんでだろう。日本人の琴線のどこに触れるんだろう。沖縄? GHQ? それとも単に、戦闘を表現するときに、最も正当な理由に思えるから?(領土拡張が理由だと、現代人は共感できない場合が多い)


ショーはすごく退屈に感じてしまった。台湾公演に持っていくために「和」テイストを入れていて、和太鼓や三味線が入るんだけど、それが全く合っていないと思う。舞台装置にも和の花が使われていたり、衣装の袖だけ振袖だったりするんだけど、「和」の入り具合が少なくて、とても安っぽい演歌ショーという感じなの。

西洋圏に持っていく和ものショーは、もっと「和」だったと思うんだけど、アジア圏に持っていった和ものショーってこういうのだったっけ? 台湾の人が望んでいる「和」ってどういうものなんだろう?? 同じアジア圏だからそんなに「和」でなくていい、という判断なら、中途半端にしないで一切 「和」無しでもよかったのでは。

バスケの場面は、音楽が軽快でないのが痛い。前回の稲葉ショーでの野球が楽しかっただけに、残念。

ちなつがショーでムハムハした顔をしてるのがいちいちドギマギする。

きらりちゃんは、やっぱり何をしてもかわいい。顔立ちといい、等身バランスといい、踊りといい、表情といい、ザ・娘役。歌が上手かったら、トップにふさわしかった。…なんて今更言っても詮無いことやね。そんな生徒さんがわんさかいるのは、観るほうからしたら、ありがたいことです。


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