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非常の人 何ぞ非常に(パルコ劇場 7/26 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

平賀源内と杉田玄白の友情を描く物語。

『風雲児たち』(みなもと太郎)という漫画が好きなので、最初は少し戸惑いました。この漫画だと、玄白と前野良沢の関係性のほうがクローズアップされているので、ちょっと源内が横入りしているように感じてしまったんですが。

佐々木蔵之介の平賀源内は、意外にもぴったりで、それこそ漫画から抜け出たよう。エレキテルができたときの喜ぶ顔なんか、そのもの。岡本健一の杉田玄白もこれまたイメージ通りで、いやはやオカケンっていえば不倫の相手役とかのイメージが強い人だけど(古いドラマですんません)、全然違う、善良で努力家な玄白そのもの。…『風雲児たち』も、この作品も、もちろん同じ肖像画とかをもとにしてるんだろから当たり前なんだけど、まずはこのキャスティングを思いついた人がすごいと思った。

テンポのいい会話がどんどん続いて、最初の戸惑いはあっというまに霧散。特に「鼻」の訳語を理解するところなんか笑った笑った。そういうわけで、どんどん引き込まれる。

そして一幕最後になんと、平賀源内の内面の闇が暴かれ…。そこでまず、驚きました。こういうふうに平賀源内を描くのか、と。

二幕は、成功していく玄白と、斜陽になっていく源内が対照的に描かれながら、最終的には、史実とされている源内の最期が、全く違うように描かれているんです。それが、源内が心の闇を乗り越えたということなのか、はたまたもともとそういう部分があった人なのか、それとも。。。

その重要なファクターになるのが、架空の人物「菊之助=佐助」(小柳友)。でっかくて、しょーもない、だけど色気のある陰間。この人物を思いついたのもすごい。

まだ地方公演があるからネタバレ避けますが、思い出すだけで、目頭が熱くなります。

天才って孤独だなあ。天才の内面ってそんななんだ。天才と凡人でも、尊重しあうことができるんだ。…文字にしてしまえばよくあることなんだけど、われわれ凡人に、天才への感情移入を可能にさせるとは、すごいことです。さすがマキノノゾミ。

そして、源内、玄白の熱演、菊之助の不思議な存在感もすごいし、残りの人物を八面六臂の活躍で演じ分けた、奥田達士、篠井英介のお二人も素晴らしかった。朴訥とした秋田弁から、ちゃきちゃきの江戸弁まで、いろんなオジサンになりきった奥田さん(初めて拝見しました)、美麗な女形から、お固い前野良沢まで、ふり幅広すぎる篠井さん。同じ役者がいろんな人物を演じ分けるということで、どこかほのぼのした雰囲気になって、最終的にはとても重たい物語において、「救い」になっていました。

カーテンコールで出てきた5人に、「たった5人しか出ていないんだっけ!」と驚き。5人でこの熱い熱い舞台を作っているとは。

久々に、ずっしりと「芝居を観たぞおお」と思えるいい公演でした。DVD出たら買うぞ!
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