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映画『ちいさこべ』を見た [観劇メモ]

おりつが江利チエミ。えー、そりゃないだろー、と当初は思っていたんですが、どっこい、この配役がキモだったんです。

宝塚の娘役だと、極端な話、蘭ちゃんがおゆうをやってもアリでしょう。それだけ「娘役」というのは、かわいらしくて品がある。

でも、江利チエミは色黒で、泥くさくて、「戦後の焼け跡で、12歳のときから歌一本で親兄弟養ってきましたが、それが何か?」なわけですよ。強情で、茂次にもバンバン文句を言う。全く対等。

かたや、茂次(中村錦之助)はお坊ちゃん。たしかに、親の葬式をあげない理由が「死んだと思いたくないから」なんて、相当、甘ちゃんなんですが。錦之助がやや舌足らずで、色白なのもまた、さらにお坊ちゃんぽい。

お話の基本は原作通りなんだけど、3時間もあるのでいろいろエピソードが加わってます。もったいないので全部は書かないことにしますが、町の人たちに家の建て直しを頼まれて、「大留は高級志向だから、そんなん作ったら大留の名がすたる」と言って反感を買う、なんてエピソードもあるんです。大留の看板を汚してはならないという思いでいっぱいいっぱいのお坊ちゃんなんですね、茂次は。

でも、焼け出された子どもを、最初は捨ててこいと言いながら、やっぱり育てたいと思い直したり、だんだん町の人を助けたいと思うようになる。変わってくる。それは、おりつの雑草のような強さに触れたから。

なんと、この映画は、ウジウジ茂次が雑草おりつによって救われて成長するお話なのでした。

宝塚版と全然違うね。宝塚版だと、もともとかっこいいけどちょっとかたくなな茂次と、もともとかわいいおりつが、火事と子どもを通して、心を通わせ合う、っていうお話でしょ。宝塚っていうのはやっぱり、元からいい男・いい娘、なんだよなあ〜。

でも、ちょっとダメな部分もある二人が惹かれあって成長していく様子は、心に沁みます。ちょっと最後がオトメには物足りないけど。宝塚とは違うけど、いい作品でした。復習に是非どうぞ。

基本的な情報を忘れてた。昭和37(1962)年の作品で、監督は田坂具隆です。

豆知識その1:中村(萬屋)錦之助はヅカファン的には、甲にしきの夫! っていうかそもそも最初の妻はOG有馬稲子だし、二度目の妻はSKD淡路恵子(しかも淡島千景ファン)だし、ほんっと、少女歌劇スターが好きなんだね〜〜。きりっとした感じの美人が好きなんだね〜〜。

豆知識その2:この映画、渥美清も出ているそうだけど全然わからず。

豆知識その3:ちなみに、ふみか氏の役は初代水戸黄門:東野英治郎が演じてます。「シゲ! おめえ!」なんて言ってて、まるっきり職人さんです(ふみか氏は職人に見えない。商社の社長に見える^^;)


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